三について
我が国において通貨とは、貨幣については通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律(昭和六十二年法律第四十二号)第七条で額面価格の二十倍まで、日本銀行券については日本銀行法(平成九年法律第八十九号)第四十六条第二項で無制限に、それぞれ法貨として通用するものとされているところであり、ビットコインは通貨に該当しない。
民法(明治二十九年法律第八十九号)第四百二条第一項及び第二項における「通貨」とは、強制通用の効力(以下「強制通用力」という。)を有する貨幣及び日本銀行券であって、これを用いた金銭債務の弁済が当然に有効となるものをいうと解されており、強制通用力が法律上担保されていないビットコインは、当該「通貨」には該当しない。
また、外国為替及び外国貿易法(昭和二十四年法律第二百二十八号)第六条第一項における「通貨」とは、強制通用力のある銀行券、政府紙幣又は硬貨と解されており、ビットコインは、これらのいずれにも該当しないため、日本円を単位とする通貨と規定する「本邦通貨」、本邦通貨以外の通貨と規定する「外国通貨」のいずれにも該当しない。
さらに、その他の法律においても、ビットコインを通貨の定義に含めている規定は存在しない。
また、ビットコインは通貨ではなく、それ自体が権利を表象するものでもないため、ビットコイン自体の取引は、通貨たる金銭の存在を前提としている銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第二条第二項に規定する銀行業として行う行為や、有価証券その他の収益の配当等を受ける権利を対象としている金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第一項又は第二項に規定する有価証券等の取引には該当しない。
その他の法律においても、ビットコインを明確に位置付けているものは存在しないと承知している。