| 13年前 |
みやこ(3) | ねぇ、どうして空は青いの?雲がいっぱいある日と、ない日があるのはどうして? |
おとうさん | 都は気になることがいっぱいあるんだね。 |
みやこ(3) | だめ? |
おかあさん | そんなことないわ。好奇心旺盛なのは、良いことだもの。 |
みやこ(3) | こうきしんおうせいってなぁに? |
おとうさん | ははっ、早速だね。そうだなぁ……謎に強く惹かれる人のことかもしれないね。 |
みやこ(3) | なぞ? |
おかあさん | もう。都はまだ3才よ?パパはすぐ探偵小説みたいなことを言い出すんだから……。 |
おとうさん | でも、君も好きだろう? |
おかあさん | ふふっ、まぁね。あのね、都。謎っていうのは、不思議なことや、気になることで── |
| 〜13年後〜 |
探偵 | さて、皆に集まってもらったのは他でもない……犯人がわかったからさ。 |
探偵 | 事件が怪奇に見えれば見えるほど、本質は単純……初歩的なことだよ。 |
都 | ふぉおおおおおおおお!! |
| 私は昔から、なぜ?どうして?と思うことが多かった。 |
| そんな私が、探偵ドラマに夢中になるのは、当然のことだったのかもしれません! |
| テレビの中の探偵は、次々と謎を解いていきました。 |
| その華麗な推理にくぎづけになりました。かっこいい決め台詞も好きになりました。 |
| そして何より、自分もすごい推理ができる、かっこいい探偵になりたいと思うようになりました。 |
都 | はぁ〜……!やはりこの推理シーンは何度見ても最高ですね! |
テレビ番組 | この後は……今流行中!?新進気鋭のアイドルたちを特集したあの番組をお送りします! |
| 〜〜♪ |
都 | おお、可愛い人たちですね!歌やダンスも上手ですし、衣装も似合っています! |
| 〜〜♪ |
都 | また別の人が!? |
| 〜〜♪ |
都 | 今度は大人数で出てきました! |
都 | ……何故でしょう?何故、次々と出てくる子たちは、みんな可愛いんでしょう? |
都 | しかも、目が離せません……。言葉にできない魅力があって……。 |
都 | …………!そうです!きっと、ステージに秘密があるに違いありません! |
都 | そうと決まれば行かなければ!さっきの名探偵も言ってましたからね!情報とは、足で稼ぐものなのだ、と! |
母 | ちょっと都?そんなに急いでどこにいくの? |
都 | 現場検証です!! |
| そして、私はステージ裏でスカウトされ── |
都 | ふむふむ……アイドル……アイドル……。 |
友人A | あっ、都!やっぱりいると思ったんだ! |
友人B | 今日も推理小説を見に来たの?いいの見つかった? |
都 | はい!分厚く、挿絵も多い最適なものがありました!ですが…………。 |
友人A | んー、何か考え事があるっぽいねぇ。 |
友人B | なになに?また謎を解きにどこか行ってきたの? |
都 | いえ!そんな!そうですね、まずは、先日の出来事から話す必要があるんですが……。 |
友人A | なになに?また謎を解きにどこか行ってきたの? |
都 | はい!アイドルのステージに!あ、正確にはステージ裏ですね! |
友人B | そういうところって、セキュリティとか厳しんじゃ……大丈夫だった……? |
都 | すぐに捕まってしまいましたが! |
友人A | やっぱり……。 |
都 | そこで、アイドルのプロデューサーだという方から、スカウトを受けたんです。 |
都 | アイドルになれば、より詳しい調査も可能!アイドルの謎もきっと解けると! |
友人B | そ、それで、都はどうしたの……? |
都 | もちろん受けました。 |
友人たち | えぇっ!? |
都 | 探偵には変装術も必要ですからね! |
友人A | そんなに簡単に決めちゃって大丈夫!?アイドルの世界って、めっちゃ厳しいって聞くよ? |
友人B | だよね。都が本当にやりたいなら応援するけど……。今みたいに考えちゃうようなら、ちょっと心配かな……。 |
都 | 本当にやりたいか……ですか? |
友人A | うん。謎を前にした都みたいなものかな。 |
友人A | これをしないと、いてもたってもいられない!みたいな感覚……アイドルに対してはあるの? |
都 | やりたいこと……。私は、アイドルの謎が解きたくて……ステージに怪しいものはありませんでしたが…… |
友人A | 都?おーい? |
友人B | 指を合わせたまま考てえるね。推理中……かな? |
都 | 可愛さの秘密は、笑顔……。いえ、それは仮説にすぎません……まだ、謎は解けていない……。 |
都 | 私の推理力はここまでで……せめて助手がいれば……助手と一緒に…… |
都 | そうでした!助手!! |
友人B | 助手? |
都 | 助手ができたんです!私に!探偵都に!正確には、助手兼プロデューサーですが。 |
友人A | プロデューサー……ああ、さっき言ってた都をスカウトした人ね。 |
都 | ええ。探偵として、助手を一人で放っておくわけにはいきませんし、それに…… |
友人B | それに? |
都 | 約束したんです!二人で、ともにアイドルの謎を解くと! |
都 | 見やすい推理小説もオススメしてくれると言ってましたし……会って、今すぐ一緒に推理したくなりました! |
都 | どうです!?これが、いてもたってもいられない感覚ですよね! |
友人B | うん。……ふふっ、今の都、すごく楽しそう。もう決めたんだね? |
都 | はい!私、アイドルに……いえ、探偵アイドルになります! |
友人A | 探偵でアイドルかぁ。なんかすごそうだけど、本気の都ならできそう。 |
友人B | うん。私も応援するよ。 |
都 | ありがとうございます……!では、私はもう一度、助手とともにアイドルの謎へと立ち向かっていきます! |
都 | 謎を前にしたら、じっとしていられない。それが探偵ですから! |
友人A | ちょっ、都!? |
友人B | ……行っちゃったね。相変わらず、一度決めたらまっすぐだなぁ。探偵ドラマにハマった時みたい。 |
友人A | 小学生の時だよね!懐かしいなぁ……徹夜でワンシーズン見きって、授業中にうとうとしてたっけ。 |
友人B | そうそう。……いつも突っ走っていっちゃうんだよね。 |
友人A | うん、だから心配もするんだ。潜入捜査だ!って走っていった次に日には、毎回膝に新しい絆創膏貼ってるし。 |
友人B | しかも、本人に訊いてもちゃんと答えないんだよね。深いワケがあるんだ、って言って……。 |
友人A | ま、たぶん転んだだけなんだろうけど。 |
友人B | でも……優秀な助手ができたなら、安心だね。 |
友人A | うん。その助手とやら、いい目してるね。きっとすぐに気づいたんだろうなぁ。 |
友人A | 私らの友達が、まっすぐで、ちょい危なっかしいけどそこも応援したくなって、笑顔が可愛くて…… |
友人A | めっちゃアイドルに向ているってこと! |
友人B | そうだね。都が遠くに行っちゃうみたいで、ちょっと寂しいけど……。 |
友人A | でも、私らも本気で応援する。でしょ? |
友人B | もちろん!……そうだ。今度サインもらおうかな。新進気鋭の、探偵アイドル安斎都に♪ |
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