暗号通貨まとめwiki - 日本でのビットコイン

日本での位置づけ

「通貨」でも「モノ」でもない新たな分類、「価値記録」(価値を持つ電磁的記録の意)の一種として定義

参考

ビットコインと税金

ビットコインによる取引については、所得税法、法人税法、消費税法等に定める課税要件を満たす場合には、課税の対象となる
  • ビットコインの企業会計上の取扱い
    • 販売目的として取得:「棚卸資産」扱い
    • 他の財との物々交換目的でビットコインを保有:「棚卸資産」扱い
    • トレーディング目的で保有:「棚卸資産」扱い(市場価格をもって貸借対照表価額とし、帳簿価額との差額(評価差額)は当期の損益として処理)
    • ビットコインを取引の際の支払手段として使用:物々交換として会計処理(取引時のビットコインの市場価格とビットコインの簿価の差額を損益とする)
    • 投資目的としてビットコインを保有し売却:売却益は譲渡所得もしくは雑所得
営利を目的とした継続的なビットコインの取引から生じた利益は、事業所得又は雑所得として課税の対象となる

消費税法

ビットコインを取引の際の支払手段として使用した場合:ビットコインが民法上の「物」であるなら代物弁済として取り扱い消費税の課税の対象(仕入税額控除可)

相続税法

  • ビットコインが著作権により保護された著作物に当たる場合:相続税の課税の対象
  • ビットコインが単なる電磁的記録の場合
    • ビットコインが経済的価値に対する支配権とされる場合:相続税の課税の対象
    • ビットコインが経済的価値に対する支配権とされない場合:非課税

参考

ビットコインに関する質問主意書

質問主意書

答弁書

Q&A

一 世界全体で、ビットコインの現在の発行残高及び経済価値は、日本円に換算していくらか。

二 諸外国において、ビットコインが資金決済で果たしている役割と、それに伴う法的な位置付けは各国でそれぞれ異なると認識している。例えば、中国、ロシア等においては、ビットコインの使用が規制されているとの報道もある。
 諸外国の中で、ビットコインを法的に定義している国又は近い将来に法的な定義を行うことを表明している国はあるのか。

一及び二について
 ビットコインについては、特定の発行体が存在せず、各国政府や中央銀行による信用の裏付けもない等の特徴を有するとされているものと理解しているが、政府として、その全体像を把握しているものではなく、現在、関係省庁において連携を図りつつ、情報収集に取り組んでいるところである。
 お尋ねの世界全体におけるビットコインの現在の発行残高及び経済価値について、確たることを申し上げることは困難であり、また、諸外国において、ビットコインを法的に定義している国又は近い将来に法的な定義を行うことを表明している国が存在しているか否かについても、具体的には承知していない。

三 日本において、ビットコインは民法における「通貨」及び外国為替及び外国貿易法における「本邦通貨」、「外国通貨」に該当するのか。また、これらの法律のほかに、ビットコインを通貨の定義に内包する法律上の規定は存在しているのか。
 さらに、銀行法、金融商品取引法等金融関連の法律におけるビットコインの取扱いや、その他の法律におけるビットコインの位置付けはどのようになっているのか。

三について
 我が国において通貨とは、貨幣については通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律(昭和六十二年法律第四十二号)第七条で額面価格の二十倍まで、日本銀行券については日本銀行法(平成九年法律第八十九号)第四十六条第二項で無制限に、それぞれ法貨として通用するものとされているところであり、ビットコインは通貨に該当しない。
 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四百二条第一項及び第二項における「通貨」とは、強制通用の効力(以下「強制通用力」という。)を有する貨幣及び日本銀行券であって、これを用いた金銭債務の弁済が当然に有効となるものをいうと解されており、強制通用力が法律上担保されていないビットコインは、当該「通貨」には該当しない。
 また、外国為替及び外国貿易法(昭和二十四年法律第二百二十八号)第六条第一項における「通貨」とは、強制通用力のある銀行券、政府紙幣又は硬貨と解されており、ビットコインは、これらのいずれにも該当しないため、日本円を単位とする通貨と規定する「本邦通貨」、本邦通貨以外の通貨と規定する「外国通貨」のいずれにも該当しない。
 さらに、その他の法律においても、ビットコインを通貨の定義に含めている規定は存在しない。
 また、ビットコインは通貨ではなく、それ自体が権利を表象するものでもないため、ビットコイン自体の取引は、通貨たる金銭の存在を前提としている銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第二条第二項に規定する銀行業として行う行為や、有価証券その他の収益の配当等を受ける権利を対象としている金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第一項又は第二項に規定する有価証券等の取引には該当しない。
 その他の法律においても、ビットコインを明確に位置付けているものは存在しないと承知している。

四 前記三において、ビットコインを通貨の定義に内包する法律上の規定が存在しない場合は、我が国においては決済手段としてのビットコインの使用が禁止されるものであるのか。使用が禁止されるのであれば、その根拠となる法令を明らかにされたい。使用が禁止されないのであれば、以下の三点につき、法的な根拠も含め明らかにされたい。

1 ビットコインによる取引には課税されるか。
2 銀行は、ビットコインの売買の仲介、ビットコインと円貨又は外貨との交換並びにビットコイン口座の開設及び送金ができるか。
3 証券会社及び投資顧問会社は、ビットコインを投資対象とするファンドを組成することができるか。

四について
 ビットコインを対価として債務の弁済に使用することを一律に禁止する法律は存在しないと承知している。
 お尋ねの1について、個別具体的な課税関係については、個々の事実関係に基づき判断すべき事柄であり、また、お尋ねの「ビットコインによる取引」の内容が明らかでないことから、一概にお答えすることは困難であるが、一般論としては、所得税法(昭和四十年法律第三十三号)、法人税法(昭和四十年法律第三十四号)、消費税法(昭和六十三年法律第百八号)等に定める課税要件を満たす場合には、課税の対象となる。
 お尋ねの2について、ビットコインの売買の仲介やビットコインと円貨又は外貨との交換、ビットコインを預かる「口座」の開設及び当該口座間でのビットコインの移転については、銀行法第十条第一項各号、同条第二項各号及び第十一条各号に規定する銀行が営むことができる業務には該当しない。
 お尋ねの3について、ビットコインがお尋ねの「投資対象」として適当であるか否かは別として、金融商品取引法第三十五条第二項第六号及び同項第七号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令(平成十九年内閣府令第五十二号)第六十八条第十九号は、第一種金融商品取引業又は投資運用業を行う金融商品取引業者が行うことができる業務として、有価証券又はデリバティブ取引に係る権利以外の資産に対する投資として、財産の運用を行う業務を規定している。

五 ビットコインでの決済が日本国内で事実上行われている状況に鑑みて、いわゆるマネーロンダリングに使われることを防ぐとともに、マネーロンダリングに使われた場合に迅速な摘発を行うことが必要となるが、政府はどのような法令で担保しようと考えているのか。特に、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律及び犯罪による収益の移転防止に関する法律との関係について示されたい。
 また、前記三において、ビットコインを通貨の定義に内包する法律上の規定が存在しない場合、特に、民法、銀行法及び外国為替及び外国貿易法において通貨として定義していない場合には、マネーロンダリング対策の不備の原因となり得るのではないかと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

五について
 犯罪の成否については、捜査機関が収集した証拠に基づいて個々に判断すべき事柄であるが、お尋ねの「マネーロンダリングに使われた場合」が組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号)第十条第一項に規定する「犯罪収益等」の「取得若しくは処分につき事実を仮装し、又は犯罪収益等を隠匿した」に該当する場合には、同項の罪が成立することがあるものと考えられる。また、犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成十九年法律第二十二号)は、同法第二条第二項に規定する特定事業者に対し、顧客等との一定の取引について、ビットコインの使用の有無にかかわらず、本人特定事項等の確認等の義務を課している。
 三についてでお答えしたとおり、ビットコインを通貨の定義に含めている法律の規定は存在しないが、そのことがお尋ねの「マネーロンダリング対策の不備の原因」となり得るか否かについては、ビットコインの使用実態等が明らかでない現段階でお答えすることは困難である。

六 ビットコインと、日本円又は米国ドル等外国通貨との交換市場は、国内にも存在する。こうした交換市場の開設やそこで行われる取引が、民法の規定により無効とされ、又は銀行法、金融商品取引法、外国為替及び外国貿易法その他の法令に違反することはないか。特に、刑法における賭博及び富くじに関する罪に違反することはないか。

六について
 お尋ねの「ビットコインと、日本円又は米国ドル等外国通貨との交換市場は、国内にも存在する。こうした交換市場の開設やそこで行われる取引」を一律に禁止する法令は存在しておらず、そのような市場の開設や取引の民事法上の効力及び法令違反の有無については、個別具体的な事情により判断されることになり、一概にお答えすることは困難である。

七 ビットコインと、日本円又は米国ドル等外国通貨との交換を勧誘することは、虚偽の投資又は無限連鎖講等の勧誘行為等に値するものとして、刑事上の処罰を受ける可能性はないのか。また、こうした勧誘が金融商品取引法等の金融関連の法律で容認されるためには、どのような業者登録や勧誘規制の遵守が必要となるのか。

七について
 お尋ねの「ビットコインと、日本円又は米国ドル等外国通貨との交換を勧誘することは、虚偽の投資又は無限連鎖講等の勧誘行為等に値するもの」として一律に刑事罰を科す法律は存在せず、当該交換を勧誘することが刑事罰の対象となるか否かは、個別具体的な事情により判断されることになる。また、三についてでお答えしたように、ビットコイン自体の取引は有価証券等の取引に該当しないため、当該交換を勧誘することは、金融商品取引法等の金融関連の法律による「業者登録」や「勧誘規制」の対象とはならない。

ビットコインに関する再質問主意書

質問主意書

答弁書

Q&A

一 私に対し日本銀行が行った説明及びその際の提出資料によると、ビットコインの発行残高は約千二百万BTC(BTCはビットコインの単位を示す。以下同じ。)であり、本年二月十七日の交換レート(一BTC=六百二十一米ドル)で計算すれば七十七億米ドル相当になるとのことである。この発行残高を見れば、ビットコインは決済手段及び投資手段として認識されつつあるといえる。
 この状況を踏まえ、ビットコインが価値の尺度、価値の保存又は交換の手段としての機能を利用者に提供しているとの意見について、政府の見解を示されたい。

一について
 ビットコインについては、政府として、その全体像を把握しているものではなく、現在、関係省庁において連携を図りつつ、情報収集に取り組んでいるところである。世界全体におけるビットコインに関する価格や発行残高等に関する情報はまちまちであり、先の答弁書(平成二十六年三月七日内閣参質一八六第二八号。以下「先の答弁書」という。)一及び二についてでお答えしたとおり、その現在の発行残高及び経済価値について確たることを申し上げることは困難である。したがって、お尋ねの「意見」について政府の見解をお示しすることは困難である。

ニ 答弁書の「一及びニについて」では、「関係省庁において連携を図りつつ、情報収集に取り組んでいるところである」とされている。しかし、七十七億米ドル相当に上るビットコイン発行残高や、株式会社MTGOXによる民事再生法手続きの申請など、最近の状況を考慮すると、早急に情報収集を行い、必要な関係法令の整備を速やかに行うことが望ましいと考える。
 政府として、ビットコインに関連する法令を整備する時期の目途はあるか。特に、今季国会の会期中に対応を行うことは可能であるのか、明確に示されたい。

二について
 ビットコインについては、現在、関係省庁において連携を図りつつ、情報収集に取り組んでいるところであり、実態を把握した上で、必要があれば対応を検討していくこととしている。したがって、お尋ねの法令整備の有無及び時期について、現時点において、政府として確たることは申し上げられない。

三 答弁書の「三について」では、「強制通用力の効力」又は「強制通用力」との用語が用いられている。
1 「強制通用力の効力」又は「強制通用力」とは、いかなる意味を持つのか。法令に基づく用語であれば、その根拠法令及び具体的な定義を示されたい。
2 「強制通用力の効力」又は「強制通用力」を担保する主体は、どのようなものであるのか。特に、日本で流通する外国通貨の場合について、具体的に示されたい。
3 日本国内においては、米ドル、人民元、インドルピーなどの外国通貨の強制通用力は、法令で必ずしも担保されていないと考えることから、ビットコインも外国通貨と同様の性質を持つとの意見もあるが、政府の見解はいかがか。もし、この意見と異なる見解であれば、その理由も併せて示されたい。

三の1について
 先の答弁書三についてでお答えした「強制通用の効力」とは、金銭債権の債務者が当該効力を有する媒体を用いて弁済をした場合に、債権者がその弁済の受領を拒むことができず、当然にその弁済が有効となるとの効力をいい、貨幣については通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律(昭和六十二年法律第四十二号)第七条により額面価格の二十倍まで、日本銀行券については日本銀行法(平成九年法律第八十九号)第四十六条第二項により無制限に、それぞれ法貨として通用することをいう。
三の2について
強制通用の効力(以下「強制通用力」という。)を担保する主体は、主権を有する国家又はこれに準ずるものである。外国の通貨とは、ある外国が自国における強制通用力を認めている通貨をいい、我が国における強制通用力が認められているものではない。
三の3について
三の2についてでお答えしたとおり、外国の通貨とは、ある外国が自国における強制通用力を認めている通貨をいうことから、ビットコインについて強制通用力を認めている外国が存在しない限り、ビットコインが外国の通貨と同様の性質を持つと解することは困難である。

四 答弁書の「四について」のうち「お尋ねの2について」の部分では、ビットコインの売買仲介、口座開設及び「送金」業務について銀行が営む事ができる業務に該当しない旨が示されている。
 銀行が、自己勘定において、ビットコインを購入することや、ビットコインを投資対象に組み込んだ投資信託、ビットコインを原資産とするデリバティブ商品等に投資することは可能であると考えるが、これらの行為について法令上の是非をその根拠及び条件とともに示されたい。

四について
 銀行がお尋ねの「ビットコインを購入すること」は、銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第十条第一項各号、同条第二項各号及び第十一条各号に規定する銀行が営むことができる業務には該当しない。
また、銀行は、同法第十条第二項第二号に規定する有価証券の売買や同項第二号、第十二号及び第十四号に規定する有価証券関連デリバティブ取引、デリバティブ取引及び金融等デリバティブ取引の業務を営むことができることとなっているが、お尋ねの「ビットコインを投資対象に組み込んだ投資信託」や「ビットコインを原資産とするデリバティブ商品等」への投資がこれらの業務に該当するか否かについては、その具体的内容が明らかでないことから、一概にお答えすることは困難である。
他方、銀行が業務に至らない程度の範囲でお尋ねの「ビットコインを購入すること」等の行為を行うことについては、それらが適切であるか否かは別として、銀行が業務に至らない程度の範囲で業務に直接関係のない物品等を購入することと同様、同法上、それらの行為を明示的に禁止する旨の規定は存在しない。

五 プットオプション(例えば、一BTCを五百米ドルと交換する権利)等のデリバティブ取引を、預貯金取扱金融機関がそれぞれの根拠法に掲げる業務(例えば銀行であれば、銀行法第十条及び第十一条に掲げる業務)のいずれかとして、また、金融商品取引業者が金融商品取引法第三十五条に掲げる業務として、それぞれ行うことは可能であるのか。可能である場合は、その業務の法的分類(例えば、固有業務、付随業務等のいずれかに当たるのか)もそれぞれ示されたい。
 また、ビットコインの価格に連動した預貯金又は有価証券を、預貯金取扱金融機関又は金融商品取引業者等が、設定、発行、仲介又は投資を行うことはかのうであるのか。その法的根拠も併せて示されたい。

五について
 銀行法第十条第二項第二号、第十二号及び第十四号には、銀行は、銀行業に付随する業務として有価証券関連デリバティブ取引、デリバティブ取引及び金融等デリバティブ取引を行うことができる旨が規定されており、金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第三十五条第四項には、金融商品取引業者は、金融商品取引業並びに同条第一項及び第二項の規定により行う業務のほか、内閣総理大臣の承認を受けた業務を行うことができる旨が規定されているが、お尋ねの「プットオプション(例えば、一BTCを五百米ドルと交換する権利)等のデリバティブ取引」がこれらの規定に該当するか否かについては、その具体的内容が明らかでないことから、一概にお答えすることは困難である。
また、銀行法第十三条の四には、銀行は、金融商品市場における相場その他の指標に係る変動によりその元本について損失が生ずるおそれがある預金等の受入れ等を行うことができる旨が規定されており、金融商品取引法第二条第八項第一号及び第二号には、金融商品取引業者は、有価証券の売買並びに有価証券の売買の媒介、取次ぎ又は代理を業として行うことが規定されているが、お尋ねの「ビットコインの価格に連動した預貯金又は有価証券を、預貯金取扱金融機関又は金融商品取引業者等が、設定、発行、仲介又は投資を行うこと」がこれらの規定に該当するか否かについては、その具体的内容が明らかでないことから、一概にお答えすることは困難である。

六 ビットコインは通貨ではないとされることから、ビットコインを不特定多数の顧客より元本を保証して募集したり、継続的に貸出したりしたとしても、「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」等の法令には違反しないと考えるが、政府の見解を示されたい。仮に、何らかの法令に違反する場合には、その法令上の根拠とともに具体的な解釈を示されたい。
 また、例えば、百BTCを一年後に三十BTCの利息を付加した百三十BTCで返済する貸借契約のように、ビットコインを利用して利息制限法又は、「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」等に定められた利率を超過した契約を行うことは可能であるのか、政府の見解を示されたい。

六について
 お尋ねの「ビットコインを不特定多数の顧客より元本を保証して募集したり、継続的に貸出したりした」の意味するところが必ずしも明らかでなく、また、犯罪の成否については、捜査機関が収集した証拠に基づいて個々に判断すべき事柄であるが、あくまで一般論として申し上げれば、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(昭和二十九年法律第百九十五号)について言えば、同法の罰則の構成要件に該当する場合には、同法違反の罪が成立することがあるものと考えられる。また、お尋ねの「何らかの法令に違反する場合」の有無については、個別具体的な事情により判断されることになり、一概にお答えすることは困難である。さらに、利息制限法(昭和二十九年法律第百号)第一条は、金銭を目的とする消費貸借における利息の契約について、その利息が同条各号に定める利率により計算した金額を超えるときは、その超過部分について、無効とする旨規定しているが、お尋ねの「ビットコインを利用して利息制限法」に「定められた利率を超過した契約」について、その超過部分が同条により無効となるかどうかは、ビットコインの使用実態等が明らかでないため、お答えすることは困難である。

七 株式会社MTGOXは、民事再生法の申請前には世界最大のビットコイン交換所とされていた。その一方で、ビットコインがマネーロンダリングに利用される懸念があるとの米国議会調査局の報告があり、ビットコイン推進団体の幹部が連邦裁判所に訴追される事案も発生していた。
 こうした状況下で、株式会社MTGOX等、日本国内にあるビットコイン交換所(取引所も含む。以下「国内交換所」という。)の円建て又は外資建て口座を持つ預貯金取扱金融機関には、マネーロンダリングに関する相当の注意義務が発生していたとの意見について、政府の見解を示されたい。仮に注意義務があったとすれば、どの程度であったかについても、併せて示されたい。
 また、例えば、ビットコインを購入するために預貯金取扱金融機関における当該交換所の口座に振り込まれる多額の現金に対して、当該口座を持つ預貯金取扱金融機関には、振込人の本人確認、ビットコインの購入の有無及び本人確認書類の保管等を行う必要がこれまでにあったのか、あるいは、今後そのようなことを行う義務はあるのかについて、政府の見解を示されたい。

七について
 お尋ねの「マネーロンダリングに関する相当の注意義務」の内容が明らかでないが、例えば、犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成十九年法律第二十二号。以下「犯収法」という。)第八条第一項においては、預金又は貯金の受入れを行う金融機関等に対して、顧客がお尋ねの「ビットコイン交換所」であるか否かにかかわらず、特定業務において収受した財産が犯罪による収益である疑いがあり、又は顧客等が特定業務に関し組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号)第十条の罪若しくは国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(平成三年法律第九十四号)第六条の罪に当たる行為を行っている疑いがあると認められる場合において、犯収法第二十一条に定める行政庁に届出を行う義務を課している。
また、犯収法の下では、金融機関等は、口座の名義が「ビットコイン交換所」であるか否かにかかわらず、当該口座に現金が振り込まれた場合において、本人特定事項、取引を行う目的等の確認並びにその確認記録の作成及び保存を行う義務はない。なお、振込みの依頼を顧客等から受けた金融機関等については、十万円を超える現金の受払いを伴う為替取引を行う場合その他の犯収法が定める所定の要件に該当する場合には、当該振込みを行う顧客等について本人特定事項、取引を行う目的等の確認並びに確認記録の作成及び保存を行う義務がある。

八 ビットコインの交換所を国内に設立して運営する場合、その業務に関して、何らかの登録等や、関係省庁への報告義務が課されることになるのか、政府の見解を示されたい。また、ビットコインの交換所を所管する法令及び省庁についても示されたい。

八について
お尋ねの「ビットコインの交換所」の具体的な業務が明らかでないが、ビットコインと通貨との交換を行う業務については、我が国の現行法令において、「登録等」や「関係省庁への報告義務」の対象となっておらず、お尋ねの「所管する法令及び省庁」もないと考えている。

九 ビットコインの交換所を国内に設立して運営する場合、その業務に関わるマネーロンダリング対策等のため、何らかの登録等が求められたり、ビットコインの売買金額及び「送金」内容等について、関係省庁への報告義務が課されることになるのか、政府の見解を示されたい。

九について
先の答弁書三についてでお答えしたとおり、ビットコインを明確に位置付けている法律が存在せず、また、お尋ねの「ビットコインの交換所」に係る具体的な事情が明らかでないことから、一概にお答えすることは困難である。

十 答弁書の「三について」では、ビットコインが通貨及び外国通貨に該当しない旨が示されているが、政府はビットコインを金や骨董品のような「モノ」として認識しているのか、あるいは電磁的記録として認識しているのか、見解を示されたい。
 また、ビットコインが電磁的記録とされるのであれば、電子計算機に不法に侵入してビットコインの記録を変更する行為は電子計算機使用詐欺罪に該当するとの意見があるが、政府の見解を示されたい。

十について
お尋ねの「モノ」の内容が明らかでないが、いずれにしても、ビットコインの使用実態等が明らかでないため、ビットコインが「モノ」あるいはお尋ねの「電磁的記録」に該当するか否かをお答えすることは困難である。
また、犯罪の成否については、捜査機関が収集した証拠に基づいて個々に判断すべき事柄であるが、あくまで一般論として申し上げれば、人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り、又は財産権の得喪若しくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させたと認められるときは、刑法(明治四十年法律第四十五号)第二百四十六条の二の電子計算機使用詐欺罪が成立することがあるものと考えられる。

十一
 日本の企業が第三国を経由して北朝鮮に時計、香水、キャビア又は牛肉等の贅沢品を輸出した代金相当のビットコインを受領し、国内交換所で円に交換した場合、法令上の問題はないか、政府の見解を示されたい。仮に問題が生じるとすれば、取締りを行う根拠法令及び所管省庁についても併せて示されたい。
 また、国内居住者が国内に所有する一億円の価値があるビットコインを北朝鮮に「送金」した場合、法令上の問題はないか、政府の見解を示されたい。何らかの届け出、許認可が必要であれば、その理由及び根拠法令についても併せて示されたい。

十一について
外国為替及び外国貿易法(昭和二十四年法律第二百二十八号。以下「外為法」という。)第十条及び第四十八条第三項に基づく対北朝鮮の輸出禁止措置においては、貨物の最終的な仕向地が北朝鮮である場合には、第三国を経由するものであっても、当該輸出について経済産業大臣の承認を受ける義務を課しており、人道目的等に該当するものを除き承認しないため、ビットコインの使用の有無にかかわらず、贅ぜい沢品を輸出した場合には外為法違反になる。
お尋ねの「国内居住者が国内に所有する一億円の価値があるビットコインを北朝鮮に「送金」した場合」については、それが外為法第五十五条第一項に定める支払(以下「当該支払」という。)として行われた場合には同項に基づく報告を要する。
ただし、当該支払が外為法第五十二条の承認を受けずに行う北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入に係るものである場合には、外為法第十六条第五項において禁止する支払に該当し、外為法違反となる。
また、当該支払が北朝鮮のミサイル又は大量破壊兵器計画に関連する者として指定された者等に対するものである場合や、北朝鮮の核関連、弾道ミサイル関連又はその他の大量破壊兵器関連の計画又は活動に貢献し得る活動に寄与する目的で行われる場合には、外為法第十六条第一項に基づき主務大臣の許可を受けることを要する。

十二 答弁書の「四について」では、一般論として所得税および法人税の課税対象となる旨が示されている。
1 ビットコインの交換所で経済的利益を得た者が確定申告を行う際、一般論として所得の区分は何に該当するのか(特に、譲渡所得に該当するか)、政府の見解を示されたい。また、法人税の申告の場合における取扱いについても、併せて示されたい。
2 非居住者及び外国法人であっても、ビットコインの国内交換所で経済的利益が発生した場合、一般論として課税対象となり得るという理解でよいか、政府の見解を示されたい。

十二の1について
 個別具体的な課税関係については、個々の事実関係に基づき判断すべき事柄であり、また、お尋ねの「ビットコインの交換で経済的利益を得た」の内容が明らかでないことから、一概にお答えすることは困難であるが、一般論としては、個人が得た経済的利益が所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第三十三条第一項に規定する所得に該当する場合には、譲渡所得となり、また、法人が得た経済的利益の額は、当該法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入される。
十二の2について
 個別具体的な課税関係については、個々の事実関係に基づき判断すべき事柄であり、また、お尋ねの「ビットコインの国内交換所で経済的利益が発生した場合」の内容が明らかでないことから、一概にお答えすることは困難であるが、一般論としては、所得税法第二条第一項第五号に規定する非居住者又は法人税法(昭和四十年法律第三十四号)第二条第四号に規定する外国法人については、所得税法第七条第一項第三号若しくは第五号又は法人税法第九条第一項に規定する国内源泉所得を課税の対象としており、その対象に該当しない場合には、課税の対象とならない。

十三
 ビットコインの交換で経済的利益を得た場合、財産及び債務の明細書に明記すべき対象となるか。また国外財産調査書制度の対象となるか、政府の見解を示されたい。これらの対象となる場合、財産及び債務の明細書については該当する財産の種類、国外財産調査については該当する国外財産の区分及び種類についても、併せて示されたい。

十三について
お尋ねの「ビットコインの交換で経済的利益を得た場合」の内容が明らかでないことから、一概にお答えすることは困難であるが、一般論としては、所得税法第二百三十二条第一項に規定する明細書は、所得税法施行規則(昭和四十年大蔵省令第十一号)別表第十に定めるところにより、また、内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律(平成九年法律第百十号)第五条第一項に規定する国外財産調書は、内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律施行規則(平成九年大蔵省令第九十六号)別表第一に定めるところにより記載しなければならないこととされている。

十四
 答弁書の「四について」では、一般論として消費税の課税対象となる旨が示されている。仮に、ビットコインの国内交換所において一BTCを五万円で交換した場合、本年三月十日現在であれば、二千五百円の消費税が課税されるという見解でよいか、政府の見解を示されたい。その場合、交換手数料又は「送金」手数料についても、消費税が課税されるという理解でよいかも示されたい。また、消費税が課税される場合、納税義務者は誰となるのか、併せて示されたい。

十四について
個別具体的な課税関係については、個々の事実関係に基づき判断すべき事柄であり、また、お尋ねの「ビットコインの国内交換所において一BTCを五万円で交換した場合」及び「交換手数料又は「送金」手数料」の内容が明らかでないことから、一概にお答えすることは困難であるが、一般論としては、消費税法(昭和六十三年法律第百八号)第四条第一項に規定する資産の譲渡等に該当する場合であって、同法第六条第一項の規定により消費税を課さないこととされるもの以外のものであれば、課税資産の譲渡等として消費税の課税の対象となる。
また、お尋ねの「消費税が課税される場合」の「納税義務者」については、同法第九条第一項の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除き、国内において課税資産の譲渡等を行った事業者となる。

参考リンク