Force of Will TCG wiki - 『月姫の帰還』 シェヘラザードの物語『第2夜』
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『月姫の帰還』 シェヘラザードの物語『第2夜』


千年の月日。それは、生き残った人々にかつての栄華を取り 戻させるには十分でした。しかし、希望を持つということは、絶望を忘れてしまうということなのかもしれません。かつて行われた「魔石戦争」が忘れられてし まうにも、それは十分すぎる時間だったと言えるでしょう。何故なら、人々が栄華を取り戻した理由の1つは、彼らが地中深くより見つけた、不思議な魔力を持 つ石「魔石」だったのですから。


見つけられた魔石、その中でも特に力を持った魔石は真魔石と呼ばれ、それを手に入 れた1人の青年は王となりました。その王の住む城はライトパレスと呼ばれ、その国は魔石の力によって一層、栄えることになります。しかし、人々の隆盛とは 裏腹に、空には、この世界を見守っている月が、地上を心配そうに見ていたのでした。


魔石あるところに災いあり、その予兆が現れたのは、魔石が再び使われるようになってから、何十年もの時間が過ぎ去った後です。「魔石」の力を使えば使うほど、「支配者」達の封印は弱まっていきました。そして、その予兆をいち早く感じ取った人物が2人居ました。


1人は月に住みし、不死の姫 輝夜。彼女は王城を訪れると、人々に警告を行います。しかし、彼女は分かってもいたのです、彼女の施した封印の秘術の効力が切れつつあるということを。そう、月が赤く赤く染まるのは、地上の人々への輝夜からの警告でもあったのです。



そして、もう1人は、赤い頭巾の少女。彼女は有名な童話「赤ずきん」の主人公に見えて、どこか、掴みどころのない雰囲気を持っていました。まるで、彼女の存在自体が嘘のような。


「さて、私がこの世界を救わなくちゃ。ふふふ……嘘じゃないよ」


彼女は王城ライトパレスへと向かいました。そう、世界を「救う」ために。


さて、そこからの話はあなた達も良く知るところかもしれません、ライトパレスから旅に出た王子グリムと、吸血鬼ドラキュラの死闘はグリムの勝利に終わります、しかし、その代償にグリムは呪われた魔道書へと封印されてしまいます。


そ して、赤い頭巾の少女も自分自身に憑けていた世界を救うという「嘘」を落とすと、本来の「支配者」としての自分に目覚め始めます。グリムの双子の妹のルミ アはグリムが本に封じられたことを不思議の国の少女アリスから知らされると、天空の城へと向かった彼女を追いかけます。しかし「支配者」の復活を企む、ア ルハザードとの戦いで、ルミアもまたその力を失なってしまうのです。


一 方、天空の城レファースでは、2人の「赤ずきん」の戦いが行われていました。天空城はその戦いで消耗し、その浮遊の魔力を失うと地上へと落下を始めます。 本物の「赤ずきん」は自らと天空の城に残されたすべての力を真魔石「フィースシング」へと注ぎ、偽物の「赤ずきん」に最後の一撃を与えます。しかし、その 一撃は彼女に憑いていた「嘘」をすべて落とし、真の姿へと覚醒させてしまうことにもなってしまったのです。


世界には「黒い月」が生まれ、そこから「支配者」達、とその眷属が蘇り始めました。その歪に狂い始めた世界の理は、この世界そのものの創生の力さえも顕現させていきました。


そんな中、グリムとルミアの最後の希望を受け取ったパンドラ、そして、月へと帰り戦いの準備をしていた不死の姫 輝夜は最後の戦いへと向かったのです。


ま た、別の場所では一つの変化が生まれていました。それは本物の「赤ずきん」によって、多くの魔力を注がれた真魔石「フィースシング」です。真魔石は六賢者 が自身の存在を封じることで、大きな力を持つ魔石です。天空の城に蓄積されていた千年の魔力に真魔石が共鳴し、割れたとき、そこから風が、すべてのものを 吹き飛ばすかのような風が吹き荒れました。


その風が止むと、その中心には1人の少女が立っていました。

『僕は一体?』


彼女の名前は聖風の魔導師 フィースシング。かつて、世界を救ったといわれる六賢者の一人です。彼女は風に耳を傾けると、これまでに起こったことの多くを察しました。


『なるほど、そういうことなんだね。風の使い魔よ、輝夜の元へ連絡を。えっと、それから、僕はと……着る服と帽子を探さないとね』