表現の自由にまつわる言説の事実関係を検証しています。

要旨

 『KADOKAWAが批判で出版をキャンセルさせられたのは表現の自由に反する』とする主張は牽強付会である。

発言

矢口やすゆき/杉並区議(自由民主党)*1

  元KADOKAWAの人間として、抗議に屈する非常に残念な判断と言わざるを得ません。現場の編集チームは、国内のジェンダー議論を深めるきっかけにするため、社会に一石を投じる決意で編集していたことでしょう。かつてKADOKAWA(当時は角川書店)は東京都青少年の健全な育成に関する条例改定案の可決に反対し、大手出版社(コミック10社会)の先頭に立って作家の表現の自由や出版界の自主的な努力を守るため東京都と対峙しました。KADOKAWA及び各出版社の皆様には言論弾圧や抗議活動に負けず出版人としての矜持を持ち、日本国憲法第二十一条が保障する「言論、出版その他一切の表現の自由」を貫き通して頂くことを期待します。

荻野稔/大田区議(無所属)*2

 中身の問題じゃないんだ。民間の力で出版停止、キャンセルに追い込んだ。その事実が重い。今まで著名人の講演が左右関係なく中止させられて来たたように、同じことが起きるぞ。
 人は同じ過ちを繰り返す。全く。

評価

 解釈表現:牽強付会

背景

 2023年12月上旬、KADOKAWAが『あの子もトランスジェンダーになった SNSで伝染する性転換ブームの悲劇』の出版を告知、宣伝を行った。宣伝を行ったSNS投稿ではトランスジェンダーが伝染するといった表現や、米国の大学生の40%がトランスジェンダーであるという主張が用いられていた。*3
 こうした本の出版に対し、批判や抗議が行われた*4。12月5日、KADOKAWAは本書の刊行を中止すると告知した*5

評価の根拠

解釈表現:牽強付会

 上掲の発言はいずれも、本書の出版中止が表現の自由に反していると主張している。一般に、何らかの行為が表現の自由に反すると主張される場合、その行為が権力による規制であったり、暴力的・反社会的な手段によるものであることが想定される。
 現状、KADOKAWAに対する批判は遵法的かつ穏当なものしか確認できない。また、本書の刊行中止に関しても、KADOKAWAの意思決定を妨げる強制力や暴力的な言動は確認されておらず、発言者も証拠を示せていない。
 表現の自由には書籍を出版する自由も、書籍を批判する自由も含まれる。
 これらのことから、本書の出版中止について『KADOKAWAが批判で出版をキャンセルさせられたのは表現の自由に反する』とする主張は牽強付会である。

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