ホイミンその12
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asahikun25 2011年04月11日(月) 09:53:58履歴
《イシスの国にて》
「こっちの大陸は大きな砂漠があるんだぜ。この町はオアシスだな」
「ボクさばくってはじめたみたよ。あれぜ〜んぶすなだなんてすごいなあ……」
「たぶん勇者達はピラミッドに行こうとしてるんだろうな」
「ピラミッドってなあに？」
「昔の王様の墓…って話らしい。色んなお宝も一緒に眠ってるんだとさ。
そこに伝説の防具があるって噂だ。まあドロボウ避けにトラップやら魔物が
うようよしてる超危険地帯だけどな。あいつら生きて帰って来れるかな？」
「くさったしたい、ミイラおとこ、がいこつへい、ゴーストのパーティができたら
おもしろいね！まおうをたおしたらきっとりっぱなおはかをつくってくれるよ！」
「ヒドイなホイミン………」
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《ピラミッドの前まで来ました》
「酒場で聞いた噂によると勇者達はここに毎日挑戦してるらしいな。
結構手こずってるらしい。いつもボロボロになって宿屋に帰ってくるそうだ」
「中にはいってみたいけど、ちょっと怖いね」
「外にまですげえ嫌〜な気配がただよってるぜ……。俺は絶対入らねーぞ……」
「はあ〜…それにしてもおっきなたてものだねぇ〜。まるでやまみたいだよ」
「あんましウロウロしてんなよホイミン。砂漠はただでさえ魔物が多いんだ。
昨日みたく地獄のはさみに触手をちょん切られそうになっても知らねーぞ」
「わ、わかってるよう……。ちょっとだけけんぶつしてるの！………あれ？
ここのいしだけなんかいろがちょっとちがうね。なんだろう……コンコン…」
【ゴトッ…！なんといしがうごいてちかへのいりぐちがあらわれた！】
「おいっ…！ホイミン何があった！？大丈夫か！？」
「だ、だいじょうぶ。ボクはへいきだよ。ちょっとびっくりしただけ………」
「良かった……。それにしても色んな仕掛けがあるダンジョンだぜ。おっかねぇ…」
「ねぇ…○○さん。ちょっとこのかいだんおりてみない？ちょっとみるだけだから！」
「よせよせホイミン。きっと中は罠でいっぱ……って無視して行くなあぁぁ…！！」
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《ピラミッド地下フロア》
「うわあああ〜！なにこれ？なにこれ！？たからばこがいーーーっぱい！！！」
「インパス……！あれ？魔法が使えねー……呪文封じの結界が張ってあるのか？
ホイミン……これは罠だ。トラップだ。ミミックだ。人食い箱だ。おそらくこれ全部な」
「そんなあ……。たからものをみつけたとおもったのにぃ〜………がっかり……」
「世の中そんなに甘くねーぜホイミン。さ、もう気が済んだろ？とっとと地上に戻ろう」
「まって！そういえばまちのこどもたちがなにかうたってたよ！えっとお……
『さんかくやねしたやどやさん♪ まもののベッドははこのなか♪
うっかりおこすとたべられちゃう♪ あるひやどやのおかみさん♪
へそくりないしょでかくしたよ♪ まもののベッドにいれました♪
だんなにばれたらさあたいへん♪ にひきのネコにみはらせた♪』 だったかな？」
「よく覚えてるな…。その歌の内容からしてこの部屋のことっぽいが……ネコ？」
「あっ！○○さん！あっちにネコのせきぞうおいてあるよ！」
「ほんとだ…。でも歌には二匹って……あっ！ここの壁には猫の絵が描いてあるぞ！
二匹の猫に見張らせる……、猫の石像と壁画の猫の視線が交差する場所は……と、
ここだ！もしかしてこの宝箱が『当たり』……なのか？開けたくないが……ってオイッ！」
【ホイミンはたからばこをあけた！なかになにかはいっていた！】
「コラァアァァァ……！イキナリ開けんな！罠だったらどうするつもりだ！！」
「なにこれ？ボロボロのふくにぼうし…。それにきったないつえ……これがたからもの？」
「人の話を聞け！……ったく……ん？箱の底になにか書いてあるな。なになに…？
『老いぼれのローブ、加齢臭の帽子、老害の杖。古の魔道士の最強装備ここに眠る』」
「これっていいものなの？そうはみえないけど……」
「う〜ん。見てくれは悪いが手にとってみると強い魔力を感じるな……。本物かもしれん」
「でもこんなのボクそうびしたくないよ……○○さんもきちゃいやだ……なんかくさいし……」
「これ装備するくらいなら普通の布の服の方が全然ましだな。呪いで老化しそうだぜ……。
勇者のとこのジジィにくれてやるのが一番だな。アイツらの泊まってる宿屋に捨てに行こう」
「『でんせつのぼうぐ』ってこれのことなのかなあ…？」
「どうだろうなあ……ま、とにかくもう町に帰ろうぜ。今日は疲れたわ…………ん？
おい、あそこにブッ倒れてるのもしかして………やっぱり！勇者のとこの死体だ！」
「むこうからじゅんばんにいくつもたからばこ…っていうかひとくいばこがあいてるね……。
もしかしてこれぜんぶしたいがひとりであけていったのかなあ……？とりあえずベホマ！」
「しぱらく目ぇ覚ましそうにないな。ここは他に魔物の気配もしないしそっとしといてやるか。
しかし…インパスが使えないからって、こいつ一人に片っぱしから空けさせるとは……。
いくら死体の防具の守備力が高いからって人食い箱とミミック相手じゃ相当キツイぞ…」
「このままつづけたらかわいそうだから、このあいてるはこにさっきのそうびいれておこう…」
「どうだろうな…。あの勇者達のことだ。全部の箱空け終わるまで続けさすかもしれん……」
※1ヶ月後、勇者はピラミッド頂上で『ピングーの盾』を手に入れたそうです。
そしてじいさんは大幅に戦力アップ。死体は結局全部の箱を空けさせられました。
《小さなオアシスの宿》
「ホイミン、ここの裏にある小さな泉は泳いでもいいそうだぞ」
「ホント？わ〜い！ボクみずぎをきておよぎたいよ！」
「水着？お前水着なんて持ってないだろ」
「むこうのおみせでうってたよ！にんげんはみずぎをきておよぐんでしょ？
ボクもたまにはにんげんになっておよぎたいよ！ちょっとかってくるね！」
「あ、コラッ…！ホイミンちょっ……！………行っちまった………」
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《そして一時間後………》
「ホイミン……これはダメだ！この水着は絶対ダメッ……！」
「ええっ…何でっ…！？どうしてダメなの！？」
「バカッ…！見りゃ分かんだろ！こんなエロ…いや、きわどい水着……」
「だって○○さん、こんな下着好きでしょ？夜付けるといつも喜ぶし……。
だから水着もわざわざ似てるの買ってきたのに………なんでダメなの？」
「下着と水着は全然違うの！下着は……あー…お、俺だけしか見ないけど、
こんな水着着て外で水浴びしたら、他の男にも見られちまうじゃねーか！」
「見られちゃダメなの？」
「ったりめーだろ……！！」
「う〜ん…よく分かんないけど分かったよう……。じゃ、これ脱ぐね……」
「…………いや、ちょっと待てホイミン………」
「なあに？」
「あ〜…その、なんだ？せっかく買ったのに勿体無いっちゃ勿体無いし……。
表の泉はダメだけど……この部屋の風呂場なら……まあ……許可してやる」
「え〜…いいよ別に……。お風呂なんかいつでも入れるし」
「まあまあ…そう言わずに……。こっち来いってホイミン………」
「………○○さんこの手なあに？……あっ！ちょ………あんっ……！」
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《それから数日後……》
「ホイミン、あの水着どうした？」
「さっきおつかいに行ったついでに道具屋さんに買い取ってもらってきたよ。
もういらないし……。でも不思議なんだよ〜。中古品って武器でも防具でも
安くなるでしょ？でもあの水着、買った時の二倍の値段で売れたんだよね」
「……………お前、自分が着たものだって言ったのか？」
「うん！ウソつくの良くないからね！！」
「…………………………」
※相棒はこの後全速力で買戻しに行きましたが手遅れでした。
《大きな川の畔にて》
「わ〜！○○さん！じゅうたんがいっぱいとんでるよ！かわをわたってる！」
「おお〜。これがイシス名物の『魔法の絨毯の渡し船』か。壮観だな……。
この大陸は毎年雨季がやってきてデカイ川に橋を架けても流されちまう。
おまけによほど大きな船でもないと川に住んでるワニにやられちまうらしい。
ワニは魔物並にヤバイけど魔物じゃないから聖水が効かないからな〜。
だからこうやって絨毯で川を渡るのが一番なんだと。観光パンフに載ってた」
「まちでもあのじゅうたんがとんでるのたまにみかけたね」
「この大陸は砂漠や湿地帯が多くて徒歩の旅が結構キツイからな。
金に余裕のある旅の商人やら冒険者も持ってたりするけど、
あの絨毯は乗ってる奴の魔法力を吸いとって原動力にしてるんだ。
大体、大人1人乗せて1�卮瑤屬里法▲曠ぅ�2回分くらいの魔法力がいるらしい」
「ええ〜！？もっとらくなのりものかとおもってた…。けっこうつかれるんだね……」
「何人も乗ったらその重さ分魔法力がいるし、さらに高く早く飛ぼうとしたらなおさらな」
「だからあんなにひくく、ゆっくりとんでるんだね……」
「ここぞってとこでしか使えないな。町であの絨毯に乗ってるのは貴族とか金持ちだよ。
運転手に魔法使いを雇ってるんだ。普通の人間があれに乗ったら逆に疲れちまうぜ」
「もしもし、お兄さん旅の人だね。どうだい？その魔法の絨毯買っていかないかい？」
「ん？おっさん絨毯屋か？確かにあったら便利だけどめちゃめちゃ高いだろ。
個人で持ってる奴なんか結構な金持ちじゃねーか。俺達にはちょっと無理だぜ」
「確かに渡し船代わりに使う業務用のデカイのは200000ゴールドもするし、
4、5人乗りの個人用だって40000ゴールドはするからな。でもねぇ、お兄さん……
実は掘り出し物があるのさ！これ！古いものだし、オマケして2000ゴールドでどう？」
「○○さん！ボクそらとぶじゅうたんほしいよ〜！かってかって！」
「ちょ…！ホイミン待てって！いくら中古品でも安すぎるぜ……。怪しいな……。
おっさん、実はそれ呪われてるだろ？乗ったら最後、命まで吸い取られるとか……」
「ま、疑われるのも無理は無いですがね。実はこの絨毯、乗る人を選ぶんですわ」
「は………？」
「何せ魔法のアイテムなもんでね。長い年月が経って自分の意思が生まれたらしく、
気に入らない人間が乗ったらすぐに振り落としてしまうのだよ。全く困ったもんだ……」
「そーいうこともあるもんなのか………」
「ま、というわけでとりあえず安いから買う人がいても、すぐに返品されてしまうのよ」
「どういうひとならこのじゅうたんさんはのせてくれるのかな？」
「試しに乗ってみるか？人間はダメでもホイミスライムなら乗せてくれるかもしれん」
「じゅうたんさん！おねがいします！ボクそらをとんでみたいの……。えいっ……！
【なんと！まほうのじゅうたんはホイミンをのせてきもちよさそうにそらをとんでいる！】
「………わあっ！とんだ！とんだよ○○さん！うわあぁい！じゅうたんさんありがとう！」
「アレがあんなに飛ぶなんて……。どうやらお連れさん、相当気に入られたみたいだね。
よし！500ゴールドでいいよ。あのかわいいホイミスライムにプレゼントしてやんな兄さん」
「いいのかおっさん？いくらワケあり商品でもそれじゃ安すすぎんだろ」
「いいってことよ。あの絨毯だってようやく自分の主を得て喜んでる。俺も嬉しいよ」
「すまねぇな。じゃあこれ500ゴールド。大事に使わせてもらうぜ」
「毎度！じゃ、お客さん、よい旅を！」
「じゅうたんさん！○○さんものせてあげて！おねがい！ボクのだいじなあいぼうなの！」
「うっ…お、俺はいいってホイミン！」
【まほうのじゅうたんはすーっとあいぼうのまえにとんできてぴたりととまった！】
「わーい！のせてくれるみたいだよ！よかったね○○さん！じゅうたんさんありがとう！」
「うう……南無三！！…………おっ……？なんか大丈夫みてーだな………ホッ………」
【まほうのじゅうたんはホイミンとあいぼうをのせてたのしそうにそらをとんでいる！】
「おお…いい人に買われて良かったなあ絨毯よ……。先週勇者様達をお乗せしたときは、
川の途中で振り落としたりしてどうなることかと思ったけど………。本当に良かったな！」
※勇者に燃やされそうになりましたが、お金がもったいないので無事に返品されたそうです。