5cm per sec. - 考察4
当初、Mixi上で書いていた作品についての疑問点や考察、あとは自分の経験とかぶったことなどです。深いところまで行ってないときのものもあるので、
すでに解明すみのものも俎上にのぼっていると思いますが、生温かくごらんください。

●水野理紗の年齢

「秒速5センチメートル」に出てくるキャストは基本的には同級生なので、みんな同じ年齢だ。
第2話に出てくる佳苗の姉が8歳年上(小説版より。あの時点で25歳)ということはわかる。

さて、第3話アニメに一瞬しか出てこなかったけれど、お話的には重要にキャストとなっている水野理紗。
彼女は何歳の設定になっているのだろうか。

小説版によって、彼女は貴樹の会社の取引先で、アシスタントをしており、貴樹より2歳年下となっている。
コミック版は小説版を底本としているので、この設定も引き継がれているだろう。
つまり二人が別れることになったのは貴樹28歳、理紗26歳。
その直前に理紗は両親に貴樹を会わせようとしてものすごい反発を受けている。
蛇足ながら、二人が初めて寝るシーンがコミック版にある。理紗は「初めてなの」と言っている。

●いつまで手紙は続いていたのだろうか
小説版(one more side)には「アカリとの手紙が途絶えて何年もたった」という表記がある。
明里は貴樹に渡せなかった「初めて書いたラブレター」をずっと持ち歩いていたが、中学卒業と同時に「むかしのもの」の段ボール箱にしまった。
コミック版1巻の巻末には交際を申し込まれた明里が「少し時間をください」と即断ることに躊躇を見せている。

お互い、「手紙は長いものだった」と書かれているけれど、それは事実の羅列となり、価値あるものにはなっていなかった。
だから、私は中学卒業の段階ですでに手紙が途絶えてしまっていたのではないかと思う。中学1年の終わりに最後に会ってから、
おそらく重厚な手紙のやり取りを月に一度程度おこなっていたけれど、それが1年ないし1年半くらい続いたのち途絶えてしまった、
そして中学卒業を迎えて明里は過去を断ち切るためにラブレターを封印した。
この時点で明里のほうが未来への一歩を踏み出していると思える。
貴樹は、未だ過去の想い出、あるいは「過去の恋に一生懸命だった自分」にとらわれていたため、佳苗に告白させなかったのだと思う。

※この考察は間違いですでに先達のみなさんによって、「高校2年のある時期」と特定されています。
第3話で貴樹に手紙を書けなくなった明里の描写がありますが、そこには「数IIA」の教科書。
長袖の服なので、それが春なのか秋なのかは不明ですが。


●アニメ版最終シーン

よく見ると、明里と婚約者は新宿東口で待ち合わせをしており、その同時刻に貴樹は西口のビル街で一人歩いている。
意図的な対比だと思うけれど、これ、東京の地理を知っていないと意味がわからない人もいるんじゃないかなあ。
東京くらい人が多いとばったり知り合いに会うということも少ないと思うが、
私が青春時代を過ごした京都だと町の規模も小さいし、盛り場が一つしかないから、知り合いによく会った。

「お前、会うたびに違う女連れて(ry」

※バイト先の女の子と仕事終わりにお茶してただけです(言い訳)

●2chでの意見集約

貴樹は明里をひきずっているのか?
  │
  ├ 明里をひきずってないよ派
  │ ├ 2話まではひきずってたけど3話はひきずってないよ(初恋の思い出派)【現最大派閥】
  │ ├ 1話までしかひきずってないよ(花苗水野連合組合)
  │ ├ 最初からひきずってないよ(明里アンチ派)
  │ ├ ひきずってたら女と沢山つきあうわけないよ(行動は心派)
  │ ├ 連絡先知ってるんだからひきずってたら連絡するよ(現実主義)
  │ └ ただのヤリチンだよ(誠氏ね派)
  │ 
  ├ 明里をひきずってるよ派
  │ ├ 3話までめちゃくちゃひきずってるよ(初恋最強説・古典派)【初期最大派閥】
  │ ├┬ 本人はひきずっていないつもりだけど潜在意識ではひきずってるよ(心理学派)【最新説】
  │ │└ むしろ3話でひきずっていることに気づいたんだよ(MMR)
  │ │
  │ ├ 明里はかわいいからひきずるに決まってるよ(明里原理主義者)
  │ ├ まさよしの歌が全てを教えてくれているよ(まさよし信奉教会)
  │ ├ プロモをみたらわかるよ(プロモ存在意義提起派)
  │ └ ひきずってなかったらこの映画は鬱男のオナニーだよ(新海批評派)
  │
  ├ 他の人をひきずってるよ派
  │ ├ 花苗を忘れられないよ(花苗ハァハァ派)
  │ ├ 実は水野さんのことをひきずっているんだよ(水野派)
  │ └ 花苗の姉だよ(花苗の姉推進委員会)
  │
  ├ 実は全部貴樹の妄想なんだよ(妄想説)
  │
  └ 貴樹=新海自身だよ派(自伝オナニー説派)


明里は貴樹をひきずっているのか?
  │
  ├ 貴樹をひきずってないよ派
  │ ├ 結婚したのにひきずってるわけないよ(リアル派)
  │ ├ 1話までしかひきずってないよ(手紙オワタ派)
  │ ├ 女の恋は上書き保存だよ(明里ビッチ説)【初期最大派閥】
  │ ├ ひきずってるようにみえるのはマリッジブルーだよ(女の心は複雑派)
  │ └ 明里は貴樹と違って先に大人になったんだよ(秒速5センチメートル派)
  │ 
  └ 貴樹をひきずってるよ派
     ├ 明里はかわいいからひきずってるに決まってるよ(明里原理主義者)
     ├ ひきずってたから踏み切りで逃げたんだよ(踏み切り派) 【現最大派閥】
     ├ 結婚を焦っただけで本当はひきずってるよ(結婚先走り説)
     └ 明里が誰かを探しているようなカットがあるよ(描写重視派)

●自分的まとめ

■第1話
明里が岩舟に引っ越した直後は、貴樹はわりきろうとしている。というか、していた。(キスする前まで)。
会う前に書いたラブレター(風に飛ばされたやつ)に「好きでした。さようなら」と過去形で書かれていることから。

逆に明里は「好きです」と現在進行形で書いている。文通を始めたのも明里であり、この時点では貴樹>明里(心の強さ的なもの)となっているとみなせる。

キスしたことで貴樹は封印していた心が着火しいきなり花火があがったような状態。
それは明里も同様。(コミック版)キスシーンはよく見ると明里から目を閉じている。

■第2話は第1話の5年後。
明里はまったく出てこない。
貴樹はおそらくまだひきずっている。もしくは、何も考えないようにしている。
しかし、その潜在意識のなかで明里を追い求めている。その表現が「異星で二人でたたずむ夢」なのだろう。

■第3話はそれから9年後になる。アニメでは断片的表現のため明確なことは言えない。
ただ、お互い異性と歩いているシーンがあり、心はともかく表面上は新しい一歩を進んでいるように思える。
(あるいは二人の心が離れはじめていると解釈できる)

小説版とコミック版では貴樹の心情について解釈が異なる。

明里は貴樹のことを過去のものとして懐かしく思い起こしており、結婚目前の婚約者がいる。
しかし、貴樹は未だ明里のことをひきずっている(コミック版)。

小説版では貴樹は明里のことについては踏ん切りをつけていた。「誰にも出さない携帯メールを打つ癖」がその準備期間であり、
その癖もなくなった今、彼は明里に対してのこだわりはもうなくなっているようだ。
だが、消耗戦のようなプロジェクトを進めたあげく、彼の心はすり減り、理紗の気持ちを正面から受け入れることもできず破綻してしまう。
そして、その時に大切なものを失ったことに気づく。すべてを失い想い出の踏切で明里とすれ違うものの、列車の通過後にその姿はもうなかった。
すべてが終わったことを悟って、貴樹も新しい一歩を踏み出していく。(コミック版ではこのあとに佳苗との「運命の再会」が待っている)

秒速5センチメートル特典「one more time,one more chance」



●リアル年代ではいつに相当するの?

貴樹と佳苗が「深宇宙探査機」の打ち上げを見ている。これが打ち上げられたのは1999年だと第3話でわかる。だから、

第1話 1994-5年
第2話 1999年
第3話 2008年(アニメ版)、2010年(小説・コミック
版)

よく見ると携帯電話の形状やら、PC、テレビなどに時代の変化が見てとれる。

※このあと、大画面で第3話の冒頭、貴樹の仕事場のホワイトボードに2008年と書かれているのを確認しました。