ヴィッカース plc社は、
GMP【全領域(統合)憲兵軍】がその立場を強化するために SPR-19「
ボビィ」を開発した。
しかし、「
ボビィ」の開発は標準サイズの巨人ゼントラーディ兵士と歩調を合わせて警察任務を遂行すること
*1を意味しなかった。
戦術師団および民間防衛組織が対処することが出来なかった多くの状況(それは以前にはあり得なかった多くの困難な状況であった)を扱うことは、
GMPに存在理由と柔軟性を与えた。
GMPの英国人師団によって「
ボビィ」と愛称で呼ばれたSPR-19は、暴動鎮圧警察作用と共に、暴動制御の役割をすることが可能だった。
それは爆破予告および爆発物処理の対処においても有用だった。
- 【ボビィの前身である『 M-11装甲警戒車 』】
- ※( A.S.V → Armored Security Vehicle )
- FIAT 6836 M-120 Heavy Armored Vehicle
- 【ボビィの前身である『 FIAT 6836 M-120 重装甲警戒車 』】
- ※ ( H.A.V→ Heavy Armored Vehicle )
「ボビィ」(おまわりさん = 巡査の意)は、「M-11 装甲警察車」のような、過去に
憲兵隊によって使用された、従来型装甲車より有効な「広義の意味でのパトロール車輌」であり、サージブレーカー【siege breaker】(回路
配線用遮断器)的役割を果たした。
危機に際しては、この機体は
GMP騎兵が標準規模、人類観点で云う巨人ゼントラーディ兵士に対して、格闘戦での機敏さを犠牲にせずに、彼らを制圧出来る充分な武器を装着可能なプラットフォームを提供すると共に、肉体的なサイズの劣勢を埋め合わせ、法の執行を『適正に継続して執行可能』な強化服を提供した。
GMPは「ボビイ」が重火力支援を、他の軍事部隊の出動要請に依存することを黙認した。
さらに、このシステムを使用する場合、GMPは、
戦術機甲師団の「MBR-13
サラマンダ」または
都市防衛組織の 地上戦用の軽「
バトロイド」MDR-17
ユニコーン小隊で実行可能な任務の下位部分の任務を自ら執行する事が出来た。
有用で柔軟性のある自律型 SPR-19 がそうであるとともに、これらのアーマースーツ(警察ロボット)は大量生産されなかった。
GMP側ではこれを禁止する要因として、維持費用が掛かることを挙げたが、しかし推理の線上にある直接の理由は、QPR-19「
ゴーレム」のより多くの生産と新たな派生型の開発が
GMPの『少数精鋭の決定』そのものと衝突することにあった。
S.C.A.R【Scientific Committee on Academic Research = 学術研究科学委員会】は、その時点で執心のプロジェクトに没頭していた。
公平かつ単一の寛大な研究助成金を得て、彼らは完全な
GMP兵士 を提供する為に人工知能を実験した。
「そうすることが出来るものであれば、彼ら雇用されたゼントラーディ人警備兵らは、問題無く命令に従い、法律を客観的に実施し、時間外につき5割増の給金で働くだろう。しかし現実はそうでない」
ここに人工知能による
GMP専属の「機械化巨人兵士」の需要があった。
「機械化巨人兵士」ならではの利点として、より重要なことは、そのより高い命令権威に背(そむ)かせることが出来ない、命令違反が原理的に起こり得ない事だった。
第一次星間大戦時に「
異星人戦闘要塞艦 シアン・マクロスのコンピューター上で行なわれた研究から続いて、彼らは、警察作戦行動に使用可能な無人
バトロイドを開発しようとした。
開発費用を節減し、かつ開発そのものの進展を促進するために、それらは、ロボットの本体ハードウェアとして既存の
GMP「SPA-19・パワーアーマー」を流用することにした。
GMP研究者はその
ASAVAN「シャドウ・ドローン」(それらは識別知能に劣り、これを獲得させるのに例えていうなら巨人サイズのドイツのシェパード犬より多くの教育資源(リソース)を消費した)の為に、代替として
遠征艦隊軍【UEEF, 旧称:REF】によってその後選ばれた、人間と殆ど同等に知的で、完全に再帰的な意識を所有していたロボットを開発した。
しかし、「一方を追求すれば、他方を犠牲にせざるを得ない」という「二律背反の結果」(トレード・オフ)は、
GMPの最終結果の製品が「有効な格闘義務には判断時間が遅すぎ、動きが重々しい」という問題点が有ることが判明した。
単に非常に多くの処理パワーが相対的に非常に小さい筐体(パッケージ)に詰め込まれ、「ゴーレム」は規則を引用し、違反者を識別する可能性があり、『愚鈍(ぐどん)にも関わらず学者ぶっている』ので、当初の「権威を持った憲兵人工知能」【AI】を産み出すという目論見は当てが外れたけれども、警察義務の独立作用が辛うじて可能ではあった。
ロボットは動作に対して明示的な指示を必要とした。
また、多くの事故を引き起こす出来事は、憲兵指揮将校の指令(コマンド)中の詳細の省略によって引き起こされた。
良い例えとしては、それを、20世紀後半の「
ディープブルー・チェス・コンピューター」と比較するだろう。
ゴーレムの人工知能【A.I.】は高度の分析的な判断を持っていたが、最終的な決定に至るまでに、その判断に要した処理時間は1秒から数秒を測定出来た。
しかしこれは、戦闘状況で機動戦闘に熱望する処理時間としては、公平に言って未だ長すぎた。
その為
GMPは現場で、この
バトロイドの学習機能を開発し、人工知能【A.I.】に案内を提供することが出来る操作員(オペレーター)と この警察ロボットをしばしば相棒や伴侶(コンビまたはペア)にした。
予想通り、彼ら彼女ら操作員の多くは、知能、及び教育機関がそれぞれ時間を掛けて教育した歴史上の個々の著名人のように、各ゴーレムの付属する専任の教育指導員(オペレーター)がそれらのゴーレムに「専任の家庭教師」宜しく優しく付けられるようになった。
そうして、彼ら彼女ら同士の関係は、
K9ペット・トレーニング・ゲームの教育者と彼らの「飼い犬」(
警察犬)と同様な状態になった。
ゴーレムは、
サザンクロス軍の最高司令部【Head Quater】が、「機密情報に晒(さら)される“兵籍下の兵士数”を最低限にしたかった」ので、ID登録されている兵士、又は在籍外の何者かが射撃されるというプロトコル結果のどんな二律背反のエラーも受諾することが可能な事から、極めて高い防犯設備の為に、本来殆ど必要とされなかった警備(セキュリテイ)任務をも補強する為に、ゴーレムは頻繁に割り当てられた。
その他の
バトロイドに較べて小規模な筐体(ボディ)を理由としてゴーレムは、他の
サザンクロス軍の標準型地上戦用・非可変
バトロイド用に開発された標準ガンポッドを有効に使用することが出来なかった。
その代替として、より小型の EU-17 粒子ビーム・ガンポッドを使用した。
GMP警察ロボット「ゴーレム」は西暦2023年に最初の1体が導入され、惑星
グロリエの最高指揮権が絶望的になると共に対
ゾル戦争の後半で広範囲に使用された。
サザンクロス軍の戦局の悪化と共に
ゴーレムは、従来は「消耗部隊」として看みられていた種類の支援部隊の任務にさえ廻されるようになり、戦場での最悪の任務をしばしば与えられ、遅いプロトコル反応時間によって、高損耗率の最悪の結果を引き起こし、相棒(ペア)として充てがわれた操作員や、「専任の家庭教師」としてこれらを教育した専門の教育指導員(オペレーター)達は惜別の情を込めてそれらを、「彼らの死亡」、「彼らの高死亡率」と名づけ、その犠牲を追悼して、遂には「葬儀」さえ日常的に行われた。
ゴーレムの残された僅かな数十体も、戦局の悪化により戦術師団によって「地雷除去作業」や「戦場土木任務」に徴用・使役され、更にはインビッド侵攻により激しい消耗を受けて、西暦2066年現在、完全に稼動するゴーレムは殆ど残っていない。
僅(わず)かに、「ハーツヴィル市」の『平和祈念&私設法律図書館』に QPR-19(S)ゴーレム【製造番号 QPR₋G0027】、個別ペットネーム
デニス・ブラウン 【 Dennis Brown 】が有志の努力の結果としての、絶え間ない整備調整(メンテナンス)により
動態保存されているのみである。
なお余談だが、現在の所有者(オーナー)は、去る対
インビッド・地球解放大戦で憲兵隊少尉(除隊時最終階級は中佐)だった「
ラーナ・イザヴィア」女史で、上記ペットネームは許婚者(フィアンセ、大戦では無く、その後の小規模戦闘で行方不明。)の名もって命名したとする説もあるが、本人は否定している。