「余はプレスター・ジョン。62の国を従えし3つのインドの王。東方世界(タルタリー)を統べる大王である。
――なんて、格好つけてみたけど、実際はそう大した存在じゃない。
それでも助けを求める人がいるなら、僕はその声に応えたい。いや、応えてみせるとも」
「人々の期待を重荷に感じないと言えば嘘になる。
実のところ僕は彼らの期待に見合う英霊じゃない。架空の王だ。
でも、誰だって救いを求める事はある。ならば、僕は上辺だけでも、そういう存在になってあげたいと思うんだ。
自分を助けてくれる英雄(だれか)がこの世(どこか)にいる。そう思えるだけで人って救われるものだろう?」
「自分を助けてくれる英雄(だれか)がこの世(どこか)にいる。そう思わせるだけでそいつの足元を掬えるものさ。
結局の所、自力で現実を生きず、空想(オレ)に救いを求めたお前の自業自得って事だ」
「一瞬の星の輝きを味わえれば、後も先も知ったことじゃないってのが人間だろ?
オレはその具現たる英霊だ。現実逃避の空想がもたらす歓喜と希望。その煌めきが消えた後に来る、自滅と失望の体現さ」