表現の自由にまつわる言説の事実関係を検証しています。

要旨

 『札幌地裁の判決が街頭演説の警備に影響した』とする主張は事実に反しミスリードである。

発言

岡田ゆうじ/神戸市議会議員(自由民主党)*1

 今見直すと、背筋が凍るおぞましい札幌地裁判決。安倍元総理の街頭演説で、大声のヤジを叫んだ不審な2人を排除した警察の行為は違法だったと断罪。警官が「暴行等犯罪の可能性」を説明しても、現場を知らない裁判官は一蹴。以後、警察も不審者の事前制止は不可能に #安倍晋三元総理の回復を祈ります

渡辺みちたか/新宿区議(自由民主党)*2

 札幌の街頭演説の選挙妨害の排除で賠償命令がでて以来、全く警察が動かなくなってしまった。でもこれは本来、警察が逮捕すればすむ話で、こっちの方向で解決した方がいい。
 自分らで自分を守れといったら、政党や候補者を守る「突撃隊」、「親衛隊」なる警備組織・私兵組織を生み出しかねないよ。

音喜多駿/衆議院議員(日本維新の会)*3

 本当に警察は何もできないのか?現行法では対応できないのか?と。
 私の考えを結論から言うと
「現行法でも対応は可能なはずだが、警察が極めて慎重・及び腰になっている。そのため、法改正をせざるを得ないのではないか」
 というものです。
 多くの人が指摘をしている通り、警察が選挙妨害に対してほとんど何も対応をしてくれなくなったのは、札幌における事件がきっかけだと思います。
 ヤジによる演説妨害を警察が排除したところ、これが妨害側の「表現の自由」を侵害したとして警察側が地裁で敗訴。演説妨害に対応した警察に賠償命令が下される展開に。
 これ以来、迷惑行為に対する警察の対応は本当に慎重になってしまいました。

荻野稔/大田区議(無所属)*4

 省みれば、今回の事態は日本社会の静謐を夢想した、一部の楽観論者が招いたのだ!!
 北海道での選挙妨害への排除に対する判決などはその具体的一例にすぎぬ。
 また昨年、岸田総理が白昼堂々、爆弾を投げ込まれた襲撃事件を見るまでもなく、 我々の民主主義は絶えず様々な危機に晒されているのだ!
 選挙と民主主義。真の力を再び取り戻すためにも、捜査機関にはしっかりと立ち向かってほしい。

尾島紘平/東京都議(都民ファーストの会)*5

 立憲共産党は「公職選挙法の改正による選挙妨害の規制」に後ろ向き。理由は、2019年の秋葉原演説における選挙妨害の排除を猛批判した過去とダブスタになるから。その後、札幌地裁で表現の自由の侵害を認める不当判決が出て、警察も選挙でのリスク対応に慎重になった末、安倍元首相が殺害されています。

評価

 事実関係:事実に反する
 解釈表現:ミスリード

背景

 2019年7月15日、札幌駅前の路上などで、街頭演説中の安倍晋三元首相へヤジを飛ばした市民を警察官が排除した*6。排除された市民が損害賠償を求めた裁判は2022年3月25日に、原告に賠償を命じる判決を出した*7*8

評価の根拠

事実関係:事実に反する

 判決で違法とされたのは、ヤジを飛ばした市民を排除した行為のみである。裁判で適法性が争われた警察官の行為のうち、演説車両に接近した原告を抱きとめて制止した行為は『原告1が演説車両の周囲にいる関係者に体当たりやその他の暴行をしたり、演説車両上の安倍総裁その他の関係者に物を投てきしたりするおそれを抱いたとしても、特段不自然、不合理というものではない』とし、『警職法5条の要件を充足するものであり、適法な職務執行であった』としている*9*10。このことから、札幌の判決は警備に影響を与えるものではなく、『札幌地裁の判決が街頭演説の警備に影響した』なったとする主張は事実に反すると評価できる。

解釈表現:牽強付会

 以上のように、判決は論理的に考えれば警備に影響を与えるものではないものの、警察がこれを曲解し警備を萎縮させた可能性までは否定できず、実際の警備に与えた影響は不明である。ただし、仮に影響があったとすれば、それは警備側の解釈の誤りの問題であり、その責任を札幌地裁の判決や当時ヤジを飛ばした市民に帰すことはできない。そのため、札幌地裁の判決によって警備に支障が出たかのような主張は合理的な解釈を逸脱する印象を与える主張であり、牽強付会であると評価できる。

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