ココネ なう。 - get(その構文的な可能性)
2011.03.03

もうすでに満室なので早速はじめたいと思います。
先日、ある利用者の方から、
この教室内で debate のようなことはできないかという提案を受けました。
正式な debate はむずかしくても
discussion はできるかもと考えております。
その内、ココネ学園での
自由闊達な英語での discussion ができるといいな、と思っています。

今日の本題に入る前に、
debate と discussion の違いについて
ぼくの個人的見解を述べておきたいと思います。

debate はご存じのように、
ある issue をめぐって the pro と the con に別れ分かれ、
互いの主張を徹底的かすることにより、
勝者を決めるやり取りです。

これはいわば、position game です。
つまり、いずれかの立場に立ち、その立場から見解を述べる。
そして、相手の弱点を突き、
自分の立場の優位性を強調する position game です。

これは zero-sum game であって、勝つか負けるかがはっきりします。
debate のよいところは、
明確な立場(意見)を持つのに有効な手段ということです。

ところが、debate では新しい意味は生み出しません。
意味とか価値とかですね。

一方、 discussion は
collaboration game だといえます。
position game に対して、
互いに協働して何かを考えて行くという
協働作業を伴うやり取りです。

debate ではこちらの手の内を見せませんが、
discussion では、
テーブルの上に互いのアイディアを全部さらけだし、
そしてお互いが納得できるアイディアを創り出すという行為である、
という意味において、
生産的かつ創造的な営みだと言えます。

経営学の専門家と話をしていたら、
今は、debating skill ではなく、
discussion skill が求められているということを言ってました。

Harvard Univ. のビズネススクールなどでも
創造的な discussion をいかにして創り出すかに
関心が向けられているとのことです。

利害が対立する場合、
お互いが納得、承認できるような
アイディアを創出が合意形成にはもとめられるし、
実際、われわれが直面する問題は複雑で、
どちらかの主張を通すということではなく、
互いにとってのメリットのある、
つまり、win-win の関係が必要となっていると思うんです。

そこで、僕は、個人的には discussion を重視しています。

しかし、自分の見解をクリアにするために
debate 的な思考方法は必要なんです。
そこで debate in disccussion というコンセプトが
両者を統合する手掛かりだと考えています。

英語教育でも debate がもてはやされていますが、
今お話したところをしっかり押さえたうえで debate をやらないと、
特に日本人の場合は、感情的になってしまうんだろうと思います。


さて、今日の課題です。

今日は、get という動詞に着目し、
その構文的な可能性についてお話したいと思います。

be,
have,
get
は英語の最大基本動詞だといえます。

もちろん、
do のようにすべての動詞の代用になるようなものもありますが、
do を除けば、
be, have, get がもっとも基本的かつ重要な動詞だろうと考えます。

be は「何かがどこかに在る」という存在を重視した動詞です。

一方、have は「何かを自分のところ(HAVE1空間)に有する」ということで
所有空間あるいは経験空間を重視する動詞です。

get は be 的でもあり、 have 的でもあります。
She got sad. といえば be 的です。
She was sad. が含意されるからです。
一方、 She got some money. といえば have 的ですね。
なぜなら、She had some money. が含意されるからです。

では get のコアは何か?
それは「ある状態にする(なる)」というものです。

She got some money. では、
お金を持っていなかった状態から、
お金を持っている状態になったということですね。

同じく、She got sad. の場合は、
別に悲しくなかった状態から、
何かのきっかけで悲しい状態になった、ということです。

つまり、「ある状態にする(なる)」という場合には変化が感じられます。

このことをおさえた上で、
be to,
have to,
get to
を比べてみましょう。

have to do は
「これからする何かを抱えている」ということから
「〜しなければいけない」という意味になります。

一方、 be to do の場合は、
「これから〜する状態にある」ということから
「〜するようになっている」という意味合いになります。

have to do は
「何かを抱えている」ことから
ある種の義務感( a sense of obligation )が感じられますが、
be to do だと
「何かをする状態にある」ということから
中立的なさめた、あるいは客観的な響きがします。
だから、法律や規則では be to do は好まれるのですね。

では、 get to do はどうか?
get が「状態の変化」を表すことから、
状態動詞の場合には「これから〜するように変化する」、
ここから「だんだん〜するようになる」のような意味合いが出てきます。

You'll get to know each other.
といえば
「互いに知り合うようになるでしょう」
ということですね。

このように、
be, have, get のコアをおさえておけば
be to do,
have to do,
get to do
を同列に比較することが可能となります。

get の構文可能性が、
これからお話することですが、
get という動詞は、
英語という言語が可能にする構文のほとんどをカバーしています。

これから get の構文的可能性をみていきます。

get + 名詞では
She got the prize.

なお、She got the prize. と
She took the prize. では違いがあります。
She took the prize. だと
「与えられたものを受け取った」という意味合いですが、
got the prize には
「頑張って獲得した」というニュアンスが出てきます。

次に、 get + 形容詞では、
Don't get angry at me.
などが例ですね。
ほかにもいくらでも思いつくと思います。

get + 副詞では、
I got home just now.
がその例です。
この home は副詞ですね。

I got there. も同じです。

get + 前置詞句では
She'll get in trouble. がその例です。

今度は、動詞関連の共演情報が来ます。
get + done では、
I got divorced. だとか
My bicycle got stolen. などがそうです。

get + to do は、
さきほどやりましたが
It took a while to get to know her.
なんかがその例です。

さらに、get + doing の形で、
Let's get going. なんかがありますね。

get + 名詞 + 名詞では
She'll get me a concert ticket. が例です。
[me + a concert ticket]が名詞+名詞に相当しますが、
この場合、She'll get [me HAVE a concerrt ticket] のように
HAVE を意味的に補うといいですね。

get + 名詞+形容詞では、
Don't get your clothes dirty, OK?
名詞+形容詞ですね。

get + 名詞+副詞もあります。
The government got inflation down.
この down は副詞です。

そして、get + 名詞+過去分詞では、
I'll get my blood checked.
I got my fingers caught in the door.
こんな例があります。

get + 名詞+現在分詞(doing)では
You'll have to get your project going.
がそうです。

そして、get + 名詞+to do だと
I'll get them to work harder.
これは使役的な意味合いですね。

これが get の構文の可能性です。
数えてみると、13の共演情報と結びつきます。

get には状態の変化があり、
なんらかの働きかけが感じられるので、
結果を重視する have とは違います。

「髪をきらなくてはね」という提案をする際に
You need to have your hair cut. でも
You need to get your hair cut. でも
両方がOKですが、
get を使うほうが強い提案になります。

Get lost! といえば
「うせろ!」という意味です。

これを変化を伴わない BE を使って
Be lost.
といっても「うせろ!」の意味にはなりませんね。

最後に、get done にはいろいろな表現があります。
get married
get involved
get paid
get tired
get drunk
get hurt
get bored
get excited
get interested
get started などです。
ほかにもいくらでも考えられます。

しかし、get doing の場合にはその構文の使い方は限定的です。
get going
get moving
get working
ぐらいが主な表現だろうと思います。


さて、まとめておきます。

get という動詞は、
be と have に関連した動詞で、
この3つを三大基本動詞と呼ぶことができると思います。
つまり、英語では、
この3つが極めて重要な働きをするということです。

be には進行形や受動態の用法があるし、
have には現在完了や使役の用法があります。
get はさきほど紹介したように
いろいろな共演情報を伴い構文的な可能性が実に大きい動詞です。

意味的には、
HAVEの状態にする、
BE の状態にする、そして
DO の状態にするというのが
get の感覚です。

She got the prize.
は HAVE の状態
She got sad.
は BEの状態、そして、
I'll get him to clean the room.
は DO の状態です。
この最後の例の to clean の部分は
別の動詞に置きかえることがいくらでもできますね。


今日、ぼくからお話したいのはこんなところです。
いつか、小学校英語を巡ってだとかいろいろな issue について discussion をぜひしてみましょう。

《生徒 : i gotta go! は?》
I got to go. も
to go への変化が意図されますね。

明日は、予定がいろいろと入っていて授業ができないかもしれません。
できるだけ、やるつもりですが、
遅くなった場合は、休みにさせてください。

では、たぶんまた明日。
さようなら。