
今回は私が担当します。{be}と{bei}についてだね。

それはなんでしょう?

これは
既存の述なれ語から、より小さいPSをもつ新しい述なれ語を作るときに使うんだよ。

ほ?

うーん。
既存の述なれ語から、より限定的な意味の述なれ語を作ると言ってもいいね。たとえば、「x1 はx2 を食べる」から「x1 は林檎を食べる」という述なれ語を作れるのさ。PSが小さく、意味が狭まった述なれ語になってるでしょ。

ふむふむ。まあその新しくできた述なれ語が有用なのかはさておき、どういうことかは分かったよ。{be}と{bei}の使い方について教えてよ。

はいよ。
be | 直後の項を述なれ語に接続して、よりPSの小さい新しい述なれ語を作る。デフォルトではx2を埋める。FA類、sumtcitaを使うと埋める場所が上書きされる。 |
bei | 2個以上の項を述なれ語に接続するときに使う。つまり、1個目はbe、2個目以降はbeiを使う。FA類、sumtcitaをつけることも可能。 |
be'o | {be}{bei}で述なれ語に項を接続する構造の終止詞 |

{bei}はとりあえず置いといて、{be}をやろう。
後ろにひとつ項をとって、それをx2に埋めた述なれ語をつくるのさ。普通の文の作り方みたいだね。
- citka : x1 はx2 を食べる
- citka be lo plise be'o : x1 は林檎を食べる

これさ、{mi citka lo plise}と{mi citka be lo plise}…なんのありがたみも無いな…。

まあそうだね。ただ注意してほしいのは、前者の述語は{citka}で後者の述語は{citka be lo plise}ってとこ。ありがたみは今のところないね。

さて、次に{dunda}の意味を狭めてみよう。
- dunda : x1 はx2 をx3 に与える
- dunda be lo xrula bei lo prenu be'o : x1 は花を人に与える

また、使えなさそうな…。{bei}が出てきてるね。えっと? {lo xrula}が{dunda}のx2に、{lo prenu}が{dunda}のx3に埋まって、新しい述なれ語を作ってるんだね。

いえす。x2を埋めるのには{be}を、x3を埋めるのには{bei}を使っていることに注意。x4, x5を埋めるのにも{bei}を使えばいいよ。たとえばこんな感じ。
- klama : x1はx2にx3からx4を経由してx5を使って行く
- klama be la .tokion. bei la .osakan. bei la .nago,ian. bei la .cinkansen. : x1は東京へ大阪から名古屋を経由して新幹線で行く

だからいつ使うのこれ…。これでひとつの述なれ語か、長いなあ。ところで、なんでわざわざ{bei}を使うの? tanruみたいに逐次処理のルールを使えばいいじゃん。
@そらのお望み
- dunda : x1はx2をx3に与える
- dunda be lo xrula : x1は花をx2に与える
- [dunda be lo xrula] be lo pendo : x1 は花を友達に与える ← {dunda be lo xrula}という述なれ語に{be lo pendo}を処理すればいいじゃん!

いやあ、
そうしないのは理由があるんだよ。姉ちゃんはご丁寧に[ ]を使ってくれましたけど、
- dunda be [lo xrula be lo pendo] : x1は[友達という種類の花]をx2に与える

とどう区別するのさ?

うぐ。たしかに。いやでも{ku}をつけることにすれば…!

わざわざそのためだけにつけたいか?ということなのよ。論議の結果は「嫌だっ!」だったんだろうね。だから、{ku}を省略しても構文が曖昧にならないように、2つ目以降を埋めるには{bei}を使うということにしたのさ。

くそう…。いいとこつけたと思ったのに。

残念でした。というわけで、
{be}は必ず直前の述なれ語に係るということは注意しておこう。今までのまとめをイラストにしてみたよ。

はい。質問です。{klama}を使って「x1はx2へx3からx4を経由して新幹線で行く」を作るには
- klama be zo'e bei zo'e bei zo'e bei la .cinkansen.

としなければならないなんてことはないですよね!

無いです。FA類が使えます。
{be(bei) + FA類 + 項}の形で使えるよ。だから、さっきのは
- klama be fu la .cinkansen.

で、いけるね。もちろん、{be}でx2を埋めて、さらに飛んでx5を埋める…といったときは{述なれ語 be 項1 bei fu 項2}という形になるからね。
*1*2

なるほどねー。

で、散々やってきたこれが何に役に立つのか!

その通りだよ!何に使うんだ。

まあ、主にこの2つだね。
- beで作った述なれ語を{lo}で項化してやることで、より限定的な意味をもつ項を作れる。
- beで作った述なれ語をtanruの要素にしてやることで、より限定的な意味をもつtanruを作れる。

あー!おお、ほんとだ。{citka be lo plise}「x1は林檎を食べる」を{lo citka be lo plise}としてやれば「林檎を食べる者」になるね。

まあ、関係節を使って{lo citka ku poi ke'a citka lo plise ku'o}としてもいいけど、beを使ったほうが簡潔で見た目もすっきりするよね。

あと、{lo citka be lo plise be'o gerku}で、「林檎を食べる系の犬」だね。

ちゃんと{be'o}つけたね、上出来。豊かな表現をするというのはつまるところ、意味を限定していくということだからね。

というわけで、「縛って便利に」でした。縛るというのはPSのことだったのだよ。

なるほどね。{be}と{bei}を使って、より小さなPSをもつ述なれ語を作る。それらはtanruの要素にしたり、{lo}で項化したりすると有用ってことだったね。

その通りです。じゃあさくっと演習問題を終わらせてくだされー。{be'o}の使い所を見極めてね。
*3
→
『引用』
問題1 : 与えられた述なれ語から以下のPSをもつ述なれ語を作れ |
1. x1は私の友達 | pendo : x1はx2の友達 |
2. x1は私の家へあなたの家からx2を経由してx3で行く | klama : x1はx2へx3からx4を経由してx5で行く |
3. x1はx2 (題目/筋書/教訓)の、私から君への物語/説話 | lisri : x1 は x2 (題目/筋書/教訓)の、 x3 (作者)から x4 (聴者)への物語/説話 |
※2.の「私の家」「あなたの家」も{be}を使って表すとよい(zdani : x1 は x2 の(ための)家)
問題2 : 次の2つの語の意味の違いを述べよ |
1. lo klama be lo pendo be mi |
2. lo klama be lo pendo bei mi |
答え1 |
1. pendo be mi |
2. klama be lo zdani be mi be'o bei lo zdani be do ({be'o}が何故必要かというと、その後にくる{bei}が{zdani}のものでないことを明示するためです。 |
3. lisri be fi mi bei do |
答え2 |
1. 「私の友達のところへ行く人」{be mi}が{pendo}に係っている。 |
2. 「友人のところへ私のところから行く人」{be lo pendo}も{bei mi}も{klama}に繋がっている。 |
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