福岡県の郷土のものがたりです。


最近、朝倉郡杷木町志波の普門院に通じる参道から古銭がたくさん出て、町の話題になりましたが、それにまつわる

興味深い伝説がここに残っています。

今から約千二、三百年前のことです。この村の香山に大小二つの池がありました。大きな池にはたいそう大きな

毒蛇が、また小さな池には真っ白のきれいな蛇が住んでいました。ところが、この二匹の蛇はとても仲が悪く、

白い蛇は毎日のように毒蛇にいじめられていました。

ある日の夜、我慢できなくなった白蛇は、きれいな娘に変装して千代島の長者の所へ行き

「私は香山に住む者ですが、毎日毒蛇に悪さをされて困っています。どうか助けてください」と頼みました。

頼まれた長者が翌日、肥前の左衛門丞安時(さえもんのじょうやすとき)という武士を連れて香山の大きな池に

やってきますと、ちょうど毒蛇が白蛇に襲いかかろうとしていました。武士は用意した弓を取り出し、

毒蛇をめがけて素早く射ると、見事に頭に命中し、毒蛇は一矢で死んでしまいました。

助かった白蛇は、さっそく千代島の長者のもとに出かけて

「このたびは毒蛇を退治していただきありがとうございました。ささやかなお礼ですが、香山の頂に泉がありますので

来て下さい」とお礼を言いました。

長者が早速そこに出かけてみると、その泉はなんと、おいしい酒の湧く泉だったのです。絶えることのない酒の泉で、

長者は日ごとに富み、筑後川ぞいに蔵を建てたり、普門院の改修を行い自宅から普門院までの道に、千両箱を

敷いたということです。

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