個人的な備忘録。事実と妄想は峻別していきたい。

ざっとカルマニアの宗教に関するレイアウトだけ記述しておく。

古代イーラーン多神教

 古代イランの宗教といえば後述のゾロアスター教であるが、そもそもゾロアスター教は古代イーラーンの多神教をベースとして発展した宗教である。ゾロアスター教がカルマニアに到達したのはかなり遅かったものと考えられている。そのため、カルマニアには最も後代まで古代イーラーンの多神教が残存していた可能性がある。
 特に、カルマニアは伝統的に戦士の地とされていた。そして「カルマニアの民が勝利の神性を崇拝していた」または「カルマニア人はロバをアレスに奉じている」という記述がある(εωγραφικά,Στράβων)。ヴェレスラグナの項目で論じるのだが、ギリシア人たちの言う「アレス」とは古代イーラーン多神教の勝利の神であるヴェレスラグナのことを意味している可能性が高い。そこで、本稿ではヴェレスラグナを中心として解説する。ただし、「勝利の神性を崇拝していた」というだけで「ヴェレスラグナを崇拝していた」という記述ではないので注意が必要。本当にカルマニアだけで崇拝されていたマイナー神格である可能性も否定できない。
 実をいうと古代イーラーンの戦闘神格には風神ヴァーユもいるのだが、この神格はインドでも広く知られておりあまり調査しても面白くないのでヴェレスラグナを取り上げた。
 また、「勝利の神性」もしくは「アレス」を崇拝していたのは男性だけだと思われる。女性はこの地特有の沼沢・河川の女神を奉じていたと考えられるので、イーラーン高原のそのような女神の資料を基にカルマニアにおける女神崇拝についても再構成する。

ゾロアスター教

 カルマニアにゾロアスター教が到達したのはやや遅めであるが、その影響は計り知れない。当時のゾロアスター教についてはかなり多めの分量で解説する予定である。

アレクサンドロス崇拝

 英雄崇拝の一種。アレクサンドロス大王は確実に神格化されており、その崇拝はヘラクレスなどと習合していたものと考えられている。アレクサンドリア・カルマニアが存在していたならば、その都市ではアレクサンドロス神に対するギリシア式の信仰が行われていたであろう。資料の集まりが悪く、ゾロアスター教ほど解説はできない。

祖霊崇拝

 本来ならこいつを一番最初に持ってこなくてはいけないのにすっかり忘れていた。イーラーン特有の祖霊フラワシについて述べる。

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「獲加多支鹵」の読み方について
銅鐸時代

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