| 夜のお屋敷 |
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| イツキ で、で、で、出たぁーーーーーー!! |
| 心霊探偵ナナミ イツキさん、やりましたね〜! 夜の幽霊捜査は見事、成功なのれす〜! |
| イツキ おお、お、落ち着いてないでっ、 は、はは、早く退治してくださいーっ。 |
| 心霊探偵ナナミ ふむふむ〜、それもそうれすね〜。 それじゃあ〜……。 |
| ??? ちょ、ちょちょっ、 ちょっと待って……! |
| イツキ しゃべったーっ! |
| 心霊探偵ナナミ 幽霊らって喋りますよ〜。 元は人間れすし〜。 |
| イツキ そんな悠長にしてていいんですか!? だって、相手は幽霊だし、 もしかしたら呪ってきたりとか、 襲ってきたりとか……! |
| ??? わ、私…そんなこと……! |
| 心霊探偵ナナミ ご安心ご安心〜。それに、 悪い霊じゃなさそうれすし〜、 話を聞いてみましょう〜。 |
| ??? あ…ありがとう、ございます……! |
| ??? 私、ホタルって言います。 |
| 心霊探偵ナナミ 心霊探偵ナナミれす〜。 こちらは、このお屋敷の家主、 イツキさんれす〜。 |
| ホタル 家主さん……じゃあ、私のせいで 困ってるんですね? ううっ、ごめんなさい……。 |
| イツキ 「私のせい」って……じゃあ、 やっぱりあなたが!? |
| ホタル いえっ! あ、えっと…… 私のせいではあるんですけど、その…… 直接何かしたわけじゃなくて、 ええっと……。 |
| 心霊探偵ナナミ はは〜ん。さては、ホタルさん。ズバリ、 あなたは不幸を呼び寄せてしまう 体質なのれは? |
| ホタル 不幸を呼び寄せる……たしかに、 そうかもしれません。生前から、 そんなことばかりで……。 |
| イツキ ……あっ、と……なんか、ごめんね? 元気だして、ほらっ! |
| ホタル ふふっ……。私の姉も、そうやって…… よく励ましてくれました。 |
| イツキ お姉さんがいたの? |
| ホタル はい。とても仲の良い姉が。 でも、その姉も……あの日、 私があんなことをしなければ……! |
| 心霊探偵ナナミ あんなこと? |
| ホタル あの日、私は験担ぎにカツ丼を作ってました。 |
| ホタル 国産豚ロースを使って……けど、 それを横から姉が『味見っ☆』 とヒョイパクヒョイパク。 |
| イツキ あー、運動した後とかだと、 お腹ペコペコでついついお行儀 悪くなっちゃいますよね。わかる! |
| ホタル 私……つい、姉を叱ってしまって。 そうしたら、驚いた姉はカツを 喉に詰まらせて……そのまま……。 |
| 心霊探偵ナナミ 海鮮丼なら防げたかもしれない 悲しい事故れすね……。 |
| ホタル それから私は泣き暮らし…… 注意力も落ちていたある日、 箪笥の角に指をぶつけ、 落ちてきたタライで頭を打ち、 足を滑らせ……。 |
| 心霊探偵ナナミ ホタルさんもまた、 事故で亡くなってしまった……と。 |
| ホタル 気づくと私は、この屋敷で 地縛霊になっていました。 姉に謝りたいという一心で……。 |
| 心霊探偵ナナミ なるほろ〜。ホタルさんは、 お姉さんに思いを伝えたいんれすね〜! |
| 心霊探偵ナナミ なら、この心霊探偵ナナミが お手伝いしましょ〜♪ |
| 心霊探偵ナナミ ホタルさんの願いも叶いますし〜、 ホタルさんの願いが叶えば成仏も 夢じゃないれすからね〜。 |
| イツキ 成仏……ってことは、怪奇現象もなくなる!? |
| 心霊探偵ナナミ そういうことれす〜。 |
| 心霊探偵ナナミ 早速、お姉さんを探してみましょ〜。 まずは、このお屋敷がヒントに なりそうれすね〜。 |
| イツキ それなら、家主の私が案内するねっ。 ホタルちゃん、一緒にお姉さんを 探しましょう☆ |
| ホタル お二人とも…… ありがとうございます! |
| ホタル よろしく、お願いししますっ。 |