短編集約束の第四話。
煮詰めたミルクのように濃い朝霧のなか、オートバイの排気音だけが響いていた。
4ストロークエンジンの間歇泉のような振動を両足のあいだに感じながら、佐伯正平は多摩川の河川敷を見おろした。
水の表には寒さのせいで湯気のような白いもやが揺れている。
正平がいつもモトクロスの練習につかっている天然コースも、折り返し地点に立つ一本松以外は墨絵のように白くかすんで
おぼろげな起伏しかわからなかった。
登場人物
煮詰めたミルクのように濃い朝霧のなか、オートバイの排気音だけが響いていた。
4ストロークエンジンの間歇泉のような振動を両足のあいだに感じながら、佐伯正平は多摩川の河川敷を見おろした。
水の表には寒さのせいで湯気のような白いもやが揺れている。
正平がいつもモトクロスの練習につかっている天然コースも、折り返し地点に立つ一本松以外は墨絵のように白くかすんで
おぼろげな起伏しかわからなかった。
登場人物
- 佐伯正平:高校生。モトクロスの初心者。
- カワサキ:カワサキの黄緑のジャージを着た小柄な少年。
- ヤマハ:小学校四年生ぐらいの女の子。
- ノブ尾沢:もう少しでファクトリーチームにスカウトされそうだったが、事故死した。
- 尾沢沙耶:ノブ尾沢の妻。
コメントをかく