| ドキドキが続く毎日へ |
| 舞台の上に立つことは、昔から何度かありました。 |
| それが自分で望んだ挑戦かと言えば……全部が全部、そうではないけれど。 |
| 最初は、学級委員長として、一年のクラス活動の報告を。次に、夏休みの読書感想文が表彰されて壇上に。 |
| それから、生徒会長が休んだ時に、副会長として、代理で話したこともあったっけ。 |
| 父に勧められて、英語のスピーチコンテストにも出たことがあります。いい勉強、いい経験になりました♪ |
| 人前では緊張しがちだった私でも、だんだんと慣れてきて…… |
| ドキドキしても、胸を張って、誇らしい気持ちで壇上に立てるようになったんですよ? |
| 今は……もう知っています。ステージの上には、誇らしさだけじゃない。もっといろんなドキドキがあるんだって。 |
| 自覚したのは、アイドルになってから。でも、似た感覚を味わったのは……やっぱりミスコンの時、かな……? |
美波 | パパが怒りそうな写真はあらかじめ省いておくとして……これは、小学生の時に家族みんなで海に行った写真。 |
美波 | 小さい頃のって入れてよかったのかな?プロデューサーさんにチェックしてもらおっと。 |
美波 | ミスコンの時の写真は……うーん……水着審査のはやっぱり恥ずかしいし……。 |
美波 | でも、ファンの人は見てみたいって思ってくれてるのかな……? |
奏 | もちろん、見てみたいと思ってるはずよ? |
アナスタシア | 水着のミナミ……少し、緊張してますか? |
瑞樹 | ふふっ、真っ赤になってて可愛いわよね♪ |
美波 | み、みんな、どうして……!? |
瑞樹 | 私は次の仕事の打ち合わせよ。アーニャちゃんはレッスンで、奏ちゃんは…… |
奏 | 退屈な日々を塗りつぶしたかっただけ。ここに来れば、何かしら面白いことがあるって思ったの。 |
奏 | 美波のプライベート写真を見ることもできたわけだし♪ |
美波 | もう……見てたなら、声をかけてくれたらよかったのに……っ! |
アナスタシア | ミナミ、真剣な顔でした。邪魔はダメ……でも、何してるのか気になって、見てしまいましたね。 |
美波 | そ、そんなに真面目な顔してた……? |
瑞樹 | ええ、お仕事の企画書でも見ているのかしらって、みんなで話してたのよ♪ |
美波 | 当たらずといえども遠からず、ですね。今度、私の写真集が出ることになったでしょう? |
美波 | それで、初回限定版には、秘蔵のプライベート写真も入れた小冊子もついてくるんです。 |
美波 | 今は、その写真をアルバムから選定していたところですね。 |
奏 | そして、ミスコンの写真を載せるかどうか迷ってたってところなのね。 |
アナスタシア | この時のミナミ……アー、ミスコン?すごく緊張してますね。 |
美波 | それはもう! |
瑞樹 | 意外よね。美波ちゃんくらいリーダーシップのある子だと、人前に出るのには慣れているのかしらって思ってたわ。 |
美波 | これでも、昔は大人しかったんです。人前に立つと、真っ赤になっちゃったりして……。 |
美波 | 学級委員をしたり、生徒会に入ったりして、少しは慣れてたつもりだったんですけど……さすがに、水着は…… |
美波 | 立っているだけでドキドキして、頭がかーっとなって、大変だったんですよっ。 |
瑞樹 | たしかに、アイドルになったばっかりの頃は、まだ照れが残っていたみたいだったわ! |
アナスタシア | ユニット……over the blueを組んだ時ですね。懐かしいです。 |
美波 | あ、あの時は衣装が大胆で、ほぼ水着みたいだったから、やっぱりドキドキしちゃって……。 |
奏 | でも、最近はそうでもないみたいよね♪ |
美波 | えっ? |
奏 | 照れることなく、私でもドキっとするようなファンサービスをしてるって聞いたわよ? |
奏 | そうね……たとえば、LIVEでテンションが上がって客席に投げキッスをしたそうじゃない? |
美波 | 美波の気持ちです!受け取ってくださいねっ!……ちゅっ♪ |
奏 | リップ音を見事にマイクが拾って、会場が大盛り上がりになったとか♪ |
美波 | そ、それは偶然で……。 |
瑞樹 | そういえば、私も聞いたことがあるわね。とある番組で、「彼女になってほしい」ってラブレターをもらった時に…… |
美波 | ダメですよ?美波は、みんなのアイドルですから……♪ |
瑞樹 | って、そのあしらい方がすごく色っぽくて、美波ちゃんは小悪魔キャラに目覚めたんじゃないかって! |
美波 | えっと……それは……。 |
アナスタシア | ダー♪アーニャも聞きましたね。LIVEでバラードの間奏中に…… |
美波 | 美波の全てを、貴方に……っ! |
アナスタシア | 切なく濡れた瞳が、クラスィーヴィ……とっても綺麗だと、評判でした♪ |
奏 | ふふっ、かなり大胆な発言よね……♪ |
美波 | そ、それは……お、お仕事だし、ファンのみんなも喜ぶかなって思って……! |
瑞樹 | そうね。美波ちゃんは努力家だし、ドキドキすることに夢中になる子だもの♪ |
瑞樹 | お仕事を頑張っているうちに、夢中になってついノリノリに……なんてこともあるわよね。わかるわ。 |
瑞樹 | ドSメイドって設定の撮影の後で、「美波様」って呼ばれて振り返ったのも、設定が抜けなかったからよね? |
アナスタシア | レッスンルームで、大胆な衣装に合うポーズを考えていたのも、ミナミが頑張り屋だから、ですね……♪ |
美波 | ちょっ、ちょっと、みんな、その辺でストップで……! |
奏 | ふふっ、わかったわ。焦る美波の可愛い表情も見られたし……♪ |
奏 | も、大胆なのか、恥ずかしがり屋なのか……一体、どっちが本当の美波なのかしら? |
奏 | 案外、どっちもとか……あら、ちょうど詳しそうな人が来たわね。訊いてみる? |
美波 | プ、プロデューサーさんっ!あ、いえ、プロデューサーさんにわざわざ訊くことじゃ…… |
美波 | そ、そう!今写真の選定中だったんですっ。ほら、写真集についてくる、プライベートアルバムの! |
美波 | それで、小学生の頃の写真は入れていいのかなって思って……そうですよね、みんな!? |
| なんて、その場ではあやふやにしてしまいましたけど……どっちが本当の私なのか、かぁ……。 |
| やっぱり、どっちも?だって、ミスコンの時もお仕事の時も、ちゃんと覚えてますから。 |
| 最初は恥ずかしくてドキドキしてるのに……頑張ろうって、みんなの喜ぶことをしようって考えていくうちに、 |
| つい夢中になって、大胆なことだってできちゃうんです。 |
| そして、その度に変な気分になっちゃって……あ、変って、本当に変な意味じゃないですよ!? |
| いつまでも慣れなくて、恥ずかしいけど、喜んでくれる人がいる。 |
| それに、新しい私の魅力を引き出してもらえて、見てもらえるのなら……それはきっと、嬉しいことで。 |
| そんな気持ちが全部混ざって、私の中で、新しいドキドキが生まれるんですっ♪ |
| でも、たまに思うんですよね。このドキドキが続いたら、自分がどうなっちゃうのかわからないなって。 |
| もちろん、少しずつ変わっていく私は、楽しみでもあるから…… |
| これからも、プロデューサーさんが持ってくるお仕事を、ドキドキしながら待っています♪ |
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