
はい。じゃあ、タグについてさらに深くやっていこう。

はーい。えっと、タグはsumtcitaとしての使い方とselbritcitaとしての使い方があったよね。それぞれ項と述語の前にくっついたね。

だね。さらにBAI類とPU類とかにわかれたよね。本編の表をもう一度見てみよう。
bau | 〜語で |
du'o | 〜によると |
gau | 〜(動作者)によって/〜がして |
fi'e | 〜が創って/ 〜によって創られた |
tefi'e | 〜(目的)のために創って/著して |
seka'a | 〜を目的地として/〜行きで |
teka'a | 〜を出発地として/〜発で/〜から来て |
xeka'a | 〜を移動手段として |
ka'ai | 〜と共に/〜を連れて |
ki'u | 〜を理由として |
mu'i | 〜が動機となって |
sepi'o | 〜を使って/用いて |
ri'a | 〜を原因として/〜によって |

何か気づくことは?

んー…ん? {se}{te}{xe}で終わるやつがある…。これってSE類?

正解。あの「ひっくり返す」SE類だね。

ん? でも何をひっくり返すっていうの? 意味分かんない…。

実は、
タグはほとんどすべてがその由来となる述なれ語を持っているのだ。

へ? タグは述なれ語からつくられてるってこと…?

その通り、いくつか挙げてみると…
bau | 〜語で | bangu : x1 は x2 (使用者)が x3 (概念/命題/文字列)を表すのに用いる言語 |
du'o | 〜によると | djuno : x1 は x2 (命題)・ x3 (題目)を x4 (認識体系)で知る |
sepi'o | 〜を使って/用いて | pilno : x1 は x2 (道具/機械/者)を x3 (目的)のために使う/用いる |

ほうほう。綴りも元の述なれ語のものからできてるんだね。これはちょっと覚えやすさが増したぞ。

タグの原理を探っていこう。それは{fi'o}から始まります。
fi'o | 直後に述なれ語を1つ取り込んで、そのx1の意味を与えるようなタグを形成する |
fe'u | fi'oの終止詞 |

これを使うと、{bau}は{fi'o bangu fe'u}の短縮形といえるね。{fe'u}はほとんどすべての場合で省略できるよ。

あーなるほど。{fi'o}が{bangu}をとりこんで、{bangu}のx1の意味を与えるようなタグ、つまり「〜語で」という意味のタグになっているのか!

そゆこと。絵を書いてみるとこんな感じ。
*1

なるほどねー。ねえ、{sepi'o}はどうなってるの?

{sepi'o}は{se pi'o}とも書けて、{pi'o}の『ひっくり返し』なわけだけど、SE類がついてるタグは次のように解釈するよ。
- pi'o = fi'o pilno fe'u
- se pi'o = fi'o se pilno fe'u

ああ、述なれ語がSE類でひっくり返されてから{fi'o}で取り込まれるということなのか。

うん。ま、{lo pilno}と{lo se pilno}の関係に若干似てるよね。{fi'o se pilno}は{pilno}のx2の意味を与えるタグになるよ。

その感覚は{lo}のときにしっかりと身につけたから分かるぜ!

さて、お次はタグ付き項が命題に与える意味について考えていこう。基本的な考え方は「
タグ付き項は命題を補足する」です。

命題を補足する…。分かるような分からないような。

{mi tavla bau la .lojban.}という命題。これ、どういう風に訳したか覚えてる?

「私はロジバンで話す」じゃなかった?

うん、間違ってはないんだけど、もう少し厳密に訳すとこんな感じになるのさ。
- mi tavla bau la .lojban. / 私は話す、それはロジバンという言語と関係がある。

あー、なるほどね。この書き方だと補足してる感があるね。なるほど、命題全体に係るのか。

で、そのことを考えると、{secu'u}とかの訳し方に注意したくなるんだよね。
- mi cliva secu'u lu co'o li'u / 私は去る、それは「さよなら」という表現と関係がある。
secu'u | 〜を表現して/〜と言って : cuskuの x2 |
cusku | x1 (者)は x2 (内容)を x3 (聴衆)に x4 (媒体)で表す/言う/表現する |

あ、そうなるのか。てっきり「私は「バイバイ」と言って去る」かと思った。誰が言ったのかは明らかじゃないんだね。

そう。タグは『前置詞』という理解だけだと、こういうところで誤解が生じてしまうんだよ。

んー、じゃあ、{mu'i}「〜が動機となって」もちょっと訳し方が変わってくるんじゃない?
- mi prami do mu'i lo nu do prami mi / 私はあなたを愛する、それはあなたが私を愛するという動機と関係している。

つまり、「あなたが私を愛する」という動機が「私があなたを愛する」に直接は結びついていないということになるんじゃ…?

それが、{mu'i}の場合は、今まで通りの訳でいいんだよ。「私はあなたを愛する、それはあなたが私を愛するという動機による。」

ん?なんで?

それは、
{fi'
o}が取り込んだ述なれ語のx2に抽象節が入るかどうかで変わってくると考えられるんだ。
mukti (mu'iの親) | x1 (事)は x2 (事)を x3 (者)に動機する |
bangu (bauの親) | x1 は x2 (使用者)が x3 (概念/命題/文字列)を表すのに用いる言語 |

{mukti}のx2には抽象節(出来事)が入るから、補足対象の命題があたかもx2に入るかのように考えられる。でも、{bangu}のx2には抽象節が入らないから、補足対象の命題がそのx2であるようには解釈されず、単なる関係性として記述される。

あー、分かったような分からないような。

{secu'u}は緩い関係を語るに留まるけど、{cu'u}だとそうじゃないってことを見るといいかも。
cusku (cu'uの親) | x1 (者)は x2 (内容)を x3 (聴衆)に x4 (媒体)で表す/言う/表現する |
se cusku (se cu'uの親) | x2 (者)は x1 (内容)を x3 (聴衆)に x4 (媒体)で表す/言う/表現する |

{cu'u}の場合、x2には抽象節(命題)が入れれるから、命題があたかも{cusku}のx2に入るかのような訳され方をする。つまり、
- mi nelci la .lojban. cu'u mi / 私はロジバンが好きだ、それは私によって表現された。
という意味になる。

なるほどねえ。親の述なれ語のPSがどんなのかによって、解釈の仕方が異なるんだね。

そゆこと。はじロジオリジナルな用語で、「〜と関係がある」と訳すようなタグを
srana的タグ、そうじゃないタグを
非srana的タグと呼ぼう。
*2

{cu'u}は非srana的だけど、{secu'u}はsrana的ってことだね。

そんな感じ。

次に、BAI類とPU類とかの違いについて説明します。
*3

PU類とかも{fi'o ...}の形で定義されてるんだよね?

うん、そうなんだけど、見てもらったほうが早いか。
pu | fi'o se purci |
purci | x1 は x2 (時点)よりも以前/過去 |

えっ、SE類がついてないのに、SE類をつけて定義されてるの?

そう、これだけがBAI類との違いなんだけどね。
ピュアな状態がSE類をつけた述なれ語で定義されている。

これってなんでなの?

そのほうが直感的だからかな。{mi cliva fi'o purci lo nu do klama}は「私は去る、君が来るという出来事はそれよりも前だ。」、つまり{fi'o purci}は「過去」を意味する述なれ語からできたタグなのに、事実上"after"を表してしまうんだよ。

なるほどね、たしかにこれはややこしい。
*4

さて、BAI類やPU類とかを使う表現に、次のようなものがあるんだ。
*5
X BAI le nu Y
= BAI gi Y gi X
= X .i BAI bo Y
X PUとか le nu Y
= PUとか gi Y gi X
= Y .i PUとか bo X

つまり、「タグ gi ... gi ...」という形や、あたかもタグを接続語のように使えるってこと。ここでも、さっきやった、PUとBAIでの定義の違いのせいで、互いに違う表現になっちゃってます。

ふむふむ。{mi prami do mu'i lonu do prami mi}は{mu'i gi do prami mi gi mi prami do}とか{mi prami do .imu'ibo do prami mi}ってできるんだね。

そういうこと。{mi sipna pu lonu do sipna}は{pu gi do sipna gi mi sipna}や{do sipna .ipubo mi sipna}とできるね。ちょっとややこしいけど、一応頭に入れておいてね。
*6

最後に、{jai}と{fai}についてやって終わりにしよう。
jai | タグが取り込むはずのsumtiをx1 として使えるようにする。本来の x1 は{fai}タグで参照する。x1 に持ってくる付辞の種類を特定する場合は該当するタグを jai の後に加える |
fai | {jai}でどこかに行った本来のx1を参照するタグ。 |

…?

えっと…たとえば、{mi tavla fo lo lojbau gau do}「君によって、私はロジバンを話す」があるとするでしょ。そこで、
- do jai gau tavla fo lo lojbau fai mi

としてみると、これは同じ意味になる。

んー…。{jai gau}がつくことで、本来{gau}のsumtiだった{do}がx1にきてて、元々のx1は{fai}タグで引き出されてるってわけか。

そういうことだね。{do jai gau mo}というのは「何してるの?」の意味で使われたりするよ。

ほうほう。{jai}単体で使うのはあり?

うん、ありだよ。その場合は省略タグの{do'e}が想定されてるって考えたらいいかも。{mi jai mukti lo nu do klaku}「私が原因で君が泣く」というのは、「私」は直接の原因ではない(出来事ではないのだから当然)だけれど、私が何か関連して、君が泣くということを表してるよ。

なるほどね。

というわけで、タグについて少し深くやりました。長かったので簡単にまとめておこう。
- タグは述なれ語から生み出されている。
- {fi'o}{fe'u}を使うことで、どんなタグも作り出せる。
- タグにはSEをつけることができる。
- タグ付き項は命題を補足する。
- srana的タグと非srana的タグがある。
- 前置接続の形や、{.i BAI bo}の形で接続詞のように使える。
- {jai}{fai}のこと。

色々やったなあ…。頑張って復習します!
問題 : 次のタグを辞書で調べ、{fi'o}の形を答えよ。また、srana的かどうかも答えよ。 |
du'o |
gau |
fi'e |
tefi'e |
xeka'a |
ki'u |
mu'i |
sepi'o |
ri'a |
答え |
du'o | fi'o djuno | 非srana的 |
gau | fi'o gasnu | 非srana的 |
fi'e | fi'o finti | srana的 |
tefi'e | fi'o te finti | srana的 |
xeka'a | fi'o xe klama | srana的 |
ki'u | fi'o krinu | 非srana的 |
sepi'o | fi'o se pilno | srana的 |
ri'a | fi'o rinka | 非srana的 |
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