彼はアニメがコアなアニメファンだけでなく、米国の(アニメファンで無い)一般的な視聴者に受け入れられることが重要だと信じ、この為に字幕によらず、英語吹き替えによる日本アニメの海外版を制作することを継続し続けた。
2010年4月23日(金曜)の日刊版『デイリー・バラエティ』【Daily Variety】
2010年4月25日(日曜)の日刊『ロサンゼルス・タイムズ』【Los Angeles Times】
いずれも全面追悼意見広告として掲載

彼は1985年に『ロボテック』(制作:ハーモニー・ゴールド USA社)のプロデューサー兼ストーリー・エディターとしての仕事が目立った。
流暢(りゅうちょう)でなかったと批評家に評された、この翻案アニメ・シリーズは、北米アメリカ合衆国の英語圏、英語を含むカナダ連邦のフランス語圏、南米諸国のスペイン語圏を含む、全世界でのアニメ・ファンダムに火をつけた作品のひとつであるとされている。
メイセックは1986年に、ロボテックの続編、『ロボテック II:センチネルズ』【RobotechII: The Sentinels】を作る予定だったが、円高や、スポンサーのマッチボックス社の倒産の他、諸事情のため未完に終わった。
流暢(りゅうちょう)でなかったと批評家に評された、この翻案アニメ・シリーズは、北米アメリカ合衆国の英語圏、英語を含むカナダ連邦のフランス語圏、南米諸国のスペイン語圏を含む、全世界でのアニメ・ファンダムに火をつけた作品のひとつであるとされている。
メイセックは1986年に、ロボテックの続編、『ロボテック II:センチネルズ』【RobotechII: The Sentinels】を作る予定だったが、円高や、スポンサーのマッチボックス社の倒産の他、諸事情のため未完に終わった。
1988年、ジェリー・ベックとともにストリームライン・ピクチャーズ を設立。
ロボテックで一緒に仕事をした スティーブ・クレイマー【Steve Kramer】、トム・ワイナー【Tom Wyner】、グレグ・スネゴフ【Greg Snegoff】、「 アードワイト・チャンバーレイン」【Ardwight Chamberlain】*1と言ったベテラン声優を引き連れた。
ストリームラインは日本のアニメの輸入に成功した会社の一つとなった。
ストリームラインの代表作には『レンズマン』『ロボット・カーニバル』『帝都物語』『 ゴキブリたちの黄昏』『 クライング フリーマン』『 妖獣都市』があげられ、『天空の城ラピュタ』『北斗の拳』『AKIRA』『ルパン三世 カリオストロの城』『 ルパン三世 ルパンVS複製人間』の英語版でも功をなした。
1993年, ストリームラインは オライオン・ピクチャーズを通して自身の作品を配信し、オライオン・ピクチャーズがMGMに買収されるまで続いた。
いずれの会社も現在はほかの会社の子会社などになっている。
2000年から2005年まではADVフィルムの取締役を勤め、2008年からはレベニュー・エンターテイメント・ワールドライドの取締役を務めた。
また、ヴィズ・メディアの『BLEACH』の英語版脚本を書いたり、『ロボテック:シャドウ・クロニクル』に於いて、ハーモニーゴールド USA社の相談役に就任したりした。
2010年4月17日、心臓病のため58歳で亡くなった 。*2
彼は、海外英語&インド・ヨーロッパ言語圏内に於ける、第二次から第三次日本アニメファンダムにおいて最も議論を呼んだ人物である。
多くの人々は、彼が日本国外における日本のアニメのパイオニアだと考えている。
ストリームライン・ピクチャーズによる吹き替え作品は、ケーブルテレビ放送だけでなくホームビデオの形で海外に入ってきた。
アニメファンダムにおいて、彼に対する否定的な意見があるのは、彼が日本のアニメを大幅に改変したことが多々あったからである。
特に『ロボテック』は関連性のない『超時空要塞マクロス』『超時空騎団サザンクロス』『機甲創世記モスピーダ』を同じ世界の、異なる世代の物語として、古典大河小説の構成を手本として話としてつなげてしまった。
日本サンライズのファンタジー・ロボットアニメ 『聖戦士ダンバイン』の吹き替えにおいても彼は脚本の改編を行った。
また、他の作品でも彼は、東洋的な"ethnic gestures"な点を除くために、脚本を大きく変えてしまった。
しかし現在、初期作編と比べても、アニメの民族性は北米のファンに受け入れつつある。
メイセックとストリームラインは、吹き替えを施したアニメだけを販売し、そのような販売を行った唯一の大手販売業者であり続けている。
彼はアニメが一般的な視聴者に受け入れられることが重要だと信じ、アニメの吹き替えは重要だとしていた。
マニアックなアニメファンダムで大きな影響力を持つ人々は、字幕入りのアニメのみを視聴し、多くのストリームライン製の作品をボイコットしてきた。
ストリームラインは、のちに『AKIRA』の字幕ホームビデオとロボテックの3つのオリジナルシリーズを基にしたホームビデオを発売した。
これらのビデオで、ストリームラインは独立系企業として字幕入りの作品の発売だけを行うとされた。
このような理由からアニメファンダムによっては、彼を 反キリスト【Anti-Christ】と、つまり堕天使又は悪魔の手先と呼ぶ者もいる。
欧米の視聴者に受け入れられるように脚本を改変する行為は、『虐殺』【massacre】になぞらえて『メイセック殺』【macekre】という名を付けられた。
「カールを批判する者達もいた。 けれどひとつ確かなのは ―― 、彼がロボテックで成し遂げた革新的な仕事や、ストリームライン・ピクチャーズの為に費やした努力がなかったら、北米におけるアニメの人気は、決して今のようなものには成っていなかったということだ・・・」
トップレス・ロボット【Topless Robot】より
記事名:「カール・メイセック、1951年生−2010年没」"Carl Macek, 1951-2010"
「彼は80年代半ばに『ロボテック』を製作し、アメリカに持ち込んだことで有名であり、悪名高くもあった。 『悪名高い』と評される部分については憤慨も感じる。 というのも、もしアメリカでアニメを有名にさせた功績のある人間を1人選ぶとするなら、それはカール・メイセックだからだ。『ロボテック』は素晴らしいアイデアだったと思う。 『マクロス』や『サザンクロス』、『モスピーダ』が、その1本だけで、アメリカのテレビで放映される可能性は皆無だったろう。」
コミック・ブック・リソース−ロボット6【Comic Book Resources-Robot 6】
記事名:アメリカの日本スタイル・アニメの先駆者逝去
"American anime pioneer Carl Macek passes away"
「後に、メイセックはその製作手法について批判を浴びることにもなるが、『ロボテック』は、北米にアニメを進出させるきっかけとして、否定の出来ないヒット作品になった」
コミック・リポーター【The Comic Reporter】
記事名:「カール・メイセック、1951年生−2010年没」"Carl Macek, 1951-2010"
「三つの作品をひとつにまとめたやり方や、狙った視聴者層に合うように、カットや修正を施すという考えに対してだと思うが (後者の告発については、メイセック氏は否定している)、やがてハードコアなファンの間では、議論も起こるようになっていったけれども、『ロボテック』は、今日のより大きくなったアニメファン層を開拓するための、重要なステップになったと考えられている。」
マニア・コム 【Mania.com】
記事名:「カール・メイセック氏、往く」 "Carl Macek Passes Away"
「メイセック氏が80年代に成し遂げた仕事によって、私自身も含めて、何千というファン達が、初めて(日本スタイルの)アニメを知ることにもなっていった。 『ロボテック』が無かったら、同じような時にアニメを知ることはなかっただろうし、その時抱いた情熱も生まれることもなかったのは、間違いないと云える。」
アニメ・コン 【Anime Cons.com】
記事名:「カール・メイセック氏の逝去に寄せて」 "On the passing of Carl Macek"
「オリジナルの作品に対する改変行為があってもなお、『ロボテック』が。日本のアニメーションを知ることになった作品だと指摘するアニメファンの数は多い。 メカアニメの大ファンの1人として言うのだけれど、そのジャンルの代表的な作品のひとつを、より多くの視聴者に届くようにしてくれた、メイセック氏の仕事には、それなりの感謝を感じずにはいられない。」
彼の死後 " Carl Macek's Robotech Universe " (カール・メイセックのロボテック世界)という題名のドキュメンタリー短編映画が製作され、そのフィルムは西暦2011年10月18日(アメリカ西海岸時間/太平洋標準時)に ハーモニー・ゴールド USA 社のハリウッド在の Preview House (プレヴュー・ハウス)で舞台挨拶の後に初上映封切された。
- McKeever, Kevin (2011年). “Carl Macek's Robotech Universe (Video 2011) - IMDb”. IMDb. 2011年11月16日閲覧。
- McKeever, Kevin (2011年). “Harmony Gold announces special theatrical screening of Carl Macek's Robotech Universe”. Harmony Gold USA (Robotech.com). 2011年11月16日閲覧。
1対1の「サシ」で会話をした経験はありませんが、コンベンションに『布教』の為に奥様や娘さんとまめに顔を出していましたが、どんな大悪党だろうかと思っていたら、普通にSFやファンタジー好きのヲタクなおじ様でした。
小説版の神秘主義は、多分彼のアドバイスによる影響力が大きいと私は感じます。
「センチネル」、「オデッセイ」、「ロボテック 3000」彼独自の企画の失敗をみても、翻案者の才能はあったかもしれませんが、創造者としての資格は無かったのかもしれません。
シャドウ・クロニクルは新採用スタッフが中心になって製作し、彼は相談役に過ぎませんでした。
少しばかり、妄想的にご自分の考えるロボテック・シリーズ、エピソードのプロジェクトを語る姿には幻滅した部分はありますが、なぜか憎めない殿方(叔父様的な)な部分はありました。
日本からは遠すぎて通夜と葬儀には行けず仕舞いでしたが、俗世間のしがらみから解放された今、『伝説巨神イデオン』のオーメ財団のギンドロ・ジンム公爵*3のように、両者の和解とワーナー・ブラザースの映画の成り行きを静かに天より見守っているとよいのだけれど、等と考えてしまったりします。
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