感染症と心理
COVID-19危機と戦うために、我々は行動変容せざるを得ない。このとき、行動変容を妨げたり、判断を狂わせたりしそうな落とし穴と、それらへの対応について、医学者Redelmeirと心理学者Shafirが概説している。
[ Donald A Redelmeier and Eldar Shafir: "Pitfalls of judgment during the COVID-19 pandemic", The Lancet Public Health, Open AccessPublished:April 23, 2020, DOI:10.1016/S2468-2667(20)30096-7 ]
これらのうち、「後知恵バイアス」について、説明を見ておくと...
COVID-19危機と戦うために、我々は行動変容せざるを得ない。このとき、行動変容を妨げたり、判断を狂わせたりしそうな落とし穴と、それらへの対応について、医学者Redelmeirと心理学者Shafirが概説している。
[ Donald A Redelmeier and Eldar Shafir: "Pitfalls of judgment during the COVID-19 pandemic", The Lancet Public Health, Open AccessPublished:April 23, 2020, DOI:10.1016/S2468-2667(20)30096-7 ]
項目 | パターン | 戦略 | 例 |
未知への恐怖 | 未知のリスクは、いつもの出来事より注意を惹かれる | 最初の衝撃が消えたら繰り返し思い出させる | 「既に対処してきたが、新しい出来事だったときにように用心深くなければならない」 |
個人的な恥 | 意図しない個人の些細な過失が、後に自己責任や汚名とされる | この反応は正常な行動であることを認識し、有名人の患者を例としてスティグマを弱める | 「トム・ハンクスもCOVID-19に感染した」 |
競合リスクを無視 | 目立つ脅威に気を取られて他のリスクへ注意が向かない | 見落とされがちな日常の危険を常に意識する | 「このパンデミックは、注意を必要とする健康への唯一のリスクではない」 |
目に見えない病気 | 客観的なデータがない場合、問題が見落とされる可能性がある | メンタルヘルスの合併症から守る | 「社会的距離は孤立のためにストレスを引き起こす。どのように対処しているか?」 |
明確なフィードバックがない | 学習には信頼できるフォローアップが必要 | 急速に変動する不安定な最新データを精査しない | 「毎日変化する統計ではなく、自分自身の計画した行動に注力する」 |
現状維持バイアス | 変化に抵抗したいという強い願望 | 潜在的な将来の利益を強調する | 「この危機は、新たなことを多く見るのに役立つだろう」 |
根本的な社会規範 | 習慣を変えるのは難しい | 行動を変えた人を思い出させ、強調し続ける | 「顔に触れないように注意すること。同じようなことをしている人がいたら、丁寧に教えてあげること」 |
後知恵バイアス | 略式判決は最終結果に大きく影響される | 結果が判明した後で、初期の試みを厳しく批判することを避ける | 「パンデミックは予測困難であり、その時点では管理困難だった」 |
これらのうち、「後知恵バイアス」について、説明を見ておくと...
Hindsight bias is the final pitfall. The COVID-19 pandemic will eventually subside. At that point, hindsight bias will lead to castigating medical authorities who might have over-reacted or under-reacted (potentially exacerbated by adversarial political accusations of incompetence). The uneven distribution of cases within and between countries will further lead to charges of inequality and injustice. Needless to say, some of the critiques will be correct and justified. Dynamic and contradictory data, however, might make it difficult to establish exactly what was known at what time, and how differently things could have turned out otherwise.
後知恵バイアスが最後の落とし穴である。COVID-19パンデミックは最終的に鎮静化するだろう。その時点で、後知恵バイアスは、過剰反応または過少反応した可能性のある医療機関を非難することにつながる(潜在的な能力不足の敵対的な政治的非難により悪化する可能性がある)。国内および国家間の冠せ者数の差異は、さらなる不平等と不正の告発につながる。言うまでもなく、一部の批判は正しく、正当化される。変化し続け、互いに矛盾するデータがあると、「いつ何がわかっていたのか、正確に特定する」ことや「そうでない場合にどのように、結局どうなり得たのかを知る」ことは困難になる。>
[ Donald A Redelmeier and Eldar Shafir: "Pitfalls of judgment during the COVID-19 pandemic", The Lancet Public Health, Open AccessPublished:April 23, 2020, DOI:10.1016/S2468-2667(20)30096-7 ]
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