
coi do'u 今回はsumtcitaを
使えるようになろう。

すむちた?って?

んー、すごーくざっくり言うと、
前置詞だよ。もちろん前置詞以上の意味があるけどね。

ほう。英語の"at"とか"in"とか"under"とかか。あのやたら意味の広い…。

ロジバンの『前置詞』は意味が一義的だから安心して。

sumtcitaとして使える語にはBAI類とPU類とかがあるよ。これらを
タグということにしよう。それぞれを超ざっくり説明すると、
*1
- PU類とか : 時空間や相(アスペクト)に関するもの
- BAI類 : それ以外

アバウト!!

今回は仕組みを理解するのではなくとにかく使えるようになるのが目的だからね。BAI類とPU類とかにはたとえばこんなのがあります。
*2
@BAI類の一部
bau | 〜語で |
du'o | 〜によると |
gau | 〜(動作者)によって/〜がして |
fi'e | 〜が創って/ 〜によって創られた |
tefi'e | 〜(目的)のために創って/著して |
seka'a | 〜を目的地として/〜行きで |
teka'a | 〜を出発地として/〜発で/〜から来て |
xeka'a | 〜を移動手段として |
ka'ai | 〜と共に/〜を連れて |
ki'u | 〜を理由として |
mu'i | 〜が動機となって |
sepi'o | 〜を使って/用いて |
ri'a | 〜を原因として/〜によって |
@PU類とかの一部
ca | 〜と同じ時刻で |
pu | 〜より時間的に前で |
ba | 〜より時間的に後で |
bu'u | 〜と同じ場所で |
ne'i | 〜の中に/内側で |

え、死にそう。

いや、別に全部覚えなくていいから…。たくさんの『前置詞』があるってことを見てほしい。ロジバンって今まで見てきたように、文は述なれ語が作るPSに項を当てはめることで作ってきたでしょ。ということは、述なれ語は作らないけど言いたいことというのが出てくるはず。そういうときにタグを使えばいいのさ。

なるほどねー。使い方は? 前置詞って言ってるくらいだし、後ろに項になれる語を持ってくればいいの?

正解。{bau lo ponbau}「日本語で」とか{mu'i lo nu mi prami do}「私はあなたを愛するというのが動機となって」とか{pu lo nu mi klama lo barja}「私がバーに行く前に」とか。

シンプルだね。素晴らしい…! これは文のどこに置けばいいの?

これも楽勝で、
sumtcitaの付いた項は命題のどこに置いてもいいし、複数ある場合はどの順序で置いてもいい。さらに言えば、
sumtcitaの付いた項は、何も付いていない項をx1,x2,x3,...に割り当てるための規則に影響を与えないんだ。
*3

いいね…! 心態詞みたい。

述語のPSをガン無視して、タグだけで文を書くという荒業もできるよ。{tavla}のx4は「話す言葉」だけど、これを使わずに{bau}を使うというのもできる。
*4

基本的に、BAI類やPU類とかには終止詞はつけません。

はあ。

でも、sumtcitaの後ろに{zo'e}が来る場合は{zo'e}を省略できて、そのときだけ{ku}を終止詞として使うの。{bau zo'e}は{bau ku}とできるってわけ。

なるほどー。
タグの後ろが空っぽで、文末以外に置くときは{ku}をつけるのを忘れないように。あと、{mi citka gau mu'i}みたいに、後ろに項がこないなら別に{ku}はいらないよ。

そういや、タグ付き項を{be}{bei}で述なれ語にくっつけることってできるの?

おお、いい質問。答えは、
できるよ。理屈はちょっと面倒だけど、{lo broda be ko'a bei ko'e bei SUMTCITA ko'u}は{zo'e noi ke'a broda ko'a ko'e SUMTCITA ko'u}って書けることを考えると、納得はできるんじゃないかな?

まあ、何となく分かる。{lo cukta be bau lo ponbau}は{zo'e noi ke'a cukta bau lo ponbau}だから…「日本語で書かれた本」くらいの意味かな?

いえす。

さて、衝撃事実を発表します。

??
タグは述なれ語にもつけることができるのです。このとき、タグはselbritcitaとして働いているのだ。つまり、タグはselbritcitaとして使えるわけ。

(; ・`д・´) ナ、ナンダッテー!! (`・д´・ ;)

…。で、タグを述なれ語につけると、そのタグのニュアンスを含んだ新しい述なれ語ができるのさ。たとえば、{gau tavla}「誰かに強いられて話す」みたいな。
*5

これって、{tavla gau zo'e ku}とほとんど同じ意味と考えてもいい?

ま、そうだね。

あれ…?ねえ、{pu tavla}で「以前に話す」だよね。これって…。

はい、それは後期でやりましょう!ちなみに、新しい述なれ語を作るといったけど、あくまでselbritcitaは「selbriの頭につくもの」だから、{broda SELBRITCITA brode}みたいなことはできません。構文的にいうと、これは{broda}と{SELBRITCITA brode}の2つの述語からなる命題と解釈されるからエラーになるよ。

というわけで、sumtcita…タグ…そしてselbritcitaについてざっとやりました。簡単だけどなかなか面白いでしょ。

うん。しかも時制がちょろっと顔を出したからワクワクしたぜ!

でも、あの大量のタグ…私には覚えるなんて無理よ…?

今回は使えるようにするだけ、って言ったでしょ? 補習授業ではタグの詳しい構造を見ていくよ。(→
解タグ新書)
→
質問
問題 : 次の文を訳せ。 |
1. mi citka lo plise mu'i lo nu mi xagji |
2. la .soran. cu bajra seka'a lo gusta |
3. mi zvati bu'u lo nu mi jbena |
4. mi gau catra lo mlatu |
5. ca lo nu do klama ti ku mi jukpa |
6. mi viska do sepi'o lo kanla |
語彙 |
xagji | x1 は x2 に飢える; x1 は腹をすかしている/おなかがへっている |
bajra | x1 は x2 (表面)を x3 (肢)・ x4 (調子)で走る |
gusta | x1 は x2 (飲み物/食べ物)を x3 (客)に提供する飲食店/レストラン/カフェテリア |
zvati | x1 (物/事)が x2 (事/所)に居る/在る |
jbena | x1 は x2 (産主)による x3 (日時)・ x4 (所)の生まれである |
catra | x1 は x2 を x3 (動作/方法)で殺す |
mlatu | x1 は品種 x2 の猫である |
klama | x1 は x2 (終点)に x3 (起点)から x4 (経路)を x5 (方法)で行く/来る |
jukpa | x1 は x2 (食材)を x3 (方法)で料理する |
viska | x1 は x2 を x3 (状態条件)のもと視覚する; x1 には x2 が見える |
kanla | x1 は x2 (本体)の目/眼/視覚器官; x1 は視覚者 |
答え |
1. 私はお腹が空いたので林檎を食べる。 |
2. そらはレストランへと走る。 |
3. 私は私の生まれた場所にいる。 |
4. 私は猫を誰かに殺させられた。 |
5. 君がここに来るとき、私は料理する。 |
6. 私は目を使うことで、あなたが見える。 |
このページへのコメント
ちなみに 現状でお薦めの解析器は iocixes です。
ilmentufa と その派生は、 萩原さんによる現行文法の解析器
http://masatohagiwara.net/camxes.js/
に改変を加えたものですが、現状では品詞名などが現行文法のままで、そこに新案をどんどん盛り込んでいったものです。従って、せっかく xorxes の zasni gerna でなされた細かいバグ取りも、なされていませんし、個人的な見解ですが peg が汚いです:
http://ilmen.tk/lojban/camxes-exp.js.peg
ご参考までに、これを iocixes の peg と比較してみてください:
https://skami2.iocikun.jp/lojban/zasniGernaPeg
http://guskant.github.io/kolojbo.iu/
その後、やっぱり camxes のバグらしいということを確信させる議論がありました。
https://groups.google.com/d/topic/lojban/O4tvPEoqUJI/discussion
zasni gerna で term の定義が
tag !selbri KU#?
に改定されたのに伴い、 iocixes も CLL の説明通りに解析するようになりました:
https://skami2.iocikun.jp/lojban/zasniGerna
ilmentufa も同様の方針で修正されています:
http://ilmen.tk/lojban/camxes-exp.html
la.uiliym. による ilmentufa を使ったfrontendは、今のところ直っていないようです。
http://vrici.lojban.org/~gleki/mediawiki-1.19.2/extensions/ilmentufa/glosser.htm
http://guskant.github.io/kolojbo.iu/
ki'e guskant noi te pinka
なるほど、バグかもしれないんですね。それでははじロジの方もko lojbo .iuと同じ方針でいきたいと思います。
pegに詳しい人が、 {mi pu du'esi'e citka} で {pu} が述語の中に入らないのは camxes のバグかもしれないと言っていますが、 camxes でも {mi cu pu du'esi'e citka} のように cu を入れれば {pu} が述語の中に入ります。 ko lojbo .iu では CLL や BPFK Sections の説明に従い、 cu が無くても「述語のタグ」扱いにしました。
http://guskant.github.io/kolojbo.iu/