| トレーニングルーム |
沙紀 | お、伊吹発見。お疲れっす。 |
伊吹 | あれー?沙紀じゃん。お疲れー。こんな時間までレッスン? |
沙紀 | 今度の仕事の打ち合わせが長引いて。これから帰るところっす。 |
沙紀 | 伊吹こそ、まだ残ってたんだ? |
伊吹 | あははー、ダンスレッスンで火がついちゃってさー。でも、アタシもそろそろ帰ろっかなってとこ。 |
伊吹 | あ、ねぇ、そういえばこの間の学園祭、すっごい評判良かったってね!アタシたちのパフォーマンス! |
沙紀 | みんなーっ!学園祭、楽しんでるーっ? |
| ちょーたのしーっ!! |
伊吹 | アタシのダンス、どうーっ?良かったんじゃなーい!? |
| サイコーっ!! |
伊吹 | ふふっ、盛り上がってるね!アタシたちも、もっと気合い入れていくよっ。 |
沙紀 | 次も手加減なしで行くんで……そのつもりでお願いねっ! |
沙紀 | らしいっすね。自分たちが思いっきり楽しんじゃったから、それ聞いて安心したっすよ。 |
伊吹 | ちょっと恥ずかしかったけど、久々に制服も着られたし……アタシもまだまだJKとして通用するよねー、なんつって♪ |
沙紀 | 実際、違和感なかったっすよ。プロデューサー、これからそういう仕事増やしたりして。 |
沙紀 | それにほら、あの時もすっごくはしゃいでたし。 |
伊吹 | いかがですかーっ?熱々で、美味しいよーっ!この後LIVEを見るなら、その前に食べてってーっ! |
沙紀 | おっ、伊吹。宣伝上手っすね。んじゃ、アタシも…… |
沙紀 | このあとダンスLIVE、やるっすよー!来てよね! |
伊吹 | いやー、楽しくてさ!沙紀はフツーに馴染んでたよねー。あの手作り看板もサイコーにイケてたし♪ |
沙紀 | へへっ、あざっす。あれ、短期間で作った割には自分でもイケてたなーって。 |
沙紀 | あの仕事は、他校の学園祭を見せてもらったって感じで、面白かったなぁ。友紀さんの貴重な制服姿も見られたし。 |
伊吹 | ほんと、ほんと!なんかさー、アイドルって色々やれちゃうんだねー。すっごい楽しかった♪ |
沙紀 | LIVEは緊張したっすけどね。でもみんなや伊吹がいたから、自信持って踊れたかな。 |
伊吹 | へへ〜♪ダンス、良かったよね!アタシのも、沙紀のも! |
沙紀 | にしても、まさか仕事でこんなに仲良くなるとはね。はじめはこんなに気が合うとか思ってなかったし。 |
伊吹 | そう?アタシは仲良くなれそうだなーって思ってたよ?ストリート系な者同士ね! |
伊吹 | ……あ。もしかしてアタシの印象、あんまよくなかったカンジ?怒んないから言ってみ? |
沙紀 | ハハッ、いやー……まぁ……そうっすね。 |
伊吹 | あははっ、正直者め♪ |
沙紀 | それこそ一緒に仕事するまでは、伊吹のこと……ビミョーに苦手だったっす。 |
伊吹 | へぇ〜、なんでなんでー? |
沙紀 | 伊吹は……遠目から見てキラキラしてたから。ダンス上手いし可愛いし、アイドルっぽいかなーって。 |
沙紀 | キライとかじゃないんだけど、なんか遠い人だなーって。 |
伊吹 | ええー?そうかな?……ちなみに今は? |
沙紀 | 尊敬するマブダチっすかね。アイドルとしても、表現者としても、伊吹はカッコいいから。 |
伊吹 | ヤダ、なんか照れるー♪ |
伊吹 | ていうか「遠目から見てキラキラしてる」ってさぁー、もしや、近づいたらそこまでキラキラしてなかった的な!? |
沙紀 | あー、だからかー。近くでよーく見たら意外と…… |
伊吹 | してるしてる!キラキラしてる! |
沙紀 | あははっ、冗談っす♪今もキラキラしてるよ。遠くなくなったけどね。 |
沙紀 | 伊吹ってさ、昔からダンスやってたんすよね? |
伊吹 | そー。ほぼ毎日踊ってたー。 |
沙紀 | 習ってたとか?あ、それか、学生時代はダンス部だったとか。 |
伊吹 | ううん、アタシの場合はストリートだけ。気の合う仲間とその辺で音楽かけて、って感じ。 |
伊吹 | チームもね、がっつり固定って感じじゃなくて、その時々で気の合う子たちと組むんだ。それでイベントに出たりね。 |
沙紀 | へぇ、そういうもんなんすか。解散までは一蓮托生、ってわけじゃないんだ。 |
伊吹 | そーそー。あ、そういやイベントと言えば数少ないイベント経験で、一個印象に残ってるのがあったな。 |
伊吹 | 東京のクラブが若い子向けのデイイベント……お酒ナシのイベントやるって聞いてさ。出ることになってね。 |
伊吹 | でも、そん時のアタシってさ、ホント経験乏しくてさ。イベント当日まで、めっちゃ緊張してたんだ! |
沙紀 | この前とは大違いっすね。伊吹が緊張とか、想像つかないや。 |
伊吹 | アタシも、まだまだ未熟だったんだよねー。 |
伊吹 | でさ、緊張しつつ会場行ってステージ見てたら……超カッコいいグラフィティがドーン!って背景にあって! |
沙紀 | ! |
伊吹 | それ見たら、なんかすっごい安心したんだー。緊張とかトンだよね。 |
伊吹 | グラフィティって、普段踊ってる場所にもある、見慣れたアートだったから。 |
伊吹 | それで思ったんだ。『あー、ここはアウェーじゃないんだなー』……ってね♪ |
沙紀 | へぇ〜♪ |
伊吹 | だから、沙紀のグラフィティやってるの、なーんか嬉しいんだー。あの時、あの絵にすっごいパワーもらったから。 |
沙紀 | そっか、グラフィティはストリートダンスでもお馴染みっすもんね。なんか……嬉しいっす。 |
沙紀 | アタシも、昔、ストリートダンスのイベントに裏方で参加したことあるんだ。 |
伊吹 | えっ!?ホントに!? |
沙紀 | うん。今の話みたいに、アタシも自分の絵をダンスイベントのステージに飾ってもらったことがあって。 |
沙紀 | ダンスとグラフィティって、やっぱ相性いいっすよね。スケボーも。バスケもかな。ストリートの象徴っていうか。 |
伊吹 | ホントだよねー!……んふふっ♪ |
伊吹 | ん?どうしたんすか? |
伊吹 | アタシたちってさ、別の場所で生まれ育って、歳も違って、別々の場所で生きてきたじゃん? |
伊吹 | でも、もしかしたら、どっかで沙紀のアートを見たりしてたのかもなーって。 |
沙紀 | あー、あるかも。アタシ、東京でも横浜でも描いてたし。イベントも行ったし。 |
伊吹 | アタシ、横浜のイベントも出たことある!もー絶対カブってるってー! |
伊吹 | あ、そん時の写真、スマホに入ってるよ! |
沙紀 | まじっすか?見たい見たい! |
伊吹 | じゃ、これからご飯行こーよ!色々しゃべろー♪ |
沙紀 | おっ、いーねー。行こ行こ♪ |
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