都 | なるほど、事件の舞台は絶海の孤島というわけですね! プレーヤーは島からの脱出を目指す、と! |
小梅 | うん……力を合わせてね……、だから、もう一人くらい……いてくれると嬉しいな……。 |
音葉 | 音が聞こえました……。楽しそうだけど、どこか不安で、助けを呼ぶ声のような……。 |
都 | おぉ!音葉さん、ナイスタイミングです!私たちは、今、大きな謎に挑もうとしていたところですから! |
音葉 | 大きな謎、ですか……?それは一体、どのような……? |
小梅 | えっとね……紗南ちゃんが、ゲームブックを貸してくれたの……。ホラーっぽくてオススメだよって。 |
都 | そして私は、名探偵になれるからと小梅ちゃんにオススメされたんです! |
小梅 | 私は一度プレイし終わってて、都ちゃんともう一人……何も知らないプレーヤーが欲しかったの……。 |
音葉 | そうだったんですね……。私で力になれるのなら……ぜひ、参加させてください。 |
小梅 | ……ありがとう。じゃあ、音葉さんにも説明するね……。 |
小梅 | 私と都ちゃんはね、目が覚めたら、薄暗い部屋にいたの……。 |
都 | 石造りの部屋で、外からは、波の音が聞こえてくるんです!まさに絶好のミステリー舞台、孤島ですね! |
小梅 | それで、今は何時だろうって、時間を確認しようにも……私の携帯は壊れて床の上に転がってたんだ……。 |
都 | ここで、私の出番というわけです!私なら、探偵七つ道具として、連絡手段はきちんと持っているはず! |
小梅 | じゃあ、都ちゃんは携帯を探す……17ページに飛んで……残念、見つからなかったみたい……。 |
小梅 | 代わりに、部屋には木の扉があることが分かったんだ……。都ちゃんはどうする……? |
都 | 開けましょう!事件の予感がします!解決しなければ! |
音葉 | 事件の解決よりも、まずは島からの脱出かと思いますが……それも都ちゃんらしいですね……。 |
小梅 | 扉を開けて、22ページ……。ここで、音葉さんが登場するの……。 |
小梅 | 私たちの隣の部屋に閉じ込められてた音葉さんも、室内にあった木の扉を開けてきてたんだ……。 |
小梅 | 三人が合流した部屋には、本がいっぱいあったの……。そこで、音葉さんは、何をしてたと思う……? |
音葉 | そうですね……私の場合、本の中から、楽譜はないかとつい探してしまうのですが……。 |
小梅 | さすがに楽譜はないと思うから……25ページの、本を調べる、で……。見つけたのは、研究記録だね……。 |
小梅 | ここは研究所の跡で……怪しい実験をしてたみたい……。人を造り出す……とか……。 |
小梅 | 実験の結果は……残念ながら、ぐちゃぐちゃに塗り潰されてるみたいだけど……。 |
音葉 | それでは、実験が成功したかどうかもわからないんですね……。 |
都 | ならば、その記録をつけた研究者を探しましょう!重要参考人はすぐさま任意同行です! |
小梅 | そうだね……その研究者は、今も一人でいるのかもしれないから……。 |
音葉 | あの、別行動も可能でしょうか……?私……まだ本を調べたいんです。気になるので……。 |
小梅 | うん、わかった……。まず、外に出た都ちゃんは、子ども部屋を見つけるの……。 |
小梅 | そこには、ベッドも、同じおもちゃもペアで置いてあったんだ……。 |
都 | むむ……では、本を調べていた音葉さんの方はどうなったんでしょう? |
小梅 | 研究者の日記を見つけたみたいだよ……。最後のページには、「会いたい」って書いてあって……。 |
音葉 | ……あの、私、研究者の正体がわかったかもしれません……。 |
都 | おお!……かくいう私も、人造人間の正体にはもう見当がついているんですけどね! |
小梅 | ……二人とも、早いよ?まだ……全然、証拠も出てないけど……。 |
都 | 自信はあります!人造人間の正体は………… |
都 | そう、何を隠そう、この私! |
音葉 | そして……私も。研究者は小梅ちゃん、ですね? |
都 | えっ!?音葉さんも人造人間なんですか!?研究者が……小梅ちゃん!? |
小梅 | えっと……じゃあまず都ちゃん、理由を教えてくれる……? |
都 | 簡単な推理です!この前読んだ推理小説で、こうありました。犯人は意外な人であるべきだ、と! |
都 | 小梅ちゃんはゾンビのマネが得意ですし、音葉さんも素晴らしい聴覚がある。そして、私は探偵……。 |
都 | 特殊な能力を持たない、一見怪しくない、意外な人物……それが私というわけです! |
小梅 | それは……推理、なのかな……?えっと、音葉さんは……? |
音葉 | 私は……「今も一人でいる」、「会いたい」、そう読んだ時の小梅ちゃんの声が、切ない音で……。 |
音葉 | まさに、研究者になりきっているようだと思ったんです。 |
音葉 | それに、小梅ちゃんは既にこの本を読み終えてますから……自ら、黒幕を買って出てくれたのかと……。 |
小梅 | それも、推理というより、音葉さんの能力だけど……ふふっ……。 |
小梅 | すごい……すごいね……。二人とも、証拠が全部揃わないまま、核心に迫っちゃった……。 |
小梅 | そうだよ。私が研究者で……都ちゃんも音葉さんも、私に作られたんだ……。 |
小梅 | 二人は幼い頃にこの施設を出て行って、普通の人間として暮らしていたんだけど…… |
小梅 | 私が、また会いたくなって、さらってきたの……。 |
小梅 | 携帯は、都ちゃんを運ぶ途中に転んで、壊しちゃって……そのまま、私も都ちゃんと一緒に気絶してた。 |
小梅 | 謎を解いた都ちゃんたちは、島を脱出するために、隠されている都ちゃんの携帯を探して……。 |
都 | いいえ、まだ謎は解き終わってませんよ! |
小梅 | ………………えっ? |
都 | 私自身の謎……人造人間が造られた理由を解き明かしてこそ、名探偵というものです! |
都 | だから、私はまだ小梅ちゃんと一緒にいる必要があります!島に留まる道を選びましょう! |
音葉 | そうですね……私も、一緒にいます。ひとりで奏でる音色は、美しくも切ないから……。 |
小梅 | 都ちゃん……音葉さん……。二人らしい結末だね……。 |
小梅 | もしかしたら……これが、本当のハッピーエンド、なのかも……? |
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