| ライブ前 |
リポーター | 見てください、すごい行列!本日は好天に恵まれ、まさに絶好のフェス日和となっています! |
リポーター | 注目のアイドルたちが一同に集うLIVEということで、並んでいるファンの人々も、どこかそわそわしていますね。 |
リポーター | では、さっそくインタビューをしてみましょう!こんにちはー! |
少女 | こんにちは♪ |
リポーター | お嬢さんは今日、誰のLIVEを楽しみにすてきたんですか? |
少女 | 櫻井桃華ちゃんです!ずっと会いたいと思ってて……今日、また会えるの!すっごく楽しみ♪ |
リポーター | また……ってことは、桃華ちゃんには、一度会ったことがあるのかな? |
少女 | はい!私も神戸に住んでて……一回だけ、お話ししました♪ |
桃華 | はぁ……はぁ……っ、もう!フランソワーズ、カトリーヌ!あなた方のエスコートは、いつも強引ですわねっ! |
桃華 | (とはいえ、最近はシッターの方々にお願いしていたから……久々のわたくしとの散歩が嬉しいのかもしれませんわね) |
桃華 | ……それで、いったいここはどこですの? |
桃華 | (見覚えのない景色ばかり……以前のわたくしであれば、動揺していたかもしれませんわね) |
桃華 | (けれど……今は、わくわくもしているのですわ!) |
桃華 | 一応、家の者にも連絡しておきましょうか。場所は……携帯のGPSでわかりますわね。 |
| ピッ |
桃華 | もしもし、わたくし、桃華ですわ。ええ、フランソワーズもカトリーヌもはしゃいでしまって…… |
桃華 | ええ、お迎えをいただければと思いますの。ふふ、心配はいりませんわ。 |
桃華 | 久々のオフですもの。待っている間は、公園を少し散歩していますわね。 |
少女 | ……。 |
桃華 | (あの女の子、さきほどからずっと俯いてベンチに座っていますわね。迷子かしら……?) |
桃華 | (それとも……悲しみで、人知れず涙を流しているのかも) |
桃華 | ……お節介なわたくしを、お許しくださいませ。 |
桃華 | (誰に対しても愛を持て。それが、櫻井家でもアイドルでも、わたくしが学んできたことなのですから) |
桃華 | ご機嫌よう♪何かお困りかしら? |
少女 | …………ママ。 |
桃華 | えっ? |
少女 | ひっく、えぐっ……ママあああああああああ! |
桃華 | まぁ!わたくしはママではありませんことよ!? |
桃華 | なるほど。お母様の誕生日プレゼントを悩んでいたのですわね。 |
少女 | ……ママにほしいものをきいたの。そしたら、あなたが立派なレディに育ってくれたらそれで十分って……。 |
桃華 | 素敵なお母様ですのね。 |
少女 | うん!ママはね、おしとやかで、とってもきれーなの! |
少女 | でも、レディって、そうやってなればいいのか、わからないんだ……。 |
少女 | テレビでは、素敵なドレスやワンピースを着て、可愛いわんちゃんを抱いてて……ああーっ! |
桃華 | な、何か……? |
少女 | お姉ちゃんって、もしかしてレディ!?そうでしょ!? |
桃華 | そうですわね。まだまだ、磨くべきところは数あれど、素晴らしいレディでありたいと常々思っておりますわ♪ |
少女 | ……?難しいことはよくわからないけど、やっぱりレディなんだね! |
少女 | じゃあじゃあ、わたしを立派なレディにして! |
桃華 | まぁ!レディになるには、並々ならぬ努力が必要ですのよ?あなたにその覚悟があって? |
少女 | あるよ!おにみたいに特訓して! |
桃華 | お、おに!?いくらわたくしでも、さすがにそこまで厳しくはしませんわよ! |
桃華 | レディとは、美しく華麗であるべきですわ。口調や立ち振る舞いも、それ相応に優雅でなければなりません。 |
少女 | ……? |
桃華 | そうですわね。たとえば……感謝を伝える時は、上品に微笑んで……こうですわ♪ |
少女 | わぁ、お姉ちゃん、すっごくきれい!私もやってみる! |
桃華 | 姿勢も大切になさいまし。猫背なんてもってのほかですわよ? |
桃華 | 歩く時はゆっくりと。決して慌てたり、焦ったりしてはなりません。 |
桃華 | 何かを持つ時は、指をそろえるのが基本ですわ。……あらあら、小指は無理に立てなくても大丈夫ですわよ? |
桃華 | 一度に二つの仕草をすると、雑な印象を持たれてしまいますの。 |
桃華 | ですから、ひとつひとつの動作をきっちり……たとえば、物を拾う時。しゃがみながら拾うのではなく…… |
少女 | うぅ……難しいよぅ……。私、レディに向いてないのかなぁ……。 |
桃華 | 挫けないでくださいまし。レディなら、志が高いのは当然のこと。 |
桃華 | 悔しさをバネにすれば、華開く時はすぐそこですわよ♪ |
桃華 | ……けれど、リラックスも大切ですわね。たくさん学びましたし、お茶の時間にいたしましょう。 |
少女 | わぁ!いい香り……! |
桃華 | ふふっ、ローズヒップティーを水筒に入れて持ってきましたの。どうぞ召し上がれ♪ |
少女 | えっと、まずは礼儀をしっかりして……いただきます! |
少女 | それから、飲むときも一気にじゃなくて、ゆっくり……おいしい! |
桃華 | うふふ、その調子♪とっても可愛らしいレディになっていましてよ。 |
桃華 | わたくしが教えられる心構えはこのくらいですわね。 |
少女 | そっかぁ……。 |
桃華 | あら、まだ不安がありますの?どうぞ、わたくしに話してみてくださいまし。 |
少女 | だって……今の私、ごーかなお洋服、着てないから……。 |
桃華 | 装いが全てではありませんわ。とはいえ……華麗な装いで、背筋が伸びるのも、また事実ですものね。 |
少女 | あのね、ドレス、買おうとしたんだけど……おこづかいが、これくらいしか持ってなくて……。 |
桃華 | ……でしたら、わたくしにいいアイデアがありましてよ?この近くに、お花屋さんはあるかしら? |
桃華 | この薔薇を一輪、胸元に……うん、とっても華麗ですわ♪ |
少女 | バラが、ドレスのかわりになるの? |
桃華 | いいえ、胸元の赤い薔薇はあなたに灯ったレディの心……その証ですわ。 |
桃華 | ぜひ、お母様にプレゼントしてあげてくださいまし♪ |
少女 | えへへっ、ほんとにレディになったみたい♪ |
桃華 | みたい、ではなく、レディへの一歩をあなたは既に踏み出しているのですわ! |
桃華 | なにせ、このわたくしが手取り足取り教えたのですもの♪ |
桃華 | そして最後に……わたくしからの教えを、もうひとつ。 |
桃華 | レディとは、愛で全てを煌かせることができる人ですの。 |
桃華 | 今日、お母様を喜ばせることができたなら、あなたも立派なレディですわよ♪ |
少女 | そっか!ありがとう、お姉ちゃ……えっと、お姉ちゃんのお名前は? |
桃華 | あら、わたくしとしたことが、まだ名乗っておりませんでしたのね。 |
桃華 | わたくしは桃華。アイドルの、櫻井桃華ですわ♪ |
少女 | アイドル!?じゃあじゃあ、あくしゅ会とかLIVEとかで会えるの!? |
桃華 | ええ、お待ちしておりますわ。わたくしたちアイドルは、みなさまのために。 |
桃華 | 望まれたら、笑顔で会いにいきますの♪ |
リポーター | あっ、もう入場が始まったようですね!? |
少女 | ほんとだ!では、行ってまいります! |
リポーター | 仕草や口調が、ちょっぴり桃華ちゃんに似ている女の子でした! |
リポーター | あ、そうだ!最後にきいていいかな?あなたは、桃華ちゃんのどこが好き? |
少女 | えっとねー、かわいいところときれーなところと、全部好き! |
少女 | でも一番はね、レディなところ!ですわ! |
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