『Ceonsoyclopedlia』は、Censor(検閲)にまつわるEncyclopedlia(百科事典)です。旧称『表現規制用語集』。民主主義社会の根幹をなす最重要の「人権」である表現の自由――その規制・弾圧・バッシングにまつわる事例や用語について、あらゆる知識を保存伝達するためのサイトです。

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 いわゆる【アクセス権】についての有名判例のひとつ。
『生活ほっとモーニング』はNHK総合テレビの番組で、1996年6月「妻からの離縁状・突然の別れに戸惑う夫たち」というテーマで離婚について特集した。
 本件原告はこの番組に登場した男性の妻であった女性である。
 男性は番組内で「結婚21年目にして突然離婚を言い出され、現在(離婚から4年後)に至っても理由が分からない」と言っているが、NHKは離婚問題の一方当事者にすぎない夫のみに対する取材をもとにしたものであるとし、訂正放送と損害賠償を求め提訴した。
 第一審、東京地裁は請求棄却。第二審は離婚原因事実は男性側が家庭を省みなかったことにあるとして請求を認容し、放送法第四条1項(現在では同趣旨の規定は第九条にある)に基づき訂正放送を命じた。
(訂正放送等)
第九条 放送事業者が真実でない事項の放送をしたという理由によつて、その放送により権利の侵害を受けた本人又はその直接関係人から、放送のあつた日から三箇月以内に請求があつたときは、放送事業者は、遅滞なくその放送をした事項が真実でないかどうかを調査して、その真実でないことが判明したときは、判明した日から二日以内に、その放送をした放送設備と同等の放送設備により、相当の方法で、訂正又は取消しの放送をしなければならない。
2 放送事業者がその放送について真実でない事項を発見したときも、前項と同様とする。
3 前二項の規定は、民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定による損害賠償の請求を妨げるものではない。

 しかし最高裁は、他からの関与を排除して表現の自由を保障する放送法の理念から、この規定は「自律的に訂正放送等を行うことを国民全体に対する公法上の義務として定めたものであって,被害者に対して訂正放送等を求める私法上の請求権を付与する趣旨の規定ではない」として、訂正放送については原審を破棄した(名誉毀損・損害賠償については上告棄却、原告勝訴)。

 なおNHKは本判決(2004年11月25日)の翌日、『生活ほっとモーニング』の時間帯に本件の訂正・謝罪を行っている。


参考リンク・資料:
裁判所ホームページ 最高裁判所判例集
「訂正放送は放送局の自律的な義務」 最高裁が初の判断

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