当wikiはアニメ、覇穹封神演義を検証するwikiです。

◆脚本:大草芳樹 ◆絵コンテ:葛谷直行 ◆演出:いわたかずや ◆作画監督:大高雄太・小田真弓・田中 穣

十天君のリーダー・王天君の予期せぬ手助けによって、金鰲島のバリア解除に成功した楊戩。崑崙山と金鰲島の衝突によって、戦況も一変する。
張天君との戦いによってボロボロの楊戩を救出するため、金鰲島潜入を決意する太公望。
一方の金鰲島でも、太公望の来襲を予期する王天君が、十天君を使って迎え撃つ作戦を立てていた。
太公望と四不象、そして楊戩の師である崑崙十二仙・玉鼎真人による楊戩救出作戦が始まる。

(アニメ公式サイトから引用)


何故この冒頭


またもや不評に継ぐ不評の冒頭ネタバレが挟まれたが、内容について特筆したい。
封神計画の裏に言及する王天君だったが、これまでにアニメでは封神計画の様々な穴や裏に全くノータッチなためここでいきなり言及されても視聴者としてはまったくついていけない。
本来ならば伯邑候封神について、太公望が封神計画の疑惑に気づくべきだったが太公望はスルーしたため、またもや太公望がアホなキャラになってしまっている。

原作ネタバレ

バリア解除を躊躇う


前回では楊戩が王天君の言葉に惑わされ、制限時間ギリギリまで無言で迷ったらしき素振りを見せたのち、そのまま解除スイッチを押さずに終わる。
こういう展開を見せたならば、続く場面ではその躊躇した理由、そして躊躇を止めてスイッチを押すことに決めた理由を何らかの形で見せるのが常道である。
だがその続きとなる九話前半の楊戩は何も語らず、スイッチを押す直前に一度静止した後、すぐに押し、その後の場面では体力を消耗したので一旦どこかに隠れようと思案するだけであった。

原作との違い


王天君の語りを追加した前回と、王天君に反論しなかった楊戩という今回の改変内容が今後の覇穹オリジナルの描写に関わってくるとすれば総合的な良し悪しはまだ判断できないが、何にせよ前回からのヒキ演出の結果のみを見れば消化不良気味でよろしくないという評価が大勢になるだろう。

竜吉公主


崑崙山の運転をしていた竜吉公主に声をかける太公望だが、彼女がどんな仙人で何故疲労が激しいのかはとくに説明はない。
彼女の疲労は運転のためだけではないし、崑崙山でもトップクラスの実力をもつおいしいキャラクターなのだが……。

金鰲島の天化


崑崙山出身の道士にも関わらず、なぜか仙界大戦編ではこれまで全く現れなかった黄天化が、なぜか父の黄飛虎だけでなく例の三姉妹とも一緒に、なぜか金鰲島内にて久々の登場を果たした。
だがすべてに対し何の説明もなく、更に意味深な傷に関する会話を通じてなぜか負傷していることが判明し、不穏な展開を予感させる。

いつの間にか致命傷


原作でも黄天化にとって命運を分けることになった左脇腹の呪いの傷だが、この負傷の経緯が描かれる趙公明編がカットされたアニメでは誰からいつ受けた傷なのかは不明である。
覇穹の本編を遡ると、天化が手傷を負ったのは五話の聞仲の禁鞭による攻撃になるが、もしかしたらDVD特典の黄家の血という特典エピソードのため、天化の傷を受けたシーンはカットしたのではないか?とも噂されているが真偽は不明である。

原作の経緯



怪我をしたシーンがまるまるカットされたのに、致命傷は受けるという間抜けな展開にファンとしては何とも残念な結果となった。

謎のキャラ雲霄三姉妹


天化たちに金鰲島の説明をする新キャラクター雲霄三姉妹だが、キャラクターの背景も説明もないため何故天化たちと一緒にいるのか、なぜ金鰲島に詳しいのかがまったくわからない。

しかも「太古の昔から3という数字にはセクシーな意味合いが込められていると言うわ」で始まる語りは、どういうわけか七話の荒野で初登場したときに話したものとほぼ同じ内容である(七話ではビーナスから喋り始めるが、今回九話では台詞が入れ替わって同じ台詞をクイーンの方から語り出す)。
本人たちは「まぁ!」と、さも初めて耳にしたかのような反応の芝居を繰り返しているあたり、これは雑談ではなく定型文に従う呪文の詠唱か何かなのか?
カットした展開が元になっている台詞を修正しないのはこれまで散々犯されてきた覇穹の日常だが、ほぼ同じ台詞をカットせず大した理由も無いまま使い回すという事態まで起こるとは誰が予想できただろうか。
計算した演出でないとすれば、脚本のチェック体制は無論、声優の収録現場でも何が起こっているのか色々悪い想像をさせられる。

なお、彼女たちのプロフィールについては七話の「雲?霄??三姉妹???」の項目を参照されたし。

黄天祥が消える


原作では黄天化の弟で黄飛虎の四男・黄天祥も金鰲島へ三姉妹の手を借りて突入していたのだが、なぜか覇穹では不在である。

彼はまだ年少ながら、父の黄飛虎や武吉と同様に天然道士の才能を持ち、妖怪仙人とも立派に戦える戦士なのだが、覇穹では彼の初陣が描かれる趙公明の召使との戦いを省いてしまっているので、なぜ子供の彼が敵地に乗り込んでも許されるのか説明がつかなくなった。画面から消されてしまったのはこのためだろうか。

…ならば非戦闘員だった兄の黄天禄や黄天爵と同様、覇穹四話でも最初から登場させなければ良かったのでは?
いくら稚拙な翻案を連発する覇穹とは言え、わざわざ天祥役の声優を雇って天祥のアニメ絵を描かせるよりは、脇役に過ぎない天祥のキャラクター設定を変える方がよほどラクなはずなのだが。

飛刀も消える

上述のカットされた趙公明編では、原作なら黄飛虎が戦いを通じて「飛刀(ひとう)」という大剣型の喋る妖精を手に入れて持ち歩くようになるのだが、覇穹では六話以来の登場となった黄飛虎の手に飛刀は無かった。つまり覇穹第一話で確認できた小さいままの打神鞭同様、趙公明編での出来事は起きていなかったものと解釈するべきである…
いやいや、趙公明の妹たちは仲間に加入しているし天化は呪いの傷を負っている。四不象の宝玉も無い…一体趙公明編の扱いはどう処理されているのか?

原作の飛刀は、黄飛虎一家の次の登場シーン(恐らく覇穹なら十一話か十二話)となる十天君の一名との戦いで非常に重要な活躍をすることになるのだが、どう翻案されるのか非常に楽しみである。色んな意味で。

わけわかんねぇ!


天化の原因不明の傷と謎のキャラクターのパーティインに視聴者の理解が追いつかない中、黄飛虎が発した台詞である。見事に視聴者と黄飛虎の思考がリンクした瞬間だった。


やはりわけわかんねぇ!


そもそもこの場面は黄飛虎とビーナスの会話が成立していない。
で? これからどうするよ?
と、潜入した金鰲島内での行動計画について相談しようとする黄飛虎に対し、ビーナスはなぜか、
下をご覧になって。
と言って黄飛虎が聞いてもいない金鰲島の「核」について説明を始める

途中で黄天化からの十天君に関する質問にも答えると黄飛虎が「わけわかんねぇ!」と感想を述べ、ビーナスが彼らの武器・十絶陣の入口となる八卦図を警戒して欲しい、と結んでこの場面は終わってしまう。これでは彼らが「これからどうする?」のかわけわかんねぇ!
しかもこんなやりとりでは「わけわかんねぇ!」という感想が十絶陣の不気味さについてのみならず、話が通じないビーナスのキャラクターについて言及しているようにさえ聞こえてわけわかんねぇ!
ビーナスには原作12巻でミスをする彼女に怒った妹クイーンの台詞「脳ミソまで筋肉になったの!!?」を贈りたい。

この破綻の原因は、本来なら蝉玉のものだった、太公望と玉鼎真人に金鰲島内部の構造を道案内役として説明する台詞を代わりにビーナスへ割り振ったためである。蝉玉の存在を抹消しつつ、核を見て「聞仲」に反応する黄飛虎の表情を描きたくてこう変えたのかもしれないが、せめて会話が成り立つよう必要な言葉を補充できなかったのか。とにかく今回の話はあれもこれもなにもかもわけわかんねーのである。

人形として初登場した蝉玉


孫天君の操り人形として蝉玉が初登場となった。
原作では貴重な女性キャラクターだったが、もちろん操り人形のため自らの意思で喋ることもできない。雷震子の翼のような扱いのキャラクターに涙を禁じ得ない。

ちなみに、彼女の本名は「トウセンギョク」だが、本wikiではトウの漢字が正しい表示にならないため「蝉玉(センギョク)」とだけ表記する。

なお、蝉玉人形と対面しても太公望たちは身内に向ける反応を一切しないので、翼だけになった雷震子や鉢植えになっていた趙公明とは違い、覇穹の画面に現れない物語のどこかで会っていた、という可能性は完全に否定される。
・・・と思われていたのだが!(→第十一話のページを参照)

原作での蝉玉


孫天君との戦いでの蝉玉

「敵と遊べるかダアホ!」


九話のメインは二人目の金鰲十天君である孫天君とのゲーム対決であるが、この話の展開は第一話のエア宮廷音楽家シーンに匹敵するほど支離滅裂で悲惨極まりない。
  1. すすんで罠にハマる太公望
    1. 孫天君の「ゲーム」は敵の攻撃なのである。敵の陣地に誘い込まれて敵の思い通りに行動していれば負けるに決まっているのだが、なぜか覇穹の太公望は相手が十天君と名乗っているのに碌な理由も示さず安易に敵の策に乗ってしまう。避けられそうな戦いなら一刻も早く逃げるべきである。
  2. 脅しにもならない爆発
    1. 部屋中のオモチャを破壊しようとする玉鼎真人に孫天君がオモチャを自爆させることも可能だと見せると、それだけで太公望はゲーム対決を了承してしまう。これではなぜ対決を強要できたのか全く筋が通らない
      1. 仮に、空間もろとも大爆破して孫天君だけが平気という技だったならまだしも、玉鼎の足元で爆発しようが彼に何のダメージも与えられない威力では全く太公望たちの行動を制限できる要素になっていない。ならばそのまま玉鼎に任せて何もかも切り刻んでもらえばアッサリ勝利できたはずだ。こんな貧弱な自爆攻撃で脅迫するなら人質作戦と併せなければ意味が無い。
  3. 速攻で素性をバラす孫天君
    1. 覇穹の孫天君はゲームの罠にかけるために相手を油断させるどころか、逆に対面した直後から堂々と自らを十天君だと名乗り、無闇に警戒心を煽っている。実に立派な騎士道精神あふれるイカサマ師である。敵も味方もバカなのか?
  4. 太公望の無理強い
    1. やむなく覇穹オリジナルの会話でこのガバガバ展開の隙間を埋めることになったが、これも質が低い。
太公望にゲーム参加を命じられた四不象は、
「ええー!罠かも知れないッスよ!それに早く楊戩さん見つけないと!」
という非常に合理的な反論をするも、
「ここを出るにはヤツを倒すしか無い!」
と太公望に断言されゲームを強いられる。孫天君は「ボクちゃんのおもちゃコレクションになってもらうよ」とは言ったが、まだ具体的にゲームに負ければ何をされるか分かったもんじゃない、いきなり殺され封神もあり得るかもしれない状況でこの命令、「死んでこい」と言っているも同然だろう。
しかも太公望が何かを観察して「孫天君を倒せば脱出できる」という根拠を得た描写は無い。「十絶陣とは何か」を理解するのも今回孫天君に神経衰弱で敗れてからのことなのに何を知ったかぶっているのか。スープーの言動の方がよほど論理的で頭脳派に見える。
原作では蝉玉の友人として人質にされた彼女を救うよう説かれるスープーだったが、覇穹の彼は本人の意志が無く裏付けにも欠ける命令で時間稼ぎの捨て駒扱いをされる。これでは太公望がただのパワハラ上司ではないか。
視聴者の中には「結局少年マンガなのだし会ったヤツと勝負して勝てば問題が解決するなら自然な流れでは」と筋肉理論やメタ視点で理解した者もいるかも知れないが、それが正しいと信じられるのは張天君が十絶陣とは何かを説明し、楊戩が力づくで陣を破ったシーンを我々だけ先に神の視点で見知っているからであろう。

人質をとられていない覇穹では、はじめに化血陣に捕まったスープーを連れてそのまま脱出できれば孫天君とは闘う必要が無かったことになる。よってそうは出来ないようにする、もっと明確な理由を新たに脚本上で作るべきであった。
この破綻を繕うなら、例えばうっかりゲームに付き合って人質にされる役をスープーに変更するか、それとも孫天君を無視して化血陣から強引に脱出を試みるが失敗し閉じ込められたことが判明、すると孫天君が陣からの解放を条件にゲーム勝負を持ちかけて来たので太公望たちは渋々応じる…等のオリジナル展開を挟めば、まだこの流れも理解できるものになったろう。

原作のまっとうな流れ


最後に、
また言い忘れたけど、ボクちゃんは自爆も出来るんだ。
などと言い出す孫天君だが、太公望たちと相対してから彼は一度たりとも「言い忘れ」も「申し遅れ」もしていない。「また」って一体何のことだ?
この矛盾はこの台詞の前置きとなる、原作で蝉玉がクイズゲームに負けてから「負けるとどうなるか」を教える台詞「言い忘れたけどボクちゃんにゲームで負けたら罰としてオモチャになっちゃうからね!」をいい加減に削って手直しを怠ったためである。
もはやここまでどこもかしこもズタズタな状況では実に些細な問題であるが。

放し飼いの王天君


楊戩を仕留めろという命令を破り、バリア解除スイッチを押させてしまった王天君。当然のように激怒する聞仲に巧みな言い訳をして逃れる王天君だったが「お前は私の目の届く所に置く。」と言い渡され、単独行動を禁じられる。

…という会話を終えておよそ16分後のCパート、金鰲島内のどこかの通路で倒れた楊戩に近づく一つの影は紛れもなく王天君であった
だから3つも目をつけてるくせにどこを見ているのだ聞仲は。これでは監視付きどころか放し飼いである。

これは恐らく、原作では15巻で描かれる、王天君が弱った楊戩を拉致する場面をアレンジして前倒していることが原因。この場面までに聞仲は王天君が上げた戦果を見直し、崑崙勢の迎撃を一任するよう再考するシーンがあるのでこんな矛盾は原作には無い。

キャラ崩壊過ぎるエンドカード




上記画像が、今回の放送終了を知らせるエンドカードとなったイラストである。おぞましいにもほどがある。
覇穹ではいくらでも操作しようがある雲霄三姉妹だが、少なくとも原作では決して姉妹間でレズビアン描写をさせて良いようなキャラクターではない。内面的にも外面的にも。

制作公式サイドが個々のキャラクターを上手く掴めていない証左だろう。

このページへのコメント

これからどうする?→下をご覧になって→あの中で聞仲が金鰲島を制御しているはず

という流れなので、普通に考えれば「そこへ向かおう」ということと察せますから
この部分のみに関しては、話が通じないという程ではないのでは?
もちろん「そこへ向かおう」と一言加えれば済んだ話なので、お粗末ではありますが。

3
Posted by 名無し(ID:Qo7DhkGeJQ) 2019年07月02日(火) 16:09:14 返信

考えれば考えるほど酷いな・・・いるべきキャラ、あるべき展開を丸カットした弊害がいまだに出るとはね。
そのくせ老子の顔、王天君のネタばらしといくらカットしても構わないことはいきなし入れてくる。ワケわかんねぇ!

2
Posted by オルタフォース 2018年03月29日(木) 03:35:07 返信

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