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hitoshinka 2021年07月16日(金) 20:33:28履歴
報道機関がその報道内容の前提となる事実を取材する際、取材対象者から自己が情報源であることを伏せることを条件にされ応じる、ということがある。
この約束を報道機関が守ることができなければ、取材対象者は報道機関を信頼して取材に応じることができず【取材の自由】ひいては【報道の自由】を脅かし、さらには国民の【知る権利】を実質的な保障が脅かされることにもなりかねない。
特に問題になるのは、裁判で報道関係者が証言を要求された場合、取材源秘匿の自由をもとに証言拒絶権が認められるかどうかである。
刑事訴訟法では次のように規定されている。
この条文では証言拒絶権を持つのは「医師、歯科医師、助産師、看護師、弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、弁理士、公証人、宗教の職に在る者又はこれらの職に在つた者」であり、報道・マスコミ関係者は含まれない。
判例も【石井記者証言拒否事件】の最高裁判決で、これらを「限定的列挙であつて、これを他の場合に類推適用すべきものでないことは勿論である」と述べ、さらに
一方、民事訴訟法は、
実際に判例でも「嘱託証人尋問証言拒否事件」でNHK報道記者が証言拒絶権を認められている。
ただし無条件にではなく、保護に値する秘密かどうかは「公表によって生ずる不利益と証言の拒絶によって犠牲になる真実発見及び裁判の公正との比較衡量」で決定されるとした。
参考リンク・資料:
芦部信喜『憲法 第七版』岩波書店
刑事訴訟法
民事訴訟法
この約束を報道機関が守ることができなければ、取材対象者は報道機関を信頼して取材に応じることができず【取材の自由】ひいては【報道の自由】を脅かし、さらには国民の【知る権利】を実質的な保障が脅かされることにもなりかねない。
特に問題になるのは、裁判で報道関係者が証言を要求された場合、取材源秘匿の自由をもとに証言拒絶権が認められるかどうかである。
刑事訴訟法では次のように規定されている。
第百四十九条 医師、歯科医師、助産師、看護師、弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、弁理士、公証人、宗教の職に在る者又はこれらの職に在つた者は、業務上委託を受けたため知り得た事実で他人の秘密に関するものについては、証言を拒むことができる。但し、本人が承諾した場合、証言の拒絶が被告人のためのみにする権利の濫用と認められる場合(被告人が本人である場合を除く。)その他裁判所の規則で定める事由がある場合は、この限りでない。
この条文では証言拒絶権を持つのは「医師、歯科医師、助産師、看護師、弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、弁理士、公証人、宗教の職に在る者又はこれらの職に在つた者」であり、報道・マスコミ関係者は含まれない。
判例も【石井記者証言拒否事件】の最高裁判決で、これらを「限定的列挙であつて、これを他の場合に類推適用すべきものでないことは勿論である」と述べ、さらに
憲法の右規定の保障は、公の福祉に反しない限り、いいたいことはいわせなければならないということである。未だいいたいことの内容も定まらず、これからその内容を作り出すための取材に関しその取材源について、公の福祉のため最も重大な司法権の公正な発動につき必要欠くべからざる証言の義務をも犠牲にして、証言拒絶の権利までも保障したものとは到底解することができない。として、新聞記者の証言拒絶権を否定している。
一方、民事訴訟法は、
となっており、1項2号が刑事訴訟法とほぼ同じ規定になっているが、第3号の「技術または職業の秘密」という事項を設けて、より広く証言拒絶権が認められている。第百九十七条 次に掲げる場合には、証人は、証言を拒むことができる。一 第百九十一条第一項(筆者注:公務員)の場合二 医師、歯科医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、弁理士、弁護人、公証人、宗教、祈祷とう若しくは祭祀しの職にある者又はこれらの職にあった者が職務上知り得た事実で黙秘すべきものについて尋問を受ける場合三 技術又は職業の秘密に関する事項について尋問を受ける場合2 前項の規定は、証人が黙秘の義務を免除された場合には、適用しない。
実際に判例でも「嘱託証人尋問証言拒否事件」でNHK報道記者が証言拒絶権を認められている。
ただし無条件にではなく、保護に値する秘密かどうかは「公表によって生ずる不利益と証言の拒絶によって犠牲になる真実発見及び裁判の公正との比較衡量」で決定されるとした。
参考リンク・資料:
芦部信喜『憲法 第七版』岩波書店
刑事訴訟法
民事訴訟法
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