説明 
「サイコ」風のトラウマ・サスペンスなワケだが、かつてのレイノルズのファンを失望させること受けあい（？）のお寒い内容。Ｍ・サラ扮する若妻は夫とケンカをし、いつものように姉の家を訪ねようと、専用のオープンカーに娘を乗せ出かける。途中ガスを入れたスタンドで、店主のレイノルズが親しく声をかけ、調子の悪いエンジンをみてくれるが、実はこの時に細工をして、出発して暫くすると車はエンストしてしまう。そこを狙いすませたようにレッカー車で追いかけるレイノルズは、整備に不備があったと、自宅ガレージでの修理を請け負う。彼は妻と娘の三人暮し。妻は精神を病んでおり、サラ親子を死んだ妹とその娘と思い込み、案内した部屋に閉じ込める。一方、レイノルズは彼女の車をすっかり解体してしまう。サラの夫は妻と娘の失踪に混乱して怪我をし、そのまま二人を探しに出たが、流した血の跡をボンクラ刑事に誤解され、指名手配犯となる（！）。初めは妻の心を慰めるため、サラたちを連れ込んだかに見えたレイノルズだが、亡父の幻想に常に脅かされる彼もまた異常者だった……。レイノルズ以上に映画好きにこたえるのは、彼の妻役がＡ・ディキンソンであること。亡父役はＷ・ヒッキー。「彼と彼女の第２章」では良かった彼だが、本作ではただただ薄気味悪い。デビュー作「ミスター・ノース／風をはこんだ男」（88）の評判は良かった、ジョンの息子Ｄ・ヒューストン監督だが、父親の名をおとしめる愚劣な商業監督にあっさり堕したようだ。
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