1949年1月の「 YRB-49
*2計画」(偵察型 YB-49 ) 中止により、遂に
全翼機の夢敗れたジャックは1952年に航空工業界を引退、以後
ノースロップ・コーポレーション社と関係することなく、
カリフォルニア州の
サンタバーバラでその余生を過ごしました。
彼は晩年
パーキンソン病に犯され余命幾ばくもないという状態だったのですが、1980年4月
ノースロップ・コーポレーション社に久々に招かれ、ある箱を手渡されました。
その中には、軍の特別許可を得て同社の首脳陣がジャックにプレセントした、当時極秘裏に開発が進められていた
B-2 スピリットの模型が入っていたのです。
それを見た彼は、こう呟きました。
"Now I know why God has kept me alivefor the last 25 years."
何故に“神”が私に対して、残り25年間”を生かしてくれたのか、その理由が今こそ分かったよ・・・
それには
XB/YB-35のようなプロペラ・基部収納整形突起(ハウジング)も無く、
YB-49のように垂直フィンもない、ジャックが長年夢見ていた純粋(ピュア)な全翼機だったのです。
1981年2月18日、ジャックはその85年の生涯を、カリフォルニア州サンタバーバラの病院で閉じました。
友人
ドナルド・ウィルズ・ダグラス【Donald Wills Douglas, Sr.】(元ダグラス社社長)は、その死に寄せて、こう追悼の意を表しました。
"Every major airplane in the skies today has some of Jack Northrop in it."
『今日、空にある主な航空機のそれぞれに、何らかのジャック・ノースロップ(の魂)が宿る。』
下は
サンディエゴの
サンディエゴ航空宇宙博物館【San Diego Aerospace Museum】にある『航空宇宙名誉殿堂』【"
Aerospace Hall of Fame"】に飾られているジャックの肖像です。
背景に初期の開発機体である
ノースロップ・アルファ【Northrop Alfa】等と共に
YB-49 フライング・ウィング【FLYING WING】が描かれています。