表現の自由にまつわる言説の事実関係を検証しています。

要旨

 『反トランス本で本屋が焚書した』とする主張は事実に反し牽強付会である。

発言

荻野稔/大田区議(無所属)*1

 「トランスジェンダーになりたい少女たち」に嫌がらせの帯をつける書店が現れる https://togetter.com/li/2343023 #Togetter
 @togetter_jp より
 焚書する本屋とは…書店は思想教育や活動家の為のものではないのだけどな。
 蒼き清浄なる世界でも作りたいのかな

評価

 事実関係:事実に反する
 解釈表現:牽強付会

背景

 『トランスジェンダーになりたい少女たち SNS・学校・医療が煽る流行の悲劇』はアメリカで出版されたアビゲイル・シュライアーによる書籍である。トランスジェンダーの家族を取材し現在の社会的潮流を批判するものだとされているが、一方で科学的知見の解釈が間違っており、トランスジェンダーの家族には取材しているが当事者には取材できていないといった批判もなされている*2
 邦訳をKADOKAWAが出版予定だったが、批判を受け2023年12月5日に出版を中止している*3。その後、産経新聞出版が出版した*4
 なお、本書の邦題は、産経新聞出版の出版以前は『あの子もトランスジェンダーになった SNSで伝染する性転換ブームの悲劇』と訳されることも多い。

 荻野が言及しているツイートは、ある書店において当該書籍に書店員の手によって作成されたと思われる帯が付けられていると批判的な文脈で主張している*5。帯は書籍がKADOKAWAからの刊行が中止になった経緯や内容に批判があることを指摘する内容だった。

評価の根拠

事実関係:事実に反する

 焚書は字義通りに解釈すれば書籍を燃やすことであり、レトリックとしては書籍の内容が人の目に触れないように何らかの対処を行うことである。しかし、当該のツイートは書籍が販売されていたことを指摘しており、書店の行為が事実だったとしても焚書と言えるものではない。よって、『反トランス本で本屋が焚書した』とする主張は事実に反すると評価できる。

解釈表現:牽強付会

 書籍に自家製の帯を付ける販売方法には批判もあり得る。しかし、書籍の販売方法や宣伝方法は書店に裁量がある。また、焚書という表現は完全に書籍を読めない状態にする意味合いのほか、暴力的なニュアンスを含むものだが、オリジナルの帯を付けることはそのどちらでもない。よって、『反トランス本で本屋が焚書した』とする主張は牽強付会だと評価できる。
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