
引き続きこしょんが担当しますっ。というのも、前回の{poi}{noi}の話に似たお話だからです。

ほうほう?{poi}{noi}は命題で項を修飾する、だったよね。今回は何で何を修飾するの?

項で項を、です。

項で項を…?あ、所有関係とか?「少女の花」は、「少女」で「花」を修飾しているって考えられるよね。

その通り。あとは同格関係もだね。「芸術家であるピカソ」は「芸術家」と「ピカソ」が同格であることを、「芸術家」で「ピカソ」を修飾しているって考えられるね。

日本語では所有関係を表す語は「の」だね。「私の花」「父の車」「君のペン」などなど。でも、「の」って厳密には所有関係だけを表しているわけじゃないんだよ。

どういうこと?

たとえば、「私の言語」…「言語」は「私」が所有してる?

あー。いや、所有ではないかなあ…。

「私の言語」というのは「私と関係のある言語」と捉えられるよね。そういう意味の語がロジバンにはあります。{pe}と{ne}です。ちなみにこれも関係詞と呼ばれています。
@緩い関係をとりもつ
pe | 関係詞(制限); 左の項が表しうる対象のうち、右の項に関連するものだけを特に指定する |
ne | 関係詞(非制限); 左の項に別の(非同一、しかし関連する)項を結びつける |

英語の"of"みたいだね。これにも制限と非制限があるんだね。イニシャルが、制限は{p}、非制限は{n}なんだね。

そうだね。関係節を作るのも{poi}が制限的、{noi}が非制限的だったね。いくつか例を出してみるね。
*1
- lo bangu ku pe mi / 私の言語 *2
- lo karce ku pe lo patfu / 父の車
- lo penbi ku pe do / 君のペン
- do ne lo kagni pe la .santrin. / サントリンの会社の君 ({pe la .santrin.}は{lo kagni}に、{ne lo kagni pe la .santrin.}は{do}に係っています。)
bangu | x1 は x2 (使用者)が x3 (概念/命題/文字列)を表すのに用いる言語 |
patfu | x1 は x2 の父親 |
karce | x1 は x2 (客/荷)・ x3 (原動力)の車 |
penbi | x1 は x2 (インク)の、手順 x3 に従って使われるペン・筆 |
larcu | x1 (創作物/創作過程)は x2 (芸術様式/芸術流派)の実践/応用; x1 は芸術的 |

それと{pe}には面白いルールがあるの。{lo broda ku pe ko'a} という句を{lo ko'a broda ku}と書くことができるんだよ。
*3

ほほう。{lo bangu ku pe mi}が{lo mi bangu}で表されるのか。便利だ!でも、{lo karce ku pe lo patfu ku}は{lo lo patfu ku karce}…読みにくいね。

そうだね。この簡略表記は{pe}の後ろが{mi}{do}{ti}などのいわゆる代項詞のときだけ使うのが見やすくていいかな。

{pe}でも所有関係は表せるけど、時にはより明確に所有関係を表したいときもあると思います。そういうときには{po}を使うよ。
po | 関係詞(制限); 左の項が右の項に特有であることを示す; 一般にいう物理的/法的所有を表す |

ほうほう。これを使えば、{lo karce ku po lo patfu}は「父が所有している車」という意味になるんだね。

うん。一方で{lo bangu ku po mi}「私の所有する言語」はおかしいのは分かる…よね?

さらに、ロジバンには所有関係よりも強い関係を結ぶ語があるの。
po'e | 関係詞(制限); 左の項が右の項に従属することを示す; 分離できない関係を表す |

分離できない関係…?

「肉親」とか「腕」とか。主に生まれつき持っているものは分離できないことが多いね。

ふーむ…。少なくとも{lo penbi ku po'e mi}とかはあり得ないよね。「私」から分離できないようなペンなんてこの世には無いし。

そうだね。「三角形」と「その一辺」も分離できない関係だね。{pe}{po}{po'e}の使い分けは最初のうちは難しいかもしんないね。

うん。迷いそう。

迷ったら{pe}を使うといいよ。{pe}は{po}よりも、{po}は{po'e}よりも広い関係を結ぶからね。意味が曖昧になることはあっても、間違いになることはないから。

最後は同格関係だね。これには{po'u}と{no'u}があるよ。
@同格関係をあらわす
po'u | 関係詞(制限); 左の項と同一の項を結びつける |
no'u | 関係詞(非制限); 左の項と同一の項を結びつける |

今までしたのはイコール関係ではなかったもんね。{mi no'u la .soran.}で「そらである私」ってなるのか。

ここにも制限用法と非制限用法があるのに注意ね。項を結びつけることによって、モノを限定しようとするときは{po'u}、ただの補足のときは{no'u}だね。

というわけで、項で項を修飾する方法をやりました!{pe}{ne}{po}{po'e}{po'u}{no'u}の6単語。しっかり覚えてね。

はーい。
→
縛って便利に(be,bei)
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