武成王一行(7人)に突如津波が押し寄せてくる。しかし、「あ、あれは!」とのセリフを言ったのみで数秒間棒立ちで逃げも慌てもせずに津波を待つ一行。
水の中でも「親父!」と明瞭に呼びかけられるのはアニメ的演出として許容されよう。
ただ、上述の通り、天然道士について何の説明もない時点で、津波の激流の中を軽々と全員を助けきる武吉の姿に違和感。
・武吉が超人間的な体力を有することはこの回までに説明はない。
・あまりにも自然に武吉が助けに入るため、「それまで武成王とは行動を共にしていなかった武吉が助けに間に合った」ことが視聴者には伝わらない。初見視聴者の中で津波に巻き込まれた7人の中に武吉がいなかったことに気づけた人は何人いただろうか。
武吉が全員を助けた後に
王魔が「くっ、邪魔が入ったか」と苛立つ。
しかし上述の通り、武吉が助けに来たことに気づけていない視聴者には何が邪魔なのか理解できず困惑と違和感をもたらす。
さらに「武成王一行は我々四聖が根絶やしにする!」と恐ろしいセリフを吐き捨てる。これによって、四聖に対する負の印象を強く視聴者に植え付けてしまう。本来、四聖は強敵ながらもどこか牧歌的な雰囲気も併せ持つ敵なのだが。。
原作では
そもそも原作では四聖登場前に武成王一行と太公望一行は合流済であり、そこを省いたため様々な齟齬が生じている。
津波のシーンは封神演義にままあるギャグタッチであるが、アニメではその表現はできなかったらしく、ギャグをそのまま抜いた結果、無言棒立ちとなったようだ。
また聞仲配下の仙道は四聖を含めて基本的に良い性格を与えられている。
後に登場する魔家四将が「礼のない戦いをする」と評されるのとは異なり、四聖は敵役にあっても比較的善人として描かれていた。そもそも「聖」と言う通り名を与えられているのである。
それをよく表すセリフが四聖の一人、高友乾の「仙道でもない人を殺めるのは悪趣味だぞ」である。
一方、王魔は原作でも好戦的な性格として描かれてはいるが、それはどちらかと言えば「戦闘の結果、民に被害が出ても仕方ない」というスタンスであり
「根絶やしにする」などという執拗で陰湿な発言には繋がらない。