| あの日… |
| 『かけだしアイドル氏家むつみの大冒険、いまスタートです!』 |
| あの日、私は夢の一歩を踏み出しました。意気揚々と! |
| でも、実際は……大きな冒険を前にしただけで、びっくりしちゃってました。 |
| 早く新しい冒険がしたい。そう思っていたのに。 |
| 気づいてしまったんです。一歩踏み出そうとした私の足は、緊張と不安で、震えているって……。 |
| メアリー | じゃあ、やるコトはひとつネ!とびっきりカワイくするノ♪ |
| むつみ | 可愛くする、と……。そうすれば、メアリーちゃんのように自信が持てるんですね。 |
| メアリー | そういうコト!マイは?マイも、海外ツアーに行ったことあったわよネ? |
| むつみ | 教えてください、ぜひ。 |
| 舞 | 大丈夫ですよ、むつみさん!最初は緊張しますけど、こう声をかけたら、きっと優しく迎えてもらえますよ♪ |
| 舞 | 「はろー!」って! |
| むつみ | 挨拶をしたら、会場との一体感が生まれるということですね。な、なるほど……。 |
| メアリー | ンー、ムツミの日本語って難しいワ! |
| メアリー | それに、アタシたちの体験談が聞きたいって言ってたケド、さっきから楽しくなさそうネ。それじゃダメよ、ムツミ! |
| メアリー | 新しいお仕事なのヨ?ドキドキしないノ? |
| むつみ | ドキドキはしてますっ。してるんですけど……。 |
| 舞 | けど……? |
| むつみ | 上手く言えないけど……不安なんです。もやもやしてて……。 |
| メアリー | 考えすぎヨ!何も心配ないと思うワ! |
| むつみ | でも、メアリーちゃんや舞ちゃんと違って……私は、上手にできないかもしれないから。 |
| むつみ | たくさんアドバイスしてくれて、大丈夫だって言ってもらってるのに……すみません。 |
| 舞 | うーん、そんなに違うのかなぁ? |
| メアリー | アタシも、マイもムツミも、キュートなレディよネ!アタシは、キュートで、セクシーだけど♪ |
| むつみ | 違うって、思います。たとえば……舞ちゃんは年下だけど、しっかりしています。 |
| むつみ | イギリスでも、堂々としていたって聞きました。すごいです。 |
| むつみ | メアリーちゃんだって、いつも自信に満ちていて……アイドルのことも、日本語も、一生懸命勉強してます。 |
| むつみ | それって、二人とも、すっごく勇気のいる大冒険でも、怖気づかずにしてるんですよね。 |
| メアリー | アラ!ムツミったら、そんなふうに思ってくれてたのネ! |
| 舞 | むつみさんは、私が緊張してたときよりも、もっともっと緊張しているってことなのかな? |
| 舞 | それなら、私たち以外の人からも、お話を聞いた方がいいかもしれないですね! |
| 舞 | 初めて海外に行く時は、すっごく不安だったけど、なんとかなった人、とか! |
| メアリー | なんとかなった人……?そんな人、いたカシラ? |
| ヘレン | ヘーイ、迷えるガールたち!世界に向けて飛び立つというのなら、まずは私を呼びなさい。 |
| ヘレン | このヘレンをね! |
| メアリー | Are you kidding!?ヘレンったら、不安から一番離れてる人じゃない! |
| 舞 | メアリーちゃん、それはちょっと言い過ぎなんじゃ……? |
| ヘレン | フッ……構わないわ。それに、メアリー。あなたが言いたいこともわかるもの。 |
| ヘレン | 私は、世界を旅したわ。世界レベルの名に恥じぬよう、そして、世界レベルすらも超えていけるようにね! |
| ヘレン | 初めて海を越え、訪れた地。それは今や、遥か遠いメモリーの底で眠っているわ。 |
| メアリー | ほら!やっぱり他の人の話を聞いた方がいいわヨ! |
| ヘレン | ノン。お待ちなさい、ガールズ。 |
| ヘレン | 私には、どの世界も通過点に過ぎないわ。けれど、世界の果てを訪れた者だからこそ、できる話もあるのよ。 |
| ヘレン | むつみ!特に、あなたにはね! |
| むつみ | 私に、ですか……? |
| ヘレン | ザッツライ!世界の果てで、私は学んだの。世界はどこまでも続けど、どこへ行こうとも、私は私。 |
| ヘレン | そう。世界は、そこにある。ヘレンと共にね。この意味、わかるかしら? |
| むつみ | えっと……どんな場所だって、自分は自分で……。 |
| むつみ | ……自分からは、どうしたって逃げられない?それじゃあ、私は……。 |
| ヘレン | そんな悲しい顔はしないで。むつみは知っているはずよ。たったひとつの回答が、正解とも間違いとも限らない。 |
| ヘレン | そのことを、あなたが今読んでいるアドベンチャーは、教えているのではなくて? |
| メアリー | ムツミが読んでる本?今は、何を読んでいるノ? |
| むつみ | あ、はい。「ドン・キホーテ」です。 |
| 舞 | あっ!私、知ってます!冒険のお話ですよね! |
| むつみ | ……そっか。そうでした。 |
| メアリー | どういうコト? |
| むつみ | このお話は、騎士道小説に夢中になった主人公が、自分を騎士だと思いこんで旅に出るんです。 |
| むつみ | 本当は騎士じゃないから、旅の途中でからかわれたり、決闘に負けたりして、決して良い旅ではありません。 |
| むつみ | デタラメな冒険なんです。けれど、一緒に旅をした彼の友人は言うんです。 |
| むつみ | 「貴方との冒険はデタラメでも、何よりも楽しいものだった」って! |
| ヘレン | それは、あなたの旅。あなたの冒険。……むつみ!心のままにいきなさい! |
| ヘレン | 世界をめぐる旅に、失敗などないのだから! |
| むつみ | はい……! |
| むつみ | まだ怖いけど……私、冒険に出てみますっ。 |
| むつみ | (まずは、一歩。一歩踏み出せばそれだけで、きっと世界は変わる……) |
| むつみ | (アイドルになった時のこと、少し、忘れてたみたい……) |
| メアリー | ムツミ、いってらっしゃい! |
| 舞 | 楽しんできてくださいねっ。 |
| ヘレン | 私の瞳に焼きつけましょう。あなたが、新たな世界へと踏み出す瞬間をね! |
| むつみ | はいっ!みんな、ありがとう!いってきますっ! |
| むつみ | これが、私の新しい一歩。 |
| むつみ | 足は震えたままだけど……そのままの私で、進んでみようと思います。 |
| むつみ | この冒険の主人公は、私。頼りになる仲間もたくさんできました。 |
| むつみ | さあ、新たな冒険へ、出発ですっ! |
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