短編集約束の第三話。
西本雄太の耳がきこえなくなったのは、四月なかばのことだった。
ある朝、母親の尚美のベッドサイドに小学校四年生になる長男が立っていたのである。
雄太は尚美のパジャマの袖を引いていった。
「ママ、耳がおかしくなった」
寝ぼけているのだろうか。声の調子が変だった。
抑揚がまったく感じられず、音がずれてきこえる。壁の時計を見るとまだ五時半である。
登場人物
西本雄太の耳がきこえなくなったのは、四月なかばのことだった。
ある朝、母親の尚美のベッドサイドに小学校四年生になる長男が立っていたのである。
雄太は尚美のパジャマの袖を引いていった。
「ママ、耳がおかしくなった」
寝ぼけているのだろうか。声の調子が変だった。
抑揚がまったく感じられず、音がずれてきこえる。壁の時計を見るとまだ五時半である。
登場人物
- 西本雄太:小学校四年生。ある日、耳が聞こえなくなる。
- 西本尚美:雄太の母。
- 西本美知佳(にしもとみちか):雄太の妹。八歳。
- 西本晴彦:雄太の父。事故で亡くなっている。
- 川辺京子:雄太の通う病院に通っている。娘のひかるも耳がきこえない。
- 川辺邦夫:京子の夫。離婚調停中。
- 川辺ひかる:小学校三年生の女の子。耳がきこえない。
- 吉崎和花:西本晴彦の交際相手。
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