- 田主丸町
耳納連山のすそ野に広がる田園地帯、浮羽郡田主丸町の小川というところを横切るように
ひばり川が流れています。
昔、この川にいたずら好きのカッパが住んでいて、たびたび村の人たちを困らせていました。
ある夏の暑い夕方のことです。野良仕事を終えた小川村の若者がひばり川で馬を洗っていました。
馬が水を飲もうと顔を川に近づけると、「今だ」とばかりに、カッパはぬるぬるした手を
馬の鼻に突っ込みました。馬がびっくり仰天して岸に跳びあがった拍子に、カッパは馬の手綱に
手がからまって岸に投げ出されてしまいました。
驚いた若者は、「オーイ、カッパが出たぞー」と、大声で村の人たちに知らせました。
カッパは水のなかに入ってしまえばこちらのものと、川に飛び込もうとしました。その瞬間、
岸に植えてあったエンドウ豆のつるに足をとられて尻もちをついてしまい、
とうとう捕まってしまいました。
取り押さえられたカッパは、「自分を河童大明神として祭り、エンドウ豆をいって供えてくれるならば、
この村の人たちを水難から救ってあげます」と言って、必死に命乞いをし、今までのいたずらを
あやまりました。
村の人たちはカッパの真剣な表情に心を動かされ、カッパを信用して逃がしてやり、近くの老松神社に
河童大明神として祭ってやることにしました。カッパは村の人たちの優しい心に感激し、
目に涙を浮かべながら川の中に帰っていきました。
それ以来、この村では水難にあう人がいなくなったということです。
今でも、毎年七月十日を水神様祭りとし、エンドウ豆をいって河童大明神に供え、子供たちに
食べさせているそうです。
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