エロゲの紹介と心に残った作品の感想をダラダラ書いています。




1.フタマタ恋愛について


なんだか賛否両論あるようですが、とても好きなゲームです。人間関係に対して内向的な処理を丁寧に行っていく物語が好きなので、そういう意味ではフタマタ恋愛は本当にいいゲームだったと思います。
愛は歪んでいるほうが好きなので(というより信頼できるので)、純愛ってなんだか気持ち悪いなぁと最近考えていました。そんな折、愛や恋を否定しようとするキャラクターが出てくる作品は今の自分にはクリティカルで、やっぱりプレイする時期によって作品の評価って変わるよなぁ、その時必要な物語があるよなぁって感じたんですが、まぁそれはどうでもいいとして、運命とか純愛とかって虚飾めいてて気持ち悪いんですよね。なんだか都合のいいところだけ切り取った加工品みたいに扱われることが多くて。

これは僕がモテないからとか純愛経験がないからとかではなく(ないよな?)、邪心のないひたむきな愛とか、他人のためなら自分の命を犠牲にしてもかまわないというような愛とか、まぁ調べたら純愛の定義とやらがポンポン出てくるわけですよ。でも、そんなものが、この世の中のいったいどこに存在するのだろうか?家族愛に一切の打算がないなんて信じられないし、恋愛なんてもっとそう。突き詰めて煮詰めれば他人への奉仕は自己愛か自傷だと思ってます。





勘違いしてほしくないのは全否定はしていないことです。少なくとも物語の上では純愛だって言い張るものがあっていいと思っています。基本的にヒロインには幸せになってほしいので。ただ、出会って一か月で、ちょっとしたドラマを経て好き合っただけなのに、一生を捧げるとか、運命だとか、純愛だとか重い言葉を軽率に使うような薄っぺらいのが嫌いなんです。未来のことなんて何も分からないのに、簡単に重い言葉を捧げるのは純愛じゃなくて無責任に気持ちよくなってるだけではないかと思うわけです。なので、フタマタ恋愛のそういう重い言葉を否定したり、重いものだと理解した上で簡単には言えないことだと語るところは共感できる価値観で好きです。



2.宮子ちゃんについて




この子の顔は好きですけどキャラクターとしてはそんなに好きじゃないです。ただ宮子ちゃんの「そんな宝物みたいに私のこと大事にしてくれなくていい」ってセリフが大好きで、海中でのキスも含めてあのシーンには良さが詰まってます。
家庭環境もあるでしょうが、主人公は自分が思っている以上に恋愛を重たく考えていて、好きになった女は蝶よ花よと大切に愛でないといけないと思っている。それが出来る自信がないからこそ、宮子ちゃん(JKの姿)とは恋愛する意識に至れなかった。繋がりを求める宮子ちゃんの姿から恋愛できなかった原因を理解し、その原因を解消するためにクズになって、クズになろうと努力してるうちにフタマタ状況になって、フタマタを経由して二者択一を迫られて、そこまでして初めて宮子ちゃんともう一度向き合う。この一見無意味な遠回りが根深い精神の歪みを受け入れるきっかけとなる構図がとても好きです。クズになろうとしてフラフラしてた期間にもフタマタしていた期間にもちゃんと意味があるわけです。





こういう遠回りはミクロに見たら「このまま」で、マクロで見たらちょっとずつ変化しながら未来に進んでる。好きになって、ちょっと嫌いになって、また好きになって。重たくないけれど軽くはない。運命なんかじゃないし面白みもないけれど、確かな選択の先で収まった関係性を大事にするエピローグは本当に良かったです。



3.ヒロインズについて






煌ちゃんは作中でいうところの「しょーもない理由で初恋した」乙女で、それでも軽んじられるだけの存在じゃないと示してくれた女の子です。個人的にはファンタジー枠で、敢えて物語的な言い回しをするけれど”ヒロイン”だと思っています。
とてもかわいくて、主人公とほぼ同じ感情で煌ちゃんのことを見れました。ぶえぇえって泣かせて涙啜ったり、たこ焼きあげたり愛の言葉をささやいたりして、ホワホワさせたい。ところで、周囲をホワっとミーム汚染してたのは一種のカリスマではないだろうか。



初恋についての言及。

寝言で女の名前を呟きながら泣いてたから好きになったのって凄く物語的だなと思います。








結愛ちゃんは信じた運命に裏切られたと過去に取り残されて拗ねてる割に、一緒に不幸せになってくれる人がいいとか言ったり、面倒くさいムーブかましたり、寂しがりの甘えが垣間見えるところが結構好きです。周囲への棘や毒が自己防衛の手段になってる女の子が好きって千回は言ってる。
まぁ本質はかまってちゃんだから情熱的に求められてコロッといっちゃうわけです(ミスコンのあのシーンめっちゃキモかったけど)。ラスボスちょろいな〜と思った理由はここで、攻略手順が面倒くさいだけなんですよね。







ところで、実はルイルイが作中でいちばん歪んでいるんじゃないかと思っています。明らかに面倒くさい主人公が自信持てるように励まして、好きだから愛してるからと、どこまででも一緒に堕ちていこうとする精神が歪んでいなくてなんなのか。
ドMだから奉仕の自傷で満たされているのだろうけど、適度な嫉妬心と過剰な執着心と反骨しながら傅くような歪曲した優しさが異常なバランスで成り立っていて、とても魅力的だと思います。金ねンだわって言ったらパチンコ代くれそう(偏見)



4.さいごに




今回ふとフタマタ恋愛について考えていたことを言語化してみようと思い立った際にスクショした箇所を読み返して、改めて好きな作品だと感じました。恋愛に照らされた男女の裏面にある闇をカジュアルに描く作風はなんだかイマドキで、個人的には好きだけれども、どっちつかずな印象を受けてしまう気持ちもわからなくもないです。アサプロが舵を切る方針の良し悪しについては、そこら辺にいる評論家の皆々様にお任せするとして、良かったと感じた内面の描写に少しでも共感いただけたら嬉しいなぁと思います。




このページへのコメント

宮子のことを「キャラクターとして好きでない」と言いながら(もしくはそれ故に一歩引いて見られるからか)、私が見たフタマタ恋愛の感想の中でもっとも宮子ルートの魅力に対して言語化サれていると感じ、読んでいてとてもおもしろかったです。煌ちゃんに対するコメントも頷けるものでした。

1
Posted by 名無し(ID:Z0wsiCeMXA) 2022年05月10日(火) 00:58:21 返信数(1) 返信

コメントありがとうございます。
宮子単体で見たときはそこまで好みじゃないのに何故あんなにも個別ルートの読後感が良かったのかを考えたら関係性の尊さでした。その点について言及してみたつもりなので、おもしろかったといっていただけて嬉しい限りです。

2
Posted by  eroger_t eroger_t 2022年05月10日(火) 14:20:01

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