アダルト用語辞典 Eroctionary

フェラチオを指す日本独自の婉曲表現。もともとは和楽器の名称で、「吹く」「咥える」の連想から性的意味が派生した。

尺八（しゃくはち）とは、本来は竹製の縦笛を指す日本の伝統楽器であるが、転じてフェラチオ（口を使って男性器を刺激する行為）を意味する隠語としても用いられる。語源は「吹く」「奏でる」といった動作がフェラチオと重なる点にあり、江戸時代の艶本や落語ではすでに性的な比喩として登場していた。

日本の文化圏では、直接的な性的語を避ける言葉遊びの中でこの婉曲表現が発達した。特に“吹く”“咥える”といった動詞がもたらす艶やかさとユーモアは、露骨な言葉を避けながらも性的イメージを的確に伝える日本語独特の感性を示している。

同性愛文化においては、「尺る（しゃくる）」という動詞形が生まれ、「尺犬（しゃくけん）」のようにフェラ奉仕を担う側を指す語にも派生している。これにより、「尺八」は単なる比喩を超え、性的ロールや嗜好を示す符号としても機能するようになった。

一方で、現代のメディアやSNSでは「フェラ」「イラマチオ」といった外来語に押される形で使用頻度は減少しているが、文学や同人作品、風俗業界の隠語表現などでは今なお生き続けている。伝統的な雅語と性表現が交錯するこの言葉は、日本的エロスの象徴のひとつといえる。

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