茶を濁すように語る場所。碌でもない。

 かつて私のことを『俺』と呼んでいた記憶が確かに存在しているが、それが本当に自分自身の記憶なのかどうか。
 たとえば、物語を読んだ時、登場人物に憑依する、感情移入するような感覚で、過去の自分がこういう風であったらな、という妄想をする。それは自分の身体では無いのに、自分自身の記憶にはその登場人物の感情、意志に引き寄せられる。
私が『俺』であった時のことが、はたしてそうではないと言い切れることなのだろうか。全ては、物語に没入してしまっただけなのではないだろうか?

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