初めてのイド語 - イド語上級講座 第27課

イド語上級講座 第27課*1

英語の受動態は、イド語訳では「on / onu」を使って翻訳する

話者が、行為の主体を言及したくない時、あるいは知らない時、英語では受動態を使いますが、イド語では、不定の代名詞を使います。
英語イド語
The father is loved.Onu amas la patro.
父は愛されている。
次のような受動態は避けています。
英語イド語
He was not told the whole truth.Onu ne dicis ad ilu la tota verajo.
誰も彼に真相を話さなかった。
英語ではしばしば、受動態の代わりに、代名詞が使われます。すなわち、話者が自分自身と関係づたくない時に「we」が使われます。
英語イド語
We are all mortal.Ni omna esas mortiva.
私達すべては、死を免れない
話の内容がすべての人に当てはまるときは、イド語では「on」「onu」を使うべきです。
英語When we hear but one bell, we hear but one sound.
イド語Kande onu audas nur un klosho, onu audas nur un sono.
一つのベルには、一つの音色(響き)*2
同じことが代名詞「they」「you」や、「people」「somebody」という表現にも当てはまります。
英語イド語
They manage those things better in America.Onu administras ta kozi plu bone en Amerika.
そのことをアメリカではもっとうまくやっている。
英語イド語
You cannot eat your cake and have it.Onu ne povas manjar sua kuko e konservar ol.
ケーキを食べることもできず、とっておくこともできない。
英語イド語
People say it its their own fault.Onu dicas ke olu esas lia propra kulpo.
悪いのは彼らだと、言われている。
英語イド語
A man is not always lucky.Onu ne sempre esas fortunoza.
人はいつも幸運だとは限らない。
不定詞の前の前置詞
不定詞は名詞に相当するので、前置詞を不定詞の前で使うことができます。(例、a place for study = loko por studio(研究のための場所)(訳注*3
英語イド語
A place for studyingLoko por studiar
研究するための場所
英語イド語
Without sleeping.Sen dormar.
眠らずに
英語イド語
Without sleep.Sen dormo.
眠りなしに
英語イド語
Before starting.Ante departar.
出発する前
英語イド語
Before depature.Ante departo.
出発前
英語イド語
Without having spoken.Sen parolir.
話してしまうことのないように
英語「to」が前置詞の場合と、そうでない場合
前置詞「to」が、不定詞の部分ならば、イド語で翻訳してはなりません(訳注)*4
英語イド語
I want to come.Me volas venar.
私は行きたい
英語「to」が「〜のために」という意味の場合は、イド語では「por」で翻訳します。
英語イド語
He wrote to come.Ilu skribis por venar.
彼は来るために手紙を書いた。
もし、「〜ing」をつかって上記と同様な意味を表す場合は、イド語では「por」は使いません。
英語イド語
To be or not to be (= being or not being)Esar o ne esar.
生きるべきか、死ぬべきか*5
形容詞のあとに来る「to」は「〜のため」でも、不定詞でもありません。不定詞の副詞用法となり、イド語では副詞的に翻訳します。
英語イド語
Easy to learn (= easily learnable).Facile lernebla.
学びやすい
英語イド語
Difficult to understand.Desfacile komprenebla.
理解しにくい
英語イド語
They have only themselves to blame.Li ipsa esas sola blaminda.
悪いのは彼ら自身だ。(責めを負うのは彼ら自身である)

非人称動詞

「to rain」「to snow」「to hail」に本当の主語がありません。したがって、英語の「」をイド語では翻訳しません。
英語イド語
It rains.Pluvas.
雨だ
英語イド語
It snowed.Nivis.
雪が降った
英語イド語
It is going to hail.Esas balde grelonta.
すぐ、雹が降るだろう
「it」が何も言及しない時も、同様です。
英語イド語
It is you.Esas vu.
あなただ
「I am cold.」(寒い)などのような感覚を表す英文は、イド語では再帰的に翻訳します。
英語イド語
I am cold.Me sentas me kom(=) kolda.
寒いね。
イド語では「kom」の代わりに「ye」も使うことができます。
Me sentas me kom(=) kolda.Me sentas me ye kolda (kondiciono).
寒いね
Vu sentos vu kom(=) tro varma.Vu sentos vu ye tro varma (situeso).
あなたはとても暑く感じるでしょう。
英語イド語
There is a hil outside the town.Esas kolino exter la urbo.
Existas (there is) kolino exter la urbo.
町の外には丘がある。
英語イド語
There are twelve hens in the cage.Esas dek-e-du hanini en la kajo.
Existas (there is) dek-e-du hanini en la kajo.
鳥かごの中に12羽の雌鳥がいる。
しかし、「there is」が人や物に向けられる時は、「yen」を使うべきです。
英語イド語
There he is (= There he comes!).Yen ilu venas!
ほら、彼が来るよ!

時刻(復習として)

「1時間」はイド語では「horo」ですが、時計の時刻は「kloko」「kloki」で表現されます。
英語イド語
What time is it?Qua kloko esas?
何時ですか?
It is two o'clock.Esas du kloki.
2時です。
At half-past two.Ye du kloki e duimo.
2時半に

イド語では、次の時刻を基準とする数え方ではなく、最後の時刻から4分の一時間(15分)単位と、分を使って時刻を数えて下さい。
英語イド語
A quarter to eight.Sep kloki e tri quarimi, (quaradek-e-kin minuti).
8時15分前7時45分
英語イド語
Twenty to ten (= 9:40).Non kloki quaradek.
10時10分前9時45分

ヨーロッパ鉄道時刻表などでは、24時間制で時刻を数えましょう。
英語イド語
Twelve noon.Dek-e-du kloki.
正午12時12時
英語イド語
One p.m.Dek-e-tri kloki.
午後1時13時

計算(復習)

英語イド語日本語訳
plusplus[plus]プラス
ninusnius[MIN-us]マイナス
multiplied byper [perr]掛ける
divided bysur [surr]割る
2 + 3 - 1
du plus tri minus un
4 x 2 = 8
quar per du facas ok.(tet*(=4) per du esas/es ok)
9 / 3 = 3
non sur tri facas tri

「quar」の別名称「tet*」は、ギリシア語の4を表す「tetra」の短縮形です。速やかな暗算のためには、「quar」と発音するより素早く「tet」と発音できます。そろばんで計算する時、「tet」を使うことができますよ。
http://goo.gl/eMjjzc

日、月(暦)など(復習)

曜日の名前は次のとおりです(英語のように、大文字では始まりません)
イド語sundiolundiomardiomerkurdiojovdiovenerdiosaturdio
日本語日曜日月曜日火曜日水曜日木曜日金曜日土曜日

月の名前は次の通り(英語のように、大文字では始まりません)
The names of the months are (also usually no capitals):
イド語日本語
januaro1月
februaro2月
marto3月
aprilo4月
mayo5月
junio6月
julio7月
agosto8月
septembro (7th?)9月
oktobro (8th?)10月
novembro(9th?)11月
decembro (10th?)12月

月の名前で最後の4つは、次のようにしてもいいかもしれません(ベブソンさんの提案です)
http://goo.gl/iurEz3
sepTemBRooKTobRoNOvEMbrodecembro
bofronto*kuturato*zamenofo*yar'exodo*
9月10月11月12月
イド語(ベブソン案)日本語
januaro1月
februaro2月
marto3月
aprilo4月
mayo5月
junio6月
julio7月
agosto8月
bofronto*9月
kuturato*10月
zamenofo*11月
yar'exodo*12月


季節の名称は次の通りです。
イド語printemposomeroautunovintro
日本語

国際的なホテル慣習では、次のような食事の名称を使っています。
英語breakfastlunchdinnersupper
イド語dejunetoluncho*dineosupeo
実際は、イド語では朝食「dejuneto」は、昼食「dejuno」の派生語となっています。「dejuneto」とは「小さな昼食」という意味です。これは、フランス語の「petit déjeuner」(朝食)、「déjeuner」(昼食)からの流れですね。
ここでも、イド語の提案語「luncho*」(昼食)が、示されています。

イド語の非公式的な世界 能格動詞は何を意味するのか?

この項目は、能格動詞という性格をもつ特殊な動詞についてのトピックスです。
日本語の英文法の教科書では、如何ゆう訳か能格動詞について記載しているモノがありませんので、皆様方には見慣れぬ言葉だと思います。
Ergativa verbi esas verbi quala komencar' cesar' finar e turnar, quin onu darfas uzar kom verbi transitiva ed anke ne-transitiva segun la okazinoni.
能格動詞*6とは、「komencar」「cesar」「finar」「turnar」のような動詞で、場合により、他動詞や自動詞として使われる動詞のことです。
Anke la verbo "durar" esas ergativa segun de BEAUFRONT, ma ne segun DYER.
ドゥ・ボーフロンによると、動詞「durar」も能格動詞ですが、ダイアー(DYER)*7によると、能動動詞ではありません。
Kande la objekto di verbo povas divenar anke la subjekto di la sama verbo en ne-transitiva uzo, onu dicas ke la verbo esas ergativa. (<-ergo Grk.)
動詞の目的語が、その動詞が自動詞で使われる時の主語にもなる時、その動詞を能格動詞といいます。
Me komencas la muziko. -> La muziko komencas.
私は音楽を始める。→音楽が始まる。
Me cesas la pleo. -> La pleo cesas.
私は演技をやめる。→演技がとまる。
Me finas la laboro. -> La laboro finas.
私は仕事を終える。→仕事が終わる。
Me turnas la roto di riinkarnaco. -> La roto di riinkarnaco turnas.
私は、輪廻の車輪を回す。→輪廻の車輪が回る。
Augmentar, flexar, startar esas anke verbi ergativa.
「augmentar」(増やす、増える)、「flexar」(曲げる、曲がる)、「startar」(出発させる、出発する)も、能格動詞である。
Me duras/durigas la kombato. -> La kombato duras.
私は戦闘を続ける。→戦闘が続いている。
Tamen: Plezar (verbo transitiva/ne-transitiva): La muziko plezas (a) me. Quankam ca verbo esas amba, la verbo "plezar" ne esas ergativa.
しかし、他動詞でもあり、自動詞ともなる動詞であるにも関わらず「plezer*8」は、能格動詞ではありません。「La muziko plezas (a) me」(音楽は私を満足させる)
La muziko plezas (a) me. -> Me prizas (ne plezas) la muziko.
音楽は私を満足させる。→私はその音楽が好きだ(私は音楽を喜ばせない)
Sarah plezas (a) Moyshe. -> Moyshe prizas Sarah, quankam il ne plezas el.
サラはモイシェ*9を喜ばせる。→モイシェは、サラを喜ばせないにも関わらず(サラはモイシェが好きではないが)、彼は彼女が好きだ。

能格とゆうモノはロシアの南のコーカサス諸語に存在しており、そこから研究が始まった様に記憶しております。
西欧語の基本構造は主語が動詞を使って目的語を動かす形になっておりますが、能格動詞では本当の主体は実は目的語の方にあって、目的語が仮の役者(主語)を使って動作を行っていると考えると、スッキリと理解できると思います。マア多少の能格性は、この様に色々な言語で巧みに表現されております。

言語の論理と感覚


このイド語上級講座の原本では、英語の論理をイド語で正確に復元する為のテクニックを扱っております。
英語に限らず、西欧の言語は主に論理を相手に伝える為にあります。イド語もそうです。でも日本語は違うのです。勿論、日本語も言語ですから、論理を相手に伝える事はできます。しかし日本語はそれと同時に、相手の感覚を受け取りながら、自分の感覚を相手に伝える高度な仕組みを持っております。この機能をイド語などの西欧言語に期待すると西欧言語の習得は上手く行きません。
英語でも本当に熟達すると、レトリック(修辞)を用いて感覚を相手に伝える事はできますが、日本語ほど高度な機能は持ちません。この原理をシッカリと理解していると、皆様方のイド語習得にも役に立つでしょう。
http://kf-planning.blogspot.jp/2015/04/blog-post_7...
http://kf-planning.blogspot.jp/2015/05/blog-post.h...
今、西欧で俳句が流行りだしたのも、言語で自分の感覚を伝える面白さに気付き始めたからではないかと思っております。http://www.haikuido.blogspot.jp/ イド語の俳句の世界にも参加してみて下さい。