エスペラント語の修正版として開発された人工言語、国際補助語です。


前置詞「de」について


イド語はエスペラントの改良版ですので、多義的な前置詞「de」についても、改良を施しています。
「de」について、どのように改良しているのかを考えてみましょう。
エスペラントの前置詞「de」は、幅広い意味をもっているので、使い方によっては意味が曖昧になることがあります。

エスペラント日本語辞典の解説によると、次のようになります。

「de」は、行為者を示す場合と、行為の対象となるもの(客体)を示す場合があります。
たとえば、行為者を表す場合は、
Li estas amata de ĉiuj.(彼はみんなから愛されている)
次に、行為の対象(される側)となる場合は、
deklamo de poemo(詩の朗読)

この場合、「deklami poemon」(詩を朗読する)という意味となります。コンテキストからいっても、「poemo deklamas」(詩が朗読する」とはなりません。
この場合の前置詞「de」は、その後に、「deklamo」の客体(=対象=意味上の目的語)が来ます。

このことから、「amo de la infano de la patrino」という文章を考えてみると、二つの意味に取られてしまいます。
つまり「amo de 〜」の中の「〜」の部分が、行為者(主語)を示すのか、客体(目的語)を示すのかで意味が異なってきます。

1)子が母を愛する(子による母への愛)=行為者 la infano amas

2)母が子を愛する(母の子どもへの愛)=客体 amas la infanon

この混乱をなくすために、エスペラント的な解決方法は、次のようになります。
すなわち、前置詞「al」を使って、行為の対象を明確にする方法です。

1)amo de la infano al la patrino
とすれば、子が母を愛する(子が行為者=主語、母は客体=目的語)となりますし、
2)amo de la patrino al infano
では、母が子を愛する(母が行為者=主語、子が客体=目的語)になります。

これに対して、イド語は、前置詞「de」から「受け身の行為者」の意味をなくして、別の前置詞「da」を創設する方法を取っています。
すなわち、
amo da la infano
は、「子による愛」となります。
amo de la matro
とすれば、「母からの愛」ですね。

エスペラントの前置詞「de」には、「所有、所属」を表す意味もありますが、イド語前置詞「de」には「所有・所属」を表す意味はなく、新しい前置詞「di」が導入されています。
amo di la matro
とすれば、「母の持つ愛」となるでしょう。
このように考えれば、イド語の前置詞「de」から、客体を表す意味合いは消えていると見るのが妥当のようです。

前置詞「de」をめぐるエスペラントとイド語を表で比較してみましょう。
イド語エスペラント
〜から(出発点)dede
〜から(時の起点)
(客体を示す)
受け身の行為者da
所有・所属di
量的指定deda

イド語で、受け身の行為者を示す前置詞「da」を導入した結果、対象の量的指定を表す前置詞は「de」に統合されたと思われます。

「da」「 de」「 di」の使い方

デビット・マンの解説


前置詞「da」「 de」「 di」の区別や使い方についての説明を、デビット・マン(David MANN)氏が編纂したイド語辞典から引用します。
Praktikal regulo por selektar inter ta tri prepozicioni esas la sequanta:
実際にこれら三つの前置詞の中からどれを選択するのかという方法は次のとおりです。
Se la senco postulas klare l'ideo di l'agento od autoro, uzez da;
もし、その意味が行為者あるいは創作者の概念を明確に要するものならば、「da」を使いなさい。
se ol postulas klare l'ideo di deveno, o di konteno o di quanto, uzez de;
その意味が、由来の概念、包含の概念あるいは量の概念を要するものならば、「de」を使いなさい。
en cetera kazi (do en omna dubebla) uzez audace di;
その他の場合(したがって疑いのある全ての場合)には、「di」を使いなさい。
nam olca esas la maxim generala de la tri, korespondanta a la genitivo; II—33.
なぜなら、これ(「di」)は所有格に符合する、三つの最も一般的なものだからです。(供治械魁
On povas generale sequar ica regulo (por selektar inter de o di):
(「de」と「di」の中からどれを選ぶかは)、一般的に次の規則に従うことができます。
Uzez di kande la sequanta substantivo havas artiklo;
次に来る名詞が冠詞を持つ時には、「di」を使いなさい。
uzez de kande ol hava nula artiklo; (III—624).
冠詞がない時には「de」を使いなさい。(掘治僑横粥
最後の部分にある(供治械魁砲筺吻掘治僑横粥砲蓮△覆鵑蕕の書籍の引用記号だと思われますが、今のところ不明です。
ちなみに、デビット・マン(David MANN)氏https://io.wikipedia.org/wiki/David_Mann は1979年生まれの米国人で、2000年代初めころまでイド語に関する活動をしていたようですが、最近の動向は不明です。ネット検索でも、ヒットしませんね。

簡易イド語文法の解説

栗山仁さんの「簡易イド語文法」に、これらの前置詞の用法について、”簡易に”まとめられています。”灯台下暗し”でした。この「イド語文法」は、とてもよく考えられて、編集されている文法書です。もっと、研究すべきだと、反省しています。レイアウトを変えて、引用します。

da =「・・の,・・による」
(行為者)Il esas amata da omni.彼はみんなに好かれる
(作者)La poemi da Victor Hugo.ヴィクトル・ユーゴーの詩

de =「・・から」
(出発点)De ube vu adportas ico?君はこれをどこから持ってきたのですか
Me savas to de longe.私はずっと前からそれを知っている
(起源)Ta juvelo venas de mea matro.その宝石は母からのものです
(原因)Me sufras de nevralgio.私は神経痛を病んでいる
(時間)El esas malada de tri semani.彼女は3週間前から病気だ
De nun vu ne plus ekiros sen me.今からはもう私と一緒でなくても行けるでしょう
(分量)Un metro de drapo.布1メートル
Taso de kafeo.コーヒー1カップ

di =「・・の」
(属格)La libro di Petrus.ペトルスの本
Di qua esas ta domo?その家は誰のですか

ベブソンの解説

daも deも diも 後ろに来る名詞が主体であり、前に来る名詞は、その客体です。 例えば.....

amo da la matro = la matro amas ..... 母が愛している (行為者を表す)
amo de la matro = la matro donas amo a ..... 母から愛が流れている (流れの源を表す)
amo di la matro = la matro havas amo a ..... 母がその愛を所有している (所有者を表す)
pekunio di la matro = la matro havas pekunio 母が所有しているお金 (所有者を表す)

ですから、daも deも diも 後ろから前に流れる矢印です。<−−−
所が、最後の diだけは矢印を前から後ろに流す事が可能なのです。−−−>

lernado di matematiko 数学の学習 :(不明な主体)+動作(名詞)+di+客体 となっておりますね。
元に戻って....

pleado da Petrus ピーターによる演奏 <−−−
pleado de radiofono ラジオから聞こえて来る演奏 <−−−
pleado di Petrus ピーターが持っている(CD)の演奏 <−−− 
pleado di violino バイオリンの演奏 −−−> バイオリンが所有している演奏ではありません。

最後の pleado di violino バイオリンの演奏 −−−> で矢印が反転した時に、私は
pleado din violino とゆう表現をして矢印の反転を明確にしています。
din が現れたら次は主体ではなく、客体である訳です。
ベブソンの発明ですが、支持者が増えるかどうかですね。(:−P

更に詳しく前置詞「de」について

de
(prep.) (starting point, origin, derivation)
[前置詞]始点、原因、起源。

la treno de Lyon:
the train from Lyons:
リオン発の列車

blinda de nasko:
blind from birth;
生まれつきの盲目

de omna lateri:
from all sides;
あらゆる面から

de supre ad infre;
from top to bottom;
一番上から下まで

de ta vidpunto:
from that viewpoint;
その観点から

komprar de ulu:
to buy of someone;
誰かから買う

arachar de la morto:
to snatch from death;
死から救い出す

malada de febro:
sick with (from) fever;
熱のある病気

(measure, quantity)(数量)
unu de li:
one of them;
それらのひとつ

un horo de marcho:
an hour's walk;
1時間の歩行

dek-e-duo de ovi:
a dozen eggs;
1ダースの卵

tri metri de rubando:
three meters of ribbon;
3メートルのリボン

glaso de aquo:
a glass of water;
グラス一杯の水

peco de pano:
a piece of bread;
一切れのパン

el esas la maxim bela de la fratini:
she is the most beautiful of the sisters;
彼女は姉妹の中で一番、美しい。

duo de rejini:
a pair of queens;
一対のクィーン
(after adjectives denoting dimensions, size, contents)(寸法、大きさ、内容を表す形容詞の後に)

ponto longa de du Angla milii:
a bridge two English miles long;
2マイルの長さの橋

barelo plena de vino:
a barrel full of wine;
ぶどう酒で一杯の樽

konstrukturo alta de duadek etaji:
a building twenty stories high
20階立てのビルディング
(«since», duration of time).(以来、時間の継続)
N. B. in this sense de-pos is preferable to de alone:
(注)この意味では「de」よりも「de-pos」が好ましい。

me savas lo de(pos) quar dii:
I have known it these (since, from) four days;
私は、4日(前)からそのことを知っていた。


me esas hike de du monati:
I have been here for two months;
私は2ヶ月間、ここにいた。

(英語ではsinceとforの違いが強調されているが、イド語では、どちらも「de」を使って翻訳されているので、その区別をあまり、気にする必要はなさそうだ。英語では「since」は時点を基準にしており、「for」は時間の継続を表現している。ゆえに、「since」の後には、時間の継続をする語句は来ない。あえて、その点を厳密にイド語翻訳することもできる。すなわち、「de-pos ante」を使う方法だ。たとえば、「me savas lo de(pos) quar dii」を「me savas lo de(pos) (tempopunto) ante quar dii」(4日前の時点からそのことを知っていた)ということになる)

de(pos) la morto di sua spozino:
since the death of his wife;
妻の死亡以来

de kande vu lojas hike? me lojas hike de un monato:
How long (from when) have you lived here? I have lived here one month (I am living here from one month);
あなたはいつからここに住んでいますか? 私は1ヶ月前からここに住んでいる。


de pos:
since, after;


de longe:
for a long time past;


de kande:
since when, how long since;


de lore:
from that time, since then;


de pose:
from that time, afterwards;


de pos ke:
(conj.) since (that);

de nun:
from now, henceforth, hereafter;

de sub:
from under;

de dop:
from behind.


V. exp.:
da, de, di: Praktikal regulo por selektar inter ta tri prepozicioni esas la sequanta:
「da」「de」「di」について。この三つの前置詞の中から一つを選ぶ実践的な規則は次のようなものだ。

Se la senco postulas klare l'ideo di l'agento od autoro, uzez da;
もし、意味が動作の主体、作者の概念をはっきりと要求しているならば、「da」を使用しなさい。

se ol postulas klare l'ideo di deveno, o di konteno o di quanto, uzez de;
もし意味が由来、負担、分量の概念を要求しているならば、「de」を使いなさい。

en cetera kazi (do en omna dubebla) uzez audace di;
それ以外の場合(疑わしい場合)は、あえて「di」を使いなさい。

nam olca esas la maxim generala de la tri, korespondanta a la genitivo; II-33.
なぜなら、これが3つの前置詞の中から、もっとも一般的で属格に対応するものであるからだ。第2巻33頁

On povas generale sequar ica regulo (por selektar inter de o di):
(「de」あるいは「di」のどちらかを選ぶためには次の規則がある。

Uzez di kande la sequanta substantivo havas artiklo; uzez de kande ol hava nula artiklo; III-624. — FIS
続く名詞に冠詞が付く場合は「di」を使い、冠詞がつかない時は「de」を使いなさい。第3巻624頁。


Semantiko[意味]:
prepoziciono qua indikas la punto di departo, di deveno (en spaco e tempo) l'origino, dependo, departala punto; uzesas anke:
始点、(時空における)由来、起源、従属、開始点を示すための前置詞。

(1) kun la substantivi qui signifikas mezuro, quanto, konteno
/量、分量、負担を意味する名詞と共に使う。

(2) kun l'adjektivi plena, longa, larja, alta, profunda, dika, e.c. qui, fakte, relatas mezuro, dimensiono
◆plena」「longa」「larja」「alta」「profunda」「dika」などの分量、次元に関係する形容詞と共に使う。

(3) kun titulo di nobeleso.
5族の肩書と共に使う。

Morfologio[形態]: de

Exemplaro[例]: de quo?(何から?)

spaco:
(空間)
la hundo saltis de la barelo
犬が樽から跳ねた。

de omna lateri
全ての面から

tempo:
(時間)

de tempo a tempo
時々

ni ne vidis li de un yaro
我々は彼を一年前から見ていない。

el esas malada de tri semani
彼女は3週間前から病気だ。

blinda de nasko
先天的に盲目の

de nun
今から

origino:
(起源)

letro de Paris
パリからの手紙

treno de London
ロンドン発の列車

komprar de ulu
誰かから買う

tri metri de rubando
3メートルのリボン

barelo plena de vino
葡萄酒のいっぱい入った樽

komprar de ulo
何かから買う

dependo:
(従属)

la portreti de Napoleon
ナポレオン(所有)の肖像画

peco de pano
一片のパン

glaso de aquo
グラス一杯の水

un horo de marcho
一時間の歩行

kauzo:
(根拠)

li mortis de hungro
彼は飢餓で死んだ。

malada de febro
熱による病気

quanteso:
(分量)

longa de sis metri
長さ6メートル

ponto longa de du milii
全長2マイルの橋

dek-e-duo de ovi
1ダースの卵

glaso de aquo
グラス一杯の水

Komparez:(比較せよ) ek

Antonimo[反意語]:ad, til

Kompundi[合成語]: → de.(接頭辞)

更に詳しく前置詞「da」について

da
(indicating agent after passive verb)
受動動詞の後に動作の主体を示す

la patri esas amata da sua filii:
the parents are loved by their children;
父たちは自らの子どもたちによって愛されている。

sendita da Deo:
sent by God;
神が送った〜

trapikita da kuglo:
pierced by a bullet;
弾丸によって貫かれた

(agent) l'ocido di Caesar da Brutus:
the murder of Caesar by Brutus;
(動作の主体)ブルータスによるシーザーの殺害

(authorship) dramati da Shakespeare:
dramas by Shakespeare;
(著者)シェークスピア作の戯曲


Da qua esas ta libro? Ol esas da Petro:
By whom is that book? It is by Peter;
その本は誰の作品なのか?ペーター作だよ。

(object of a transitive verb compounded with -igar)
([-igar]との合成された他動詞の目的語)

me manjigas l'aveno manjesas da la kavalo = l'aveno manjesas da la kavalo:
I make my horse eat oats;
私はカラスムギを馬に食べさせた。

lu kredigis ita rakonto da l'dupo:
he palmed this tale off on the dupe (la dupo kredis la rakonto);
彼は、この話を、間抜け野郎に信じさせた。(間抜け野郎は、この話を信じた)

me sendigas mea letri da mea spozino = igar la spozino sendar mea letri:
I make my wife send my letters.
私は、妻に私の手紙を送付させた。


Def.: Montras individuo, objekto, kozo o kauzo qua igas, facas od efektigas ulo, II-731. V. exp.: vid. de. — FI

[定義](事物)にさせたり、(事物)を作ったり、(事物)に効果を与えたりする、個体や対象や物や原因を示す。

Semantiko:[意味]
da indikas l'individuo, objekto, kozo o kauzo qua igas, facas od efektigas ulo.
「da」は(事物)にさせたり、(事物)を作ったり、(事物)に効果を与えたりする、個体や対象や物や原因を示す。

Ol indikas anke l' aganto, precipue pos pasiva verbo.
また、特に受動動詞の後で、行為の主体を示す。

Uzez da, se la senco klare postulas l'ideo di agento od autoro.
もし、意味が行為の主体や作者の概念をはっきりと要求するならば、「da」を使いなさい。

Morfologio:[形態] da

Exemplaro:[例文]
Il esas amata da omni.
彼はみんなに愛されている。

La genitori esas amata da sua filii.
両親は自分の子どもたちに愛されている。

la pikturi da Murillo, dramati da Shakespeare.
ムリーリョの絵画、シェークスピアの戯曲

plena da vino.
葡萄酒で満たされた

Da qua esas ta libro? Ol esas da Petro.
誰の本?ペテロ作だ。

Komparez:[比較せよ] per, kun

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