【美男×NANA】HEART01*エロなしの続編

2011/11/17(木) 00:14:43.64 ID:sODG084i

ある日の練習スタジオ。
休憩中の勇気が真剣な表情で女性ファッション誌を読んでいるのが気になって、美男が声を掛けた。
「勇気、さっきからずーっと読んでるけど、それ何?」
「ああこれ?女子の考える理想のデートって記事があってさ」
「へぇ、そんなの興味あるんだ?」
「まあね〜。一応リサーチしとかないと、好きな子ができた時に困るだろ?」
「そういうもの?」
「そりゃそうだよ。女の子の目ってけっこうシビアで怖いしね。ま、こんなの彼女持ちのお前には関係ないけどな!…っと、ごめん、お前たちまだ外で会えないんだっけ…」
「…うん」

美男とNANAの関係を知っているのはごく一部の人間だけで、まだ世間には公表していなかった。
正確には、公表出来ないと言った方がいい。
NANAが廉と別れたということになってからまだほんの数ヶ月。
新しい恋人ができるだけでも大騒ぎになるのに、なんといっても今度の相手も廉と同じバンドのメンバーだ。
「清純派アイドル」のはずのNANAにもA.N.JELLにも、マイナスのイメージがつきまとうのは明白だった。
ただ、この恋は2人にプラスになっているようで、NANAは最近急に綺麗になったと評判だし、美男の人気も急上昇して、今では他のメンバーを脅かすほどになっている。
互いの事務所の社長も交えて話し合って、そんな良い状態の今だからこそ、2人には気の毒だけれど公表はもう少し待とうという話に落ち着いて今に至る。
お互い納得はしているものの、仕事で会ってもわざとよそよそしくしないといけないのは切ないし、美男がNANAの部屋に行くにもマスコミの目が気になって神経を使う。

「NANAとデートかぁ。してみたいけど、まだ難しいよな…」
少し顔を曇らせながら美男がため息を吐く。
なんだか可哀想だな…なんて思っていた勇気の頭にパッとあるアイデアが浮かんだ。
「…なぁ美男、俺いいこと思い付いちゃった〜!ちょっと待ってろよ」
勇気が鼻歌混じりに携帯を取り出し、電話を掛け始めた。
「もしもーし、RINAさん?あのさ、ちょっと頼みたいことがあるんだけど…」


一方NANAは、美男のことで相談に乗ってもらっているうちに仲良くなったRINAの部屋を訪れていた。
テーブルの上にはNANAのお土産のケーキと紅茶、そして件のファッション誌。
「ねぇRINAさん、最近デートとかしてる?」
「んも〜!私が今フリーだって知っててそういうこと言うかな?」
「ふふっ、ごめんなさーい」
NANAがペロッと舌を出して首をすくめた。
「アンタはいいわよね〜、大好きな美男といくらでもデートできるんだから!…っと、ごめん、まだ付き合ってることバラしてないのよね…」
「うん、まだ一度も外で会ったことないの…。ねぇ、これってすっごく淋しくないですか?」

あれから美男は、忙しい毎日の中でも2人で過ごせる時間を見つけては部屋に来てくれる。
一緒にいられるのは本当に幸せだし、美男にはすごく…愛されているとも思う。
でもそうじゃなくて。
私の世界は小さな部屋の中だけじゃない。
外に出て2人で遊んだり、買い物したり、食事したり…普通のことがしたい!
これってワガママなのかな?

「あーあ、美男とデートしたいなぁ」
フォークでケーキをつつきながらNANAがため息を吐く。
「人気がありすぎるのも大変ね…。でもほら、もうちょっと我慢すれば思いっきりイチャイチャできるわよ!もう少しの辛抱だから頑張りなさい!」
「うーん、それはそうなんだけどぉ…」
まずい、久しぶりにNANAがイライラしてきた。そう思い始めたRINAに助け舟を出すように携帯が鳴り出した。
「ごめんNANA、ちょっと待っててね。もしもし…勇気?どうしたの?え?私いまNANAと一緒にいるわよ。…まぁ!こっちもちょうどそんな話してたところよ!」
RINAと勇気の会話はひとしきり盛り上がり、なんだかワクワクした雰囲気が漂っている。
「ああ!そうよね〜、アンタたまにはいいこと言うじゃない!わかった。思いっきり可愛くしてあげるから任せて!うん、じゃあね〜」
電話を切ったRINAが得意げな顔でNANAを見る。
「ねぇ、何の話?」
「NANA、アンタの願い叶えてあげるわ。私に任せなさい!」
RINAが力強く宣言した。


「ちょっと待て勇気…さっきRINAに何て言った?」
「ヘ?だから美男が美子になればいいんだって」
「…はぁ???」
「女の子同士で手ぇ繋いだり、腕組んで歩いたりしてるの、けっこう目にするぞ。それでいいじゃん!」
それってまさか…
「じ、女装しろってか?!」
「RINAさんもすっげー乗り気でさ、衣装とメイクやってくれるって!どーだ、完璧な計画だろ?」
「ちょっ、ゆぅ……」
勇気の思いっきり得意げな顔を見たら、美男はそのまま何も言い返せなくなってしまった。


そんなわけでデート当日の朝。
RINAが合宿所に洋服とメイク道具一式を持ってやってきた。
正直なところ美男はこの展開にまったく納得していない。
しかし他のメンバーやRINAが面白がってけしかけるのが鬱陶しかったのと、何よりもNANAが「それでもいいからデートしたい!」と強く言うので、結局断ることができなかった。

「さぁ美男、可愛くしてあげるからね〜。ほらほら、早く部屋に行きましょ!」
「RINA、やっぱり面白がってるだろ…」
しぶしぶ部屋に招き入れると、RINAはまるでスイッチが入ったようにテキパキと準備を始めた。
ベッドの上に次々と服を並べ、テーブルにはメイクボックスを広げて、準備万端である。

「じゃあ美男、とりあえず上脱いでこれ着けて」
「えーっと………」
たくさんのレースで飾られたピンク色のブラを渡されて言葉に詰まる。
「ほら、恥ずかしがってる場合じゃないの!ちょっと貸して!」
RINAはなんの躊躇もなく美男の腕に肩紐を通し、ホックを留めた。
「美男は細いからなんとか大丈夫かな。ちょっとアンダーがきつくて苦しいと思うけど我慢しなさいね」
そう言いながらRINAはカップの部分にパッドを詰め込んで形を整えた。
「いてて、女の子っていつもこんなにしんどいもの着けてるのかよ…。これ、俺に買ってきたの?」
「え?私のよ。今度下ろそうと思ってたんだけど、美男にあげるわ」
RINAは会話をしながらも次々と仕事を進めていく。ベッドに洋服を取りに行った隙に美男がぽつりと呟いた。
「NANAの方が大きいな…」
「ちょっと美男っ、今すっごく失礼なこと言わなかった?」
「な、何も言ってないよ!」
うわ、RINAって地獄耳。絶対聞こえないように呟いたつもりだったのに…。
「ふーん、まあいいわ。はい、じゃあ次これ着てね」

RINAに洋服を渡されるまま次々と着替えていくうちに、どんどん女の子らしくなっていく。
ボートネックの薄いカットソーの上から広めのオフタートルのゆったりしたロングニットに膝丈のスカート、タイツ、ロングブーツ。
ヘアメイクも終わって鏡を見ると、そこには見覚えのある…いや、それ以上に女らしい美子の顔があった。
「え…これ、俺?」
「どお?可愛いでしょ〜」
RINAが満足そうな顔で微笑んだ。





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