ゲヌマ・フジガヤ2(fujigaya2) blogのまとめ - 昇圧ポイントデコーダ

概要

 Tomixのポイントは転換動作にそれなりの電圧(12V?)とそれなりの電流(1A以上?)が必要なようで、12V DCCで駆動しようとすると、DCCを直流化した10.5V程度での動作では、うまく転換しないことが多い。N-PX280(F)を自動運転に組み込んだ時に、この問題が再発した。
 これを解決するために、DCC電源の電圧の昇圧(最大24V)、大電流(最大4A程度)流せるようにしたポイントデコーダを製作した。

特徴

・トミックス専用で2.54mmピンヘッダ採用。ポイント用のコネクタをそのまま挿せる。
・DCC Inはデイジーチェーン接続するように2口設けている。こっちも2.54mmピンヘッダ。
・ポイントOutは2系統用意して、1系統でトミックスのダブルクロス N-PX280(F)を駆動できるよう各2口ずつ端子を設ける。
・電圧はDCC In〜24VまでCV値で設定できる。
・ポイントの2系統のアドレスは連続値である。
・ポイントの2系統は同時切り替えと単独切り替えができるようCV値で設定できる。
・ポイントの通電時間をCV値で設定できる。
・ATMEGA328P-PUのArduinoUno相当のスケッチを使っているので、自分で制御のカスタマイズが可能。
・NmraDCCライブラリ使用。
・安全回路はTB6643KQに内蔵。(それ以外のモードでは保証できない)
・生ATMEGA328P-PUの書き込みにはツールが必要(スマイルライターなど)。
・Boot Loader付きのATMEGA328P-PUへのプログラムの書き込みにはツールが必要(FTDI USB・シリアル変換ケーブル(5V)など)

現状わかっている問題

路図を一部ミスっており、TB6643KQにパスコンをつけ忘れている。付けるには基板裏への空中配線が必要である。付けなかった場合、「サージが大量に出て、コンデンサの故障や、ノイズの発生要因になります。電解コンだけでは、サージを防ぐのは非常に難しいです。」とのこと。 →基板改版してC6,C7に1uFのコンデンサを付ける。
シルクをミスっており、D1(ブリッジダイオード)の交流マーク”〜”と直流マーク”+、−”はあっているが、ICの向きシルクが逆になっている。正しい方向は回路写真を参照のこと。 → 基板改版でシルク直した。
・Digitrax系コントローラではCV値を書き込めない不具合があります。(ラスカル様、ご報告ありがとうございます)→K92で解消(Kato D101)。
・DSMainR4では突入電流のため、2個以上接続で起動しない。何回かOn/Offさせると、コンデンサに電荷が溜まるためか起動するようになるが、使い方としてどうかとも思う。DSmainR5では問題なし。

頒布について

 基板のみ頒布いたします(部品、書き込みツールは秋月電子などで別途お買い求めください)。お名前・住所・個数を明記の上、下記メールアドレスまでご連絡ください。
 折り返し、振込先口座(三菱東京UFJ)をご連絡いたします。

昇圧ポイントデコーダ基板:1枚 300円 (頒布終了しました)
送料(普通郵便):200円
支払い方法:銀行振り込み(振込手数料はご負担お願いします)
連絡先:

・本記事、本基板 起因の問題がありましても私(fujigaya2)は一切責任を負いません。自己責任でお使いください。

技術的ご質問について

・技術的なご質問は、デジタル鉄道模型フォーラム 又は

までどうぞ。

参考ページについて

・昇圧の実績/アイディアについては、名古屋電鉄様のBlog記事を参考にしている。
・本家トミックスでも昇圧電源を発売するとのこと。つまり24Vは OKってこと?
・アクセサリデコーダスケッチについては、Yaasan様のDSdecのアクセサリデコーダをベースに改造している。
・ポイントデコーダのドライブ回路については、ぬっきぃ様のポイント用アクセサリデコーダ(FPM Decoder2)を参考にしている。
・DCC読み込みとATMega328P部分の回路については、Yaasan様のDSdecデコーダ開発ボードを参考にしている。
・昇圧部分の回路、スケッチについてはYaasan様のワンコイン(100円)な昇圧回路をそのまま使用している。
・ポイント昇圧アイディア、実験の記事として、あやのすけ様のチャージポンプ、スマイラー様の「ポイント用デコーダ2」を昇圧仕様に。を参考にしている。
・私のBlogでは、製作途中の試行錯誤として、リレーバージョンの回路や、ドライバ違い、電圧振りの実験をしている。参考にどうぞ。
ポイントデコーダーを作りつつ放置。
N-PX280(F)動作のため24V昇圧実験
トミックス向けポイントデコーダー。その1
トミックス向けポイントデコーダー。その2
トミックス向けポイントデコーダー。その3
トミックス向けポイントデコーダー。その4
トミックス向けポイントデコーダー。その5


スケッチ、初期調整、CV値

 最新スケッチはこちら(K92)。Digitrax(D101)で動作を確認した。
 過去スケッチはこちら(K6)
 コンパイルにはNMRA DCC Library 2014-10-15 が必要で、Yaasan様のDSdecページよりダウンロード可能。

生ATMega328P-PUを買った場合のブートローダの入れ方

注意1)ブートローダ付きを買った場合はこの項目は不要
注意2)ArduinoIDEは1.6.6での説明になる。
 デコーダ開発ボードとスマイルライターを用意する。(またはネット上のブートローダの書き込みを参考にしてください。)
・あらかじめスマイルライターはArduino as ISPのスケッチを入れておく。最後のSetup software for smile writer辺りの説明です。(なんで説明が英語なんだろう)
・デコーダ開発ボードに生ATMega328P-PUを挿しスマイルコネクタにSmileWriterを挿しておく。
・PCにUSBで接続し、ツール→シリアルポートでCOM番号を合わせておく。
・ツール→マイコンボードで"Arduino/Genuino Uno"を選ぶ。
・ツール→書き込み装置で"Arduino as ISP"を選ぶ。
・ツール→ブートローダを書き込むを選ぶと、書き込みを開始するがエラーで終了する。
・めげずにもう一度、ツール→ブートローダを書き込むを選ぶと、書き込みを開始し今度は正常終了する。

スケッチの書き込み

(デコーダ開発ボードでやっても、デコーダ基板でやってもOKです)
・ツール→スケッチの書き込みは、"Arduino/Genuino Uno"を選ぶ。
・ブートローダ付きATMega328P-PUを挿した後、FTDI USB・シリアル変換ケーブル(5V)などで接続して、スケッチ→マイコンボードに書き込む から書き込む。1ピンが黒色である。

初期調整について

・始め、DCC Inはつながない。
・ArduinoIDEのシリアルを115200bps設定にして昇圧ポイントデコーダ基板とつなぐ。
・動作LEDが点灯する。
・シリアルモニタを見て、スケッチが動いていることを確認する。(すごい勢いでモニタ電圧の値が出てくる)
・シリアル端子を外す。
(注意)デコーダにシリアルをつなぎっぱなしでDirectモードでCV値変更をすると、ダイレクトモードは電源のOff/OnでCV値の書き換えがされるのに、シリアルの5V供給のためデコーダがOff/Onされず、値が書き込まれまない。
・DCC Inをつなぐ。
(注意)DSmain,ポイントデコーダ側のUSBをともに同じPCにつないで電源回り込みを起こすと最悪の場合マイコンやPCを壊すのでどちらか一方だけ繋ぐように気を付けること
・以下、DirectモードでCV書き込みを行う。
・CV8,1を入れて、デコーダをリセットする。
・アドレスを設定する。下位はCV1、上位はCV9なので、とりあえずアドレス5とするなら、CV1,5、CV9,0とする。Ch1、Ch2は連続アドレスなので、Ch1はアドレス5、Ch2はアドレス6になる。
・CV33で動作モードを設定する。0:Ch1,Ch2の個別動作、1:Ch1,Ch2一括動作
・CV34で出力電圧の設定をする。単位[100mV]。20V設定するには200を書く。
・CV35で動作時間の設定をする・単位[10ms]。50msとするには5を書く。
・DCC Outをつないで、動作確認をする。
・動作LEDの見方だが、通常は点灯、ポイント切り替えの電流を流している最中は消灯、一連の動作が終わったら、ポイント切り替え開始から500ms後にもう一度50msだけ消灯、と点く。つまり、一回ポインとを切り替えると2回ちょっとだけ消灯する。
・ポイント切り替えシーケンス中(上記の2回目の一瞬の消灯まで)の命令は受け付けない。

改造について

電圧について
・設定値が24V以上にならないようにリミッタをかけているが、スケッチを変えたり、Arduinoに入れる分圧抵抗比(R8,R9)を変えることで、もっと電圧を高くすることも可能。
TB6643KQを使用しているが、安く作りたいなら、ほぼピンコンパチのTA8428Kも使用可能。ただし、最大電源電圧に注意。TB6643KQは50VだがTA8428Kは30V。

CV値について

CV意味値の範囲説明
1アドレス0-255アドレスの下位8ビット。ロングアドレスも使えると思うが、試したことはない。Ch1、Ch2は連続アドレスになる。例えば5を設定したら、アドレス5,6に反応する。
8リセット1?,8?デコーダのCV値をリセットするが、リセットでおかしな値になる(すべてFFになる)
9アドレス0-255アドレスの上位8ビット。0以外入れたことがない。
33CV_ACCESSORY_OPERATION_TYPE0-1動作モード 0:Ch1,Ch2の個別動作 1:Ch1,Ch2の同時動作
34CV_ACCESSORY_OUTPUT_VOLTAGE_100MV0-240出力電圧、[100mV]単位。最高24[V]、20[V]でダブルクロスなどは動作していた。
35CV_ACCESSORY_OPERATION_TIME_10MS0-50通電時間、[10ms]単位。最高500[ms]、50[ms]通電でダブルクロスは動作していた。

ロングアドレスの例)CV1:3,CV9:1とするとアドレス:259 (=1*256+3)となります。

工作方法

 以下の写真のように実装する。

(画像クリックで大きくなる)

注意点として、
・D1(ブリッジダイオード)のICシルクの向きが逆である。写真の向きが正しい。(シルク内の交流マーク”〜”と直流マーク”+、−”は正しい。)
→基板改版でシルク直しました。
・背の低い部品からはんだ付けする。
・ICSP端子は用意していないのでATMega328P-PUはソケットを介してつけたほうがいろいろと安全。
・LED、ダイオード、IC、電解コンデンサは方向があるので間違いないように気を付ける。
・コンデンサの見分け方0.1uFは104、1uFは105の刻印がある。
・足が多い部品については、まず端の足だけ仮に基板とはんだ付けし、その後、部品を押し付けながらはんだ付けしなおすなどで、部品が浮かないようにする。
・Q1,IC2,IC3は放熱板がついている。通常使用ではほとんど熱くならないが、ほかの部品に接触しないようにしておく。
IC2,IC3の裏側の4pin,7pinにパスコン1uF(50V)を付ける。→基板改版しました。C6,C7に1uFのコンデンサを付けてください。
下記画像は改版前の基板の場合のコンデンサ改造写真。

(画像クリックで大きくなる)

外観、入出力端子

大きさ

・昇圧ポイントデコーダ基板の大きさ W * D = 5cm * 5cm。

入出力端子

端子名記号番号説明
DCC InCN1,CN22つあるのはデイジーチェーン用に便利だから。
ポイント出力 Ch1CN3,CN4トミックスのポイントのコネクタがそのまま挿せる。
ポイント出力 Ch2CN5,CN6トミックスのポイントのコネクタがそのまま挿せる。
DEBUG/BOOSTER端子CN7スケッチの書き込み、書き換えの時に、FTDI USB・シリアル変換ケーブル(5V)を使用して書き換える、1ピンはCN7の刻印がある側。

回路図

(以下の回路図にはIC2,IC3向けのパスコン C6,C7が抜けていることに注意)
回路図、アートワークの生データはこちら

アートワーク

部品表

通販番号は秋月電子での番号。
記号数値単価個数通販コード品名備考
C1,2,50.1uF103P-00090絶縁ラジアルリード型積層セラミックコンデンサー0.1μF50V2.54mm(10個入)*1
C32200uF,35V501P-05752電解コンデンサ 2200μF35V105℃(日本ケミコンLXJ)
C447uF101P-03120電解コンデンサー47μF35V85℃(ルビコンPK)
CN1,2RAILIN351C-00167ピンヘッダ 1×40 (40P)
CN3,4,5,6PointOutC-00167
CN7DEBUG/BOOSTERC-00167
D1SDI2100351I-06320ショットキーバリアダイオードブリッジ(100V2A) SDI2100
D21N414821I-00941汎用小信号高速スイッチング・ダイオード 1N4148 100V200mA(50本入)*1
D3LED_RUN41I-006245mm赤色LED OSDR5113A(100個入)*1
D4,51N400752I-00934汎用整流用ダイオード 1000V1A 1N4007(20本入)*1
IC1ATMEGA328(DIP)2501I-03142AVRマイコン ATMEGA328P−PU
IC2,3TB6643KQ2502I-07688モータードライバー TB6643KQ
IC4NJM78L05201I-09173三端子レギュレーター 5V100mA NJM78L05L2A
L1100uH,2A501P-02621インダクター(100μH2A)LHL13NB101K
Q12SK4017301I-07597NchパワーMOSFET 2SK4017(Q) (60V5A)
R1,2,7,947k14R-25473カーボン抵抗(炭素皮膜抵抗) 1/4W 47kΩ (100本入)*1
R36.8k11R-25682カーボン抵抗(炭素皮膜抵抗) 1/4W 6.8kΩ (100本入)*1
R51.2k11R-25122カーボン抵抗(炭素皮膜抵抗) 1/4W 1.2kΩ (100本入)*1
R622Ω11R-03821カーボン抵抗(炭素皮膜抵抗) 1/4W 22Ω (100本入)*1
R8270k11R-04159カーボン抵抗(炭素皮膜抵抗) 1/4W 270kΩ(赤紫黄金)(100本入)*1
X116MHz351P-00525セラミック発振子(セラロック)コンデンサ内蔵タイプ 16MHz
28ピンソケット201P-00013ICソケット (28P) スリム300milタイプ (10個入)*1
C パスコン C6,C71uF102P-05105積層セラミックコンデンサー1μF50V±10%
計 1114円
 *1 複数個入りのため、実際はこの価格では買えないことに注意。
Cパスコンの誤記修正(1uFが正しいです。M様ご指摘ありがとうございます)