ゲヌマ・フジガヤ2(fujigaya2) blogのまとめ - 据え置き型動力車用デコーダ

概要

 単線すれ違いの自動運転時では、複数列車が単一区間に入るわけではないため、あまりDCCの恩恵がないので、以前からデバッグ用(DSDecR1,デコーダ開発ボード)で何回か使用はしている据え置き型動力車用デコーダを昇圧ポイントデコーダ基板で作ってみた。
 Yaasan様WifiからDesktopStationを操作するソフトを開発したこともあり、組み合わせると、Tomixのワイヤレスパワーユニットのようなこともできるので、これは楽しそうだと思ったことも動機である。
 なお、基本的な図面やピン配置はSmileDecoder(DSdecR3)と一緒なので、このスケッチをスマイルデコーダーに繋いでも使えると思われる。(試していない)

特徴

・DCC Inはデイジーチェーン接続するように2口設けている。2.54mmピンヘッダ。
・アナログのOut電圧はブリッジダイオードの出口のため、10.6V程度である(DSmainR5の電源電圧が12Vの場合)。アナログ程スピードが出ない。
・スケッチはVVVFのK98をベースに常点灯っぽくした。なお、トミックスの常点灯対応の電車を持っていないので、常点灯にちゃんとなっているかというと自信がない。Modemoでは、常点灯では”仕様”らしいヘッドライト、テールライトともに点灯しながら走るという状態になっている。ただし、低速から明るい。
・VVVFスケッチなので、モーター音を出せる。(音が出ないスケッチは作っていない。Yaasan様のもともとのLocomotive decoder sketchをいじれば作ることは可能。)
・停車時の常点灯はF0ファンクションでOn/Off可能。
・常点灯の強さはCV49(0〜255)で調整可能。(今回は85としている)
・モーター制御の基本機能は、CV2,CV3,C4,CV5で始動電圧、加速度、減速度、最高電圧を調整可能。
・DCCをデイジーチェーン接続することで、安価にアナログ環境を無線を増やすことが可能。
・ATMEGA328P-PUのArduinoUno相当のスケッチを使っているので、自分で制御のカスタマイズが可能。
・NmraDCCライブラリ使用。
・安全回路はTB6643KQ(TA8428K)に内蔵。(それ以外のモードでは保証できない)
・生ATMEGA328P-PUの書き込みにはツールが必要(スマイルライターなど)。
・Boot Loader付きのATMEGA328P-PUへのプログラムの書き込みにはツールが必要(FTDI USB・シリアル変換ケーブル(5V)など)

現状わかっている問題

・回路は昇圧ポイントデコーダのものを使用しているため、シルクと実装するものが一致しないので、気を付けること。
シルクをミスっており、D1(ブリッジダイオード)の交流マーク”〜”と直流マーク”+、−”はあっているが、ICの向きシルクが逆になっている。正しい方向は回路写真を参照のこと。→基板改版でシルク直しました。
・DSMainR4では突入電流のため、2個以上接続で起動しない。何回かOn/Offさせると、コンデンサに電荷が溜まるためか起動するようになるが、使い方としてどうかとも思う。DSmainR5では問題なし。

頒布について

 基板は昇圧ポイントデコーダの基板ですので、昇圧ポイントデコーダページをご覧ください。

技術的ご質問について

・技術的なご質問は、デジタル鉄道模型フォーラム 又は

までどうぞ。

参考ページについて

スケッチ、初期調整、CV値

 最新スケッチ。
P_K99
 コンパイルには、下記ライブラリが必要である。
  1. NmraDcc.h・・・DCC制御
  2. TimerOne.h・・・VVVF音
  3. PWMDAC_Synth.h・・・Melody用(バージョンが最新だとコンパイルエラーになるとのこと。バージョンは、d123648を使用してください)
Arduinoでのライブラリ登録方法についてについては、 が参考になります。

生ATMega328P-PUを買った場合のブートローダの入れ方

注意1)ブートローダ付きを買った場合はこの項目は不要
注意2)ArduinoIDEは1.6.6での説明になる。
 デコーダ開発ボードとスマイルライターを用意する。(またはネット上のブートローダの書き込みを参考にしてください。)
・あらかじめスマイルライターはArduino as ISPのスケッチを入れておく。最後のSetup software for smile writer辺りの説明です。(なんで説明が英語なんだろう)
・デコーダ開発ボードに生ATMega328P-PUを挿しスマイルコネクタにSmileWriterを挿しておく。
・PCにUSBで接続し、ツール→シリアルポートでCOM番号を合わせておく。
・ツール→マイコンボードで"Arduino/Genuino Uno"を選ぶ。
・ツール→書き込み装置で"Arduino as ISP"を選ぶ。
・ツール→ブートローダを書き込むを選ぶと、書き込みを開始するがエラーで終了する。
・めげずにもう一度、ツール→ブートローダを書き込むを選ぶと、書き込みを開始し今度は正常終了する。

スケッチの書き込み

(デコーダ開発ボードでやっても、デコーダ基板でやってもOKです)
・ツール→スケッチの書き込みは、"Arduino/Genuino Uno"を選ぶ。
・ブートローダ付きATMega328P-PUを挿した後、FTDI USB・シリアル変換ケーブル(5V)などで接続して、スケッチ→マイコンボードに書き込む から書き込む。1ピンが黒色である。

初期調整について

・AnalogOut(CN5,CN6)はつながない。初期値では常点灯のCV49が255(12V 最大値)となっているため、電車が最高速で走りはじめ悲しいことになる可能性が高い。
 基本はVVVF+Melodyスケッチと同じだが、
・DCC Inをつなぐ。
・動作LEDが点灯する。(点灯しない場合は、今までの何かが間違っています)
・以下、DirectモードでCV書き込みを行う。
・CV8,1を入れて、デコーダをリセットする。
・(Shortアドレスのみ説明する)CV1でアドレス設定する。3とか。
・CV47でVVVF音を選ぶ。例えば5(京急ドレミファ)
・CV48は1にしておく。
・CV49(常点灯のパルス)はとりあえず40ぐらいにしておく。
・CV2でモーターの起動電圧を調整する。32ぐらいにする。
・CV5でモーターの最高電圧を調整する。100ぐらい。
・CV3で加速の滑らかさを設定する。大きな値にすると、加速時のボリュームに対する追従性が悪くなる。小さな値にすると、加速時のVVVF音が離散的(音階は連続しない)で上がっていく。10〜40ぐらいが良いか。
・CV4で減速の滑らかさを設定する。加速と説明は同じだが、小さな値にしておいたほうが、止めやすい。(1〜30ぐらい)
・このあと、実際に電車を走らせながら、パラメータは好みに合わせてください。
・F0 FuntionをOnしないと常点灯はしません。

改造について

・12V程度を扱うので、TB6643KQでなく、ほぼピンコンパチのTA8428Kも使用可能。作例ではC3に2200uFを付けているが、おそらくこんなに大きなものは要らない。(試していない)

CV値について

CV意味値の範囲説明
1電車番号0-255?Short Addressです。ロングアドレスも使えると思うが、試したことはない
2始動電圧0-255走り出す電圧。0-255で0V-12V。VVVVFのパターン、動力車により変わるので、適当に合わせる
3加速率0-2550:即応 − 255:緩慢、小さい値ではDCCの指示値をすぐ反映するので、モーター音階が離散的になる
4減速率0-2550:即応 − 255:緩慢、小さい値ではDCCの指示値をすぐ反映するので、モーター音階が離散的になる
5最高電圧0-255最高速時の電圧。0-255で0V-12V。VVVF音が聞こえないぐらいまで上げるか、聞こえる程度にしておくかは好み
8リセット1デコーダのCV値をリセットするが、リセットでおかしな値になる
47VVVFSelector0-8下記参照
48VVVF SoundState0-9下記参照
49Light VOLT0-255常点灯時のパルスDuty、0で無し。255でずっと10.6Vが出る。周波数は、Tomixと同じらしい24kHzとした。パルスDutyを上げすぎると、ヘッドライト、テールライトともに点灯したりする。
  • CV47 VVVF Selector について
 スケッチに同梱のkasoku.hで定義している。
番号電車
0E231
1E231和音
2113系
3207系
4シンプルなもの
5京急
6test
7test
8test

  • CV48 SoundStateについて
番号説明
0Kasoku配列の周波数1だけ出す
1Kasoku配列の周波数1,2を交互に出す
2Kasoku配列の周波数1を1回、2を2回出す
・・・・
10Kasoku配列の周波数1を1回、2を10回出す
となる。0だと単音で1で和音、2、3とかはちょっと雑音気味になる。
 10とかでは、ほぼ周波数2の音しか聞こえない。まあ、0〜2以外はあまり実用性は無いと思う。

工作方法

 以下の写真のように実装する。

(画像クリックで大きくなる)

注意点として、
・D1(ブリッジダイオード)のICシルクの向きが逆である。写真の向きが正しい。(シルク内の交流マーク”〜”と直流マーク”+、−”は正しい。)
・背の低い部品からはんだ付けする。
・ICSP端子は用意していないのでATMega328P-PUはソケットを介してつけたほうがいろいろと安全。
・LED、ダイオード、IC、電解コンデンサは方向があるので間違いないように気を付ける。
・コンデンサの見分け方0.1uFは104,1uFは105と表記されている。ルーペで確認できる。
・足が多い部品については、まず端の足だけ仮に基板とはんだ付けし、その後、部品を押し付けながらはんだ付けしなおすなどで、部品が浮かないようにする。
・実装しない部品があるので、以下の回路図をよく確かめること。

外観、入出力端子

大きさ

・昇圧ポイントデコーダ基板の大きさ W * D = 5cm * 5cm。

入出力端子

端子名記号番号説明
DCC InCN1,CN22つあるのはデイジーチェーン用に便利だから。
ポイント出力 Ch1CN3,CN4トミックスのポイントのコネクタがそのまま挿せる。
ポイント出力 Ch2CN5,CN6トミックスのDCフィーダーのコネクタがそのまま挿せる。
DEBUG/BOOSTER端子CN7スケッチの書き込み、書き換えの時に、FTDI USB・シリアル変換ケーブル(5V)を使用して書き換える、1ピンはCN7の刻印がある側。

回路図

回路図、アートワークの生データはこちら

(クリックすると大きくなります)

アートワーク

部品表

通販番号は秋月電子での番号。
記号数値単価個数通販コード品名備考
C1,2,50.1uF103P-00090絶縁ラジアルリード型積層セラミックコンデンサー0.1μF50V2.54mm(10個入)*1
C32200uF,35V501P-05752電解コンデンサ 2200μF35V105℃(日本ケミコンLXJ)
C447uF101P-03120電解コンデンサー47μF35V5%85℃(ルビコンPK)
CN1,2RAILIN351C-00167ピンヘッダ 1×40 (40P)
CN3,4,5,6PointOutC-00167
CN7DEBUG/BOOSTERC-00167
D1SDI2100351I-06320ショットキーバリアダイオードブリッジ(100V2A) SDI2100
D21N414821I-00941汎用小信号高速スイッチング・ダイオード 1N4148 100V200mA(50本入)*1
D3LED_RUN41I-006245mm赤色LED OSDR5113A(100個入)*1
D4,51N4007521I-00934汎用整流用ダイオード 1000V1A 1N4007(20本入)*1
IC1ATMEGA328(DIP)2501I-03142AVRマイコン ATMEGA328P−PU
IC2,3TB6643KQ or TA8428K25021I-07688 or I-02808モータードライバー TB6643KQ or 8428K
IC4NJM78L05201I-09173三端子レギュレーター 5V100mA NJM78L05L2A
L1100uH,2A501P-02621インダクター(100μH2A)LHL13NB101K
Q12SK4017301I-07597NchパワーMOSFET 2SK4017(Q) (60V5A)
R1,2,7,947k14 2R-25473カーボン抵抗(炭素皮膜抵抗) 1/4W 47kΩ (100本入)*1
R36.8k11R-25682カーボン抵抗(炭素皮膜抵抗) 1/4W 6.8kΩ (100本入)*1
R51.2k11R-25122カーボン抵抗(炭素皮膜抵抗) 1/4W 1.2kΩ (100本入)*1
R622Ω11R-03821カーボン抵抗(炭素皮膜抵抗) 1/4W 22Ω (100本入)*1
R8270k11R-04159カーボン抵抗(炭素皮膜抵抗) 1/4W 270kΩ(赤紫黄金)(100本入)*1
X116MHz351P-00525セラミック発振子(セラロック)コンデンサ内蔵タイプ 16MHz
28ピンソケット201P-00013ICソケット (28P) スリム300milタイプ (10個入)*1
C パスコン C71uF1021P-05105積層セラミックコンデンサー1μF50V±10% IC2の4−7ピンにつける
J1ジャンパ、L1の1ピンからD5の2ピンまでジャンパする。太さ的にD4の足が良いかと思う。
計 ?円
 *1 複数個入りのため、実際はこの価格では買えないことに注意。