最終更新:
hitoshinka 2021年06月20日(日) 12:09:00履歴
フルタイトルは『医師が教える新型コロナワクチンの正体本当は怖くない新型コロナウイルスと本当に怖い新型コロナワクチン』。内海聡著。

著者は本人のツイッタープロフィールによると「Tokyo DD Clinic院長。NPO法人薬害研究センター理事長。うつみんのセレクトショップのショップ主。著書「精神科は今日も、やりたい放題」「医学不要論」「医者いらずの食」「99%の人が知らないこの世界の秘密」など多数。日本一有名かつ悪名高い医者、よくいえば業界反逆児。」
著者はほかに『ワクチン不要論』『医学不要論』『99%の人が知らないこの世界の秘密 <彼ら>にだまされるな!』『医者に頼らなくてもがんは消える~内科医の私ががんにかかったときに実践する根本療法』といった「いかにも」な題名の本を数多く出している。反ワクチン・陰謀論に深くのめり込んだ、いわば「教祖」的な人物である。
(ちなみに著者が医者であることはその本が【トンデモ本】でないことの何の保証にもならない。)
本書は著者の紹介する新聞広告によると、発売10日後に4冊8万部、Amazonのランキングで本総合1位を獲得している。


しかし現在はAmazonでは取り扱いを停止させられている。
その原因はツイッター上で医師を名乗るsekkaiという人物が「Amazon本社に訴えて取り扱いをやめさせた」からだという。

このツイートには絶賛もあるとともに、多くの批判の声もまた集まっている。
確かに反ワクチンという信念は、決して無害ではない。
2021年6月、新型コロナワクチンの接種に反対する反ワクチン派の人々が、京都府伊根町や愛知県小牧市などの接種をおこなう自治体に大量電凸攻撃を掛け、大きな迷惑を掛けているのは記憶に新しい、いや現在進行形の事態であるともいえる。
しかしそれでも、有害と考えられる(疑似)科学的信念やトンデモ説を規制するべきではないのである。
百歩譲って規制を認めるべき場合があるとすれば、これらの本がワクチン接種の物理的妨害のような違法行為を直接に煽動している場合であろう。
なぜいけないのか?
1つには、その著書・著者を「弾圧のヒーロー」にしてしまうから。
志水一夫氏はイマニュエル・ヴェリコフスキーの著書『衝突する宇宙』という疑似科学書を例にあげて、弾圧がかえってその本と著者を「弾圧のヒーロー」に祭り上げてしまったという失敗例を挙げ、疑似科学に反論ではなく弾圧を加えることの愚かさを説いている。
もう1つは、人々がその誤った説とその批判の双方に触れ、こうしたトンデモに対して免疫を得る機会を逸させることになりかねないからである。
疑似科学者やカルト宗教などによって流布される誤った信念は、彼らの自前の組織や口コミによって、結局は伝わってしまう。彼らの説を初めて聞く人は、「すでに聞いたことがあり、なおかつそれを間違っていると知っている」人よりもはるかにその誤った説を信じてしまいやすいだろう。
最後に、弾圧された方の見解が正しく、多くの正統な医学者が信じる見解が間違っていて、実は大勢の人を死に追いやっていたという可能性も、やはりあるからである。
その実例が、今まさにコロナウイルス蔓延防止に大きな力を発揮している手洗いの励行である。
19世紀ドイツの医師ゼンメルワイスは、赤ん坊を生んだばかりの母親が多く罹る産褥熱の研究をした人物である。
彼は医師や医学生が赤ん坊を取り上げたときの方が、女性助産婦が取り上げたときよりも遥かに産褥熱のリスクが高いことに気付いた。
そして、彼らが死体解剖に携わっており、その死体から病気の原因となる何か(病原菌という考えは当時まだ一般に認められていなかった)を移してしまっているという説を唱え、手洗いでそれを除去できることまで突き止めたのだ。
しかし「お前たちが病気を振り撒いている」と言われたに等しい医学界は、この説を受け入れるどころかゼンメルワイスを激しくバッシングした。結果として、彼は失意のうちに1865年、精神病院で47歳の若さで死を迎えることとなった。
その後、彼の手洗い説は周知のように認められ「母親たちの救い主」とまで称えられている。
このような事例は実際にあるのだ。
たとえその確率が非常に低いものだったとしても、である。
なお出版社はAmazonに問い合わせを行った回答を受け、次のとおり発表をしている。

著者は本人のツイッタープロフィールによると「Tokyo DD Clinic院長。NPO法人薬害研究センター理事長。うつみんのセレクトショップのショップ主。著書「精神科は今日も、やりたい放題」「医学不要論」「医者いらずの食」「99%の人が知らないこの世界の秘密」など多数。日本一有名かつ悪名高い医者、よくいえば業界反逆児。」
著者はほかに『ワクチン不要論』『医学不要論』『99%の人が知らないこの世界の秘密 <彼ら>にだまされるな!』『医者に頼らなくてもがんは消える~内科医の私ががんにかかったときに実践する根本療法』といった「いかにも」な題名の本を数多く出している。反ワクチン・陰謀論に深くのめり込んだ、いわば「教祖」的な人物である。
(ちなみに著者が医者であることはその本が【トンデモ本】でないことの何の保証にもならない。)
本書は著者の紹介する新聞広告によると、発売10日後に4冊8万部、Amazonのランキングで本総合1位を獲得している。


しかし現在はAmazonでは取り扱いを停止させられている。
その原因はツイッター上で医師を名乗るsekkaiという人物が「Amazon本社に訴えて取り扱いをやめさせた」からだという。

このツイートには絶賛もあるとともに、多くの批判の声もまた集まっている。
確かに反ワクチンという信念は、決して無害ではない。
2021年6月、新型コロナワクチンの接種に反対する反ワクチン派の人々が、京都府伊根町や愛知県小牧市などの接種をおこなう自治体に大量電凸攻撃を掛け、大きな迷惑を掛けているのは記憶に新しい、いや現在進行形の事態であるともいえる。
しかしそれでも、有害と考えられる(疑似)科学的信念やトンデモ説を規制するべきではないのである。
百歩譲って規制を認めるべき場合があるとすれば、これらの本がワクチン接種の物理的妨害のような違法行為を直接に煽動している場合であろう。
なぜいけないのか?
1つには、その著書・著者を「弾圧のヒーロー」にしてしまうから。
志水一夫氏はイマニュエル・ヴェリコフスキーの著書『衝突する宇宙』という疑似科学書を例にあげて、弾圧がかえってその本と著者を「弾圧のヒーロー」に祭り上げてしまったという失敗例を挙げ、疑似科学に反論ではなく弾圧を加えることの愚かさを説いている。
もう1つは、人々がその誤った説とその批判の双方に触れ、こうしたトンデモに対して免疫を得る機会を逸させることになりかねないからである。
疑似科学者やカルト宗教などによって流布される誤った信念は、彼らの自前の組織や口コミによって、結局は伝わってしまう。彼らの説を初めて聞く人は、「すでに聞いたことがあり、なおかつそれを間違っていると知っている」人よりもはるかにその誤った説を信じてしまいやすいだろう。
最後に、弾圧された方の見解が正しく、多くの正統な医学者が信じる見解が間違っていて、実は大勢の人を死に追いやっていたという可能性も、やはりあるからである。
その実例が、今まさにコロナウイルス蔓延防止に大きな力を発揮している手洗いの励行である。
19世紀ドイツの医師ゼンメルワイスは、赤ん坊を生んだばかりの母親が多く罹る産褥熱の研究をした人物である。
彼は医師や医学生が赤ん坊を取り上げたときの方が、女性助産婦が取り上げたときよりも遥かに産褥熱のリスクが高いことに気付いた。
そして、彼らが死体解剖に携わっており、その死体から病気の原因となる何か(病原菌という考えは当時まだ一般に認められていなかった)を移してしまっているという説を唱え、手洗いでそれを除去できることまで突き止めたのだ。
しかし「お前たちが病気を振り撒いている」と言われたに等しい医学界は、この説を受け入れるどころかゼンメルワイスを激しくバッシングした。結果として、彼は失意のうちに1865年、精神病院で47歳の若さで死を迎えることとなった。
その後、彼の手洗い説は周知のように認められ「母親たちの救い主」とまで称えられている。
このような事例は実際にあるのだ。
たとえその確率が非常に低いものだったとしても、である。
なお出版社はAmazonに問い合わせを行った回答を受け、次のとおり発表をしている。

コメントをかく