人形劇三国志に一言 - 第3回 張角の最期

あらすじ

黄巾軍に取り囲まれた玄徳・関羽・張飛と淑玲・美芳。張飛は矢傷を負ひ、淑玲も重傷を追ふ。
今はここまでかと思はれたが、曹操の軍に救はれる。
淑玲と美芳に目をつけた曹操は、玄徳と張飛に先に張角を倒した方が女を得ることにしやうと持ちかける。
玄徳・関羽・張飛は策を用ゐて黄巾軍を大破した功績をもつて、董卓の前に呼び出される。官職を持たぬ三人は最初軽んじられるが、張角の弟・張宝を倒すことで、董卓に認められる。
曹操は、黄巾賊の本拠地に乗り込んで張角のもう一人の弟・張梁を倒す。隠し部屋にゐる張角を見つけたときには、張角は死んでゐた。
曹操が先手を取つたことを知つた淑玲は、人知れず姿を消してしまふ。

一言

やつと「演義」の第二回に入つたか。
皇甫嵩とか朱儁は出て来ないので、董卓が玄徳たちを認めなほすといふ展開になる。

董卓、ね。
愉快な董卓さん。
知恵の輪を解くのに余念がない。
この回などもリアルタイムでは見てゐないので、「董卓つてこんなだつたか知らん」と思ひながら見る。
なんだかかはいいんだなあ。憎めない感じ。

かはいいといへば、董卓の天幕を覗き込むやうにしてゐるラクダが異様にかはいい。
まつたく話の展開には関係ないし、この後も出てくるかどうかわからないが、どうも視線を奪はれる。

今回も紳助竜介の挨拶のあと、VTRが流れる。今回は馬は貴重だつたんだよー、騎兵と歩兵なら騎兵が勝つからねー、といふ話。
黄巾の軍に囲まれて、玄徳たちの馬が逃げてしまふんだが、それを受けてのVTRだと思はれる。
一度は逃げた馬が戻つてきたときに、張飛が取り戻さうとするんだが、このときに「美芳よりかはいい、淑玲よりかはいい」とか云ふ。
おいおい、いいのかい、張飛さんよ。

絶体絶命、といふ展開であらはれる曹操がいい。
曹操、こんなにいい男だつたか知らん。
どう見たつて玄徳よりいいのになあ、と、淑玲を見ながら思ふ。
さうさう、曹操は淑玲を見て、「絶世の美女」とか云ふんだよね。「都にもゐない」とか。さすが色好み、と思つたら、直後に張飛に「女たらし」とか云はれてしまふ。ふはは。

張飛といへば、蛇が苦手といふところが判明する。
この設定、この後も生かされてゐたか知らん。ちよつと気をつけて見ていきたいぞ。

「演義」では、豚などの血を使つて張宝の妖術をやぶるんだが、人形劇ではなんでやぶれたのかよくわからなくなつてゐる。
玄徳は張飛に目を閉ぢろといふが、張飛の頭(カシラ)は目の動く頭。基本的に人形の頭の目は動くか閉ぢるかしかできないので、張飛は目を閉ぢることはできないが、俯くことでうまく目を閉ぢたやうに見せてゐて感心する。うまい。

玄徳の剣は夜泣きをしてゐるのらしい。「今宵の虎徹は血に飢ゑてゐる」といつたところか。ま、張宝と戦つたのは夜ではないけど。

曹操がなんだか異様にさはやか(?)で、淑玲からは手を引くやうなやうす。
なんなんだ、玄徳よりよつぽどいい男ぢやあないか。
と、思ふが、まあ、そこはそれ、なのだらう。

張角・張宝・張梁が死んで、話はいよいよ都へとうつる。
んだが、その前に督郵が出てくるんだよね。
といふあたりは、次回の講釈で。

脚本

田波靖男

初回登録日

2012/10/17