ロボテック・クロニクル - ゴーレム

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資料画像(21世紀)

資料画像(前世紀1984年)



上記背面線画

立体資料画像(20世紀)

  • 【配色見本。1984年 静岡 模型見本市の 1/48 試作木型より。】

カードゲームより



目次【 Table of Contents / índice de contenidos 】

名称英文

Golem

形式番号

QPR-19

日本版からの「名称変更」について

  • 原典日本版では 北欧神話に登場する猟犬の名称に由来する『ガルム(Garm)』の名称で記載されている資料もあるので、通称名称に拠る識別には、注意が必要である。
  • GMP(全領域統合憲兵軍)については別項で詳述する。 左記のリンク先を参照されたい。

原典日本版での部隊登録記号は、 GMP・05-SCP『ガルム(Garm)』にて記載されている資料もあるので、通称名称に拠る識別には、注意が必要である。
  • GMPの第5番目の導入機体。職務は警察業務〔Security police〕の意味。

種別

形 式名 称機能・用途
QPR-19ゴーレム全領域(統合)憲兵軍(GMP)執行部の自律型警察ロボット
  • → ボビィと共に、いずれもGMPの軍事法施行、警備(セキュリティ)及び戦術攻撃ロボットとしても使用。
  • ※G.M.P.→ Global Military Police

名称の由来

  • ゴーレムは、ヘブライ語で「胎児」の意味。ユダヤ教の伝承に登場する自律判断で、しかし主の命令に従って動く泥人形。

開発企業

設計ヴィッカース plc 【Vickers plc】エリダヌス星系設計支部 &【 S.C.A.R】(※)
製造ヴィッカース plc 【Vickers plc】
機関アリソン・エンジン 【Allison Engine】電力機関開発部(地球圏本社)
  • S.C.A.R : Scientific Committee on Academic Research = 学術研究科学委員会

寸法

項目/型QPR-19 / SPR-19 共通
全高  4. 9 m
胴体厚1. 3 m
胴体幅2. 3 m
乾燥重量7. 3t

主機関

反応剤積載量

移動性能

最大実効速度歩行のみにて、72kph (時速115.872km/h)
デルタ-V
(選択追加装備時)
通常の反応剤供給速度で 0.3 kps。
スラスター・パック・システムの追加により1 kpsまで能力を増加可能。これらは空間戦用のオプションバックであり、地上戦ではジャンプ飛行等は不可能。

航続力

反応剤耐久性370時間の作戦使用毎に「プロトカルチャー (資源)」ミニ・キャニスターを交換。

電子装備

人工知能【 A.I.】

コントロールシステム:(QPR-19のみ)GMP研究グループ Mk.5 レフレックス人工知能システム。
適切な行動決定への票決を備えた3冗長度プロセッサー

センサー・システム

ウエスティングハウス TPG-144戦場監視モードを備えたXバンドのパルス・ドップラー・フェーズド・アレイ・レーダー
フィリップス「オールビュー II」多波長・全方向・球状【Spherical】・デジタルカメラ・システム中距離における全高度帯域の赤外線画像 【IIR】、光学可視帯域、紫外線帯域での探知及び追尾機能をバトロイドに提供する。

なお、憲兵仕様の為、高度な録画及びプレイバック機能を装備している。
フィリップス IRS-2 画像認識システムGMPデータベースにデジタル無線接続し、容疑者の身元を明らかにし評価するために身分【identify】記録へのフル・アクセスを提供。
トムソン CSF LT-8多波長・レーザー光波測距儀とレーザー目標指示装置(ディジネーター)。
パルス・ドップラー・レーダー
【Pulse Doppler Radar】
レーダーが受信した信号にパルス連続処理とドップラー処理を加えるもので、ミキサーとバンドパス・フィルターを使用して目標物からの反射以外のものを排除するレーダー。地上や海面のクラッターなどを除去できる。

ドップラー技術を使用することで、目標の接近率を知ることもできる。

戦術電子戦システム【TEWS】

【 TEWS/Tactical Electronic Warfare System 】
  • セレーニア「グランド・ウォーリア」(地上の戦士)能動的/受動的・センサー妨害装置。

固定武装

  • 1基のテザー・ガン【TASER-Gun】:左手首に装着、50 kVの電撃を送り込むことが可能。わが国で言うスタン・ガン相当。
  • 容疑者を気絶させることが出来る有効半径は約10 m。
  • なお、距離や導通体によって電撃を調整する「出力制限・調整器」(リミッター・アジャスター)付で容疑者を殺さずに逮捕するよう設計されている。

手持武器

EU-17 粒子ビームガンポッド1基。このこのガンポッドは、1回の発火当たり 2MJ のエネルギー・パルスを発射可能で、発射速度は毎分最大50回。

これはゴーレムに割り当てられた標準ガンポッドで、他のバトロイド用標準ガンポッドは大き過ぎ、より小型なゴーレムに於いては有効に使用することが出来ない。
GUP-2 戦術警察ガンポッド1基。各々が結合された「 20mm 自動砲、及び同軸40mmの擲弾筒(グレネード・ランチャー)」。

自動砲は、ビーンバッグ(※1)のような低速暴動コントロール弾薬を発射することが可能。

ラバー被覆(※2)された「膝撃ち木製弾丸」(ニー・ノッカー/ knee knockers)と同様に、タングステン被覆された劣化ウランの装弾筒付徹甲弾(そうだんとうつきてっこうだん)【Armor Piercing Spin-Stabilized Discarding Sabot (APSSDS)】も、曳光弾【Tracer】を一定の割合で混ぜて(※3)使われた。
擲弾筒は催涙ガスを利用可能で、他に煙(スモーク)弾、動きを封じる泡、OC(ペッパー・スプレー)、有害火力を抑制した弾丸(弱装薬弾=fire suppressant rounds)を使用可能で、戦闘用弾丸はHE、HEAT(HEAP/※4)および対人員用弾丸を含んでいた。
携行弾容量はそれぞれ100発の20mm銃弾、20発の手投弾(グレネード)だった。

  • ※1ビーンバッグ 【Bean Bag】 : 小さな玉で満たされたナイロンバッグを打ち出す。殺傷能力が低いので野生生物保護団体で使用する 。
  • ※2ゴム弾【Rubber bullet】: 弾頭を硬質ゴムで作成した弾丸。多くの場合、弾丸は切れ目の有る円筒状で先端にくぼみがあり、発射されると先端のくぼみが受ける風圧で切れ目に沿って十字形に開いて飛翔する。
    弾丸の重量やその構造上、有効射程が短く、目標に対して弾丸が貫通することがないので非致死性兵器として扱われる。
    しかし、至近距離では十分な殺傷力があり、目標にヘビー級プロボクサーのパンチ並みの衝撃を与えるうえ、数m以内では皮膚を貫通する威力のものがほとんどのため、当たり所によっては目標が死亡することも十分あり得る。
    この特性を生かして大型獣の撃退、警察や軍隊による暴徒鎮圧などに用いられる。
  • ※3 徹甲榴弾【 High Explosive Armor Piercing / HEAP 】と曳光弾【Tracer】を一定割合で混合。 この火器はインビッドには効果的だが、それ以外には威力不足で、サザンクロス軍ではあまり使用されなかった。
  • ※4 徹甲榴弾:【 High Explosive Armor Piercing / HEAP 】(又は倒置法にてAPHE)弾の事。
    徹甲弾の内部に炸薬を入れたもので、敵の装甲を貫いてから内部で爆発する弾種。
    着弾から時間差で爆発させるため底部に信管を設けてある。
    第二次世界大戦での艦船の主砲弾で、大口径砲では構造が簡素な割りには高性能だが、小型砲では炸薬の量が少なく、あまり効果的ではない為、現在あまり使われない。但し航空用機関砲では未だ現役である。

装甲

ゴーレム/ボビィの装甲は 新開発の低用量複合素材である。VQ-6Aバンダル(VFA-6レギオスの無人・人工知能型)以降適用後のすべての地球製機動兵器の規格になった低用量大規模複合材料チョバム【Chobham】装甲板である。
発射体、ミサイル、および他の動的な兵器に対して提供された立派な保護は別として、この装甲もプラズマ球(破壊半径)、レーザー、およびある程度の粒子銃砲に抵抗力がある。
これは装甲がそのような高エネルギー兵器から照射を受ける層で剥離して気化することで耐え得る意味で、発射された兵器のエネルギーの多くを吸収し、装甲の潜熱や昇華熱に変換する形である。

装甲は、全ての小火器、重歩兵砲の発砲、および軽機動兵器の標準的な固定火器を止め、中型の機動兵器装備の標準的な火器への良い抵抗を提供する。重機動兵器に装備されるような、例えば VF-1 バルキリーのヒューズ・GU-11 55mm 三連ロータリー滑腔【smooth-bore】ガンポッドのAPFSDS弾丸、VHTタンク系に装備のラインメタル105mmの無旋条砲弾丸については一定の距離以上にて、不十分ながらある程度の抵抗力を有する。

敵対的環境下での保護能力

パイロットの搭乗機能を持つ SPA-19 ボビィは、放射線および危険な化学センサーによって活性化された過圧コックピット・モジュールを使用して、核危険、生物学の危険および化学災害からの十分な保護を提供する。

生物戦条件が予想される場合、予め手動でフィルタを交換しなければならない。

NBCろ過システムは、最高1週間の浄化大気を提供することが可能である。
左より、核兵器・生物兵器・化学兵器(毒)の標識

開発・運用史

ヴィッカース plc社は、GMP【全領域(統合)憲兵軍】がその立場を強化するために SPR-19「ボビィ」を開発した。

しかし、「ボビィ」の開発は標準サイズの巨人ゼントラーディ兵士と歩調を合わせて警察任務を遂行すること*1を意味しなかった。

戦術師団および民間防衛組織が対処することが出来なかった多くの状況(それは以前にはあり得なかった多くの困難な状況であった)を扱うことは、GMPに存在理由と柔軟性を与えた。

GMPの英国人師団によって「ボビィ」と愛称で呼ばれたSPR-19は、暴動鎮圧警察作用と共に、暴動制御の役割をすることが可能だった。

それは爆破予告および爆発物処理の対処においても有用だった。





「ボビィ」(おまわりさん = 巡査の意)は、「M-11 装甲警察車」のような、過去に憲兵隊によって使用された、従来型装甲車より有効な「広義の意味でのパトロール車輌」であり、サージブレーカー【siege breaker】(回路配線用遮断器)的役割を果たした。

危機に際しては、この機体はGMP騎兵が標準規模、人類観点で云う巨人ゼントラーディ兵士に対して、格闘戦での機敏さを犠牲にせずに、彼らを制圧出来る充分な武器を装着可能なプラットフォームを提供すると共に、肉体的なサイズの劣勢を埋め合わせ、法の執行を『適正に継続して執行可能』な強化服を提供した。

GMPは「ボビイ」が重火力支援を、他の軍事部隊の出動要請に依存することを黙認した。

さらに、このシステムを使用する場合、GMPは、戦術機甲師団の「MBR-13サラマンダ」または都市防衛組織の 地上戦用の軽「バトロイド」MDR-17 ユニコーン小隊で実行可能な任務の下位部分の任務を自ら執行する事が出来た。

有用で柔軟性のある自律型 SPR-19 がそうであるとともに、これらのアーマースーツ(警察ロボット)は大量生産されなかった。

GMP側ではこれを禁止する要因として、維持費用が掛かることを挙げたが、しかし推理の線上にある直接の理由は、QPR-19「ゴーレム」のより多くの生産と新たな派生型の開発がGMPの『少数精鋭の決定』そのものと衝突することにあった。

S.C.A.R【Scientific Committee on Academic Research = 学術研究科学委員会】は、その時点で執心のプロジェクトに没頭していた。

公平かつ単一の寛大な研究助成金を得て、彼らは完全な GMP兵士 を提供する為に人工知能を実験した。

「そうすることが出来るものであれば、彼ら雇用されたゼントラーディ人警備兵らは、問題無く命令に従い、法律を客観的に実施し、時間外につき5割増の給金で働くだろう。しかし現実はそうでない」

ここに人工知能による GMP専属の「機械化巨人兵士」の需要があった。

「機械化巨人兵士」ならではの利点として、より重要なことは、そのより高い命令権威に背(そむ)かせることが出来ない、命令違反が原理的に起こり得ない事だった。

第一次星間大戦時に「異星人戦闘要塞艦 シアン・マクロスのコンピューター上で行なわれた研究から続いて、彼らは、警察作戦行動に使用可能な無人バトロイドを開発しようとした。

開発費用を節減し、かつ開発そのものの進展を促進するために、それらは、ロボットの本体ハードウェアとして既存のGMP「SPA-19・パワーアーマー」を流用することにした。

GMP研究者はそのASAVAN「シャドウ・ドローン」(それらは識別知能に劣り、これを獲得させるのに例えていうなら巨人サイズのドイツのシェパード犬より多くの教育資源(リソース)を消費した)の為に、代替として遠征艦隊軍【UEEF, 旧称:REF】によってその後選ばれた、人間と殆ど同等に知的で、完全に再帰的な意識を所有していたロボットを開発した。

しかし、「一方を追求すれば、他方を犠牲にせざるを得ない」という「二律背反の結果」(トレード・オフ)は、GMPの最終結果の製品が「有効な格闘義務には判断時間が遅すぎ、動きが重々しい」という問題点が有ることが判明した。

単に非常に多くの処理パワーが相対的に非常に小さい筐体(パッケージ)に詰め込まれ、「ゴーレム」は規則を引用し、違反者を識別する可能性があり、『愚鈍(ぐどん)にも関わらず学者ぶっている』ので、当初の「権威を持った憲兵人工知能」【AI】を産み出すという目論見は当てが外れたけれども、警察義務の独立作用が辛うじて可能ではあった。

ロボットは動作に対して明示的な指示を必要とした。

また、多くの事故を引き起こす出来事は、憲兵指揮将校の指令(コマンド)中の詳細の省略によって引き起こされた。

良い例えとしては、それを、20世紀後半の「ディープブルー・チェス・コンピューター」と比較するだろう。

ゴーレムの人工知能【A.I.】は高度の分析的な判断を持っていたが、最終的な決定に至るまでに、その判断に要した処理時間は1秒から数秒を測定出来た。

しかしこれは、戦闘状況で機動戦闘に熱望する処理時間としては、公平に言って未だ長すぎた。

その為GMPは現場で、このバトロイドの学習機能を開発し、人工知能【A.I.】に案内を提供することが出来る操作員(オペレーター)と この警察ロボットをしばしば相棒や伴侶(コンビまたはペア)にした。

予想通り、彼ら彼女ら操作員の多くは、知能、及び教育機関がそれぞれ時間を掛けて教育した歴史上の個々の著名人のように、各ゴーレムの付属する専任の教育指導員(オペレーター)がそれらのゴーレムに「専任の家庭教師」宜しく優しく付けられるようになった。

そうして、彼ら彼女ら同士の関係は、K9ペット・トレーニング・ゲームの教育者と彼らの「飼い犬」(警察犬)と同様な状態になった。

ゴーレムは、サザンクロス軍の最高司令部【Head Quater】が、「機密情報に晒(さら)される“兵籍下の兵士数”を最低限にしたかった」ので、ID登録されている兵士、又は在籍外の何者かが射撃されるというプロトコル結果のどんな二律背反のエラーも受諾することが可能な事から、極めて高い防犯設備の為に、本来殆ど必要とされなかった警備(セキュリテイ)任務をも補強する為に、ゴーレムは頻繁に割り当てられた。

その他のバトロイドに較べて小規模な筐体(ボディ)を理由としてゴーレムは、他のサザンクロス軍の標準型地上戦用・非可変バトロイド用に開発された標準ガンポッドを有効に使用することが出来なかった。

その代替として、より小型の EU-17 粒子ビーム・ガンポッドを使用した。

GMP警察ロボット「ゴーレム」は西暦2023年に最初の1体が導入され、惑星グロリエの最高指揮権が絶望的になると共に対ゾル戦争の後半で広範囲に使用された。

サザンクロス軍の戦局の悪化と共にゴーレムは、従来は「消耗部隊」として看みられていた種類の支援部隊の任務にさえ廻されるようになり、戦場での最悪の任務をしばしば与えられ、遅いプロトコル反応時間によって、高損耗率の最悪の結果を引き起こし、相棒(ペア)として充てがわれた操作員や、「専任の家庭教師」としてこれらを教育した専門の教育指導員(オペレーター)達は惜別の情を込めてそれらを、「彼らの死亡」、「彼らの高死亡率」と名づけ、その犠牲を追悼して、遂には「葬儀」さえ日常的に行われた。

ゴーレムの残された僅かな数十体も、戦局の悪化により戦術師団によって「地雷除去作業」や「戦場土木任務」に徴用・使役され、更にはインビッド侵攻により激しい消耗を受けて、西暦2066年現在、完全に稼動するゴーレムは殆ど残っていない。

僅(わず)かに、「ハーツヴィル市」の『平和祈念&私設法律図書館』に QPR-19(S)ゴーレム【製造番号 QPR₋G0027】、個別ペットネーム デニス・ブラウン 【 Dennis Brown 】が有志の努力の結果としての、絶え間ない整備調整(メンテナンス)により動態保存されているのみである。

なお余談だが、現在の所有者(オーナー)は、去る対インビッド・地球解放大戦で憲兵隊少尉(除隊時最終階級は中佐)だった「ラーナ・イザヴィア」女史で、上記ペットネームは許婚者(フィアンセ、大戦では無く、その後の小規模戦闘で行方不明。)の名もって命名したとする説もあるが、本人は否定している。

子記事(再掲載)

原典解説(英語)

関連項目

個人と組織
メカニクス

【親項目】