| ある日 |
| これは、ある三人が仲良くなる……その少し前のお話―― |
| ──打ち合わせ中 |
裕子 | 私たちが…… |
雫 | ユニット、ですかー? |
裕子 | 雫ちゃんと二人一緒に事務所に呼び出されたので、何かあるとは思っていましたが、ユニットのお話とは! |
雫 | 驚きですねー。でも、そう言えば今度出演するLIVEについて、詳細を何も聞いていませんでしたー。 |
裕子 | あっ、私もです!ソロなのか、誰かと一緒なのか聞いてませんでした! |
雫 | ということは、そのLIVEで初お披露目……ということでしょうかー? |
裕子 | おおーっ!それは今から楽しみですっ♪ |
裕子 | プロデューサーがさっき言っていたように、私と雫ちゃんは、相性がいいと思いますよっ!自分で言うのもなんですけど! |
雫 | ふふっ、そうですねー。私たち、同じ16歳ですし、プライベートでも、よくおしゃべりもしてますからー♪ |
裕子 | はいっ、私と雫ちゃん、二人なら、いいユニットになりそうで………………えっ? |
裕子 | 私たち二人だけじゃない?もう一人のメンバー??? |
早苗 | あたしよっ!!! |
裕子・雫 | 早苗さん!? |
早苗 | うふっ、驚いたかしら♪ |
早苗 | 今度のLIVEで、裕子ちゃんと雫ちゃん。あなたたち二人とユニットを組むことになったのは、あたし。片桐早苗よ♪ |
早苗 | よろしくねっ! |
雫 | これは、とぉーっても心強いメンバーですねー! |
雫 | なんともセクシーな雰囲気がムンムン、ムムムンと!これはつまり…… |
裕子 | つまり? |
雫 | たしかに……一体、どういう組み合わせなんでしょう?私とユッコちゃんは、同い年なので、わかりますけどー。 |
早苗 | あら、雫ちゃんったら……正直でよろしいっ! |
雫 | あはは、すみませんー♪ |
早苗 | フフ、いいわ。プロデューサー君に代わって、お姉さんが説明してあげる♪ |
裕子 | お願いしまーすっ! |
早苗 | まずポイントは、雫ちゃんの言うとおり年齢ね。なんてったって、二人ともピチピチのJK!16歳! |
早苗 | 怖いもの知らずなお年頃だし、もう無敵って感じでしょ? |
雫 | いえいえ、それほどでもー♪ |
早苗 | まあ、それはいいの。むしろ、とってもいいわ! |
早苗 | でもね、やっぱりそこは16歳。あなたたち二人だけじゃ足りないものがある……。 |
早苗 | そう、プロデューサー君は考えたわけね。 |
裕子 | 足りないもの、ですか? |
早苗 | そう!例えば、裕子ちゃん。あなたの良いところは、度胸と行動力があるところ。とっても素敵な長所よねっ♪ |
早苗 | でも、いざってときにちょっぴり落ち着きがない。違うかしら? |
裕子 | ぎくぅ……! |
早苗 | 続いて、雫ちゃん。あなたも、度胸があるし、朗らかで大らかよね。とっても魅力的よっ♪ |
早苗 | でも、ここぞという時にバシッと決める勢いが足りなかったりしない? |
雫 | ふむふむー、そうかもしれませんねー。 |
早苗 | そんな二人の前に現れたのが、あたし!早苗お姉さんよ♪ |
裕子 | なるほど!で、それは一体どういう? |
雫 | あ。わかりましたー。つまり、大人の早苗さんから何かを学んでほしい。そういうことですねー? |
早苗 | ピンポン、ピンポン!大正解〜っ♪ |
早苗 | まっ、あたしもいい歳なのに羽目外しまくるし、できないこともたくさんあるんだけど♪ |
裕子 | そうそう、聞きましたよ!以前、夏祭りで思いっきりはしゃいで、酔っぱらって大変だったって! |
早苗 | ああんっ、その話はナシで!……まだそのエピソードが広まっているとはね。あたしとしたことが失態だわ。 |
裕子 | つまり、こうですね?『羽目を外す早苗さんを、私のサイキックと、雫ちゃんの包容力でカバーすべしっ!』 |
裕子 | れが、私たち三人を組ませた理由なんですね!さすがはプロデューサー、素晴らしい考えですっ♪ |
早苗 | いやね?だからね? |
雫 | なるほど、わかりましたー。早苗さんと、ユッコちゃん……お二人とユニットを組めてとぉーっても嬉しいですー♪ |
裕子 | 任せてください、早苗さん!ユッコのパワーは年中無休!いつでも早苗さんが羽目を外せるよう、見守ります♪ |
早苗 | えっと、そうじゃなくてね? |
裕子 | えへへー♪まあでも、お酒グセ……はさておき、早苗さんから学ぶことはたくさんあると思います。 |
裕子 | 早苗さん、大人ですから! |
早苗 | う……。よくよく考えてみたら、この組み合わせって結構なプレッシャーよね。あたしが年長者だもの……。 |
雫 | ふふふっ、頼りにしてますー♪ |
早苗 | ということで、第1回!ユニット名は……まだ無し!あたしたちユニット三人の親睦会をはじめまーす♪ |
早苗 | さあ、ジャンジャン曲入れて、ご飯もドンドン注文しましょ♪今日は、あたしの奢りよっ! |
裕子・雫 | わーいっ♪ |
| ――数時間後 |
早苗 | いやー、歌ったわねー! |
早苗 | 早苗さんが歌った曲、はじめてカラオケで聴きましたー。フルだとあんな感じなんですねー。 |
裕子 | 小さい頃、親がよく家で流してたやつもありました!あの曲、私も好きですっ♪ |
早苗 | う……これが噂に聞くジェネレーションギャップ!なんだか複雑だわ。 |
早苗 | まっ、でも最後に歌った曲は二人とも知ってたみたいね。さっすが定番カラオケソング! |
早苗 | それに、はじめてだって思えないほど、あたしたち息ぴったりだったわね♪ |
裕子 | ……はっ!今、感じました!さいきっく・未来予知です!見えます……見えましたよ!こ、これは!これはーっ! |
早苗・雫 | …………ごくり |
裕子 | 私たち三人が生み出す未知で大きなエナジーを感じましたっ。ググンと!ムムンと!ババーンと!! |
早苗 | ふふっ、そうね♪あたしも見えたわ!今度のステージ、きっと上手くいくわ! |
裕子 | み、みみ、見えたんですか!?早苗さんって、サイキッカーだったんですか!? |
雫 | そういうことなら、私も……♪とぉーっても盛り上がる未来が見えましたよー。 |
裕子 | ええっ、雫ちゃんもサイキッカー!? |
雫 | うふふー♪ |
裕子 | ぐ、ぐぬぬ…………こうなったら仕方ありません。このユッコ、さらに重要な未来を言い当てましょう。 |
裕子 | ムムムムム…………ムムムムム……ムム………………出ましたっ!!! |
裕子 | 私たちの未来、それは…… |
早苗・雫 | それは……? |
裕子 | 三人でレッスンを頑張れば、LIVEは成功となるでしょう! |
| こうして、楽しい時間が過ぎていきました。 |
| 三人のステージは、まだ始まったばかり。 |
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