創氏改名の強制
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以下、
・「京城日報」は朝鮮総督府機関紙である。
・「国民新報」は「毎日新報社が朝鮮人読者向けに発行していた週刊の日本語新聞」（熊谷明泰「朝鮮語新聞『毎日新報』(朝鮮総督府機関紙)に掲載された『国語』欄の歴史的変遷(一九三九年~一九四四年)」24頁）。毎日新報は諺文（ハングル）で発行された朝鮮総督府機関紙
１．強制を示す資料
戦前の枢密院会議と帝国議会の議事録、内務省文書
1941年（昭和16年）3月19日枢密院会議で石塚英蔵枢密顧問官が「児童入学に際し内地流の氏名に改称せざれば入学を許可せずとし実際上之を強制すると同様の趣なるやに聞く」と問いただし、秋田清拓務大臣が「実情に於ては必ずしも非難の声なしとせず。今後は些かも無理を生ぜしむることなきやう注意を加ふべし。」と回答。*1
1943年（昭和18年）2月26日貴族院予算委員会で、水野錬太郎議員（元朝鮮総督府政務総監）が創氏改名について「警察の圧迫」を問いただし田中武雄政府委員（当時の朝鮮総督府政務総監）が「一部遺憾な事例もあるやうであります」と認めた。*2
1943年3月23日の衆議院請願委員会で赤尾敏が創氏改名強制について発言し政府委員が強制を認める答弁。*3
1945年（昭和20年）3月6日付の内務省管理局文書では創氏改名について「実施に際し末端に於て多少行過ぎたる嫌いなしとせざる」と記述。*4
その他
山田司海「併合三十年の朝鮮 投資既に五十余億円」（経国社「経国十一月号」所収 1940年11月1日発行
清沢洌「満鮮旅行の雜感」（東洋経済新報社「東洋経済特輯 満洲 昭和15年版(康徳7年版)」所収）※1940年11月4日発行
鎌田澤一郎「朝鮮新話」1950年、創元社
地域が全部創氏した例
座談会参加しその場で全戸が創氏改名
２．「内地人式」の強制
創氏は漢字二字
他人の姓＝朝鮮既存の姓は使えない
従来の姓をそのまま氏としていい例外
氏だけでなく下の名も新しくすべき
３．当局の積極的な姿勢
目的、建前、正当化
南次郎朝鮮総督「強制ではないが制度・趣旨を周知徹底せよ。何人も賛同せよ」
創氏改名は「当然」「徹底」「全部」「使命」
創氏改名増加は「進撃」「好成績」「素晴らしい成績」
朝鮮新聞1940年5月8日「各面毎に創氏と経済道徳の座談会 清州署主催で十一日から」
京城日報1940年6月8日「晋州の創氏 頗る好成績」
京城日報1940年6月30日「弓興面民の創氏」
京城日報1940年7月10日「創氏・燎原の火 京城では約一割が名乗り」
朝鮮新聞1940年7月11日「全郡残らず創氏完了 全鮮に魁けた金浦郡」
朝鮮新聞1940年7月11日「忠州郡も成績甲 月末迄全部完了か 既に八割強を突破」
朝鮮新聞1940年7月18日「広州も全郡創氏か 既に一万三百余戸」
京城日報1940年8月13日「仁川は七割二分 筆頭は富川管内の九割七分 本庁管内は乙の上」
京城日報1940年8月16日「開城の創氏八割七分八厘」
朝鮮時報1940年8月20日「創氏設定の徹底 蔚山は七割強となる」
京城日報1940年8月22日「創氏の実績と半島人官吏」
創氏改名が少ないと「情ない」「汚名」「不振」
国民新報1940年3月10日「一週一常識 千百人に一人 京城の『創氏改名』届出 京城府庁元学均」
京城日報1940年4月21日「群山の創氏百三十三件」
京城日報1940年6月18日「去れこの汚名 全鮮最下位の全北の創氏熱 全道有志挙げて起つ」
朝鮮新聞1940年6月28日「全北道創氏状況」
朝鮮時報1940年7月20日「釜山創氏九千名 在籍者の四割」
４．創氏改名を嫌う・ためらう現地
嫌がる理由
京城日報1940年2月29日「創氏と基督教徒の感激 これこそ神の導き！教会幹部一斉に改名 歴史的な光明 家族八名改名の牧野師語る」
朝鮮新聞1940年3月5日「創氏制度に就いて 検事李炳��」
国民新報1940年3月3日「創氏を躊躇するな 文明��一翁近頃の大気炎」
国民新報1940年3月10日「一週一常識 千百人に一人 京城の『創氏改名』届出 京城府庁元学均」
貴族院請願委員会1940年3月12日
朝鮮新聞1940年3月12日「創氏早くも二千突破 忠北道内二月末現在」
国民新報1940年3月17日「時事独り問答 創氏の話」
京城日報1940年4月5日「名士続々創氏 永登浦にも感激の春」
京城日報1940年4月7日「曰く『李家允世』」
京城日報1940年4月9日「一家揃って創氏改名 咸北参与官松村さんの喜び」
朝鮮新聞1940年5月12日「創氏届出期限迫る 一層の理解を切望 野口大田府尹談」
京城日報1940年5月18日「もてる創氏 四月末で十五万戸突破」
京城日報1940年6月5日「何をか逡ふぞ 迷ふな陰陽五行の説 創氏徹底に区長らを総動員」
朝鮮新聞1940年6月28日「全北道創氏状況」
京城日報1940年7月9日「創氏の根本義 朝鮮人が皇国臣民となるの道【上】江田俊雄【恵化専門学校教授】」
京城日報1940年7月14日「創氏制に揚る半島民衆の歓呼！【2】文室時光（李王家職属・昌慶苑事務所次席）」
京城日報1940年7月14日「創氏制に揚る半島民衆の歓呼！【3】文室時光（李王家職属・昌慶苑事務所次席）」
京城日報1940年7月18日新居彝淳（京畿道坡州郡守）「創氏への愚見」
朝鮮新聞1940年7月18日「忠南連山面は全面が創氏」
京城日報1940年「社說 創氏制度の凱歌」
佐多稲子「日々の伴侶」1941年
一族会議の例
官吏、指導層、知識層の忌避
実情を示す資料
朝鮮貴族は大多数が創氏改名せず
朝鮮貴族の最初の創氏は、1940年8月10日の期限の直前である。
京城日報1940年8月4日
「金男爵『金井栄珠』」
・朝日年鑑1941年版で、朝鮮貴族のうち日本風の氏名に見えるのは
侯爵（0/7家中）伯爵（0/3）子爵（0/17）男爵（1/31）で、58家のうち1家
・朝日年鑑1942年版で、朝鮮貴族のうち創氏改名しているのは
侯爵（0/7家中）伯爵（1/3）子爵（2/17）男爵（4/31）で、58家のうち7家
・朝日年鑑1944年版で、朝鮮貴族のうち日本風の氏名に見えるのは
侯爵（0/7家中）伯爵（1/3）子爵（2/17）男爵（8/31）で、58家のうち11家
創氏を拒否した道知事
孫は結局創氏改名しなかったようで、1944年の新聞記事にもそのままの名前で登場する
・京城日報1944年12月25日「共に學び語れば分る, 勤勞と進學, 管理も利害を捨てて, 孫永穆氏」
・毎日新報1944年12月28日「處遇改善과 各界의 感想 - 各者技能發揮 - 鮮滿拓殖理事 孫永穆氏談」
創氏改名批判に有罪判決
低調な届出数と地域格差、途中から急増
京城日報1940年3月15日「創氏八千人 慶南外僅少」
京城日報1940年4月11日「創氏は三百分の一」
京城日報1940年4月18日「創氏振はず」
朝鮮新聞1940年5月12日「創氏巡回相談会 公州郡各面で開く」
京城日報1940年5月12日「創氏は先づ教職員から 平北で慫慂」
京城日報1940年5月30日「創氏談義など【2】天野道夫（国民精神総動員朝鮮連盟主事）」
京城日報1940年6月5日「何をか逡ふぞ 迷ふな陰陽五行の説 創氏徹底に区長らを総動員」
京城日報1940年6月18日「去れこの汚名 全鮮最下位の全北の創氏熱 全道有志挙げて起つ」
朝鮮時報1940年7月7日「創氏改名の促進 其の場で創氏の手続 府庁員各戸歴訪」
京城日報1940年7月14日「開城府民の創氏 千三百五十戸 六千五百人 全人口の一割程度」
朝鮮新聞1940年7月15日「創氏断然殖ゆ 全北六月に入り激増」
京城日報1940年8月6日「全州法院管内」
1939年末の人口で道別に比較すると
京畿道 朝鮮人人口2,416,057人中、創氏2488人（0.1％＝971人に1人）
忠清北道 890,469人中 493人（0.06％＝1806人に1人）
忠清南道 1,498,509人中 1012人（0.07％＝1481人に1人）
全羅北道 1,507,239人中 1126人（0.07％＝1339人に1人）
全羅南道 2,446,678人中 753人（0.03％＝3249人に1人）
慶尚北道 2,387,285人中24044人（1.01％＝99人に1人）
慶尚南道 2,120,499人中 2626人（0.11％＝808人に1人）
黄海道 1,695,197人中 675人（0.04％＝2511人に1人）
平安南道 1,490,584人中 1544人（0.1％＝965人に1人）
平安北道 1,607,415人中 1064人（0.07％＝1511人に1人）
江原道 1,571,502人中 891人（0.06％＝1764人に1人）
咸鏡南道 1,602,642人中 2227人（0.14％＝720人に1人）
咸鏡北道 864,234人中 1207人（0.14％＝716人に1人）
計 22098310人中40150人（0.18％＝550人に1人）
慶尚北道が突出して割合が高く、最も低い全羅南道の30倍以上が創氏したことになる。５．創氏改名徹底のための諸施策
集団で、全員で、一斉に
朝鮮新聞1940年3月5日「創氏に緊急動議 京畿道会で『改名』満場一致」
京城日報1940年3月21日「道民に示す範 率先創氏へ 忠北道議一同の快挙」
京城日報1940年3月21日「百の説明よりも実行に如かず 定州署員挙って創氏」
京城日報1940年3月28日「揃って創氏！学校長打合会」
京城日報1940年4月13日「教諭が揃って創氏 大邱師範学校」
朝鮮新聞1940年4月14日「安岳創氏 各区長それぞれ」
朝鮮新聞1940年4月18日「儒林九百余名一斉に創氏 定期総会にて決議」
朝鮮新聞1940年4月19日「忠州郡で一斉に創氏」
朝鮮新聞1940年4月20日「公州署に会同した基督教各派の牧師 創氏や神社参拝等を申合す」
京城日報1940年4月20日「知事さんをお手本に揃って創氏 黄海道全職員十日以内に届出」
京城日報1940年4月24日「一店挙った創氏」
京城日報1940年4月27日「十六洞の区長揃って創氏」
朝鮮新聞1940年5月1日「面職員が挙って創氏 平康郡一円に示範」
京城日報1940年5月7日「法院の創氏熱」
京城日報1940年5月9日「妓生揃って創氏 但し名前だけは元通り 鍾路券番の一千余名申合す」
京城日報1940年5月9日「邑民一斉に創氏」
京城日報1940年5月16日「幹部に倣って全員近く一斉に創氏 全鮮に範を示す忠北道庁職員」
朝鮮新聞1940年5月21日「里民挙って創氏 光陽郡紗谷里部落民」
京城府「京城彙報 第222号」1940年5月25日発行
京城日報1940年5月29日「儒林七百名が創氏」
朝鮮新聞1940年5月31日「儒城温泉会社従業員創氏」
朝鮮公論社「朝鮮公論 6月号」1940年6月1日発行
京城日報1940年6月2日「愛国の創氏部隊◇……油脂砿業従業員」
京城日報1940年6月8日「一部落創氏 六十余戸揃って届出」
京城日報1940年6月9日「神前で創氏を決議 精動連盟員九百五十名」
京城日報1940年6月19日「創氏に合掌 仏教徒十数万」
朝鮮新聞1940年6月27日「創氏 長津面職員が」
京城日報1940年6月28日「面職員一斉創氏」
京城府「京城彙報 第224号」1940年7月25日発行
官吏や指導層に率先垂範させる
親族会議をさせない
戸別訪問
警察や裁判所も協力
学校で生徒に指導
手続の簡素化や代書・代行、金銭負担軽減
氏名考案の支援、代行
創氏改名しない理由の調査
改名は後回しで創氏だけでも
締切が近い、締切は延長しない、締切後は許可しない（から早く届出よ）と強調
締切後も創氏を認める
姓名判断などやるなと説得
地名等を元に創氏せよと誘導
姓は変えないと強調
「改姓」「姓を捨てる」等と表現した例
その他
６．その他
創氏改名後は新しい名前を使う
創氏改名する利益、しない不利益
創氏改名の３パターン「氏のみ」「名のみ」「氏・名両方とも」
朝鮮総督府官報第3985号 1940年5月7日
◉官吏創氏並改名
昭和十五年三月二十八日朝鮮総督府郡守全在禹は邦本と創氏し同ニ十五日豊歳と改名、四月二日朝鮮総督府郡守金暎起は金松秀明と創氏並に改名、二月二十五日朝鮮総督府判事白漢成は水原と創氏し四月一日鶴人と改名、同五日朝鮮総督府郡守金井喜は金井と創氏し三月三十日喜一と改名したり
◉官吏改名
昭和十五年四月五日朝鮮総督府道理事官林文碩は文茂と改名したり
◉官吏創氏
昭和十五年四月十七日朝鮮総督府京畿道参与官兼朝鮮総督府道事務官李昌根は平松、同一日朝鮮総督府郡守朴彝淳は新居と孰も創氏したり
京城日報1940年7月5日「金慶南参与官『金林』と創氏」
氏の作り方
京城日報1941年8月12日「内地人風が三割五分 統計から覗く創氏考現学 氏設定満一年」
氏名の読み方（発音）
創氏奉告祭、名刺交換会
教科書の登場人物も創氏改名
名札・印鑑の特需と郵便配達の苦労
朝鮮半島以外での創氏改名
・「京城日報」は朝鮮総督府機関紙である。
・「国民新報」は「毎日新報社が朝鮮人読者向けに発行していた週刊の日本語新聞」（熊谷明泰「朝鮮語新聞『毎日新報』(朝鮮総督府機関紙)に掲載された『国語』欄の歴史的変遷(一九三九年~一九四四年)」24頁）。毎日新報は諺文（ハングル）で発行された朝鮮総督府機関紙
１．強制を示す資料 
戦前の枢密院会議と帝国議会の議事録、内務省文書
1941年（昭和16年）3月19日枢密院会議で石塚英蔵枢密顧問官が「児童入学に際し内地流の氏名に改称せざれば入学を許可せずとし実際上之を強制すると同様の趣なるやに聞く」と問いただし、秋田清拓務大臣が「実情に於ては必ずしも非難の声なしとせず。今後は些かも無理を生ぜしむることなきやう注意を加ふべし。」と回答。*1
1941年（昭和16年）3月19日枢密院会議
二十五番（石塚）
次に氏名の変更は当人の願出に由り許可せらるる制度にして内地に於ては濫りに許されざる所なるに朝鮮台湾に於ては或は児童入学に際し内地流の氏名に改称せざれば入学を許可せずとし実際上之を強制すると同様の趣なるやに聞く。尚朝鮮台湾に於ける新聞ラヂオ等言論の取締に付ても兎角の非難を聞く。斯の如きは新付の民を統治する上に於て適当なるか多大の疑問あり。児童入学に対し果して改姓を強要するが如きことありや否や併せて伺ひたし。
八番（秋田）
朝鮮に於ては姓を存するのみなりしが昨年二月氏の制度を創始し本人の希望に由り内地人式の氏を設定することを許し台湾に於ては本来氏の制度はありたるが曩に戸口規則を以て内地人式の氏に改むることを認めたり。其の孰れに在りても統治の実情及民の希望に応ぜんとする趣旨に出でたるものにして之を強制するが如きは統治の本旨に沿はざるものなり。而るに実情に於ては必ずしも非難の声なしとせず。今後は些かも無理を生ぜしむることなきやう注意を加ふべし。但し台湾に於ては氏の変更を為したる事例未だ千百未満にして朝鮮に於けるとは稍々趣を異にす。何れにするも国民学校令施行に伴ひ強制的に氏を設定し又は変更せしむるが如きことは断じてなからしむべし。尚朝鮮、台湾に於ける新聞ラヂオの取締に付ても充分注意を加へ民をして怨嗟の声を放たしむることなきやう戒心すべし。
1943年（昭和18年）2月26日貴族院予算委員会で、水野錬太郎議員（元朝鮮総督府政務総監）が創氏改名について「警察の圧迫」を問いただし田中武雄政府委員（当時の朝鮮総督府政務総監）が「一部遺憾な事例もあるやうであります」と認めた。*2
1943年（昭和18年）2月26日貴族院予算委員会
○水野錬太郎君
それから民心を把握することが必要であると云ふことの御話がありましたが、それは其の通りでありますが、時に依ると総督府の上の方の人はさう云ふ考を持って居るかも知れぬが、地方等へ行って下級の人等が、動もすれば朝鮮の人に圧迫を加へると云ふことがあることもなきにしも非ずであります、殊に一昨年でしたか、あの姓氏令、即ち名前を変へると云ふことがありましたが、何でも非常に成績が好い、殆ど八割迄日本人の名になったと云ふことがありましたが、それが果して彼等の衷心から出たのならば宜いのでありますが、時に依ると警察の圧迫に依って斯う云ふ風にしたのである、或は学校の生徒等が動もすれば父兄がさう云ふ圧迫を受けるからさう云ふ風になったのであると云うやうな不平も聞くのでありますが、此の頃はどうですか、さう云ふ方面は余り無理にやって居らないのありますか、何でも前総督の時には大分さう云ふ方面に力を入れたと云ふことでありますが、今日はもう自然に任して居られるのでありますか、それは如何でありますか、其のことを承りたいのであります
○政府委員（田中武雄君）
それから次は創氏の問題、志願兵問題等に付きまして、官辺の強制と云ふやうなことに関してでございまするが、是は私共も仰せの如く同じやうなことを耳に致して居りましたので、揣（はか）らずも自分がさう云ったやうなことに対しまして責任の地位に立ちましたので、さう云ったことに対しまして間違って居ることがあるならば是正をして参りたいと考へまして、色々事実の真相を調べて見たのであります、必ずしも絶対にさう云ふことがなかったとは申上げ兼ねまするのでありまして、一部遺憾な事例もあるやうであります、併し将来は左様なことのないやうに、適正に運営して参りたいと斯様に存じて居ります、
1943年3月23日の衆議院請願委員会で赤尾敏が創氏改名強制について発言し政府委員が強制を認める答弁。*3
1943年3月23日の衆議院請願委員会
〇平川委員長
日程第七、朝鮮に内地姓氏許与反対の請願、文書第三〇一号ー紹介議員赤尾敏君
〇赤尾委員（赤尾敏議員）
本請願の趣意は、去る昭和十五年の二月十一日紀元節の日に、当時其の任にありました南朝鮮総督が、朝鮮民事令改正に依って朝鮮民族の姓を日本式名字に改むるの政策を強行断行されたのであります、而も世間に向っては、改姓は半島の方方の自由意思だ、斯う仰せになっていらっしゃいますが、事実は中々さうでなくて、相当強制的に色々な方法でおやりになっていらっしゃるやうであります、此のことは無論半島の人々に非常なる悪政であると云ふので、不平不満を買って居る事実が相当あるやうであります、
〇田中武雄政府委員（朝鮮総督府政務総監）
御答へを致します、…此の間多少末端の役人の間に於きまして、幾分此の趣旨を誤解致しまして、強制をしたと云ふ事実が絶無でなかったらうと思ふのでありまして、此の点は甚だ遺憾に存じて居るのでありますが、
1945年（昭和20年）3月6日付の内務省管理局文書では創氏改名について「実施に際し末端に於て多少行過ぎたる嫌いなしとせざる」と記述。*4
十二 創氏制度実施の理由並に之が結果（利弊）如何
内鮮一体皇国臣民化の進展に即し名実共に皇国臣民たらしむべく其の希望により創氏し得るの途を開きたるものなり。実施に際し末端に於て多少行過ぎたる嫌いなしとせざるも大多数は其の希望に依り進んで創氏し皇国臣民たるべき決意を愈々固め現在に於ては内鮮融合一体の上に好結果を齎しつつありと信ず。
その他
山田司海「併合三十年の朝鮮 投資既に五十余億円」（経国社「経国十一月号」所収 1940年11月1日発行
乍併、全島民中、日本語を解するもの約二割、他の八割は内地語が分らぬ連中であるから、名氏を変へて貰っても忘れて終ひ、役場に行って
「私の名前は、何といふんでしたっけねェ」
と訊ねるお百姓も少くないとの事だ。
清沢洌「満鮮旅行の雜感」（東洋経済新報社「東洋経済特輯 満洲 昭和15年版(康徳7年版)」所収）※1940年11月4日発行
…服装の問題は現総督の指図ではないが、現在問題になってゐるものに創氏に関するものがある。
創氏といふのは朝鮮流の姓名を日本流にかへることだ。金といふのを金子とか、崔といふのを山田とかいふ如くにだ。南総督の意志は斯くて不当に区別待遇を受けてゐる鮮人に内地人と同等の待遇を与へんとするにある。どんな意味からでも鮮人に対する好意の発露だ。現に南総督はこれに就ては善政の一つとして自信があり僕自身が読んだわけではないが、先頃内地から帰鮮した際の談話にも「この政策に反対なものは朝鮮から出て行って貰はう」と云ったといふ。但し又聞きだから真偽に保証は持てぬ。
ところが、総督の耳にまで達してゐるかどうか知らないが、鮮人の間にも種々な不平があると聞いた。一つはそれが強制されるからである。巡査が戸のところで「君の家はかういふ名前にかへ給へ」といった調子でやる。成績をあげんがためである。もう一つは父祖伝来の名前をかへることに対する躊躇だ。更にインテリなどは日本が強制的に同化政策を強ふるといったひがみがある。これ等は何れも誤解には違ひないが、実際政治にはその誤解が実は一つの真実で政治家としては一応注意すべきだ
僕はかうした徳政は道を開いて長い効果を将来に俟つべきだと思ふ。それは飽くまで自発的で、不便を感ずるものが進んで是正することにしたらよかったと思ふ。今度のものは八月十日とかに締切って、その後は許さないとか聞いた朝鮮は勿論満洲方面においても、内鮮両人の待遇には区別があるそうで、そういふ点からも実際上の不便もあるといふ説も聞いた。（119頁）
鎌田澤一郎「朝鮮新話」1950年、創元社
南（※南次郎朝鮮総督）統治の中心をなすものは、鮮満一如と内鮮一体であり、朝鮮人の皇国臣民化であった。鮮満一如といふのがすでに頗る侵略的表現であり、事実当時の関東軍第四課と連絡して、各種の問題で朝鮮の軍国化を図って行ったのである。※鎌田は朝鮮総督府嘱託
内鮮一体のスローガン実施に当って、もっとも大きい失敗は、世に有名なる創氏と国語常用の問題だ。即ち朝鮮人に日本の姓を与へ、加藤清正とか石川五右衛門とか名乗らせることだ。名は体を現はすことになるが故に、日本名を名乗らせて、その中味をも、完全な日本人にしようといふことであった。
もっともそのころは、日華事変から太平洋戦争へ引つづく重大時期で、国家意識は昂揚され、軍国主義が高調される段階であって、朝鮮人の中にも、創氏改名を希望する者も相当あった。そのころ著者が外遊中に於ても、欧州やアメリカで滞在する朝鮮人、中国人の多くは、大抵日本名を名乗り、日本人と称してゐた。ホテルレヂスターなどで、意外な日本名が記録されてゐることを発見することなどしばしばであったのだ。
さうした傾向もあったのだから、もし心からそれを希望してくる大勢ならば、委員会でも設けて許可制でもとればよかったのだ。
然るに南はそれを全鮮に強制した。各地にいろいろの悲喜劇が発生した。裁判所などで終日被告控室で待ちつづけ遂に呼出しがない。しかるに判決は欠席裁判で有罪となって居る。段々聞けば裁判所は創氏の日本名で呼ぶのだが、本来その名は自分が改名したものでなくて、面長や駐在所の巡査などが勝手に改めて、夫々登録されたものであるから、本人は全く知らなかったり、又うっかり忘れて了ふところから起きる喜劇であった。
悲劇は至るところに発生し、それが猛烈な反日思想に発展し、対日非協力の地下運動になって行った。その一例に全羅北道高敞郡に薛鎮永といふ中地主の旧家があった。主人は実に真面目な愛国者で戦争が段々と進んで軍糧米が次第に不足になって来たころ、自家の一年分の小作米全部二千石を献納して、朝鮮軍司令部をあっと驚かせた。一年分の小作米収入がなくとも、どうやら税金と小使銭は若干の貯金で賄へるから、お国の為に真裸身になって御奉公したいといふ奇特な申出であったのだ。その特志家の家へも、御多分に洩れず、ぜひ創氏改名せよと面長や郡守から強制して来た。しかしこればかりは許して貰ひたいといってどうしても肯かない。それは朝鮮の大家族主義は系譜を非常に尊重する。特にこの薛鎮永の家は旧家としての誇りがあって、祖父から系譜を大切にせよ、名を汚すなとよく言はれてゐた。だから整然たる系譜をもつこの家名だけは残しておきたいから諒承を乞ふ、決して反日感情のためでない。愛国者として人後に落ちないことはすでに皆さん御承知の通りなのですと、実に筋道の通った話なのだ。
ところがこの旧家が改名しなければ、その付近の村落全部に於て一人として改名するものがない。焦った当局はその愛児の通ふ小学校の教員を動員して、創氏しなければ学校の進級をとめるぞと脅迫したものだ。子供は泣く泣く帰宅して、之を父に訴へぜひ創氏して欲しい、それでなければ学校へゆけないとせがまれて、薛鎮永氏は子供可愛いさに遂に決心し、翌日面事務所へ行って、創氏改名の手続きを完全に済ませ、学校へも届けて子供を喜ばせた上、その翌日、石を抱いて井戸に沈み祖先への申訳を死によって果したのであった。
その話を著者にした全北知事の孫永穆は、両眼から涙をぽたぽた落し乍ら、被圧迫民族の悲痛さを嘆いたが、彼は最後まで創氏改名をしなかった。慶北知事の金大羽もさうであった。（317-319頁）
地域が全部創氏した例
単なる希望制なら地域の全戸全員が創氏することは考えにくく、強制があったと考えられる。
朝鮮新聞1940年7月6日「郡民挙げて創氏せん 正に全鮮一の感激篇」
朝鮮新聞1940年7月11日「全郡残らず創氏完了 全鮮に魁けた金浦郡」
朝鮮新聞1940年7月18日「忠南連山面は全面が創氏」
朝鮮新聞1940年8月1日「創氏期日迫り 届出て完了す」
京城日報1940年8月4日「郡民挙って創氏」
京城日報1940年8月6日「郡民十万が創氏 慶北盈徳郡の感激」
朝鮮新聞1940年8月9日「裡里創氏状況」
京城日報1940年8月13日「輝く漣川郡 全郡届出完了」
京城日報1940年8月14日「明朗この数字を見よ！大邱府内は殆ど十割 慶北の創氏八割六 届出総戸数卅八万二千七百」
京城日報1940年8月14日「大田は七割三分」
朝鮮新聞1940年8月14日「江華郡民は揃って全部の創氏完了」
京城日報1940年8月15日「儒教根源地も全く内地化 坡州全郡の創氏完了」~^
京城日報1940年8月25日「感激の創氏完了奉告祭」
朝鮮新聞1940年8月28日「慶北創氏徹底 大邱府内は九割五分」
朝鮮新聞1940年7月6日「郡民挙げて創氏せん 正に全鮮一の感激篇」
【永登浦】…殊に金浦郡においては権藤郡守自から陣頭に立って創氏の範を垂れると共に郡民打って一丸になって、この意義ある機会に名実共に日本人としての新しき出発をなすべく農村振興委員並に国民精神総動員部落連盟理事等を動員させ郡民全体一人残らず創氏を完了させるよう活動した結果、六月末現在、すでに管下九ケ面中、金浦、高村、月串、大串、陽邑、霞城、陽東の七ケ面は面民全部創氏を完了し黔〔ママ〕丹陽西の二ケ面だけ未だ手続き中であるが、同郡総戸数八千七百六十五戸中その九割七分三厘は完了し、余る二分七厘は遅くとも七月十日迄には完了さす見込だと意気込んでゐる、（以下略）
朝鮮新聞1940年7月11日「全郡残らず創氏完了 全鮮に魁けた金浦郡」
【永登浦】締切りを後一月に控へ全鮮に魁け金浦郡の創氏状況は九割七分三厘迄進捗したといふことは既報の通りであるが、以後同郡においては完了未済面點〔ママ〕丹、陽西両面に付き創氏設定趣旨徹底に尽力した結果七月五日付をもって前記二ケ面も完了して、此処に同郡実在戸数八、六七七戸が一人残らず創氏を完了した。かくの如く郡民が打って一丸となり一人残らずしかも期限を一ケ月も先んじて芽出度創氏を完了したことは正に全鮮一の感激篇ともいふべくこの蔭には権藤郡守以下関係職員の指導よろしきを得たことを見逃すことが出来ないのである
朝鮮新聞1940年7月18日「忠南連山面は全面が創氏」
【大田】忠南道論山郡は古来両班の土地として知られてゐたので陋習を固執してゐた処創氏の届出期限も後四週間に差迫った今日郡当局並に面係員達は趣旨徹底の為東奔西奔努力した甲斐あって連山面は既に全面が創氏完了した
朝鮮新聞1940年8月1日「創氏期日迫り 届出て完了す」
【大邱】大邱地方法院戸籍係りにおいては炎暑を衝いて創氏制度の趣旨宣伝誤った認識を是正する等その対策に就て六彌田主任以下全員懸命の努力を傾注してゐるがその甲斐あって前に漆谷郡石積面、清道郡角北面の二ケ面は在住者について創氏を完了したが今回又々左の通り二ケ面在住者について創氏完了した
京城日報1940年8月4日「郡民挙って創氏」
【海州】遂安郡では景山郡守が真剣に創氏の趣旨徹底につとめ遂に酬ひられて七月卅一日六万九千二百三十八人の全郡民が創氏を完了同日遂安神社で奉告祭を行った、その通知に接した金村知事は郡の首脳者が理解し郡民を指導した熱心に対しうれし涙を浮べて感激
京城日報1940年8月6日「郡民十万が創氏 慶北盈徳郡の感激」
内鮮一体史上画期的な創氏制度施行は全半島に感謝の嵐を呼び、先に京畿道金浦郡では全郡創氏、皇国臣民としての意志を強固にしたが、慶北盈徳郡でも郡民十万が挙って創氏八月一日届出を完了した、なほいよいよ八月十日の締切りを前に各道各郡、府、邑とも届出殺到係員は忙殺されてゐる
朝鮮新聞1940年8月9日「裡里創氏状況」
【裡里】裡里邑における創氏成績は他に比し極めて良好であったが去る七日迄総戸数一千八百四十戸の内創氏手続きを完了した者が一千三百二十戸、後は戸籍だけ裡里邑に置いて実際は転居して不在者である故七日をもって殆ど完了した模様であると
京城日報1940年8月13日「輝く漣川郡 全郡届出完了」
【漣川】漣川郡では創氏届出期間の最終日を期して郡下の現住戸数一万二千九百四十四戸全部の創氏を完了した
京城日報1940年8月14日「明朗この数字を見よ！大邱府内は殆ど十割 慶北の創氏八割六 届出総戸数卅八万二千七百」
【大邱】十日をもって締切られた創氏手続受付は大邱府内では行先不明者、未成年の戸主その他を残して全半島府民に及んだが、（以下略）
京城日報1940年8月14日「大田は七割三分」
【大田】大田府内の創氏届出は…戸籍面戸数から見れば七割三分の届出を見た、残りの二割七分は戸主不在、戸主未定、絶家期間未経過、海外転出等の届出不能のものばかりで届出督励の不可抗力なるものある
朝鮮新聞1940年8月14日「江華郡民は揃って全部の創氏完了」
【江華】半島人の創氏届出は愈々去る十日をもって締切った千秋万代まで残される皇国臣民の表徴たる創氏制度実施の旋風は江華十万群民に名実共内鮮一体の精神を鼓吹する所あり郡内十三ケ面一万四千五百十八戸は全部揃って創氏届出を完了した
京城日報1940年8月15日「儒教根源地も全く内地化 坡州全郡の創氏完了」~^
【汶山】坡州郡は元来李栗谷、成牛渓等多数の大儒者を出した地方だけに創氏問題の如きは他郡に比べて相当難関あるものと予想されてゐたが、みごと予想を裏切って十日締切までに全部一万戸挙って届出を済ましたので、新居郡守はじめ関係当局は面喰らはぬばかりに感激し、来る廿日午前十時半汶山神祠で厳粛な創氏完了奉告祭を挙行することゝなった
京城日報1940年8月25日「感激の創氏完了奉告祭」
【汶山】坡州郡では既報の通り郡民一万六百廿一戸が八月十日迄に漏れなく創氏届出を済ましたので廿日午前十時半から汶山神社で神谷京畿道内内務部長、金子京城地方法院長、山澤検事正、上坂開城支庁判事、郡内各官公署長、郡内有志及び学校児童千余名参列の下に荘厳な奉告祭を挙行した、新井群守の挨拶、鈴川道知事告辞（代読）法院長及び検事正の祝辞に次いで愛国班員総代の涙ぐましい感激に満ちた謝辞を述べれば、老儒生十余名が各々創氏制度制定に対する奉賛文を奉呈して参列者一同を痛く感激させた、なほ愛国班一同の発議で南総督あて左の感謝の電報を発送した（以下略）
朝鮮新聞1940年8月28日「慶北創氏徹底 大邱府内は九割五分」
【大邱】慶北道内の創氏は八月十日多大の感激をもって締切りを見たが実績は廿六日地方課から発表した。これによると慶北の朝鮮人総戸数は四八三、五四〇戸で届出数は三七九、〇三八戸歩合は七割八分四厘である、しかし現実には前記総戸数のうち十万四千五百二戸は行先不明のもの大部分と絶家のものあるので、創氏は在籍者だけで九割以上となってゐる、右の各府郡のうち盈徳、青松、義城、慶山、栄州の五郡は創氏完了を見てゐる各歩合次の如し
（中略）
備考
一、大邱府 不在者等総戸数約三割を除き在籍九割五分（※1935年国勢調査で人口107,414人）
二、義城 不在者等一、七五七戸を除き在籍完了（同142,350人）
三、青松 不在者等四、四一六戸を除き在籍全部完了（同58,987人）
四、盈徳 在籍全部完了（同86,334人）
五、慶山 不在者等一、三六二戸を除き在籍全部完了（同93,924人）
六、清道 不在者等三、四六四戸を除き在籍九割八分（同94,165人）
七、栄州 不在者等四、四ニ六戸を除き在籍全部完了（同88,923人）
座談会参加しその場で全戸が創氏改名
京城日報1940年5月24日「部落民挙って創氏」
【光州】谷城郡兼面駐在所ではこの程、画期的民事令改正に伴ふ創氏座談会を開きその趣旨徹底に努めたが、この座談会に参加した同面松光里第二区三十八戸（一八二名）同玄亭鮮第二区二十四戸（一一二名の全部落民が感激、即座で創氏改名を申出て手続きを完了したが、更にこの他七ケ部落も五月一ぱいに感激の名乗りをあげることになった
２．「内地人式」の強制
創氏は漢字二字
「二字」が前提ということは、朝鮮に多い「一字」の姓をそのまま氏に流用せず、日本に多い二字に変える、新しく氏を創り出すということである。
朝鮮総督府法務局民事課「朝鮮に氏制度を施行したる理由」1940年2月29日発行
京城日報1939年11月12日「さあ、二字姓へ！到る所で嬉しい評定」
朝鮮総督府法務局民事課「朝鮮に氏制度を施行したる理由」1940年2月29日発行
新聞、ラヂオ、パンフレット、講演、精神総動員を通じ内地人式の氏即ち二字制の氏を設け得るものにして、日本既存の氏を踏用せしむる趣旨にあらざること日本における苗字は地名を採り来れるものなるを以て之に倣ふべきことの周知徹底を図り（19頁）
京城日報1939年11月12日「さあ、二字姓へ！到る所で嬉しい評定」
【永登浦】遂に半島待望のおふれが出た、実施は明年の一日からとあるが、シビレ切らして永年待ちあぐんでゐたものだけに町から町へあがる歓呼はまるで嵐だ、うれしいたのしい嵐だ、あふれ〔ママ〕が出た、「さあ俺は何といふ氏にしろか〔ママ〕」「君は何とつける？」至る所でほゝ笑ましい相談だ、永登浦署内では何処も彼処もこの嬉しい�牴餤牒瓩任發舛�ってゐる、愛国半島待望の歓喜が遂に爆発したのだ、早い連中がすでに改氏して呼びっくらをしてゐる、バスの中でも、街の角でも、軒の下でも、ちょっとした集合場所では人々がこのよろこびにさゝやきあってゐる
他人の姓＝朝鮮既存の姓は使えない
例えば李さんが「朴」と創氏することは許されなかった。つまり朝鮮に既にある姓は使えず、必然的に内地人式＝日本式・日本風の氏にするしかなかった。
京城日報1939年12月30日「創氏と改名問答〔上〕安田幹太 ◇……手続きのやさしい手引」
京城日報1939年12月30日「創氏と改名問答〔上〕安田幹太 ◇……手続きのやさしい手引」
…問 それでは何でもよいから自分の好きな名称を届出ればよいわけだね
答さうはいかぬ、御歴代御諱又は御名は絶対に氏に使用出来ぬ、其の外に自己の姓以外の姓は之を用いる事は出来ない、例へば君は李姓だから自分の氏に金姓が使用出来ぬと言ふわけだ。それから又現代の名士、顕官、歴史上著名な人物の氏の如きは可成り差控ふべきものであらうと思はれる、次には造字、破字当字の如き文字記号を使用した氏は一般に通用せず又文字の態を為さないからいけない、少くとも氏は一家の表象で其の家の名誉を顕すものであると考へ設定には慎重を期し子孫の代に及んで悔を残さない様にすべきだと思ふ
従来の姓をそのまま氏としていい例外
日本にもある一字姓は、それをそのまま氏とすることが認められた。ただしその場合も訓読み・日本風の発音にした。
京城日報1939年12月31日「創氏と改名問答〔下〕安田幹太」
京城日報1940年8月12日「慶南郡守ら晴の創氏」
朝鮮新聞1940年9月21日「期限後の手続 宮本法務局長語る」
京城日報1941年8月10日「全戸数の九割 創氏締切満一周年の成果」
京城日報1939年12月31日「創氏と改名問答〔下〕安田幹太」
…尤も「南」「高」といふ如き姓はその儘氏として使用しても立派なもので斯かる人は名前だけの変更で足ることになるね
京城日報1940年8月12日「慶南郡守ら晴の創氏」
【釜山】十日いよいよ創氏手続きの受付は完了した…管内三府十九郡の内、半島人郡守さん達は新任の昌寧郡守韓煕錫さんが申告未着であり晋陽郡守林憲平さんはその儘「ハヤシケンペイ」と訓じて後の十四人は全部創氏改名の手続きを終った（以下略）
朝鮮新聞1940年9月21日「期限後の手続 宮本法務局長語る」
氏届出は去る八月十日をもって締切ったがその後内地人式氏を称したい半島人が続出してゐるので本籍地を管轄する裁判所に氏変更許可申請をなし得る方途手続きを宮本法務局長談の形式で左の如く説明した
法務局長談
氏届出件数は当局民事課の調査に依れば、別表の如く寔に驚異的数字を示し、然も海外居住者にして在外大使館、領事館に届出を了したるも未だ届書が本籍地に送付されずして戸籍登載の遅れ居る者又南柳、桂、呉、林（総戸数一八四二二〇）の如く姓を直に内地人式氏に呼び得らるる為強ひて届出を為さざりし者等を加ふれば、現在実質上内地人式氏と為り居る者は更に厖大なる数字となるであらう…尚種々なる理由にて期間中に届出を為し得ず姓の名称を其の儘氏と為した者の中に内地人式氏を称へ度い希望を有する者が続出して居るが、今度は其本籍地を管轄する裁判所に氏変更許可申請を為し、其の許可を得て内地人式氏と為る途が拓かれて居る。裁判所は姓の名称其の儘の氏を内地人式に変更せんとする場合なれば之を正当の事由あるものとして直に之が許可を与へるであらうと思ふ。又名の変更に付ても之と同様現在の朝鮮人式名を内地人式名に変更し或は朝鮮人式名なるや内地人式名なるや疑はしき名を明確なる内地人式名に変更せんとする場合なれば之を正当の事由ありと認められるであらうし、更に進んで姓の名称を其の儘氏となし居る者が氏は変更せず名〔ママ〕地人式名に変更せんとして申請したる場合も亦同じくこれを正当の事由ありと認めるに吝でないであらう。このことは既に数年前から半島の人々に内地人式命名を認めて居る事実から推究すれば当然のことと思はれる。要は皇国臣民として真に内地人式氏名を称へたき希望ある人々に遍く其の門戸を開くことが内鮮一体の深化徹底を其の最大の目標とする此の氏制度の真精神であることを銘記され度い
京城日報1941年8月10日「全戸数の九割 創氏締切満一周年の成果」
…（前年八月）十日の締切後も「氏変更願」の提出を許し各裁判所において氏変更許可申請を受理したが去る六月末までに三万四千八百七十二戸が創氏の喜を受け六月末現在創氏総戸数は三百廿六万三千八百三戸、全戸数の約九割弱になってゐるこのうちには朝鮮古来の田、林、柳、南、桂など十数氏が戸籍簿に振仮名を付せないところから従来のまゝで内地人式にこれを訓読してゐる者も相当数あるので創氏実数は殆ど全半島人に及んでゐるといふことが出来るわけだ
氏だけでなく下の名も新しくすべき
京城日報1939年11月10日「婿養子・異姓養子及氏制度制定に就て 法務局長宮本元氏談」
朝鮮総督府法務局民事課「朝鮮に氏制度を施行したる理由」1940年2月29日発行
…（二）氏名の変更
氏及び名は変更し得ないのが原則であるが、正当の事由ある場合は裁判所の許可を受けて変更し得る（同令第二条）
尚その手続に付ての法令は近く発布されることになってゐる、折角内地人式の「氏」を定めても、名が在来の儘では竹に木を継いた感がするから当然名を変更しなければなるまいが、かゝる場合は名の変更につき正当の事由あるものと言ひ得るだらう（以下略）
朝鮮総督府法務局民事課「朝鮮に氏制度を施行したる理由」1940年2月29日発行
内地人式の氏を設定するに際りては同時に名をも変更せざれば、竹に木を続きたるが如くにして調和せず、必ず名を変更せざるべからざる所なり。従来名の変更に付ては地方長官の許可を要せしが、這般法令を改正し裁判所の許可を要する事と為せり。（20頁）
３．当局の積極的な姿勢
目的、建前、正当化
朝鮮新聞1937年11月27日「内鮮一如に拍車 戸主中心主義で入籍者の姓変更 法務局で研究に着手」
京城日報1939年11月8日「内鮮一体、心より形へ 半島人に{家の創立 姓の変更}を認む 二勅令案閣議で決定」
京城日報1939年11月10日「半島人に家の創立と姓変更の自由を付与 あす制令公布 一月一日実施」
京城日報1939年11月10日「司法上に於ける内鮮一体の具現 南総督談 内地人式氏の設定を認む」
京城日報1939年11月10日「婿養子・異姓養子及氏制度制定に就て 法務局長宮本元氏談」
京城日報1939年11月10日「禁ぜられてゐた祖先と同じ音の名前 朝鮮総督府社会教育課長 李源甫氏談 家の創立 姓の変更と朝鮮の伝習」
京城日報1939年11月12日「朝鮮民事令中改正に関する制令解説（三）姓の変更の合理性 安田幹太」
国民新報1939年11月19日「主張 存廃の選択 氏制度実施三つの神精」
京城日報1940年2月11日「真精神を理解せよ 氏制度明日の佳節を卜し実施 総督府当局談」
朝鮮総督府法務局民事課「朝鮮に氏制度を施行したる理由」1940年2月29日発行
国民新報1940年3月10日「一週一常識 千百人に一人 京城の『創氏改名』届出 京城府庁元学均」
貴族院請願委員会1940年3月12日
「朝鮮同胞に伝来の名字許与反対の件」について
衆議院請願委員会1940年3月18日
「朝鮮に内地姓氏許与反対の請願」について加藤成之政府委員（男爵・拓務参与官）発言
「政府の意見を申上げます、従来朝鮮に於ては男姓の血統を示す姓のみ存し、家の称号たる氏なく、家族制度の醇風を挙揚する上に於て遺憾の点がありましたが、曩に民事令の改正を行ひ、婿養子縁組の制度を設定したるに関連致しまして、新に氏の制度を創設することとし…右の如く内地式氏選定の途を開くことに依りまして、朝鮮人の皇国民たるの自覚は一層強化せられ、朝鮮統治に稗益し、併せて帝国の進運に資する所が少くないと考へるのであります（以下略）
京城日報1940年4月12日「笑へぬ喜劇 同名異人 もう少しでとんだ罪人に……だからこそ創氏も必要です」
朝鮮新聞1940年5月20日「氏制度問答（一）」
京城府「京城彙報 第223号」1940年6月25日発行
京城府「京城彙報 第224号」1940年7月25日発行
朝鮮総督府「施政三十年史」
今次事変を契機として奔然と日本国民たるの自覚に醒めた半島人が益々その生活においても内鮮一体の実を発揮すべき機運が醸成されつつあり従来朝鮮人にして、内地人の姓名と紛はしき命名は届出の際一応改めしむるよう慫慂してゐたがこの方針を一擲して朝鮮人でも内地人と同様の名を用ふることは何等差支へなき旨過般総督府から関係方面に通牒を発したのもその一つの現れであるが、総督府では更に一歩を進めて日本の家族制度を漸次半島人にも徹底せしむべく目下司法法規改正調査委員会で研究中の朝鮮民事令改正に当って民法第七四六条「戸主および家族は其家の氏を称す」の規定を朝鮮にも実施すべく法務局において慎重研究中である。即ち朝鮮の慣習法では寧ろ「他家に入籍してもその姓名を変へることを得ず」といふ建前に則り嫁に行っても依然として旧姓を名乗り一家の中に戸主の姓と異なるものが多数にあってこれが商取引その他法規運用上に種々支障を来す点も尠からずこれを戸主中心主義によって家族は総て家の氏を呼称せしめんとするものである、而して調査委員会の右改正草案は大体成案を得てゐるが、これに伴なふ戸籍令の改正家事審判法矯正院法その他の実施などにつき慎重調査研究を進めてゐる
京城日報1939年11月8日「内鮮一体、心より形へ 半島人に{家の創立 姓の変更}を認む 二勅令案閣議で決定」
【東京支社電話】半島統治の最大眼目たる�狷眩�一体�瓩脇鄙軻鎮綰ぐ瞥荵闇�有余の間着々実際統治上に反映、特にこれが具体的結実としてさきに志願兵制度の創設並に教育制度の画期的改革が断行され、内鮮一体の大きな拍車となってゐるが、今回更に現下の半島に漲る愛国熱情の実勢に即応之を更に具現化し制度上に実現すべくかねて総督府で立案、法制局に回付されてゐた一、朝鮮民事令中改正の件、一、半島人の氏名に関する件の二制令案が七日の閣議で決定をみた、右制令案の骨子は新たに一、半島人に家の創立の自由、一、姓変更の自由を付与せんとする画期的な内容を包含する模様で、近く公布を見ることにならうが、かくて南統治の根幹たる内鮮一体方策は心より形へ、一体実績の挙揚に即応し、漸を逐うてその体形を整へつゝあり、該制令公布に対し多大の成果が期待されてゐる、右について宮本法務局長は語る「民事令改正案は既に法制局に回付してあるが、制令案の内容については今は何もいへない、凡ては制令が公布されてからだ」
京城日報1939年11月10日「半島人に家の創立と姓変更の自由を付与 あす制令公布 一月一日実施」
南総督着任以来統治の根本指標として提唱し来った�狷眩�一体�瓩話紂垢噺充太�治の上に表現されつゝあるが今回更に半島人に家の創立と姓変更の自由を付与する画期的制令の公布をみるに至り…
京城日報1939年11月10日「司法上に於ける内鮮一体の具現 南総督談 内地人式氏の設定を認む」
…殊に今次事変を契機として半島民衆が、帝国の堅持する確乎不動の大陸政策の中に、共同の理想、共同の使命、共同の運命を感得し、皇国臣民としての国民意識に燃えて真に内鮮一体たらんとする思想動向と生活態度とを鞏化進展して来た次第である、斯くて皇国臣民たる信念と矜持とを抱懐せる半島人の一部に、法律上内地人式の氏を称え度き希望を抱ける者の生ずるに至ったことは予て余の承知せる所であるが…此の度朝鮮民事令が改正せられ其の内容は親族法の諸種の点に亘ってゐるが、其の内半島人の真摯且熱烈な要望に対へて半島人が法律上、内地人式の「氏」を称へ得る途を拓いた点は改正の重要な眼目であって
京城日報1939年11月10日「婿養子・異姓養子及氏制度制定に就て 法務局長宮本元氏談」
現在半島人の親族相続に関しては原則として民法に依らないで在来の習慣に従ってゐるが、習慣中には時勢の進運に伴はないものや、随時推移して時に人をして適従する所を迷はしめるものがあるから法的生活の合理性及び安全性を確保するため、慣習の整序及び成文化を必須とすることは言を俟たぬ所である、之が為司法法規改正調査委員会に於ては鋭意親族相続に関する全般的成文化を企図して居り着々その業は進捗を見て居るけれども、民法の親族編及び相続編の改正が、二十四年の歳日を閲して居るに拘らず、尚未だ確定案を得るに至らないのに徴しても判る通り、早急にその実現を期することは出来ない、然るに久しい以前から台頭した婿養子制度の実現に対する要請は、近頃愈よ熾烈となり又皇道精神の心肝に透徹した半島人の一部において、熱烈に内地人式「氏」の設定を要望する向があって、これ等の制度の実現は荏苒全般的立法完成の機に遷延し得ない事情に迫られて来た、仍てこの度朝鮮民事令を改正し親族相続に関する全般的立法の一部として婿養子、氏及びこれと連環関係を有する異姓養子及び裁判上の離縁制度について規定を設けた次第であってその骨子は次の如くである
一、婿養子（省略）
（二）異姓養子（省略）
（三）氏
（イ）氏の本質
民法に謂ふ「氏」は、家を表彰する為の法律上の名称であるが、朝鮮に於ては法律上家の存在が認められて居るにも拘らず家の称号はなかったのである、「姓」は男系の血族を表示する称号で、家に付いたものでなく、人に付いたものである、だから人の属する家が変っても、譬へば婚姻して甲家から乙家に入っても姓は変らない、元来社会構成の単位である家に之を表徴する称号が無いのは国に国名がないのと同じく、甚だ妙であるばかりでなく、異姓養子が認められると、相続が開始した場合相続人の姓と被相続人の姓は異ることになり相続の観念に当て嵌まらぬから、本改正に於て各家に其の称号である「氏」を定め戸主及び家族は其の「氏」を称することと規定した次第である（第十一条第一項）
京城日報1939年11月10日「禁ぜられてゐた祖先と同じ音の名前 朝鮮総督府社会教育課長 李源甫氏談 家の創立 姓の変更と朝鮮の伝習」
朝鮮の人も内地の人同様「氏」を名乗り家の創立が制令によって認められ、こゝに内鮮一体が実績を挙げ体形を整へましたことは真に喜ばしいことであります私も早くからさうあって欲しいと願ってゐた者の一人ですが、日韓併合当時、朝鮮人が内地人のやうな名を名乗ると「お前は朝鮮人だから内地人と間違ふからいかん」と警察が取締ったものです、それに困ったことは朝鮮人の男子が内地人の女子と結婚しても今迄は戸籍に入れても名を変へることが出来ずその儘でしたが、今度の改正でほんたうの内鮮一体の幸福な結婚が出来るやうになりました
婿養子縁組は出来ますし男の血統のない家でも祖先から血統はこれで立派につなげるわけです
朝鮮の古来からの風習として祖先と同じ名前を子供につけてもいけませんし音が同じでも不敬だといふことがありますが僅か二字か三字ではさう変化もつけられませんし気に入った名をつけるわけにも参りませんから今まで随分因〔ママ〕らされたものです名を変へることは形式の問題ですがそれが一層内容ある内鮮一体となって欲しいものです
朝鮮人でも最近は内地人名を名乗ってゐるものが相当大勢をりますから、その人達はその儘届ればよいのです、志願兵も内地人に負けない立派な、戦功をたてゝゐる際、かうした朝鮮民事令改正は全半島の喜びとするところです折角このよい制度令を悪用することのないやうにしたいものです
京城日報1939年11月12日「朝鮮民事令中改正に関する制令解説（三）姓の変更の合理性 安田幹太」
…例へば延安李氏が一族一体として政治経済活動を行ひ居たる昔においては、延安李氏に属する各個人は李姓を以て称呼せらるゝことが必要であった。然るに今日においては延安李氏の一族は事実上数十百の家に分裂し、場所を異にし生活を別個にしつゝある、かくの如き実情の今日において、これ等数十百家の李氏一族を一括して一の李姓を以て冠する事は徒らに紛雑を生ぜしむるの不都合有るのみにして何等の益無し。寧ろ李姓にちなむ数個の氏を以て各家を各別に分別して明瞭ならしむるを便宜にして実際に即するものとする殊に家族制度が発達し女子の人格が認められ夫婦が両個一体として家の中心をなすに至りたる今日、一家を成す夫婦が相互に異姓を称する事の如何に不便不都合なるかは、世人の切実に痛感する所である。
かくの如き実情に至りたる朝鮮の今日に於て姓の称呼を維持すべき合理的理由は全く存在せず寧ろ姓に代ゆるに新に氏の称号を設定し之を各家各別に称せしむる事が必要である。今次改正令の改正第二点は、此事に鑑み姓の称呼を廃し氏の名称を新設したるものにして朝鮮現時の新しき状勢に応じて旧慣を修正したるものにして極めて至当なる主張である。
改正令によって朝鮮人の各家は新たに氏家の称号たる氏を定め、各人は従前の姓に代へてこの氏を称すべきものとせられた。併し乍ら朝鮮の保守的人士の間には旧来の姓を直ちに捨てゝ新しき別個の氏を称することを好まざる感情の強き者の多かるべきことが想像せらるゝ。改正令はこれ等の人士の感情を考慮してこれ等の人々が進んで新なる氏の制定手続をなさゞる時は、旧来の姓の称を以てそのまゝ氏の称とし、これ等の人々は従前と同様の姓をそのまゝ称することを得るものとする。而してこれ等の人々と異なり現在の姓の称号を不便とし新に氏の別称を設けむと欲する者ある時は之を一定の期間内に届出でせしめて爾後従前の姓を代へて此新しき氏を称する事を得せしめむとするのが改正令の趣旨である。
改正令によって新たに氏を設定せむとする者は、其氏の名称を選ぶに際して旧姓に因む内地の氏の称に類似の氏の称号を選ぶ事が可能である。内地に在住する半島人の中には内鮮一体の表徴として内地式氏を称せむとする希望を有する者が相当に多数なりしと聞く。今次改正令によって此希望達成の途が開かれた事は誠に喜ぶべき事である。朝鮮人が内地式名を称する事は早くより可能とせられた所であった。今本令によって氏外に内地人式を称する事が可能とせらるるに至った。本令の活用に依て使命を通じて知らるる内鮮の区別が撤廃せらるる日も近きにあるべく之が真の内鮮一体に寄与する事の多大なるを思ふ次第である
国民新報1939年11月19日「主張 存廃の選択 氏制度実施三つの神精」
朝鮮人に対する氏制度実施により、姓は廃されることゝなった。朝鮮人は昭和十五年一月一日より向後六ケ月以内に、新しく氏とすべき文字を戸籍吏に届け出でなければならぬ。若しこの期間内に届出でなきものは、従前の姓を以て氏と認められることゝなって居る。朝鮮新聞1940年2月3日「改姓は強ひぬ 趣旨を履き違へるな 古川保安課長語る」
さて、此の氏制度実施の精神は三つに分けられる様である。日本の特色たる、家族制度の強化がその一で、朝鮮家族制度の内地化がその二而してこれを機会に、朝鮮人の氏名を内地化して、内鮮人の差異の中で最も目立つものゝ一つを取除いて欲しいと云ふのが、その三である。最後の氏名の内地化は強制的ではなく、自発的に、と云ふことになって居るが、南総督の談に徴しても、成るべく朝鮮人全体が内地式の氏名に代へることを望んで居る心遣が明かに窺はれる。
抑々朝鮮人も遠く三国時代は勿論のこと、高麗の中期に到るまで、今日用ゐてゐる様な、支那式の姓名は普遍化されて居ず、唐や宋に留学したものや、支那文化に心酔した少数の者によって、使用されて居たに過ぎない。高句麗の祖朱蒙が名で高が姓だと云ったり、新羅の祖朴赫居世の朴が姓だと云ふ如きは、取るに足らぬ俗説であって、琴の大家の玉宝高も玉が姓ではなく、「玉を見て」と云ふ朝鮮語の名であり、彼の有名な、張保皐も、弓福、即ち「弓を見て」と云ふ夢の瑞をそのまゝ名としたのを、唐人式の書字をしたものに過ぎない。今日の子供の呼名が昔の伝統を伝へたものであって、又山下とか、川上とか、上村、下村等家の位置や、職業の名称を、名の上に冠して氏とした古代の名残も今尚親族や隣里間の相互の称呼として伝はって居る位である。
であるから、朝鮮人が約七百年来使用して来た支那式の姓は、此の際断然棄てゝ了ふのが寧ろ当然であって、何等惜しがる理由はない筈である。
今は朝鮮人の目標は内鮮一体にあるが故に、この大目的に差障はりとなるものは、一日も早く棄てゝ掛からなければならない。而して従来の支那式の姓名はその最たるものでなくてはならない。(以下略）
朝鮮の氏制度実施は愈々来る十一日の皇紀二千六百年紀元節より実施されることになったが、この画期的制度の実施を前に総督府の度重なる啓蒙宣伝にも拘らず巷間には創氏制度実施の趣旨を履き違へた誤解が伝はり種々面白からざる波紋を内鮮一体の銃後半島に投げかけてあたかも改姓を強ひるが如き憶測をなしこれがため飛んでもない噂が噂を生み中には滑稽極まる誤解まで最近には各地に伝播されるので警務局保安課ではこれが情報を法務局に送ると共に斯かる誤解を招かぬ様啓蒙運動に乗出し法務局と協力の上これが正しき趣旨の宣伝に努めることになったが特に官民の指導的立場にある人々にこれが趣旨を徹底させて万遺憾なきを期すべく近日中にこれが誤解一層につき具体的対策を講じてあられもない流言蜚語は厳重に取締警察官をして指導啓蒙に尽力させこの画期的制度の実施に万全を期することになっ、〔ママ〕これにつ〔ママ〕古川保安課長は左の如く語る
創氏制度の趣旨を履き違へ改姓を強ひるが如く誤解して巷かへに面白からざる憶説が伝はってゐる模様なので斯かることのなき様法務局と協力の上対策を講じ近い中懇談会その他を開いて協議を遂げ特に指導的立場にある警察官をして巷間に伝はるが如き誤解を一掃し本制度の趣旨につき正しい指導啓蒙に努めるはずである
京城日報1940年2月11日「真精神を理解せよ 氏制度明日の佳節を卜し実施 総督府当局談」
…総督府では十日この画期的制度実施に当って次の如く「氏制度の理想」と題する当局談を発表した
内鮮一体の燦然たる脚光を浴びて現出した氏制度は、愈よ明二月十一日の皇紀二千六百年の佳節を卜して施行される、この制度は内鮮一体の顕現史上一時代を画すべき重要なる制度であるが故に、この門出に際り該制度の真精神に対する理解を一層強化しなければならぬ、この度半島に氏制度が布かれるに至ったのは法律上における諸多の理由もあるが、半島人の一部において内地人式氏を唱へ得る途を拓かれたいとの熱烈なる要望の台頭したことが最も強い理由をなしていゐる、然し法律といふものは要望が起りさへすれば直ちにこれを取上げて成文化する性質のものではない、法律は国民の向ふべき所を指示する確乎不抜の目的を有し、国家生活及び社会生活の線に沿うた理想を包蔵しなければならぬ、氏制度の制定された直接の動機は前述の如くであるが単に一部の者の要望を満足さする目的のみを以て制定されたわけではない、其処には大きな理想が描かれてゐるわけである
内鮮は同祖同根の血縁的一串不離の紐帯で結ばれてゐるのだから、半島人が形容共に大和民族と融合して、本来の一体の姿に還元することは必然的なものであり、それは恰も水の低きに就くが如き自然さである
かゝる帰結に想到するときは渾然一体の最高段階に達する総ての道は速かに拓かねばならない、畏れ多くも往古皇室におかせられては、渡航半島人に内地人式の氏を称ふることを聴許され給うたが故に、無数の半島人は全く大和民族と董化融合して今日寸毫だも其の裔を止めてゐない程度に渾然一体の境地に達してゐる、かやうな理想郷に達するためにこの度その途が拓かれたのである、目的地のない途はない、氏制度は将来に向って遠大な理想を描いてゐるわけである
朝鮮総督府法務局民事課「朝鮮に氏制度を施行したる理由」1940年2月29日発行
（中略）
第二 朝鮮に於て施行したる氏制度は「朝鮮同胞に伝来の日本名字を濫与」するものに非ず
「朝鮮総督府に於ては朝鮮同胞に伝来の日本名字を大量に濫与せむとす」云々と謂へる一人あるも之甚しき妄断曲解なり。
（一）家の称号を創設せんとするものなり
往時ギリシャ時代に於ては人は名のみを称し、氏を称せざりしもローマ以後た〔ママ〕於ては名と併はせて氏を名乗り、今日に於ては世界文明国人は挙げて氏と名を併用せざるは無し。妻は夫の氏を称へ子は父の氏を称へ、子の妻亦父の氏を称す。啻纔かに一九二六年のソヴエット・ロシア親族法が「婚姻の登録に際し夫妻は夫妻共同の氏を称し又は各自の婚姻前の氏を留保すべき希望の表示を成すことを得」と規定し唯一の例外を為せるのみ。個人主義に則れる欧米諸国に於てすら家族は同一の氏を名乗れり。
東洋の淳風美俗たる家族制度に依れる朝鮮に於て、各人が所生の姓のみを称へ妻は夫と其の称呼を異にし、子は母と其の称呼を異にするは、家族制度の本質上甚しき奇観なりと謂ふべし。斯る不合理性、非家族制度性の因て来る所以は一に「家」の称号なきに依るものなり。既に「家」在り。（家とは戸主権を行使し得る親族団体の範囲なり）。然らば之に称号を設くるは当然の事理に属するのみならず、前叙の弊を避けんとせば必ず家に称号を設けざるべからず。況んや半島人間に於て、家族は家族らしく同一の称号を称え得る途を拓かれ度しとの烈熱なる要望台頭せるに於てをや。
（中略）
（二）氏制度は婿養子制度の制定上不可避なり
…這般の改正朝鮮民事令に於ては異姓と雖も養子と為し得ることと定めたり。然るに姓は血統を表彰し不易なるを以て養父死亡し戸主相続開始するに於ては、前戸主と新戸主の姓相異なり、恰も乗取られし形を呈し相続の観念に一致せず。此の弊を避けんが為には「家」に称号を定め戸主及家族は家の氏を称すと定むるの外途無し。氏制度創設の理由は此点にも存する所なり。
第三、朝鮮人に内地人式氏を称せしめずと為すべき理由なし
（一）氏制度の創設は内地人式氏名を称へたき要望を抱ける朝鮮人の要望に対ふる点にも存す
氏制度創設の理由は第二項（一）（二）に於て述べたる外、朝鮮人間に内地人式氏名を称へ度き熱烈且真摯なる要望台頭せるを以て、其の途を拓かんとするも其の理由の一なり。…朝鮮人が内地人式氏を称へ度き希望を抱くに到りしは昨今の問題に非ざるも、今次事変を契機として強化拡大するに到りたり。…
翻て内地に於ける先例に付之を看るに、明治四十四年北海道色丹郡斜古丹村在住の旧土人「プレチンアウエリヤン」なる者任に美島信蔵と氏名を定め、「チエールタイブロコーベ」なる者寿山武平と氏名を定め、又大正十三年外国帰化人が随意に氏を設定し届出づることを認められ何れも例規を做せり。北海道在住の土人及外国帰化人に於てすら其の意思に従ひ内地人式氏名を名乗り得る所なるに、我が帝国の大陸政策の兵站基地前進基地たる朝鮮に於て、然も澎湃たる愛国運動を展開せる朝鮮人に対してのみ、独り其の途を閉鎖すべき謂はれなし。…日韓併合の皇謨は一視同仁の御聖旨に基くものと拝察すべきを以て朝鮮統治の根幹は一に此の御聖旨を奉体せざるべからざるは、固より謂ふを俟たざる所なり。
（二）往古皇室に於ては朝鮮人に天神天孫の高く貴き氏々をすら賜へり
新撰姓氏録の記載に徴すれば、京都及畿内地方に於て集録されし当時の全士族一八一二の中朝鮮より帰化せるものの氏三七四に及べり。然して之等の氏は願のままに朝廷に於て聴許されし所にして、中には波多、林、坂田、豊原等の如く天神天孫の高く貴き氏々をすら包含せり。新撰姓氏録に記載する所は帰化朝鮮人が内地人式氏を称へたる一例に過ぎず、応神天皇の御代帰化したる弓月君と其の一党は畿内はもとより関東地方、九州方面に至る迄分布して土地を賜ひ雄略天皇の御代に調査したる所に依れば一党の子孫は一万八千六百八十七人に及べり。今日帰化人の全数に至りては到底之を枚挙するに遑なし。朝鮮人を蕃族と称したる往古に於てすら万民撫育の思召を以て内地人式氏を称することを聴許せられたる洪大無辺の御仁慈は深く讃仰すべき所なり。
（三）氏制度の施行は八紘一宇の大精神に基くものなり （中略）
（四）朝鮮人の称する姓は支那の模倣なり
現在朝鮮人は尽く姓名を称す。姓とは男系の血族を表示する称号なり。朝鮮人は元名のみを有し姓を称ふる事なかりしが、新羅の末葉支那の氏族に倣ひて姓を称するに及び各人皆姓を有するに到れり。(李重煥著「擇里誌」「自新羅末通中国而始制姓氏。然只仕官士族略有之、民庶則皆無有、至高麗混一三韓、而始倣中国氏族、 頒姓於八路、而人皆有姓)
皇国臣民たることに眼醒めたる朝鮮人が支那風の模倣より脱却し、内地人式の氏名を称へ以て帝国臣民たるの実を挙げんとするに際り、之を拒否すべき理由毫も存せざる所なり。
（五）内鮮の通婚、内鮮の縁組上朝鮮人に内地人式氏を唱へしむるを可とす
内鮮一体の高調化に伴ひ内地人にして朝鮮人の妻となる者逐年逓増し昭和九年より昭和十三年に至る間に於ては年平均二五〇名に達し、事実婚を為せる者に至りては右期間の平均数約四〇〇余名に達せり。然して従来内地人は朝鮮人の養子と為ることを得ざりしを以て一年平均二十余名の内地人が招壻の形式を以て朝鮮人の家に入り居りしが、這般の朝鮮民事令改正に依り内地 人と雖も朝鮮人の養子と為り得るに至りたるを以て招壻の数より推測するときは養子縁組も相当数に達すべきこと予想するに難からず。次に朝鮮人にして内地人の妻となれる者も増加し昭和十三年に於ては四〇名を算し、又同年度に於て朝鮮人にして内地人の家に入夫婦姻したる者一一五名、養子縁組を為せし者九十四名に達せり。斯る内鮮人の交流に稽ふるときは、朝鮮人をして内地人式の氏名を称し得るの途を拓くを以て相当と謂はざるべからず。（現状に於ては金貞植の妻と為りたる木村花子は終生木村花子なり)
（六）世態の複雑化に伴ひ氏制度を必要とす
朝鮮に於ける姓の総数は四百九十余存したるも現在称へらるる姓は僅かに二百五十余に過ぎず。即ち二千三百万余の朝鮮人は僅々二百五十余の称号に依りて表称せられ居る状態なり。世態の複雑化取引の頻繁化に伴ひ各個人は容易に弁別せられざるべからず。姓は血統を示す称号なるを以て慣習上更に之を作ることを得ざるは固より之を変更することを得ず。現代の社会生活経済生活に順応せしむる為個人の適切なる別方法を講ぜんとせば、新に氏の制度を設の外途無き所なり。
国民新報1940年3月10日「一週一常識 千百人に一人 京城の『創氏改名』届出 京城府庁元学均」
…識者の見聞に従へば、もともとこの現在の朝鮮式の姓名は純然たる朝鮮固有な姓名ではなく、支那から借り受けた姓であるといふことであるが、…もともと李、金、朴などの姓は支那式の姓であるといふ学説には間違ひのないところであり、この古い借りものを返還して、新しい時代のそれに持ちかへることは、近代朝鮮人士の大なる特権であり使命である。此の創氏設定の申請期間は二月十一日から向ふ六ヶ月間即ち八月十日までであるが、この期間を過ぎてからは特別の事情ある場合に限り届出を許されることになってゐる。しかし期間後の届出に対しては、事情の審理もむづかしく、まづ創氏変更は許されないだらうからこの期間を逸せず、あまねくその恩寵に浴せねばならないと思ふ。
貴族院請願委員会1940年3月12日
「朝鮮同胞に伝来の名字許与反対の件」について
○加藤成之政府委員（男爵・拓務参与官）
「一応私より政府の意見を申上げます、従来朝鮮に於きましては、男性の血統を示す姓のみでありまして、家の称号である所の氏が無いのであります、それでさう云ふ所から見まして、家族制度の醇風を揚げる上に於て非常に遺憾な点があったのでありますが、曩に民事令の改正を行ひまして、婿養子縁組の制度を設定しましたのに関連致しまして、新たに、氏の制度を創設することに致しまして…右のやうに内地式氏設定の道を開きましたことに依りまして、朝鮮人の皇国民たるの自覚は一層強化せられ、朝鮮統治に稗益し、又併せて帝国の進運に資する所が少くないと思ふのであります。…」
○大野緑一郎政府委員（朝鮮総督府政務総監）
「…今日の朝鮮の親族並に宗族と云ふものは、大体支那の慣はしに依って行はれて居るやうであります、…所謂朝鮮の姓と申しまするものは、男系の血族を表示して居るものでありまして、我が国の如く家の観念がございませぬのであります、従って段々内鮮一体を実現致して行く上に於きまして、さう云ふ社会制度の違って居りますることが非常な障碍をなすのであります、其の意味に於きまして此の度此の民事令を改正致しまして、家の制度を設定致しますると、家の名前と云ふものが出て参る訳であります、先に申上げましたやうに、金とか朴とか云ふ姓は、要するに血族を表はすものでありまして、家の名前でありませぬので、新たに家の名前をそこに作ると云ふことになります、其の際に日本流の名前で家を名前を作る希望の者には之を許すと云ふ趣旨なのでありまして、…色々是は議論のあることではありますが、丁度今日の実情では、北海道のアイヌ人に付きましても、亦北海道土人に付きましても、樺太に於きましても、何れも内地流の姓を名乗ることを許して居るのであります、又帰化人に付きましても左様なことになって居ります、従って朝鮮人にだけ之を許さないと云ふことは極めて狭いことになりまするので、一方から申しますると、一視同仁の御精神にも反することになると考へて居ります、…我が国の歴史から申しますると、先に申しましたやうに随分昔には大陸との交渉がございまして、従って我が皇化を慕ふて帰化して居る者が沢山ありまするが、之に対しましてはそれぞれ願ひの儘に氏を許して居るものがあります、…例へば「新撰姓氏録」などを見ますると天平宝字の時分には、沢山の帰化人がそれぞれ願ひの儘に姓を許されたと云ふやうなこともありまするし、又随分尊い名前も有して居る実例が沢山あるのであります、…我が国の寧ろ我が国風を慕うて来たものに付きましては、固より天孫の民族が中心、根幹になって居りまするが、其の間に包容して之を同化すると云ふ非常な有難い御仁慈が矢張り其の中に現れて居るものと考へて居ります、…左様な訳でありまして、是は我が国の我が国風から申しましても、寧ろ其の趣旨に適ふ所以でありまするし、況や韓国が、明治天皇の御皇謨に依りまして併合せられ、又大正天皇に於きましても、御聖旨に一視同仁の御言葉がありましたのと相俟って…先づ事柄は極めて簡単なことでありますので、私共は数千年の前に戻って、詰り支那の制度を脱却して、支那崇拝と言ひますかさう云ふやうな気分から脱却して、本当に名実共に日本人にすると云ふことが非常に大切であると考へて居ります、
衆議院請願委員会1940年3月18日
「朝鮮に内地姓氏許与反対の請願」について加藤成之政府委員（男爵・拓務参与官）発言
「政府の意見を申上げます、従来朝鮮に於ては男姓の血統を示す姓のみ存し、家の称号たる氏なく、家族制度の醇風を挙揚する上に於て遺憾の点がありましたが、曩に民事令の改正を行ひ、婿養子縁組の制度を設定したるに関連致しまして、新に氏の制度を創設することとし…右の如く内地式氏選定の途を開くことに依りまして、朝鮮人の皇国民たるの自覚は一層強化せられ、朝鮮統治に稗益し、併せて帝国の進運に資する所が少くないと考へるのであります（以下略）
京城日報1940年4月12日「笑へぬ喜劇 同名異人 もう少しでとんだ罪人に……だからこそ創氏も必要です」
朝鮮新聞1940年5月20日「氏制度問答（一）」
【大田】創氏制度の趣旨およびその手続きにつき一般の認識を深めるため大田府庁では今回左の如き問答体の解説を発表した
甲 氏設定の趣旨を簡単に説明して頂きたいです
乙（一）内鮮一体の具現、(二）婿養子異姓養子の制度開設（三）家の観念の確立と社会的必要性等より絶対必要な制度である、少し詳しいことは本府法務局発刊「氏制度の解説」に依て御理解を願ひませう
京城府「京城彙報 第223号」1940年6月25日発行
町会総代会盛会裡に終了
…恒例に依り五月三十日午後二時から朝鮮ホテルに町会総代百五十余名を招待し…
町会総代打合事項
戸籍課
一、創氏制度周知徹底に関する件
本制度は半島人の真摯熱烈なる要望に対し司法上に於ける内鮮一体の具現を企図せる画期的改正にして朝鮮民衆の皇国臣民化を形式上に及ぼし形式の整備に依りて益々内容の充実を期せんとするに在り半島民衆に於て普く本制度の趣旨を十分に理解し之に順応して形容共に皇国臣民となり内鮮一体の実現に邁進するは真に望ましき所なるが未だ此の趣旨一般に徹底せざるやに認めらるゝは寔に遺憾とする所なり。氏の設定は八月十日迄に手続を為す必要あるに付町区班の各常会を利用し町民一般に周知徹底せしむる様格段の御協力あらんことを切望す。
京城府「京城彙報 第224号」1940年7月25日発行
町会常会申合事項
本七月府内町会の班に於て開催する常会の申合事項として当府よりは、左記記載の主旨により申合を為し、実施協力方を要望した。…
創氏届出推進
創氏制度実施以来既に四ケ月を経其の間に於ける当府の創氏届出の成績を観るに五月末に於て五分三厘ですから他に比し良好でないのは甚だ遺憾であります。
抑々本制度は半島人の真摯熱烈なる要望に対し、内鮮一体の具現を企図した画期的の制度でありまして、一日も早く創氏届出は望ましい所でありますが、若し現在の儘経過する時は所期の目的達成することは難しいと考へられます。仍し此の際届出の促進を図る為め従来の届出状況に鑑み創氏改名を同時に行ふことなく期間の制限なき名の変更は後日に譲っても差支ありませんから、八月十日迄の期間の制限ある氏の設定を先づ届出で全戸洩れなく予期の目的達成に邁進致したいものです（34頁）
朝鮮総督府「施政三十年史」
…以上氏の創設と養子制度の改正は、半島民衆の要望に依拠せるものであって、一は皇国臣民たる熾烈なる自覚に発し、一は時代に目醒めた家族制度本然の希求に根ざし、二者何れも半島統治上に於ける実績を示顕せるものたるは勿論である。（756頁）
南次郎朝鮮総督「強制ではないが制度・趣旨を周知徹底せよ。何人も賛同せよ」
京城日報1939年11月10日「司法上に於ける内鮮一体の具現 南総督談 内地人式氏の設定を認む」
国民新報1939年11月19日「主張 存廃の選択 氏制度実施三つの神精」
京城日報1940年2月22日「創氏は実に日本精神に立脚 西鮮視察の南総督語る」
朝鮮新聞1940年2月28日「総督府局長会議 氏制度趣旨の正解方を希望」
朝鮮新聞1940年3月6日「創氏強制せず 定例局長会議に南総督強調」
朝鮮新聞1940年3月17日「四月下旬頃道知事会議 総督の諮問事項」
京城日報1940年4月24日「けふ知事会議開く, 戦時下半島の重要使命を強調, 具体的大方針を闡明, 開会劈頭南総督より重大訓示」
朝鮮新聞1940年4月24日「南総督訓示と道知事会議」
朝鮮新聞1940年5月26日「南総督入京 苗代は大体九分通り終了 創氏制は時機尚早に非ず」
朝鮮新聞1940年6月23日「南総督けさ帰鮮�狄融�に揣摩臆説は誠に遺感�� 朗らかに内治外交問題語る」
…本令の改正は申す迄もなく半島民衆に内地人式の「氏」の設定を強制する性質のものではなくして、内地人式の「氏」を定め得る途を拓いたのであるが、半島人が内地人式の氏を称ふることは何も事新しい問題ではない、即ち往時内地に渡航した多数の半島人が内地人式の「氏」を称へて以来既に二千年を閲してをることは、「桓武天皇紀」嵯峨天皇の御代、勅命を奉じて選ばれた「新撰姓氏録」の記載に徴し昭々として明瞭なる所であって、今日判然その多数の氏を指摘し得る次第である、而も内地人式の氏を称へた之等無数の半島人は大和民族に董化融合し、今日寸毫も半島人たる裔を留めてゐない程度に皇国臣民化してをる状態である、故に内鮮一体の理想から謂へば、全半島民衆が近き将来において往時の渡航半島人の如く、形容共に皇国臣民化する日の到来することが望ましい次第である
国民新報1939年11月19日「主張 存廃の選択 氏制度実施三つの神精」
朝鮮人に対する氏制度実施により、姓は廃されることゝなった。朝鮮人は昭和十五年一月一日より向後六ケ月以内に、新しく氏とすべき文字を戸籍吏に届け出でなければならぬ。若しこの期間内に届出でなきものは、従前の姓を以て氏と認められることゝなって居る。
さて、此の氏制度実施の精神は三つに分けられる様である。日本の特色たる、家族制度の強化がその一で、朝鮮家族制度の内地化がその二而してこれを機会に、朝鮮人の氏名を内地化して、内鮮人の差異の中で最も目立つものゝ一つを取除いて欲しいと云ふのが、その三である。最後の氏名の内地化は強制的ではなく、自発的に、と云ふことになって居るが、南総督の談に徴しても、成るべく朝鮮人全体が内地式の氏名に代へることを望んで居る心遣が明かに窺はれる。
京城日報1940年2月22日「創氏は実に日本精神に立脚 西鮮視察の南総督語る」
…南総督は次の如く語った…紀元節を卜して行った創氏はまだ趣旨が充分徹底してゐない、創氏は実に日本精神に立脚したものであるから何人もこの趣旨に賛同するやう努めて欲しいものだ（以下略）
朝鮮新聞1940年2月28日「総督府局長会議 氏制度趣旨の正解方を希望」
…南総督は別項の如く平南、黄海道視察の感想に次いで半島人氏制度の創定に関し
本制度の趣旨につき一部では誤解もあり趣旨の周知徹底が不充分の嫌ひがあるので行政機構に携る者はよく本制度の趣旨を正解しその説明が区々に亘るやうなことのないやうに努め本制度の重要性を認識して貰ひたい
と注意を喚起して同午後零時十五分散会した
朝鮮新聞1940年3月6日「創氏強制せず 定例局長会議に南総督強調」
総督府定例局長会議は五日午前九時半から第三会議室で開催
…最後に南総督は屡々述べた氏制度について
氏制度は内鮮一体の具現であり決して強制的のものではないこの点について誤解してゐるものが多いやうだが、充分理解するやうに心掛けて欲しいと
強制的なものでないことを更に強調した
朝鮮新聞1940年3月17日「四月下旬頃道知事会議 総督の諮問事項」
…なほ道知事会議に南総督から各道知事に発せられたる諮問事項は次ぎの三点である
一、今般未曾有の旱害に鑑み兵站基地の氏名達成上倉糧問題に関する恒久的対策如何
二、時局下における重要物資需給及価格統制に関して特に改善または施設を要すと認むる事項如何
三、氏制度主旨の周知徹底にとりつゝある具体的方法如何
京城日報1940年4月24日「けふ知事会議開く, 戦時下半島の重要使命を強調, 具体的大方針を闡明, 開会劈頭南総督より重大訓示」
…また紀元の佳節を卜して施行せられたる氏制度は半島統治史上まさに一期を画するものでありまして、往古の史実に鑑み、大和大愛の肇国精神を奉ずる国家本然の所産であると共に内鮮一体の大道を進みつつある半島同胞に更に門戸を開きたるものに外ならず、各位宜しく本制度の大精神を究め管下民衆の各層に徹底せしめられたし
朝鮮新聞1940年4月24日「南総督訓示と道知事会議」
…十五年度の道知事会議は二十三日から総督府会議室で開催された、年々に開催される道知事会議はその年度における最も重大なる問題について諮問され答申されるのであるが、…諮問事項を見るに旱害対策処理と食糧恒久対策、戦時下経済統制の拡充強化に伴なふ重要物資需給と価格の統制、氏制度の趣旨徹底を欠く為め理解不充分にして民衆を無関心に陥らしめる虞あるが故に民衆に周知徹底の具体的方法の三題を課してゐる、（以下略）
朝鮮新聞1940年5月26日「南総督入京 苗代は大体九分通り終了 創氏制は時機尚早に非ず」
【東京電話】南朝鮮総督は朝鮮の統治状況奏上並に中央政府と事務打合せのため廿五日午前七時卅分東京駅着朝鮮における米穀事情その他に関し大要左の如く語った
…朝鮮の改姓問題は時期尚早の話も一部にはあったが、五月一日の現在で既に二十一万戸百七十万人の改姓を見た程で内鮮一体の実を示すものとして非常に心強く思ってゐる
朝鮮新聞1940年6月23日「南総督けさ帰鮮�狄融�に揣摩臆説は誠に遺感�� 朗らかに内治外交問題語る」
（前略）◇…半島の創氏制度については実施当初に当り私自身声明を発表したところであってこれは強要するにあらず本人の自覚に依り届出たものは許すもので恐らくこれ以上の陛下の御仁政はないと思ふ、この主旨を理解せず誤った説をなすものがあれば速にこれを改めなければならぬ、教へてきかざれば朝鮮から退去せしめなければならぬ、左様な（判読不能）て許さない、氏制度は半島民衆を真の大和民族と化し八紘一宇の大理想に合致せしめる陛下の御仁政であるから之が円滑な発達を期することは半島民衆の大なる幸福であると確信するものである
創氏改名は「当然」「徹底」「全部」「使命」
朝鮮新聞1940年2月13日「創氏打合会 大田府庁で開催」
京城日報1940年2月22日「創氏は実に日本精神に立脚 西鮮視察の南総督語る」
国民新報1940年3月10日「一週一常識 千百人に一人 京城の『創氏改名』届出 京城府庁元学均」
朝鮮新聞1940年4月6日「先づ郡守が創氏 全郡民に及ばん 金浦郡民に漲る熱意」
京城日報1940年4月8日「創氏相談所」
朝鮮新聞1940年4月13日「創氏相談所を設置 忠州郡で向ふ一週間実施」
京城日報1940年5月22日「坡州郡民の創氏 既に二千戸を突破」
京城日報1940年6月4日「挙る創氏の大行進 届出既に四千戸突破」
京城日報1940年6月16日「創氏徹底に弁護士会起つ」
京城日報1940年6月18日「来月廿日までには全郡民手続完了 益々揚る開豊郡民の創氏熱」
京城日報1940年7月4日「感激の創氏行進譜 府の準備全し」
朝鮮新聞1940年7月6日「郡民挙げて創氏せん 正に全鮮一の感激篇」
京城日報1940年7月12日「面民全部創氏へ 江華郡松海面の感激」
京城日報1940年7月21日「創氏をした道議」
京城日報1940年7月23日「創氏への愚見【5】新居彝淳【京畿道坡州群守】」
京城府「京城彙報 第224号」1940年7月25日発行
京城日報1940年8月22日「創氏の実績と半島人官吏」
（前略）野口大田府尹談
…二月十一日より八月十日迄の僅か六ケ月間に於て現在当府戸籍上の登載戸数である三千六百余戸の姓を可成全部最も理想的の「氏」に創定して行きたいのである（以下略）
京城日報1940年2月22日「創氏は実に日本精神に立脚 西鮮視察の南総督語る」
…南総督は次の如く語った^^ …紀元節を卜して行った創氏はまだ趣旨が充分徹底してゐない、創氏は実に日本精神に立脚したものであるから何人もこの趣旨に賛同するやう努めて欲しいものだ
国民新報1940年3月10日「一週一常識 千百人に一人 京城の『創氏改名』届出 京城府庁元学均」
もともと李、金、朴などの姓は支那式の姓であるといふ学説には間違ひのないところであり、この古い借りものを返還して、新しい時代のそれに持ちかへることは、近代朝鮮人士の大なる特権であり使命である。此の創氏設定の申請期間は二月十一日から向ふ六ヶ月間即ち八月十日までであるが、この期間を過ぎてからは特別の事情ある場合に限り届出を許されることになってゐる。しかし期間後の届出に対しては、事情の審理もむづかしく、まづ創氏変更は許されないだらうからこの期間を逸せず、あまねくその恩寵に浴せねばならないと思ふ。
朝鮮新聞1940年4月6日「先づ郡守が創氏 全郡民に及ばん 金浦郡民に漲る熱意」
（前略）殊に金浦郡においては権甲重郡守が早速権藤の氏を名乗りあげ範を垂れると共に、この意義ある機会に創氏制度の趣旨を一般郡民に徹底させもって郡民一丸になって、これが全的実現に邁進せんとし大活動中であるが…少なくとも六月末までには郡民全体、一人も残らす〔ママ〕自発的手続を完了せしめる予定である
京城日報1940年4月8日「創氏相談所」
【大田】大徳郡では郡民全部が氏を設定し、内鮮一体の具現に邁進さすべく、各面毎に創氏相談所を設置し、連盟委員長が所長やくを努〔ママ〕めこれが相談に応ずることになった
朝鮮新聞1940年4月13日「創氏相談所を設置 忠州郡で向ふ一週間実施」
【忠州】忠州郡には来る四月二十九日の佳辰を迎へ、一般郡民に天恩の広大無辺なるを体得せしめ、併せて朝鮮人創氏制度の徹底的実施を図りもって急速なる皇民化を期し、内鮮一体の完成に一新紀元を画すべく来る四月二十六日より向ふ一週間を国民精神総動員内鮮一体完成週刊と定め。〔ママ〕主として天長節の奉祝創氏制度の徹底的実施を徹底せしめる事になってゐるが邑面連盟にては四月十日までに邑面毎に創氏相談所を設置して、一般民（以下判読不能）てゐる
京城日報1940年5月22日「坡州郡民の創氏 既に二千戸を突破」
【汶山】坡州郡では朴郡守が郡民に率先して「新居」と創氏した後官公吏は続々手続をとって十日までに殆ど全部に及んだ、廣灘面長権藤剛一氏は毎夜各部落を歩いて趣旨徹底に努めた結果既に五百戸を突破して同面総戸数の六割に達し臨津面周南洞の如きは全部落二十七戸が挙って届出をすます等すばらしい成績をあげてゐるが、新井郡守は七月末を期して郡民一人漏らさず創氏させる意気込みで各面から旬報を徴しつゝ激励してゐる、主なる創氏者は左の通り（以下略）
京城日報1940年6月4日「挙る創氏の大行進 届出既に四千戸突破」
…なほ（京城）府戸籍課では物凄い創氏熱に気をよくして大京城全府民に遅くも本年末までには一人残らず創氏させようと京城地方法院の協力をもとめ来る十五日から全課員が街頭に進出、夜間各小学校などで、創氏促進の講演会を開催するとともに、講演会場に創氏用紙を備へ、希望者には戸籍課員がその場で代筆、受付けを行ふこととなった
京城日報1940年6月16日「創氏徹底に弁護士会起つ」
【大田】先般講演部を設け民衆指導に積極的活動を開始した大田弁護士会では創氏制度を中心に昨今相当の功績をあげてゐるが来るニ十二日は扶余で講演会を開催することになった、…
京城日報1940年6月18日「来月廿日までには全郡民手続完了 益々揚る開豊郡民の創氏熱」
【開城】開豊郡民の創氏は日々にその数を増加してゐるが…七月廿日までには全郡民の創氏手続を完了する見込みであると李家郡守はかがってゐる、（以下略）
京城日報1940年7月4日「感激の創氏行進譜 府の準備全し」
新生の感激をもる創氏の手続を出来るだけ簡易にして��全府民創氏�瓩亮造魑鵑欧茲Δ筏�城府では三日から全府の各町会に�狒六畫蠱冥雖瓩魍�設、創氏の代筆と受付をも行ふことゝなった、創氏事務所の町会進出は京城地方法院でも大賛成、十万五千枚の創氏届出用紙と模範名簿名集録千部を急製して各町会への配布を依頼して来たので府では三日、すぐさま配布したが、八月十日の創氏締切を目睫に控へて京城府ではいよいよこれから怒涛の創氏進軍と出る訳だ
朝鮮新聞1940年7月6日「郡民挙げて創氏せん 正に全鮮一の感激篇」
【永登浦】…殊に金浦郡においては権藤郡守自から陣頭に立って創氏の範を垂れると共に郡民打って一丸になって、この意義ある機会に名実共に日本人としての新しき出発をなすべく農村振興委員並に国民精神総動員部落連盟理事等を動員させ郡民全体一人残らず創氏を完了させるよう活動した結果、六月末現在、すでに管下九ケ面中、金浦、高村、月串、大串、陽邑、霞城、陽東の七ケ面は面民全部創氏を完了し黔〔ママ〕丹陽西の二ケ面だけ未だ手続き中であるが、同郡総戸数八千七百六十五戸中その九割七分三厘は完了し、余る二分七厘は遅くとも七月十日迄には完了さす見込だと意気込んでゐる、（以下略）
京城日報1940年7月12日「面民全部創氏へ 江華郡松海面の感激」
京畿道江華郡松海面連盟愛国班では班長九十名が六月末日までに一斉創氏を完了して一般班員の創氏指導に努めてゐるが、七月一パイには面民全部創氏の意気を以て目下大活動を続けてゐる
京城日報1940年7月21日「創氏をした道議」
【春川】本道半島人郡守十九名中率先範を民衆に示してさきに十六名の創氏並に改名を見たことは既報の通りであるが更にこの程平康郡守李泰鎔鎔氏が松澤と創氏したので残る華川林龍俊、通川李玄載の二郡守も近く実行するものと見られてゐる、一方道会議員の創氏状況を見ると官民合せて廿五名中十八日現在において左の九氏が創氏手続を済ませてゐるが、残る人々も夫々想ひを練ってゐるといふから期限内には当然実現するものとみられてゐる、以下創氏設定議員
選出郡 創氏新名 旧名
鉄原 江原清 朴善陽
麟蹄 平木久達 朴錘衡
金化 金山光一 金萬鳳
通川 富田夏作 田夏富
伊川 松山繁 宋奎煥
鉄原 平川徳一 李徳一
襄陽 高島徳三郎 高徳柱
金化 金本基玉 金基玉
江陵 玉川明順 劉明順
京城日報1940年7月23日「創氏への愚見【5】新居彝淳【京畿道坡州群守】」
以上で極く大雑把に本論を終った。なほ進んで二、三の付随した問題を説けば、其の第一は本当に重大な制度で、全半島民衆をして、一人も洩れなく恩典に浴せしめなければならず、当局が種々の手続きを法令の許す範囲に於て、最大限簡易化を図ったのは誠に当を得たる措置で（以下略）
京城府「京城彙報 第224号」1940年7月25日発行
町会常会申合事項
本七月府内町会の班に於て開催する常会の申合事項として当府よりは、左記記載の主旨により申合を為し、実施協力方を要望した。…
創氏届出推進
創氏制度実施以来既に四ケ月を経其の間に於ける当府の創氏届出の成績を観るに五月末に於て五分三厘ですから他に比し良好でないのは甚だ遺憾であります。
抑々本制度は半島人の真摯熱烈なる要望に対し、内鮮一体の具現を企図した画期的の制度でありまして、一日も早く創氏届出は望ましい所でありますが、若し現在の儘経過する時は所期の目的達成することは難しいと考へられます。仍し此の際届出の促進を図る為め従来の届出状況に鑑み創氏改名を同時に行ふことなく期間の制限なき名の変更は後日に譲っても差支ありませんから、八月十日迄の期間の制限ある氏の設定を先づ届出で全戸洩れなく予期の目的達成に邁進致したいものです（34頁）
京城日報1940年8月22日「創氏の実績と半島人官吏」
一視同仁の御聖旨を奉戴した去る二月十一日紀元の佳節を卜して氏制度を施行し半島人大衆にも内地人式氏を称し得る途を拓き、その届出を満了日たる去る八月十日をもって一応締切ったのであるが同日までの創氏徹底数は三百万戸に近く、実に半島人全戸数たる四百廿七万余戸の七割を突破する好績である、三百万戸といふ創氏概数は総督府としても当初において予想した数字を遥かに凌駕したもので、これこそ時局下半島人が皇国臣民たるの自覚に燃え内地人と一体となり共に聖業完遂に邁進する熱鉄の意気を実証したものである。創氏は南総督が屡々厳命強調した如く強制的に施行されたものでないことは明らかであり、また当然斯くあるべきものである
◇
約半歳の短期間に総戸数の七割に近い半島民衆が創氏したことは事実として表現された驚異的数字である。この事実を凝視して乗り遅れた三割は当然追ひ駆て便乗すべき筋合である。吾々が這般の創氏において最も痛切に感ずるのは官界における一部の消極的態度である、事の如何を問はず官職にある者はすべての言動は民間の範となるべく確然たる自覚と信念を把握すべきことは吾々が深く期待するところである、特に時局の進展は諸般の統制強化と共に官吏の挙措は以て民間に模範たるべく更に国策の向ふところを率先躬行すべき立場にあるのである敢て官尊民卑とは言はぬが半島においては官職にある者を比較的に民間人より強く尊重したがる空気がある、それだけに外地の官吏は自粛自戒しなければならぬのである
◇
民間に範を垂るゝ確固たる信念を把握してゐるならば今回の創氏の如きは官禄を喰む者は率先し自発的に実行し理想的に言へば官界にある者は一人をも余すところなく創氏せしめねばならぬのである、官職にある者こそ総督の心を心とし施政方針として最早や確定したことは極めて純情にこれに従ひ利己の打算を抛擲する意気と熱意があらねばならぬ、施政方針と自己の意志が相反するならば敢然として職を退く、この心構へこそ官吏道の真精神と思ふのである、この精神こそは上位の官職にある者ほど熾烈でなければならぬ、単なる些細な事務なら別として創氏の如く半島施政の根本精神を基幹として発足したる制度こ●官吏たる者が深く思ひを致し●間の範となる熱意を以て古い因襲を打切り大乗的見地から進むべきである。
而して官民一体一度国策として決定したる事項には小利を棄てて参じこれが遂行には相互に協励し誘導すべきである。依然として消極的態度を持する者に対し誘導して尚効果なきに於ては強圧粛正のメスを揮ひ国家全体の動向に帰一せしむることが時局下喫緊の要事である、創氏実績の発表に際し官界の上位にある半島人が創氏するもの少なき事態に鑑み敢て所感を記し併せて官吏が国家全体の動向に順応する心構への切要を認め吏道の刷新を切望する次第である。
創氏改名増加は「進撃」「好成績」「素晴らしい成績」
朝鮮新聞1940年5月8日「各面毎に創氏と経済道徳の座談会 清州署主催で十一日から」
【清州】清州署管内の各面には殆ど全面に創氏実行会があってこれが趣旨普及の徹底と実行を期してゐるが清州署では更にこれが誤解を生ぜず而も好結果を収めしむべく五月十一日から同十八日迄の間に管内各面毎に創氏座談会を開催することになったが…
京城日報1940年6月8日「晋州の創氏 頗る好成績」
【晋州】晋州法院支庁管内の五月中旬までの創氏届出成績は三千六百四十四件、最も成績のよいのは泗川郡及び河東郡で面として河東郡赤良面の二百六十五件が率としては最も好成績で、期日までには九割程度の創氏が行はれる予定である
京城日報1940年6月30日「弓興面民の創氏」
【信川】弓興面では駐在所の協力を得て創氏改名の督励に大童であるが、二十七日現在総戸数千六百二十七戸中創氏改名者は実に七百六十五名に達し、部内第一位の好績である
京城日報1940年7月10日「創氏・燎原の火 京城では約一割が名乗り」
創氏の進撃は文字通り怒涛の勢で…なほ府戸籍課では締切の八月十日までには予定の三万戸どころか出来れば全戸数の六割六万戸ぐらゐに一斉創氏させようと去る一日から全府各町会に創氏相談所を出動させ各町を単位に創氏改名の相談とか、届出書類の代筆、創氏届の受付等を行はせて素晴らしい成績をあげてゐる
朝鮮新聞1940年7月11日「全郡残らず創氏完了 全鮮に魁けた金浦郡」
【永登浦】締切りを後一月に控へ全鮮に魁け金浦郡の創氏状況は九割七分三厘迄進捗したといふことは既報の通りであるが、以後同郡においては完了未済面点丹、陽西両面に付き創氏設定趣旨徹底に尽力した結果七月五日付をもって前記二ケ面も完了して、此処に同郡実在戸数八、六七七戸が一人残らず創氏を完了した。かくの如く郡民が打って一丸となり一人残らずしかも期限を一ケ月も先んじて芽出度創氏を完了したことは正に全鮮一の感激篇ともいふべくこの蔭には権藤郡守以下関係職員の指導よろしきを得たことを見逃すことが出来ないのである
朝鮮新聞1940年7月11日「忠州郡も成績甲 月末迄全部完了か 既に八割強を突破」
【忠州】光輝ある紀元二千六百年に際し、半島民に創氏の恩典が布かれて四ケ月を経た今日、幾多の美談佳話は織出され、日増に倍する創氏届出の熱血譜は法院の窓口を通じて見て、既報統計の如く忠北忠州が断然朝鮮第一位の成績を挙げてゐるが、今もなほ野田忠州支庁判事は管下各官署と相呼応して要創氏者に対し、高らかに一斉進軍の号令を掛けつゝあり、就中忠州郡当局にては裁判所、警察その他各官公署と歩調を合せ、かねて精動連盟が主体となり、細胞的に座談会を開催し、もって創氏の趣旨徹底を期する一方、一切手続きに必要なる用紙類を全郡民相当数だけ印刷して、これを管下各邑面に配布し、係職員をして無料代書せしめるなど血眼的努力を傾倒の結果、六月末現在、創氏手続きを完了せる者すでに八割二分強に達し、遅くとも今月二十日頃迄には全部完了せしむべく、大ひに張り切ってゐるが、忠州郡庁職員の創氏改名簿を一瞥すれば左の如くである（以下略）
朝鮮新聞1940年7月18日「広州も全郡創氏か 既に一万三百余戸」
【広州】広州郡の創氏設定は江原郡守及池座所長の創氏趣旨宣伝を徹底したる結果同郡の総戸数一万六千ニ百八十戸の内六月二十日現在東城地方法院に正式届出したものだけが一万三百一戸に達したので創氏設定の成績は広州郡が道内第一位の好成績を上げたのでその未設定の内約五割は同郡内に居住してゐないものと見られ今月末日以内には全部完了するものと見られてゐる。
京城日報1940年8月13日「仁川は七割二分 筆頭は富川管内の九割七分 本庁管内は乙の上」
【仁川】半島人の内地式創氏改名届出は十日締切ったが、府内の創氏届出は…七割二歩三厘で成績は該して良好であった、これを大別してその成績を見ると富平出張所管内が断然好成績で（以下略）
京城日報1940年8月16日「開城の創氏八割七分八厘」
【開城】府民の創氏届出数は…八割七分八厘といふ好成績を示した
朝鮮時報1940年8月20日「創氏設定の徹底 蔚山は七割強となる」
（蔚山）創氏設定届出開始以来蔚山邑に於て趣旨の普及徹底に大童となり極力馬力を掛け去る十日を以て届け出期間も●了となり蔚山邑のは本籍者ニ千二百十一戸居住者百十一戸の全戸数に対し約七割三分強といふ好成績を収めた
京城日報1940年8月22日「創氏の実績と半島人官吏」
一視同仁の御聖旨を奉戴した去る二月十一日紀元の佳節を卜して氏制度を施行し半島人大衆にも内地人式氏を称し得る途を拓き、その届出を満了日たる去る八月十日をもって一応締切ったのであるが同日までの創氏徹底数は三百万戸に近く、実に半島人全戸数たる四百廿七万余戸の七割を突破する好績である、三百万戸といふ創氏概数は総督府としても当初において予想した数字を遥かに凌駕したもので、これこそ時局下半島人が皇国臣民たるの自覚に燃え内地人と一体となり共に聖業完遂に邁進する熱鉄の意気を実証したものである。創氏は南総督が屡々厳命強調した如く強制的に施行されたものでないことは明らかであり、また当然斯くあるべきものである
◇
約半歳の短期間に総戸数の七割に近い半島民衆が創氏したことは事実として表現された驚異的数字である。この事実を凝視して乗り遅れた三割は当然追ひ駆て便乗すべき筋合である。吾々が這般の創氏において最も痛切に感ずるのは官界における一部の消極的態度である、事の如何を問はず官職にある者はすべての言動は民間の範となるべく確然たる自覚と信念を把握すべきことは吾々が深く期待するところである、特に時局の進展は諸般の統制強化と共に官吏の挙措は以て民間に模範たるべく更に国策の向ふところを率先躬行すべき立場にあるのである敢て官尊民卑とは言はぬが半島においては官職にある者を比較的に民間人より強く尊重したがる空気がある、それだけに外地の官吏は自粛自戒しなければならぬのである
◇
民間に範を垂るゝ確固たる信念を把握してゐるならば今回の創氏の如きは官禄を喰む者は率先し自発的に実行し理想的に言へば官界にある者は一人をも余すところなく創氏せしめねばならぬのである、官職にある者こそ総督の心を心とし施政方針として最早や確定したことは極めて純情にこれに従ひ利己の打算を抛擲する意気と熱意があらねばならぬ、施政方針と自己の意志が相反するならば敢然として職を退く、この心構へこそ官吏道の真精神と思ふのである、この精神こそは上位の官職にある者ほど熾烈でなければならぬ、単なる些細な事務なら別として創氏の如く半島施政の根本精神を基幹として発足したる制度こ●官吏たる者が深く思ひを致し●間の範となる熱意を以て古い因襲を打切り大乗的見地から進むべきである。
而して官民一体一度国策として決定したる事項には小利を棄てて参じこれが遂行には相互に協励し誘導すべきである。依然として消極的態度を持する者に対し誘導して尚効果なきに於ては強圧粛正のメスを揮ひ国家全体の動向に帰一せしむることが時局下喫緊の要事である、創氏実績の発表に際し官界の上位にある半島人が創氏するもの少なき事態に鑑み敢て所感を記し併せて官吏が国家全体の動向に順応する心構への切要を認め吏道の刷新を切望する次第である。
創氏改名が少ないと「情ない」「汚名」「不振」
国民新報1940年3月10日「一週一常識 千百人に一人 京城の『創氏改名』届出 京城府庁元学均」
朝鮮民事令の改正による�狒六甅瓩凌醜�みは、さる二月十一日以来受付けてゐるのであるが、現在京城だけの状況だけをみてみると甚だ芳しくない成績である。…職業別にすると商業、工業、農業と云ふ順序になり、農業中には小作、自作農、地主と云ふ順序になる。届出でられた創氏改名をみると、やはり、在来の姓名に多分に未練があり、大抵は本貫を其のまま国語読みにするか、或は現在の姓に他の字を付け加へて読まして居るものが多い。…一般人士が自分の家を表はす氏の設定に躊躇して居るのは、恐らく因襲に捉はれ過ぎた決意の不足であって、今後多くの人士がどしどし創氏改名に出ることを期待したい。京城日報1940年3月15日「創氏八千人 慶南外僅少」
【釜山】慶南道内二月中の創氏届出は意外に少数で一千百四十四戸八千十二人に過ぎぬ、優良府郡でも
密陽郡一九五戸一、一三七人▲釜山府一一五戸七〇二人▲河東郡九五戸七〇六人▲咸安郡八一戸五七六人▲金海郡七八戸五四●（途中判読不能）▲固城郡七三戸五六二人▲昌原郡六一戸四四九人▲統安郡五八戸四三〇人
といった程度であり趣旨の徹底せぬ地方ともなれば
咸陽郡五戸三二人▲蔚山郡五戸四十一人▲宜寧郡九戸七〇人▲陜川郡一三戸一〇一人▲居昌郡一八戸一二二人
といふ情ない状態で今後更に趣旨の普及徹底を要するものと見られて居る
京城日報1940年4月21日「群山の創氏百三十三件」
【群山】府における創氏届出数は去る十三日現在百卅三件で、あまりかんばしからぬので極力勧奨中
京城日報1940年6月18日「去れこの汚名 全鮮最下位の全北の創氏熱 全道有志挙げて起つ」
【全州】創氏制度事務取扱ひ以来全羅北道における創氏は頗る出足にぶく五月中旬における全鮮の統計から見ても筆頭慶北の七千九百九十八戸に比べ五千四百四十一戸といふ最下位にあり、隣道忠南舒川一郡に対し全北主要都市の合計が及ばぬといふ状況で全州地方法院及び検事局ではこれが原因を探究し不徹底の点があらば如何にしてこれが普及方法を講ずるかといふ手段方法について研究する必要があるといふので十四日は弁護士会の臨時総会を開いて懇談し十五日は管内判検事の会同と共に法院長、検事正主催で午前十一時から司法庁、行政庁、事業庁の長官及び弁護士会長、民間有志の会同を求めて懇談会を開いたが、道からは知事警察部長も出席し隔意なき懇談を遂げ、主催者側で運動の具体的方法を定めて来る八月卅〔ママ〕一日の日限徹底的に創氏の趣旨を普及し全北最下位の汚名を雪ぐべく各方面と協力して一大拍車をかけることとなった
朝鮮新聞1940年6月28日「全北道創氏状況」
【全州】…全北道内における創氏は五月末現在で七千八百六十戸に過ぎず創氏の最低率に当局を三嘆せしめてゐる、これは五行論とか姓と氏との相違解釈不徹底の結果に生ずるところに根本原因があるやうだが、それらにこだはらず安易な心掛で至極簡便に創氏したらいゝと当局では注意を喚起してをり、（以下略）
朝鮮時報1940年7月20日「釜山創氏九千名 在籍者の四割」
創氏届出は来る八月十日限り締●られるが、釜●府の十八日正午現在の届出総数は九千名で釜山在籍者の四割にすぎぬ不振を示してゐる
この最大原因は在籍者の約半数が他地に居住してゐるによるもので届出の転送を受け漸次増加するものと見られ府当局では締切期日までに六割には達するであらうと見込んでゐる
４．創氏改名を嫌う・ためらう現地
嫌がる理由
京城日報1940年2月29日「創氏と基督教徒の感激 これこそ神の導き！教会幹部一斉に改名 歴史的な光明 家族八名改名の牧野師語る」
出発前の忙しい中を牧野師を訪へば「何を措いてもこれだけは届けて置きませんと気がかりで……」と家族八人の改名届を手に嬉しさうに語る
この度の創氏制度実施は私達半島人に与へられた歴史的な光明です、有難いことです、だが、この尊い意義がまだ民衆に本当に知られてゐないのではないでせうか、私たちは幸ひ民衆の精神指導に従事してゐますから、この点民衆をよく指導しなければならない責任を感じてゐます、大体朝鮮では最大の侮辱の言葉として「こんな奴は改姓させなきゃいかん」といふ言葉があります、民度の低い地方に行くとこんなことも相当邪魔をすると思ふのですが、（以下略）
朝鮮新聞1940年3月5日「創氏制度に就いて 検事李炳��」
…朝鮮の人々は、朝鮮人における姓氏の制度をもって、朝鮮独特唯一の倫理思想と祖先崇拝の懲表の如く考へ、これを改変することを恰も乱臣賊子の標本の如く考へてゐるが斯様な制度は決して朝鮮ばかりのものでもなければ、亦、それのみによって唯一の倫理思想を証明するの具ともならないのである。…我々が民間において別に宅号、官名、字、雅号等を以て漸くその用を達してゐる位であるから、今日其永久的宅号ともなるべき氏の創定は絶対必要なものである。然るに坊間、創氏を改姓と心得て易姓革命も甚だしと憤激したり或は一姓一門を集めて改姓の決議する等は全く笑止の至りである、私はこの意味において半島知識階級が未だに姓号そのものに対し執着の強いのを全く理由なき固陋なる思想だと思ふと共に、此度の創氏は出来る丈各家団毎に個別的になされるべきことを主張するものである
国民新報1940年3月3日「創氏を躊躇するな 文明��一翁近頃の大気炎」
氏の創設に対し、一般半島人は何を躊躇逡巡してゐるか、何故一日も早く氏を創設し、名実共に皇国臣民になりきらないか、わが輩は半島人がこれに対し、愚図ついてゐるのを見て、まどろしくてたまらない、凡そこんなあり難い善政がまたとあらうか、何を置いても一斉に氏の名乗りを挙ぐべきである。…決して現在の姓名に執着する必要はない。潔くかなぐりすてゝ新しく日本式の氏名を名乗るべきだ。こんな下らぬ執着にこだはってゐる中に、氏創設の時機は遠慮会釈無く過ぎてしまう。…現在の姓名に執着して、氏の創設に躊躇逡巡してゐる人達よ、試みに満洲にゆけ、北支にゆけ、而して現在使用してゐる満州国人なり、中国人と交換せよ、然らば思ひ半ばに過ぐるところのものがあらう。…
国民新報1940年3月10日「一週一常識 千百人に一人 京城の『創氏改名』届出 京城府庁元学均」
朝鮮民事令の改正による�狒六甅瓩凌醜�みは、さる二月十一日以来受付けてゐるのであるが、現在京城だけの状況だけをみてみると甚だ芳しくない成績である。…職業別にすると商業、工業、農業と云ふ順序になり、農業中には小作、自作農、地主と云ふ順序になる。届出でられた創氏改名をみると、やはり、在来の姓名に多分に未練があり、大抵は本貫を其のまま国語読みにするか、或は現在の姓に他の字を付け加へて読まして居るものが多い。…一般人士が自分の家を表はす氏の設定に躊躇して居るのは、恐らく因襲に捉はれ過ぎた決意の不足であって、今後多くの人士がどしどし創氏改名に出ることを期待したい。
貴族院請願委員会1940年3月12日
○主査（男爵明石元長君）
「只今より請願第四分科会を開会致します、請願文書表大五回報告、第八十九号朝鮮同胞に伝来の名字許与反対の件を問題に供します、入江子爵」
○入江為常子爵
「簡単に此の請願の内容を御説明申上げます、…是はまあ日本人の立場でございますけれども、それから朝鮮人の方の頭から考へますと、朝鮮人は自分の金とか朴とか云ふ名前に対して殆ど宗教的の信仰と言っても宜い位な気持ちを持って居るのに、それを勝手に日本の名前に置き換へて、金とか朴とか云ふのが恰も一種の通称の如くなってしまふのを、非常に遺憾に思って居る人が多い、それから又朝鮮人の中で或は日本的に改称し、他のものは元の儘朝鮮の名前を名乗って居ることになると、其の間に日本的の朝鮮人と、朝鮮的の朝鮮人の二つの分派が出来て、将来統治上困りはしないか、それで又朝鮮の貴族とか富豪とか上流階級の人は、朝鮮名を多く名乗って居って、日本姓に改めたのは、割合に下層と申しますか、低い身分の人がやって居るのであって、日本名を付けた者は皆賎しい人であると云ふ風な気持が将来生ずることもあるだらうと思ふ、で是は以上の観点から見ても是非止めて貰ひたい、朝鮮総督府では姓を強制する訳ぢゃないと云ふことを言って居るけれども、それは詭弁であると言って挑まれて居る人もあるやうな工合で、今此処で斯う云ふものを決めてしまふと、将来非常な悔を胎しはしないかと思ふから、今からでも遅くはないから、何とかそれを取止めて戴く、以上述べたやうなことで取止めて戴きたいと云ふのが請願の趣意のやうに考へます」
○大野緑一郎政府委員（朝鮮総督府政務総監）
「…それから（請願には）何か朝鮮人が、自分の姓以外の姓を名乗らせることが非常に斯う厭がって居るやうに書いてありまするが、さう云ふ者もあります、従ってさう云ふ人は改姓を致しませぬが…」
○入江為常子爵
「此の請願に依りますと、何だか非常に朝鮮人が嫌がって居るやうに書いてございます勿論厭がって居ることはないと御考だから、おやりになったのでございませうけれども、此の請願を見ますと、非常に厭がって居るやうに書いてございますが、実情はどう云ふ工合でございますか」
○大野緑一郎政府委員（朝鮮総督府政務総監）
「私は左様なことは全く無いと申して宜しいと思って居ります、従前も法律的には絶対にいかぬと云ふ根拠も、必ずしもはっきりして居らないのでございますが、兎も角ずっと前には日本式の名前は混同するからいかぬと云ふので許さなかったのであります、併し其の後段々はっきりせずに、事実上日本式の名前を名乗りたいけれども、許して呉れない、受理しない、と云ふやうなことで非常に不平があったのであります、で今度之を許されたので非常に喜んで居る、それから今のやうに喜ばない人は直さなくても宜いのであります、…
朝鮮新聞1940年3月12日「創氏早くも二千突破 忠北道内二月末現在」
【清州】朝鮮に氏創設制度実施されんとするや忠北道内では我れ先にと内地式姓名に改姓するもの続出し二月末日現在すでに二千名をはるかに突破したが然し道民百万名に比すれば誠に寥々たるの感なしとせざるも之はやはりいざ改姓となると一寸ためらったり惜しがったりする傾向らしく何れ受付締切の八月前に迫るとドット押寄せるものと予想されてゐる、（以下略）
国民新報1940年3月17日「時事独り問答 創氏の話」
最近の調査によると、京城では千百人に一人の割合の創氏だといふ…内鮮は一体であり、精神は一億一心であり、総動員といふならば、姓名にも差別のないのが当然である。…聞くところによると、名乗りの遅々たるのは、旧姓に執着し、理屈ではいへない、未練といったやうな、因習感情が残るからだ、といふ説がある。
京城日報1940年4月5日「名士続々創氏 永登浦にも感激の春」
【永登浦】世紀の感激―半島人創氏制度は全鮮津浦々まで力強くひゞきわたり、我れ先にと創氏を争ってゐるが、なかには一度定めた以上は末代まで伝へるものであるからその創氏選名に慎重を期してゐるものも相当多く、最近はそれ等の人がどしどし名乗りを（以下略）
京城日報1940年4月7日「曰く『李家允世』」
【開城】十一万郡民に率先して開豊郡守李允世氏は去る一日の愛国日を卜して「李家（リノイヘ）允世」と創氏した「いよいよ御決定になりましで〔ママ〕おめでたう」と敬意を表せば
実はもっと早く……と考へてゐたのですが、いざとなるとさすがに後世にのこる氏の選択だけにあれこれと迷ひもあり、また他面郡民に対してもといろいろ考へさせられましたが、（以下略）
京城日報1940年4月9日「一家揃って創氏改名 咸北参与官松村さんの喜び」
…因に「松村」の姓は氏の出生地平北泰川郡松谷洞からとったもので今回の創氏に際しては旧家並に祖父、古老等の因習的偏見から少からず難渋したが、結局その趣旨を充分説得、一家揃って創氏改名することになった訳である
朝鮮新聞1940年5月12日「創氏届出期限迫る 一層の理解を切望 野口大田府尹談」
…往訪の記者に対し左の談話を発表した
自由届出期間である六ケ月間の丁度半期を経たのであるが当府の創氏状況より察して見ると未だ総戸数の一割足らずであることは聊か寒心に堪へない…
当府に於て、は上局の方針に則りまして創氏相談所開設を始めとし核種の講演会、座談会等を開催し或は印刷物等に依て相当趣旨の周知徹底を期して来ましたが届出件数の案外少数であることには驚愕せざるを得なかったのであるそれで其の実情を探査し後日の対策にせんが為書方面より調べて見た結果に依れば、殆ど全部が或る程度は認識…であることは喜ばしい情勢であるが中には兎角躊躇して居る傾向が亦多いやうである、今其の内情を考察するに茲に大きな障害原因が潜伏して居るやうである其れは何であるか、所謂
作氏名鑑定論、である即ち五行相生説とか陰陽説か何とかで切角構想した氏名でも鑑定毎に異説に迷ふ為一向に確定に至らないで胸中秘蔵に止めて居る向が大半のやうであるが願はくば現代の文明国人として殊に興亜建設の盟主として重責を分任する吾人として未だに是等の風水説に迷ふが如きことは誠に寒心に堪へない所である先覚の諸士は深く御反省の上是等の迷蒙者を…創氏届出をなすやう御啓導を願ひたいのである、次に早く進捗しない事由の一としては
宗中会議（※親族会議）の、決意を経て云々の問題であるが是亦氏の意義より解して反って屋上屋を重ねる形となり実益も伴はないことを当初から強調した次第であるが、依然続行の向が居るやうである…宗中決議は断然取止めて各自が独自の立場に於て家の称号としての氏の観念に立脚して創氏をおやりになられる方が最も望ましい所である…
今回一層府民各位の御理解を深めて創氏制度の運行を一層有意義ならしむる為に創氏制度に関する質疑応答要旨を別記の通公表致しましたから是非御高覧を願ひまして一日も早く且可成理想的内地人式「氏」を定めて届出づる様に誘導して頂きたい
京城日報1940年5月18日「もてる創氏 四月末で十五万戸突破」
…勿論全鮮約四百三十万の総戸数からみれば未だ多いとはいへないが、届出件数は漸次増加の一途を辿り、目下手続き中のものも多数あり、届出期限たる八月十日までには相当の数にのぼるものとみられてゐるが、右について宮本法務局長は語る
本制度は申すまでもなく将来半島民衆が悉く形容共に皇国臣民となり内鮮渾然一体となる日を到来せしむべき大理想のもとに半島民衆に対し内地人式氏を用ふる途を拓いたもので、本制度制定の趣旨は漸次社会各層に周知されたやうに思はれるが、一部には未だ認識不充分な人々もをるやうである、殊に本制度の趣旨を理解してゐながら兎角届出を躊躇してゐる向きもあるがその原因の二、三について所見を述べると
第一に、所謂姓名判断の妄説に迷はされて徒に右顧左眄し、空しく日を過してゐる人が少くない、いふまでもなく氏名は自己の属する家及び自己を表徴し他家他人と区別するため用ふるものであるから書き易く読み易く且つ最も親しみ深いといふやうな自己の最良と信じた氏名を用ふればよい訳で姓名判断等に迷はされてはいけない、第二に宗中の協議を経て一門同一を設定せんと待機中の向が少くないが、しかしこれは氏が家の称号であるといふ真意を解せず氏の観念と姓の観念とを混淆してゐる為であると思ふ、だから相談が必要なら極く近親の人々が相談する位で済むのではないかと思ふ、そして吾自独自の見解で各家の氏を設定するのが最適当であると思ふ、最後に名の変更手続を先にせんとするために、氏設定届出の遅れる場合がある様であるが、名の変更は裁判所の許可を要するためその手続に多少手間取り、これを先にせんとして氏設定の未了の人がある様である、併しながら氏設定と名の変更とは何れを先にしても法律上は各自の任意であり殊に期限の漸く切迫戦としてゐる今日においては手続簡易且つ手数料を要しない氏設定届を先にする方が便宜と思ふ（以下略）
京城日報1940年6月5日「何をか逡ふぞ 迷ふな陰陽五行の説 創氏徹底に区長らを総動員」
【永登浦】始興郡西二面では這般創氏相談所を設けると共に講演会座談会等を開催して、その趣旨の徹底を期すると同時に天長節の佳辰を卜して李面長が率先「岡田」と創氏し、一般面民に範を垂れたが、同面の総戸数二千十五戸の中創氏は僅かにその一割を占めるに過ぎない現状で、その実情を調査したところ、一般に創氏の趣旨は相当徹底してゐるが、その多くは陰陽説とか五行相生説とかの姓名鑑定論にこだはり過ぎて折角創った氏名も鑑定毎の異説に迷ってなかなか確定に至らず、かつは宗中会議等で徒らに遅延するものも相当多い実情で、同面では先づこれが誤れる観念の是正が最も喫緊事なりとし各区長、農村振興会長を通じ現代人として将また東亜の盟主大日本帝国民として今更これ等の風水説に迷ふが如き所為なきやう、又は宗中会議は創氏の意義観念に反するのでもって断然これを廃止するやう届出期間も後二ケ月余りに迫ってゐるので積極的に強調してゐるが、八月十日の期間までには相当の届出あるものと期待されてゐる
朝鮮新聞1940年6月28日「全北道創氏状況」
【全州】…全北道内における創氏は五月末現在で七千八百六十戸に過ぎず創氏の最低率に当局を三嘆せしめてゐる、これは五行論とか姓と氏との相違解釈不徹底の結果に生ずるところに根本原因があるやうだが、それらにこだはらず安易な心掛で至極簡便に創氏したらいゝと当局では注意を喚起してをり、（以下略）
京城日報1940年7月9日「創氏の根本義 朝鮮人が皇国臣民となるの道【上】江田俊雄【恵化専門学校教授】」
…緒て〔ママ〕、今回の創氏の意義については既に充分解説周知せしめられてゐる所であるが、それにも拘らず、この問題の最も重要なる根本義の一点に至っては、尚未だ隔靴掻痒の憾みがなくもなく、従って朝鮮の一般社会においては、既に創氏せし者の間にさへ、創氏の真意を暁得しないかの如くに見えることがあり、況んや尚此の問題を真剣に考慮せざる如き大衆が、相当暢気な無関心さを示してゐる例があるのみでなく、知識大衆と呼ばるべき階級の人々に於てさへ時には却って認識不足による多少の批議の加へらるゝ事実を見る。
それは、何人に取っても、祖先伝来の名称を一朝にして改変するといふことは理屈以上の愛惜の情が伴ふことを免れぬであらう。況んや、身官途にあるでもなく、家に喰ふに事足る財産でも備はってゐる人々に取っては、創氏などは不急のこととも思はれもしやう、之に反して、今日一日の生活が問題の全てゞあるやうな人々に取ってはこの事は何うでもよいやうにも見えもしよう。又昔ながらの血族中心の家族制度の機構に心酔してゐる方面の人々に取っては、これは由々しき旧来の家族道徳の変改とも受取られるかも知れぬ。…
京城日報1940年7月14日「創氏制に揚る半島民衆の歓呼！【2】文室時光（李王家職属・昌慶苑事務所次席）」
…今（創氏改名の）新法施行してから民心の趨向を察するに、半島人の創氏法に対する心理乃至態度を三つの型に分類することが出来る。
第一は、新法に対し相当の理解を以て衷心から歓迎し実践する一群と、第二は新法の趣旨に十分なる認識を欠き、先進者の動向を傍観しつゝ躊躇する一群と、第三は頑固か又は不充分なる歴史的知識乃至習俗に捉はれ、消極的態度をとる一群である。
京城日報1940年7月14日「創氏制に揚る半島民衆の歓呼！【3】文室時光（李王家職属・昌慶苑事務所次席）」
半島人は祖先崇拝の思想に長じ奉祀の血統を重んずるのみならず同姓を愛護するを常情とする。そして三綱五輪を人生の実践すべき最高道徳となし、同姓は結婚せず異姓と雖も姻戚関係となり、近親の場合は結婚するを潔よしとしないのである。この近親同志の結婚は勿論、異性交際まで「相避」と称し、極度に毛嫌ひする感情に培はれて来たのである。
故に、新なる創氏制により、以前よりの姓を氏とすれば、同姓不婚の原則維持としての近親の識別が容易なるも、内地式の氏に改める時は、動もすると同姓同志の近親婚が行はれ易くなるといふ危惧を持つものがある。然し、これは一理あるやうであって、その実は杞憂であり、不自然であり非科学的である。… 半島人がこの姓をかへることは人間にあらず畜生だと信念してゐる。その例には「半島人同志」の弁解の際に「若しこのことがウソである時は姓をかへよう」と誓ひ、相手方の信頼心を強める。さうすると、相手方は一応この誓を信じて許すことになる。もしその誓がいよいよ「ウソ」となれば「狗の仔だというて卑下し、以後信頼性が薄くなる習はしになってゐる。故に（創氏改名の）本法の精神をよく理解の出来ない無知な一般民衆は、頑として祖先伝来の姓を替へることに反対だといふものがないでもない。これは大なる誤りである。当局の意図は内鮮一体実現を目的とし、氏制を施行しても姓をなくするのでもなく、姓をかへるのでもなく、依然として姓は戸籍に残り本貫まで明記することになってゐる。…
京城日報1940年7月18日新居彝淳（京畿道坡州郡守）「創氏への愚見」
半島統治上近来の画期的制度は朝鮮教育令改正、陸軍特別志願兵制度並に氏設定に関する朝鮮民事令の改正であることは周知のところであらうが、創氏制度は身分関係に異動を来し、然もその効果の及ぶ範囲が一般的たる点に於て、前二者に優るとも決して劣りはしない。
斯の如き重大なる制度が、一般社会に比較的冷淡に受けられるのは何故であらうか？此処で冷淡とは南京、武漢三鎮陥落の時におけるが如く、祝賀会のないのを意味するのではない。唯ニ千三百万民衆が、一日も早くこの光栄に浴せんとせざることを指すのであるが勿論それかといって、種々の手続を一日で完了すべしと要請するのではない―唯手続を完了したる者が比較的少数であり、一般の関心が何となく薄いやうに感ぜられるのは独り私の偏見ではあるまい。
何故だろうか？（中略）
以上は指導者側より見たるものであるが、次にその適用を受ける一般民衆に付て見れば、姓なるものは歴史が相当古く、且身分上に密接重大なる関係を有するが故に、本制度の運用がそれに比例して困難だともいへる。その対策を講ずる前に、試みに未だ氏の設定を見ないものを分析して見ると、次の二つに分け得られる。第一は僻陬陬の地或は都市における文盲、又は住所の不定な者が主で、これ等の人々には幼時よりの神仏参拝の如く先づ結果的に考へて形式より実質に入らせる外はあるまい。第二には所謂知識階級に属する（……と自負する者も相当多い）者で、これにも色々あるが、年齢から見て老少の二層に分け得らえる。総てにおいて懐疑的で批判的なる所謂若きインテリ階級の中には当然なる制度と思ひ乍らも、徒らに左顧右眄し、或はこれより解決さるべくもっと現実的な問題があるのではないかといふ空想にのみ耽り、老人層に至っては、極めて保守的な考へで、姓は千古不変のものと誤認せる向きが多い。殊にいけない事には斯の種の老人が、戸籍面に於ては絶対権を握って居り、上述の如き若者は之を是正し得べき熱と力とを有しないことゝこれある斯る人々に対しては、「以熱治熱」の如く、支那典籍によって姓氏に関する誤謬を正さなければならぬが、（以下略）
朝鮮新聞1940年7月18日「忠南連山面は全面が創氏」
【大田】忠南道論山郡は古来両班の土地として知られてゐたので陋習を固執してゐた処創氏の届出期限も後四週間に差迫った今日郡当局並に面係員達は趣旨徹底の為東奔西奔努力した甲斐あって連山面は既に全面が創氏完了した
京城日報1940年「社說 創氏制度の凱歌」
…その当初に於ては多年にわたる習俗因襲への絆に愛着して、一応も二応も逡巡する者がないではなかった（以下略）
佐多稲子「日々の伴侶」1941年
（朝鮮での）ある座談会で、「創氏」のことに話が及んだとき、座は一瞬しーんとなった…姓が朝鮮では家を現さずに祖先を現すものなので、姓を創り変へるといふことはつまり祖先の抹殺になる、といふことが言はれた。（292頁）
一族会議の例
朝鮮新聞1940年2月2日「李氏一門で西原姓を名乗る 家門族会て〔ママ〕創氏決定」
朝鮮新聞1940年2月2日「晋州の李氏一族八十四名が創氏」
朝鮮新聞1940年2月17日「南鮮の姜氏 数百名一斉に創氏」
京城日報1940年4月7日「この現象は？創氏は小作人が多い」
京城日報1940年4月9日「『三岡鳳植』宋君の創氏」
朝鮮新聞1940年5月3日「忠州郡職員続々創氏 柳在煥氏と共に」
朝鮮新聞1940年5月25日「金巡査創氏」
京城日報1940年6月5日「金勲性氏創氏」
朝鮮新聞1940年6月27日「創氏 長津面職員が」
朝鮮新聞1940年7月21日「創氏」
朝鮮新聞1940年7月22日「創氏」
【咸興】咸興府およびその隣郡清州李氏の各代表者、李翊翊華、李万植、李東錫、李景観、李密源の諸氏ほか二十数氏は去る二十七日咸興府万歳町李培式氏宅に会同し家門族会を開催して創氏に関し協議の結果清州はもと西原であるから本貫たる「西原」をもって氏を創定することに同族中誰一人も異議なく満場一致可決確定の上各自氏創定せず一斉に「西原」と氏を創定するやう各派から各自その門中挙って「西原」を名乗ることを議決して散会した
朝鮮新聞1940年2月2日「晋州の李氏一族八十四名が創氏」
【晋州】内鮮一帯〔ママ〕の画期的企てともいふべき半島人の氏創設に就いては各門中毎に氏選択の協議が進められてゐるが曩にキリスト教信者盧義祚君が豊川姓を創設晋州府のトップを切ったことは既報の如くであるが在晋陜川李氏一門約八十余名は来る四日氏創設に関する打合会を開催するといはれてゐるがこれを切かけに晋州における半島人の氏創設も近く相当の数に上るものと期待されてゐる。
朝鮮新聞1940年2月17日「南鮮の姜氏 数百名一斉に創氏」
【晋州】…南鮮地方に最も多数を占むる晋陽姜氏宗中では在晋姜氏の発起により去る十日午後一時より晋州府鳳山町鳳降齋において全鮮姜氏宗会を開催、南鮮四道三十余郡代表者百余名出席し姜大成氏司会の下に種々研究討議の結果「神農」と決定した上御使、殷烈、何れの派たることを問はず当日出席しなかった各派に対しそれぞれ通文を発した処すでに書面回答が三百余通に達したがなほ宗会前に単独創氏せるものも悉くこれに合流するらしく姜氏だけでも両三日中に数百件の創氏申告があるものと予想されてゐるが府戸籍係ではこれが受●に転手古舞の有様である
京城日報1940年4月7日「この現象は？創氏は小作人が多い」
【海州】内鮮一体を地で行く半島人の氏制度実施は銃後半島民衆に絶大な感激の嵐を巻き起し各方面に好評をもって迎へられてゐるが…尚創氏者を職業別にみると
米作小作業五六▲米作自作業主二六▲公吏一三▲物品販売業者七▲会社員六▲警察官三名▲官吏六名▲教職員三▲穀物販売業四▲精米業三
等であるが、右につき山森法院長は語る
当管内は他所に比べて幾分創氏届出が少いやうであるが、四月に入ってどんどん増えて来てゐます、ところが中には宗中会議を行ひ白川趙氏の如き何百人いふ〔ママ〕宗中の人たちが揃ひも揃って皆同じく「白川」と創氏するやうでしたが、これなど折角一家を国家単位とする氏制の特徴を殺すものでこの際出来ることなら自分独特な創氏を決めたいものと思ひます
京城日報1940年4月9日「『三岡鳳植』宋君の創氏」
既報、江原道淮陽郡鎮川の宋氏が一せい創氏を申し合せてゐたが、（以下略）
朝鮮新聞1940年5月3日「忠州郡職員続々創氏 柳在煥氏と共に」
【忠州】忠州郡邑面行政係主任として、昭和十四年四月陰城郡より栄転し、爾来松田郡守の良き股肱として敏腕を揮ってゐる柳在煥氏は天長の佳辰を卜し大郷高義と創氏改名、なほ忠州郡乷味面長柳根栄氏もその一族が畿湖各地に居住し過般文化柳氏の外、五本を有する六本柳氏の有志が京城に会合協議の結果、文化柳姓は六本柳氏の宗系たる理由に基き柳を「ヤナギ」として、その儘氏となし、他の五本柳姓は夫々柳字の下に一字を加へることに決定したので、畿湖の湖を取って柳湖一�遒帆六甓�名したが、これに倣らひ忠州郡邑面職員は続々創氏改名の正式手続きを取ってゐる由にて、松田郡守以下板本内務、三善庶務両課長の鼻も高々である
朝鮮新聞1940年5月25日「金巡査創氏」
【新泰仁】井邑警察署新泰仁駐在SY金宗煥氏は今般金門中決議の結果慶州金氏の桑村派なるを「金村富一」と創氏改名し家族も左の通り改名した（以下略）
京城日報1940年6月5日「金勲性氏創氏」
【永登浦】府内新吉町九六、金勲性氏は先に清風金氏清平君派宗中会議に基き率先して正式に金川と創氏した
朝鮮新聞1940年6月27日「創氏 長津面職員が」
【長津】長津面においで〔ママ〕は創氏制度実施後一視同仁の聖恩に感激し、直ちに打揃って創氏すべく打合せたるも、各々その家族又は宗中との協議等があり遂に今日まで延ばされて来たが、最近各々その決定を見たので、文会計員初め給仕に至るまで職員十三人が左の通り夫々創氏設定した
朝鮮新聞1940年7月21日「創氏」
【長津】長津金融組合理事張鴻斗氏は創氏制度実施後直ちに創氏すべく郷里の親族と打合せ中のところ最近決定を見たので「竹村」と創氏した正式届出手続きを了へた
朝鮮新聞1940年7月22日「創氏」
【長津】新乫坡坡鎮営林署長津森林保護区西洞分区森林主事黄鍾鍾基氏は郷里の本宅へ問合せし処門中と打合の結果左記の通り氏を「松平」と創氏改名した
官吏、指導層、知識層の忌避
実情を示す資料
貴族院請願委員会1940年3月12日
京城日報1940年4月7日「この現象は？創氏は小作人が多い」
朝鮮新聞1940年5月4日「晋州府内の創氏四百件」
朝鮮新聞1940年5月7日「創氏 さすがは警察官 清州署は殆ど全員 案外進まぬ郡庁」
朝鮮新聞1940年5月9日「トップの李清州郡守 三州海用と創氏」
朝鮮新聞1940年6月6日「学校教員の創氏 公州郡教育会で決議」
朝鮮新聞1940年6月12日「鉄原支庁管内創氏一割強 全鮮の平均点突破」
朝鮮新聞1940年6月18日「木浦創氏総件数」
朝鮮時報1940年7月7日「官公吏の創氏 比較的に少い」
朝鮮新聞1940年7月13日「清州郡の面長さん 十五名が一斉創氏」
京城日報1940年7月17日「創氏・百万戸を突破」
朝鮮新聞1940年7月17日「晋州地方創氏 官公吏の出足鈍し」
朝鮮新聞1940年8月7日「宗教 創氏に際して所懐の一端を披瀝 （旧姓名院綺老）徳山家淳」
京城日報1940年8月7日「釜山の府議最初の創氏」
京城日報1940年8月22日「創氏の実績と半島人官吏」
○主査（男爵明石元長君）
「只今より請願第四分科会を開会致します、請願文書表大五回報告、第八十九号朝鮮同胞に伝来の名字許与反対の件を問題に供します、入江子爵」
「簡単に此の請願の内容を御説明申上げます、…是はまあ日本人の立場でございますけれども、それから朝鮮人の方の頭から考へますと、朝鮮人は自分の金とか朴とか云ふ名前に対して殆ど宗教的の信仰と言っても宜い位な気持ちを持って居るのに、それを勝手に日本の名前に置き換へて、金とか朴とか云ふのが恰も一種の通称の如くなってしまふのを、非常に遺憾に思って居る人が多い、それから又朝鮮人の中で或は日本的に改称し、他のものは元の儘朝鮮の名前を名乗って居ることになると、其の間に日本的の朝鮮人と、朝鮮的の朝鮮人の二つの分派が出来て、将来統治上困りはしないか、それで又朝鮮の貴族とか富豪とか上流階級の人は、朝鮮名を多く名乗って居って、日本姓に改めたのは、割合に下層と申しますか、低い身分の人がやって居るのであって、日本名を付けた者は皆賎しい人であると云ふ風な気持が将来生ずることもあるだらうと思ふ、で是は以上の観点から見ても是非止めて貰ひたい、朝鮮総督府では姓を強制する訳ぢゃないと云ふことを言って居るけれども、それは詭弁であると言って挑まれて居る人もあるやうな工合で、今此処で斯う云ふものを決めてしまふと、将来非常な悔を胎しはしないかと思ふから、今からでも遅くはないから、何とかそれを取止めて戴く、以上述べたやうなことで取止めて戴きたいと云ふのが請願の趣意のやうに考へます
京城日報1940年4月7日「この現象は？創氏は小作人が多い」
【海州】内鮮一体を地で行く半島人の氏制度実施は銃後半島民衆に絶大な感激の嵐を巻き起し各方面に好評をもって迎へられてゐるが…尚創氏者を職業別にみると
米作小作業五六▲米作自作業主二六▲公吏一三▲物品販売業者七▲会社員六▲警察官三名▲官吏六名▲教職員三▲穀物販売業四▲精米業三
等であるが、右につき山森法院長は語る
当管内は他所に比べて幾分創氏届出が少いやうであるが、四月に入ってどんどん増えて来てゐます、ところが中には宗中会議を行ひ白川趙氏の如き何百人いふ〔ママ〕宗中の人たちが揃ひも揃って皆同じく「白川」と創氏するやうでしたが、これなど折角一家を国家単位とする氏制の特徴を殺すものでこの際出来ることなら自分独特な創氏を決めたいものと思ひます
朝鮮新聞1940年5月4日「晋州府内の創氏四百件」
【晋州】聖戦下に輝く皇紀ニ千六百年の紀元節に半島人に氏創定の道が開かれて以来晋州府庁に届け出たのは二月中七十一件、三月中百四十六件、四月二百件四月三十日までの累計四百十七にして改名六百七十八名に達件し来る八月十日までには府民の半数は恐らく降るまいと見られてゐるが今のところ官公吏の名乗りが比較的鈍い模様である
朝鮮新聞1940年5月7日「創氏 さすがは警察官 清州署は殆ど全員 案外進まぬ郡庁」
【清州】折角の朝鮮戸籍令改正を見てをりながら趣旨の不徹底と因襲への愛着からか案外各種官公庁、公共団体等に創氏者少き観ある、…さすがに銃後陣の干城となってゐる警察員にこれが認識多く改正戸籍令の適用さるべき清州署員四十三名中すでに廿五名が完全に創氏を済ませてをり十五名が現在手続き中にして考慮中の者僅に三名を除くのみとなり指導的立場にある清州郡庁の七十五名中唯の一人と本家の裁判所の皆無は一寸意外の観であった、因みに各細別に示せば左の通りである（以下略）
朝鮮新聞1940年5月9日「トップの李清州郡守 三州海用と創氏」
【清州】日曜日なしで而も昼夜兼行で郡民福利増進の為尽瘁してゐる清州郡守李海用氏は先頃から創氏を研究中の処愈々去る五日正式に三州海用と創氏手続きを完了したが六日三州清州郡守は往訪の記者に対して如何にも愉快そうに次の如く語った創氏改名が2月11日に始まり、3ケ月たって漸く忠清北道10郡の郡守で初めて創氏者が出たことになる。
何しろ此の李姓は七百三十（以下判読不能）なると一寸ためらった何か由緒を残したくもあり仲々良い氏が思ひ浮ばぬので今日に至った訳だが本貫が牛峰李氏であり牛峰の古号即三州であるので文字が簡単で書き良い処から氏を三州としただけで別に何の意味もないよ
これで忠北道内郡守の創氏のトップが切られた訳であり同氏の創氏は各方面に対する刺激も大（以下判読不能）
朝鮮新聞1940年6月6日「学校教員の創氏 公州郡教育会で決議」
【公州】公州郡教育会総会は二日午前十時より中学校大講堂において開催されたが…鈴木幹事より本会場において来る十日を期と定め鮮人教員の創氏設定を決議したら如何と提案するや場内は一時沈黙となり中野会長本道金川知事は率先創氏設定し総督より来電があったとの点から種々勧説あると一同は拍手をもって賛成し引続き講演会に移った（以下略）
朝鮮新聞1940年6月12日「鉄原支庁管内創氏一割強 全鮮の平均点突破」
【鉄原】創氏制定が発表されると共に鉄原支庁久保田判事に永澤監督書記はその徹底に努め直ちに支庁内と邑事務所に創氏設定相談所を設けられて一般の利便をはかり又永澤監督書記は各郡に至り創氏に就ての解説を行ひし結果五月末日現在では全鮮平均点を突破するに至りしも今や漸く全戸数の一割強を示されてゐる八月十日の期日迄には相当の成績を挙ぐるに至るであらう、今五月末日現在数を挙ぐれば左記の通りである
（中略）
このうち創氏の種類は七〇〇件にしてまた改名の届出は三、五三〇件におよんでゐる最も好成績なのは淮陽郡内金剛面の四三五件で次は鉄原郡東松面の三四一件である以上の数を挙げてゐるが未だに上層階級方面の群守面長、区長その他は容易に届出でなきをもってこの際において常に指導の任にある官公吏に率先して示範せられ期間内に実行せられんことを当局は希望してるゐ〔ママ〕
朝鮮新聞1940年6月18日「木浦創氏総件数」
…今の処各種官公庁、公共団体、公職者等の創氏者が尠いのである
朝鮮時報1940年7月7日「官公吏の創氏 比較的に少い」
皇紀ニ千六百年を迎へ紀元の佳節を卜し半島同胞に内地人式氏設定制度が実施されて以来五ケ月を閲し民間側は何れの階級を問はず創氏を名乗るもの激増の一を途〔ママ〕辿りつゝあるが比較的官公吏の創氏鈍く晋州支庁管内に未だ二割に足らず尚支庁では、●れが督励の為各学校に於て講演会等を催してゐる
朝鮮新聞1940年7月13日「清州郡の面長さん 十五名が一斉創氏」
【清州】清州郡内十七ケ面々長中七月十一日現在創氏を了した者は十五名の多数に登ったが邑面職員は二百三十四名中目下の所なほ六十一名で案外少い。…※同じ面の隣記事で「忠北道内創氏成績は頗る良好にして去る六月末現在…道内総人口の六割強となってゐる」とあり、清州郡の邑面職員はその半分にも満たない割合だったことが分かる。
京城日報1940年7月17日「創氏・百万戸を突破」
…なほ最近の著るしい傾向は上層階級者の創氏が激増したことで、創氏が各層に均等してきたことを窺はせる（以下略）
朝鮮新聞1940年7月17日「晋州地方創氏 官公吏の出足鈍し」
【晋州】紀元二千六百年の紀元節を卜し内地式創氏の画期的制度に恵まれた半島人は爾来先を争って名乗りを揚げてゐるにも拘らず比較的官公吏の出足が鈍かったが七月一日より十三日まで警察官二名、訓導三名、郡属二名であり届出総件数一千六百七十八件にして期日切迫に伴ひ団体届出が続出するので八月十日までには三千二百名の予想は容易に突破するもの見られてゐる
朝鮮新聞1940年8月7日「宗教 創氏に際して所懐の一端を披瀝 （旧姓名院綺老）徳山家淳」
…是より創氏し得る期間は僅二旬余を残すのみなるが未だ創氏せざる者多数ある様に思はれるのは甚だ遺憾である、就中所謂智識層と目すべき者の中に反対の意見を持つ者が可成りあるようにて、何処より出た話か知らぬが政府は創氏に反対するとか又先般総督渡東の時にはその更迭を云為して総督が替はれば創氏に関する新民事令は結局有耶無耶に終るといふのを耳にしたこともあるが
京城日報1940年8月7日「釜山の府議最初の創氏」
【釜山】商工会議所副会頭釜山府会議員金璋泰氏は今回竹岡璋泰と創氏し五日府庁に届出た、府会議員としては最初の創氏釜山府会の1939年5月選挙では朝鮮人当選者が15名（洪淳権「植民地期釜山の議会と日本人」18頁）
京城日報1940年8月22日「創氏の実績と半島人官吏」
一視同仁の御聖旨を奉戴した去る二月十一日紀元の佳節を卜して氏制度を施行し半島人大衆にも内地人式氏を称し得る途を拓き、その届出を満了日たる去る八月十日をもって一応締切ったのであるが同日までの創氏徹底数は三百万戸に近く、実に半島人全戸数たる四百廿七万余戸の七割を突破する好績である、三百万戸といふ創氏概数は総督府としても当初において予想した数字を遥かに凌駕したもので、これこそ時局下半島人が皇国臣民たるの自覚に燃え内地人と一体となり共に聖業完遂に邁進する熱鉄の意気を実証したものである。創氏は南総督が屡々厳命強調した如く強制的に施行されたものでないことは明らかであり、また当然斯くあるべきものである
◇
約半歳の短期間に総戸数の七割に近い半島民衆が創氏したことは事実として表現された驚異的数字である。この事実を凝視して乗り遅れた三割は当然追ひ駆て便乗すべき筋合である。吾々が這般の創氏において最も痛切に感ずるのは官界における一部の消極的態度である、事の如何を問はず官職にある者はすべての言動は民間の範となるべく確然たる自覚と信念を把握すべきことは吾々が深く期待するところである、特に時局の進展は諸般の統制強化と共に官吏の挙措は以て民間に模範たるべく更に国策の向ふところを率先躬行すべき立場にあるのである敢て官尊民卑とは言はぬが半島においては官職にある者を比較的に民間人より強く尊重したがる空気がある、それだけに外地の官吏は自粛自戒しなければならぬのである
◇
民間に範を垂るゝ確固たる信念を把握してゐるならば今回の創氏の如きは官禄を喰む者は率先し自発的に実行し理想的に言へば官界にある者は一人をも余すところなく創氏せしめねばならぬのである、官職にある者こそ総督の心を心とし施政方針として最早や確定したことは極めて純情にこれに従ひ利己の打算を抛擲する意気と熱意があらねばならぬ、施政方針と自己の意志が相反するならば敢然として職を退く、この心構へこそ官吏道の真精神と思ふのである、この精神こそは上位の官職にある者ほど熾烈でなければならぬ、単なる些細な事務なら別として創氏の如く半島施政の根本精神を基幹として発足したる制度こ●官吏たる者が深く思ひを致し●間の範となる熱意を以て古い因襲を打切り大乗的見地から進むべきである。
而して官民一体一度国策として決定したる事項には小利を棄てて参じこれが遂行には相互に協励し誘導すべきである。依然として消極的態度を持する者に対し誘導して尚効果なきに於ては強圧粛正のメスを揮ひ国家全体の動向に帰一せしむることが時局下喫緊の要事である、創氏実績の発表に際し官界の上位にある半島人が創氏するもの少なき事態に鑑み敢て所感を記し併せて官吏が国家全体の動向に順応する心構への切要を認め吏道の刷新を切望する次第である。
朝鮮貴族は大多数が創氏改名せず
朝鮮貴族の最初の創氏は、1940年8月10日の期限の直前である。
京城日報1940年8月4日
「金男爵『金井栄珠』」
京城府昭格町五一男爵金英珠氏（五四）はこの度金井栄珠と創氏したがこれは貴族として初めての創氏である。
・朝日年鑑1941年版で、朝鮮貴族のうち日本風の氏名に見えるのは
侯爵（0/7家中）伯爵（0/3）子爵（0/17）男爵（1/31）で、58家のうち1家
・朝日年鑑1942年版で、朝鮮貴族のうち創氏改名しているのは
侯爵（0/7家中）伯爵（1/3）子爵（2/17）男爵（4/31）で、58家のうち7家
・朝日年鑑1944年版で、朝鮮貴族のうち日本風の氏名に見えるのは
侯爵（0/7家中）伯爵（1/3）子爵（2/17）男爵（8/31）で、58家のうち11家
創氏を拒否した道知事
- 創氏改名しなかった孫永穆
【全州】創氏しない大物のうちに全北道知事孫永穆がある、創氏制度発布の当時記者団との●例会見でも創氏の意義を強調し自らその範を示すやうな口吻であったがたうとう八月十日までには創氏の手続きをとらなかった、各方面にいろいろ憶測が伝へられてゐるが、一切口を緘して自分の口からはその理由を語らない、側近者は「知事は戸主でないから直ちに自分の意思通りにはゆかないのだ」と弁じてをり、そこに孝心深い知事には或は苦しい点があったかも知れぬ、廿四日の或る席で記者に語った左の談話からみても大方の想像は出来やう。孫は「（創氏期限8月10日の翌月）九月二日の人事異動で彼ら（孫と兪萬兼）は知事を免職されることになった。」（水野直樹「創氏改名」岩波新書177頁）
八月十日までには間に合はなかったが創氏はするヨ、そのためまだ孫を氏とする届出はしてゐない、素晴しい好い氏をと思っていま研究中だ、永穆といふ名は非常によい名らしいからこれは何とか生かして置き度いと思ふ、時期かね、時期は普通の日ではいかん、意義ある日を選びたいと思って始政紀念日を期してゐる
孫は結局創氏改名しなかったようで、1944年の新聞記事にもそのままの名前で登場する
・京城日報1944年12月25日「共に學び語れば分る, 勤勞と進學, 管理も利害を捨てて, 孫永穆氏」
・毎日新報1944年12月28日「處遇改善과 各界의 感想 - 各者技能發揮 - 鮮滿拓殖理事 孫永穆氏談」
- 従来の姓をそのまま氏にした兪萬兼
【清州】感激の創氏制度…忠北でも当然指導階級にある官公吏は一般民衆に範を示すため率先創氏改名した、ために去る十日の届出締切までに清州法院支庁管内だけでも実に八割八分九厘といふ好成績を示すに至った…にも拘らず忠北百万道民の父―兪萬兼知事は十日までには遂に届出でなかった、知事は何故に創氏しないのだらう？…何人よりも真先に創氏するものと期待された兪知事が何等の意志表示をしてゐないので道民は実のところひどく失望した、名門の出である兪知事だけに一朝一夕には創氏が出来ないのだらうなどとつまらぬ臆測が行はれたのも無理からぬ話である、ところが我等の知事兪萬兼氏は内鮮一体の大精神に則って立派に創氏してゐたのだ『兪』をそのまゝ氏に設定したのである、即ち知事は『兪』をそのまゝ氏とした理由と、創氏に対する信念をかく語る……兪は「（創氏期限8月10日の翌月）九月二日の人事異動で彼ら（兪と孫永穆）は知事を免職されることになった。」（水野直樹「創氏改名」岩波新書177頁）
創氏は内鮮一体具現に誠に結構な制度である、私も本道内における制度の趣旨徹底に努めて来た、しかし総督閣下も強調された通り、創氏は各人が充分考へてやるべきもので強要すべきものではない、たゞこの内鮮一体の大理想は一致して遵守せねばならないと思ふ、私は現在のまゝ創氏をしたが『兪』は内地人式だと思ふ『兪』は簡単で何処にも通じ判り易いから結構な氏だと思ってゐる、『兪』の姓は他の姓のやうにさう沢山あるものでなく、ほんの僅かしかないのでそのまゝ氏としたのだ、兪家一族中、私の家だけは兪をそのまゝ氏としたのである、所謂両班制度など過去の夢だ、私が門家の関係で内地人式の氏を設定しなかったなどといふ如きことは毛頭ない、現に内地人の中にも鄭とか秦とか金（ゴン）とか徐等といふ氏もあるぢゃないかね
- 二人の知事に対する批判
新聞の報ずるところによると去る八月十日をもって締め切った朝鮮統治上画期的施設としてまた半島文化の飛躍的進歩の対象として内鮮一体の根本義に合した創氏に対し、二道の長官がいまに〔ママ〕創氏しない事が判明した私は最初は嘘かと思った。まさかそんな事はあるまいと思ったが実は矢っ張り二道の長官が創氏しない事が明かとなった。然しその一人は従来の本姓をその儘氏として届出たとの事である而していま一人の知事は、未だ創氏しないが来る十月一日の始政記念日には創氏すると言ってゐる。私は前者のまことにその真意を誤解し、後者の真に心境として排斥すべきものある事を痛感するものである。元来朝鮮統治に於いて最も重大な事は総て朝鮮に於ては総督を中心として一糸紊れざる生活をニ千三百万大衆が行ふと言ふ事が極めて大切な事である。就中これが指導す〔ママ〕地位にある官公吏の責任はこの点に就ては謂はゞ絶対と言はねぼ〔ママ〕ならぬ。然るにいやしくも牧民官として一道の長官がその重大な責任のある事を忘れて、いまだ創氏しないと言ふ事は極めて統治上からも由々敷き事であるのみならず、その影響するところは更らに大きいと言はざるを得ない。実はこの創氏は朝鮮統治始まって以来の大画期的施設であって南総督はこれが真に内鮮一体の実をあぐる所以であると確信し、且つ統治の最高責任者として、かくする事がその信任を恭くした事に応へるの道なりと信じてかくしたのであるこれに対し官吏自ら恰も反対するが如き態度を示すと言ふ事は何んと朝鮮統治の本義を忘れた事ではないか。それが一平凡な官吏ならば兎も角一道の長官として国民精神総動員運動の第一線の統率者たる長官がこれに解せないと言ふ事は見方によっては極めて微々たる事であるがその真底に流れるものは断じて小さいものとしてこれが観過する事は出来ない。これこそ朝鮮統治の根底を揺がす者と言ふ外はない、それも未だ学問もないものであるとか言ったものであるならばとも角真に唾棄すべき事である。私はこの事実の報ぜられた事を真にそれは朝鮮大衆としてあるまじき事として嘘かと思ったのである。然るによく詮索すれば全く事実として存じてゐ●。真に驚倒した、もとよりこれに反対せんがためのものではないが、然し進んで協力すべきものがしないところに社会の大きな衝動事として取扱はれる所以がある。私もこれが普通人のした事であるならば茲に大切な本欄を費してまで述べる気にはならぬのであるが事苟くも長官と言ふに於て断じて沈黙する訳には行かない。尚聞くところによれば後者の知事は来る十月一日の始政記念日に創氏すると言ってゐたが、かゝる問題はこれを行ふ時と言ふものが重大な関係をもってゐる事を忘れてはならぬ自ら進んでこれを促すものとしては先づ自ら創氏して当らねばならぬ。然るにこれを期限後の寧ろ十月一日に求めるなんて、全く人を食ったやり方である。私はよくも南総督のものに長官としての責任をいまなほけがしてゐるものだと思ってゐる。何にも創氏は強制を思ひないとは雖も官吏たる身分に於て更らに長官たる責任に於てこれを更に追及するものである率直に言って速かにその責任の重大を痛感して適当とする措置をとる事が正しいではないか、その責任観を弁へぬ程のものではあるまい。若しなほかゝる責任観なきときは本欄の記事をよく熟読して善処されたい、また本府としても適当の措置を講ずる事が総督政治を持する所以である事を真底通関して欲しい断じて内なる粛正に到っては微温であってはならぬ事を強調したい。
- 創氏改名せずに知事になった例
- 創氏改名した知事の例
創氏改名批判に有罪判決
京城日報1940年5月9日「創氏制度を誹謗 舌禍事件公判開く 峻、体刑一年を求刑」
朝鮮新聞1940年5月11日「創氏を誹謗した舌禍事件の公判 懲役一年言渡さる」
【忠州】世は挙って創氏の喜びを謳歌し内鮮一体具現化に花を咲かせてゐる時も時これは不心得も甚だしい反国民的悪質犯罪として世人の注視を集めてゐた創氏の舌禍事件の公判が六日午前十時大田地方法院忠州支庁で野田判事係で開かれ佐野検事の長時間に亘る峻烈な論告に超満員の傍聴席を思はず緊張させた、被告は○○郡○○面○○里○○○○○で、検事求刑懲役一年、判決言渡しは九日午前十時、犯罪事実は次の通り
被告は七年六月京城○○○○○○○○○○を中途退学し、帰農中のものだが去る三月廿日午後六時ごろ遠縁に当る同郡○○面○○洞○○○○○○方で同人外三名の面前で創氏に対する談話中に創氏制度を誹謗し内鮮一体の大方針を損ふが如き不穏の言辞を弄したもの
容赦の余地は全くなし 佐野係検事談
右事件は去る三月廿日犯罪発生、四月九日忠州署で検挙、一段の取調べ終って同十九日送局、一ケ月半の審理を終りやっと結審の重荷を下した佐野検事は「実に遺憾の至りですな」と前置きして語る
創氏制度は興亜大聖業の完遂上における画期的なもので実に内鮮一体化の世紀的英断として今や半島の津々浦々に至るまで只管感激の歓声に溢れてゐる現状の下に、こんな不穏極まる反国民的言動は断然容赦の余地がない、神聖なる我が国体に対する不遜行為たるのみならず忠良なる半島同胞の名誉を傷けることも又甚大なものである（中略）今後ともかゝる悪質言動には断乎と厳重方針で臨むつもりだ
朝鮮新聞1940年5月11日「創氏を誹謗した舌禍事件の公判 懲役一年言渡さる」
【忠州】半島統治史上に一新紀元を画し、昔の史実に遡って、内鮮一体の還元を雄弁に立証してゐる栄えある創氏の実施につき南総督の大英断に対し「朝鮮民族を」云々と誹謗し、この慶すべき一大事実に反感を抱いて穏かならざる非半島人的な言辞を弄し、遂に忠州署員に探知され保安法違反にて、忠州高等係の手で、厳重取調べを受けてゐた、○○郡○○面○○里○○○に対する第一回公判は、去る五月六日大田地方法院忠州支庁公判廷において佐野立会検事より峻烈な論告と共に一年の求刑があったが、被告に対する言渡は、五月九日野田判事より検事求刑通り、懲役一年の刑を言渡され、被告も囹圄において大いに悔悟したものか、上訴の意志なく、始めて迷夢より醒めたるものの如く言はれてゐる。
低調な届出数と地域格差、途中から急増
- 低調な届出数
【仁川】紀元節の佳日を期して創氏受付を開始したが、どうしたわけか、仁川府は出足すこぶる鈍く十二日に至っても午前中に僅か三件といふ閑散ぶり、しかもうち二件は元山と、満州の錦県に居住してゐる者からで、一件は府庁財務課員である、因みにその届出者と創設の氏は左の通り（以下略）
京城日報1940年3月15日「創氏八千人 慶南外僅少」
【釜山】慶南道内二月中の創氏届出は意外に少数で一千百四十四戸八千十二人に過ぎぬ、優良府郡でも
密陽郡一九五戸一、一三七人▲釜山府一一五戸七〇二人▲河東郡九五戸七〇六人▲咸安郡八一戸五七六人▲金海郡七八戸五四●（途中判読不能）▲固城郡七三戸五六二人▲昌原郡六一戸四四九人▲統安郡五八戸四三〇人
といった程度であり趣旨の徹底せぬ地方ともなれば
咸陽郡五戸三二人▲蔚山郡五戸四十一人▲宜寧郡九戸七〇人▲陜川郡一三戸一〇一人▲居昌郡一八戸一二二人
といふ情ない状態で今後更に趣旨の普及徹底を要するものと見られて居る
京城日報1940年4月11日「創氏は三百分の一」
【麗水】朝鮮民事令改正による朝鮮人の「氏」設定は二月十一日より開始して既に全鮮各地の有力者を初め多数の名乗を見てゐるが、麗水邑における三月卅一日現在総戸数二十戸の少数でありこの名乗を挙げた人も大半内地へ渡らんとする労働者及び上級学校へ向ふ生徒の関係が多数で中流以上の名士には非常に少く現職の官公吏にも僅か二三人に過ぎぬ状態であるが一般的傾向として軽卒を戒め慎重に考へ将来のため円満無欠な創氏をなさんと苦るしんでゐるのは事実であるがしかし六千戸にたゞの廿戸は物さびしい感である
京城日報1940年4月18日「創氏振はず」
【清州】半島人挙げて感激の手続を急いでゐる創氏は手数料改定とゝもにグンと増加して、去る二月十一日以後丸二ケ月目の四月十一日現在清州邑に届け出たものは合計百廿二戸に達したが邑内半島人総戸数に比べると未だに約四十八戸に対して一戸といふ貧弱さである、なほ創氏にともなふ改名の届出を許可されたものは三百八十六名となってゐる
朝鮮新聞1940年5月12日「創氏巡回相談会 公州郡各面で開く」
【公州】…郡内一般の情勢から見るに依然として正規の届出数少きに鑑み公州郡で一層創氏の趣旨を普く民衆に周知徹底さしめる為め創氏巡回相談班を組織し郡内邑面に巡回相談に当りその最後の決意を促すべく同班を十班に分ち班長には郡守内務課長、判事、戸籍係主任、警察署長、各中等学校長、郡駐在視学に班員には郡、地方法院支庁職員中より各数名を配し来る九日新下面をトップ切り各里洞毎に開催するを理想とするも時日交通関係および里洞数等の関係により一邑、面に二ケ所乃至三ケ所を選定し「創氏巡回相談会を開催することになってゐるが、日程は左の通りである（以下略）
京城日報1940年5月12日「創氏は先づ教職員から 平北で慫慂」
【新義州】創氏制度実施以来すでに四ケ月余を閲してゐるが、その趣旨の徹底に反しその実施はさして進まないので、平北道では道内中、初等学校の教職員に対し�狒六瓩篭疑Π�より�甅爿畤Π�一人残らず創氏を目標として率先実行して児童、生徒並に一般家庭に範を示すやう十日通牒を発したが、右に関し富崎学務課長は語る
皇国臣民育成の柱にある教職員が未だ創氏してゐないのは甚だ遺憾と思ふ、戸主でない関係で手続きが出来ぬものあるやうだが、そんな問題などは大してわけない筈である、近く創氏相談所又は部を設置して児童、生徒にも更に趣旨徹底をはかるつもりだが、これに先んじて教職員は卒先励行してほしいものだ
京城日報1940年5月30日「創氏談義など【2】天野道夫（国民精神総動員朝鮮連盟主事）」
…現実においては、ある上層部の者が猛烈に（創氏改名に）反対してゐる、香山光郎氏以外に文壇人で創氏を名乗る人が少いのはどうした訳か。内鮮一体のスローガンを叫びながら、こんなに創氏が遅々としてゐるのは可笑しいことだ。急げよ、創氏半島の明朗化のために、内鮮相愛の感情を深化せしめるために。
京城日報1940年6月5日「何をか逡ふぞ 迷ふな陰陽五行の説 創氏徹底に区長らを総動員」
【永登浦】始興郡西二面では這般創氏相談所を設けると共に講演会座談会等を開催して、その趣旨の徹底を期すると同時に天長節の佳辰を卜して李面長が率先「岡田」と創氏し、一般面民に範を垂れたが、同面の総戸数二千十五戸の中創氏は僅かにその一割を占めるに過ぎない現状で、その実情を調査したところ、一般に創氏の趣旨は相当徹底してゐるが、その多くは陰陽説とか五行相生説とかの姓名鑑定論にこだはり過ぎて折角創った氏名も鑑定毎の異説に迷ってなかなか確定に至らず、かつは宗中会議等で徒らに遅延するものも相当多い実情で、同面では先づこれが誤れる観念の是正が最も喫緊事なりとし各区長、農村振興会長を通じ現代人として将また東亜の盟主大日本帝国民として今更これ等の風水説に迷ふが如き所為なきやう、又は宗中会議は創氏の意義観念に反するのでもって断然これを廃止するやう届出期間も後二ケ月余りに迫ってゐるので積極的に強調してゐるが、八月十日の期間までには相当の届出あるものと期待されてゐる
京城日報1940年6月18日「去れこの汚名 全鮮最下位の全北の創氏熱 全道有志挙げて起つ」
【全州】創氏制度事務取扱ひ以来全羅北道における創氏は頗る出足にぶく五月中旬における全鮮の統計から見ても筆頭慶北の七千九百九十八戸に比べ五千四百四十一戸といふ最下位にあり、隣道忠南舒川一郡に対し全北主要都市の合計が及ばぬといふ状況で全州地方法院及び検事局ではこれが原因を探究し不徹底の点があらば如何にしてこれが普及方法を講ずるかといふ手段方法について研究する必要があるといふので十四日は弁護士会の臨時総会を開いて懇談し十五日は管内判検事の会同と共に法院長、検事正主催で午前十一時から司法庁、行政庁、事業庁の長官及び弁護士会長、民間有志の会同を求めて懇談会を開いたが、道からは知事警察部長も出席し隔意なき懇談を遂げ、主催者側で運動の具体的方法を定めて来る八月卅〔ママ〕一日の日限徹底的に創氏の趣旨を普及し全北最下位の汚名を雪ぐべく各方面と協力して一大拍車をかけることとなった
朝鮮時報1940年7月7日「創氏改名の促進 其の場で創氏の手続 府庁員各戸歴訪」
内鮮一体具現の実行として画期的企てなりと●迎を受けた、半島の創氏改名は其の期間八月十日も余すところ一ケ月に迫りたる今日予期に反し其●蹟挙らず各方面に於て多少焦慮されつゝある模様であるが晋州府内にあっても多分に洩れず、戸数九千九百五十余戸中七月三日現在氏設定を届出では僅かに一千三百九十八戸に過ぎず甚だ遺憾されてゐるが、愈々今回裁判所側とも打合せの上府庁員をし●各戸を訪問せしめ創氏の希望者に対しては其場に於て手●せしめ創氏改名の上に至便を与へ奨励することとなった、元より創氏改名は一家の重大事であり姓命判断等迷信的の動きもあり熟慮中の者多数を占めてゐるので一般をして断行せしめる手段としては適当な措置と見られてゐる
京城日報1940年7月14日「開城府民の創氏 千三百五十戸 六千五百人 全人口の一割程度」
【開城】府民の創氏は全戸数一万二千戸中十月〔ママ〕現在で一千三百十五六戸、人口にして六千五百余名で大体府民の一制〔ママ〕は創氏を終った訳である、なほ改名は二千二百四十五件である※京城日報1940年8月16日記事「開城の創氏八割七分八厘」では「府民の総届出数は八千二戸、総戸数一万二千九百四十戸のうち戸主未定、青年戸主、戸主行方不明等の三千八百二十三戸を除いた九千百十七戸に対して八割七分八厘といふ好成績を示した」とある。2月11日の創氏改名受付開始から7月10日まで5カ月で1割しか創氏しなかったのが残りひと月で急激に進んだことが分かる。
朝鮮新聞1940年7月15日「創氏断然殖ゆ 全北六月に入り激増」
【全州】創氏制度の届出期間も剰す処あと一ケ月に切迫したが全北道における去る五月末の届出数は…といふ全鮮を通じ最下位といふ寂寥さであったが全州地方法院をはじめ各府郡当局ではこれを遺憾とし創氏制度の趣旨普及徹底をはかって来た甲斐あって六月に入って俄然活気を呈し（以下略）
京城日報1940年8月6日「全州法院管内」
【全州】屢報の如く六月末にて最下位といふ全北の創氏不成績に一大馬力をかけた全州地方法院及び検事局の管下支庁総動員で六月末総戸数の七分二厘に過ぎなかった創氏者が、七月中旬の統計では…一躍総戸数の二割一分二厘といふ激増を示した、各郡別の創氏件数は左の通りである（以下略）
- 地域格差
二月十一日から開始された「創氏制度」は日と共に益々その届出数を増して三月廿日までに四万百五十名に達した、総督府民事課で道別に届出数を調査したところ、慶北が二万四千四十四名で圧倒的に多く全数の半分以上を占め、慶南がニ千六百廿六名で二位、お膝下の京畿道はニ千四百八十八名で三位、一番少いのは忠北四百九十三名、黄海道六百七十五名である、全鮮届出数を月旬別にみると、二月中旬が六千八百十八名、二月下旬は八千九百卅四名、三月上旬一万八百八十六名、三月中旬一万二千五百十二名と日が経つに従って増加してゐる、各道別創氏届出数は次の通りである
▲京畿二四八八▲江原八九一▲忠南一〇一二▲忠北四九三▲咸南二二二七▲咸北一二〇七▲平南一五四四▲平北一〇六四▲黄海六七五▲慶北二四〇四四▲慶南二六二六▲全南七五三▲全北一一二六◇計四〇、一五〇
1939年末の人口で道別に比較すると
京畿道 朝鮮人人口2,416,057人中、創氏2488人（0.1％＝971人に1人）
忠清北道 890,469人中 493人（0.06％＝1806人に1人）
忠清南道 1,498,509人中 1012人（0.07％＝1481人に1人）
全羅北道 1,507,239人中 1126人（0.07％＝1339人に1人）
全羅南道 2,446,678人中 753人（0.03％＝3249人に1人）
慶尚北道 2,387,285人中24044人（1.01％＝99人に1人）
慶尚南道 2,120,499人中 2626人（0.11％＝808人に1人）
黄海道 1,695,197人中 675人（0.04％＝2511人に1人）
平安南道 1,490,584人中 1544人（0.1％＝965人に1人）
平安北道 1,607,415人中 1064人（0.07％＝1511人に1人）
江原道 1,571,502人中 891人（0.06％＝1764人に1人）
咸鏡南道 1,602,642人中 2227人（0.14％＝720人に1人）
咸鏡北道 864,234人中 1207人（0.14％＝716人に1人）
計 22098310人中40150人（0.18％＝550人に1人）
慶尚北道が突出して割合が高く、最も低い全羅南道の30倍以上が創氏したことになる。
５．創氏改名徹底のための諸施策
集団で、全員で、一斉に
朝鮮新聞1940年3月5日「創氏に緊急動議 京畿道会で『改名』満場一致」
目下開会中の第十回京機道会は土木費勧業費などを俎上に連日花々しい論戦を展開し旱害対策や食糧需給物価問題など戦時下の道会らしい雰囲気に満ちてゐるが四日は創氏制度に関する緊急動議があり、此の動議を圍って画期的制度の趣旨に副ふためニ十九名の半島出身議員は地方民の先覚者として各家庭事情やその他種々の事情を充分に研究した上、卒先内地式の創氏を進んでなすべきことを申合せ、聖戦下内鮮一体となって名実共に何等異る処なきを期し頗る注目を惹いた
この緊急動議は加平郡選出の平山正夫（旧宋星鎮氏創氏）が朝鮮統治上の重要事項なりとの前提で満場の緊張裡に別項の如き申合せを提議したのに始まり次で中枢院参議道会副議長の韓相龍議員が立ち慎重極まる口調で賛成意見を述べるにおよんで半島出身議員は勿論、満場一致異議なしを唱へ、甘蔗議長は直ちにこれを採決してこゝに道会として画期的の申合はせをみたがこれが趣旨手続きその他につき六日午前十時半より法務局民事課長の説明を一同聴取することになった
申合定義事項（速記録）
議題外のことであるが朝鮮統治上重要な事項であるのでこの機会に緊急動議を致したいと思ふ皆様の御存じの通り今回民事令の根本的改正に依り吾々ニ千三百万の半島同胞も内地人式の氏を創設する途を開かれましたことは誠に御同慶に堪へない、元来我々半島同胞は既に精神的に皇国臣民たることは自他共に認められてゐる処であるが、この際形の上に於いても内地式の氏を創設することは名実共に帝国臣民となり一視同仁の聖旨に副ひ奉る所と考へる就いては道会議員は地方民の先覚者たる立場上成るべく早く率先して氏を創定し本令改正の趣旨に副ひたいと存じ茲に申合はせを致したいと思ふ、何卒満場一致の御賛成を願ふものである
京城日報1940年3月21日「道民に示す範 率先創氏へ 忠北道議一同の快挙」
【清州】十八日の忠北道会懇談会席上世紀の創氏問題につき論議され半島人議員から名変更手続の簡易化或は手数料五十銭の撤廃等を要望されたが、半島人各議員は道民代表として率先創氏し一般民衆に範を示すべき旨を申合せたことは非常な好感をもって迎へられてゐる
京城日報1940年3月21日「百の説明よりも実行に如かず 定州署員挙って創氏」
【定州】定州署員は今回の創氏に関し努めて一般の質疑に応じ周知に努力してゐるが「百の説明も一つの実行に如かず、先づ署員自ら民衆に先んじて創氏し、内鮮一体の花を咲かすべしと」同署司法主任金警部の主唱に賛同した半島在籍の署員一同は全員こぞって左の如く創氏の届出をなした（以下略）
京城日報1940年3月28日「揃って創氏！学校長打合会」
二十七日午後二時京畿道内中等学校長、中央中学校長玄相允氏他三十名は神谷内務部長隣席の下に道庁第二会議室で、�狒六畭嚢膕餃瓩魍�いた、まづ岩島総督府法務局民事課長との間に質疑応答を重ねたのち、創氏について種々打合せを行ひ、打ち揃って創氏しようといふことに一決、この他一般にも大いに趣旨の宣伝に乗出すことになった
京城日報1940年4月13日「教諭が揃って創氏 大邱師範学校」
大邱師範学校教諭が十日揃って創氏した（以下略）
朝鮮新聞1940年4月14日「安岳創氏 各区長それぞれ」
【安岳】安岳邑においては四月十一日午前十時より管内二十区長を招集創氏懇談会を開催満場一致一週間以内に氏を創定正式届出を為すことを申し合わせた。同日懇談終了後直に創氏届出を提出した各区長は左の通り（以下略）
朝鮮新聞1940年4月18日「儒林九百余名一斉に創氏 定期総会にて決議」
創氏は日を追ふて届出が殺到してゐるがこの程平北宣川郡下では十五日同地方における儒林の定期総会を開催し、その席上全会員九百五十三名は四月末日まで一人残らず創氏することに決議した旨総督府に入電があった
朝鮮新聞1940年4月19日「忠州郡で一斉に創氏」
【忠州】忠州郡四月十日現在における創氏届出戸数は三百卅戸に達し道全体を通じて上々の意気込を見せてゐるが忠州郡にては管下各邑面職員と共に来る廿九日迄に一斉創氏改名する様申合せ、率先他に範を示す事となった
朝鮮新聞1940年4月20日「公州署に会同した基督教各派の牧師 創氏や神社参拝等を申合す」
【公州】公州警察署ではキリスト教徒の皇国臣民たるの徹底を計る為め去る十二日午後八時より公州警察署武道場において
基督教監理教会厳牧師外九名天主教会伝導師李範錫氏外八名、東亜基督隊班長高鳳鎮外四名、第七日安息耶蘇再臨教牧師金恒模外三名を招き
武藤署長統裁の下に座談会を開催したが
定刻着席、国旗に敬礼、宮城遥拝、一分間黙祷、皇国臣民の誓詞斉誦、監理教会伝導師黄仁植氏音頭で要注（？）ありて（以下判読不能）済力（高等主任）内鮮一体の歴史的説明並に敬神崇祖に、節米志願兵、国民貯蓄その他時局関係等講話があって意見希望並に懇談に入ったが食糧問題および創氏制度に対する質問外二、三の質問ありて申合実践事項に移り基督教各派共にこの際率先創氏の申合をして如何（尹昌錫氏）各教会毎に創氏設定に対する信徒指導の為め総会を開催しては如何（李範錫氏）神社参拝の強調、愛国貯金の実行申合厳載●氏等の動議により満場一致方針に則り右事項の実践を誓ひ有意義裡に午後十時過ぎ散会した
京城日報1940年4月20日「知事さんをお手本に揃って創氏 黄海道全職員十日以内に届出」
【海州】創氏制度実施以来黄海道でも創氏するもの続出し知事は金村、産業部長は古海とそれぞれ正式に創氏届出でたが官界首脳者の創氏改名によって俄然道内に好影響を与へ地方の有力者階級も目下創氏を研究中のもの相当多数に上ってゐる模様である、道当局としては内鮮一体具現化の一つとして制定されたこの制度を十二分に利用したいといふので、先づ職を官界に奉ずるものは率先して創氏し一般民衆を指導すべしとなし十七日午後会議室に半島人側全職員を集め古海産業部長から右の趣旨を説明し種々懇談的に協議した結果、全庁員挙って創氏改名を申し合はせ一週間乃至十日間の期間をおきそれぞれお適当の氏を創定、正式に届出でるやう決定した、道庁全員の創氏により更に郡及び邑面等にも多大の反響を与へるに至るべく、かくて黄海道の創氏改名は急速に道内一般に進捗を見るに至るであらうと期待されてゐる
京城日報1940年4月24日「一店挙った創氏」
【城州】創氏朗話……さる日城津製材業界の雄朝日町金明夏製材所主が「徳山高康」と名乗りをあげてから●斗鉉鉉支配人以下十二名の全員は一斉に創氏すべく熟考をを重ねたところ廿日に至り新生の喜びをたゝへつゝ揃って創氏改名の手続きを完了した一同呼びなれない苗字に隠せぬ喜び、事務室には爆笑の渦が漂ってゐる、なほ同所の商号も徳山林業製材所と改めた（以下略）
京城日報1940年4月27日「十六洞の区長揃って創氏」
【新義州】義州郡古館面十六洞の各区長は朝鮮民事令改正に伴ふ氏設定に対する認識を深め去る四月十八日古館面事務所で開会された区長会議に出席、氏設定は先づ村民の指導のにある〔ママ〕区長我等からと満場一致の議纏まり直ちに十六区長全員は一斉に創氏改名し左の如くそれぞれ正式手続を踏んだ
朝鮮新聞1940年5月1日「面職員が挙って創氏 平康郡一円に示範」
【平康】平康郡木田面職員は面民一般に範を示すべく面長を始め全職員挙って左の如く創氏したが、この記録的英断は郡内各官公署に対して多大の衝動を与へ各面ともこれに倣らうもの続出の有様である（以下略）
京城日報1940年5月7日「法院の創氏熱」
【新義州】地方法院検事局書記課員金秉●氏ほか八名は去る四日を期して一斉に創氏改名の名乗を上げ府内官公署に範を示した
京城日報1940年5月9日「妓生揃って創氏 但し名前だけは元通り 鍾路券番の一千余名申合す」
「大勢の人々のお座敷に出る私達が率先して創氏に範を示しませうよ」と京城楽園町鍾路券番では七日午後、同券番所属妓生、養成所生徒及び重役幹部等代表が講堂に集合、幹部、妓生、生徒千余名は一人も洩さず、創氏することを申合せた…嬉しい創氏に際し江原社長は語る
妓生は営業の性質上、名前で売れるのですから氏は内地式にして名前は元の通りにしようといってゐます、さうしないと急に姓名が変ればお客さんが誰がどんな名前に変ったか知らなくてお名指に困るだらうと思ひます
京城日報1940年5月9日「邑民一斉に創氏」
【庫底】邑内の創氏の届出は七日までに既に二百件に達してゐるが邑では来る廿日までに一名残らず創氏届を終了すべく決議をした
京城日報1940年5月16日「幹部に倣って全員近く一斉に創氏 全鮮に範を示す忠北道庁職員」
【大田】金川知事（李聖根）青橋産業部長（趙鏡夏）松原衛生課長（金商億）…と幹部が続けざまに創氏改名して範をたれた忠南道では昨今いよいよ届出件数累増の状況にあるが、今回またまた道庁職員が一斉に改名の申合せをして近く手続きを完了するといふので非常な注目を惹いてゐる、右について十四日地方課では次の如く語った
創氏制度の真精神が漸く一般の理解するところとなり昨今は届出件数累増の状況である（中略）官公吏は宜しく一般民衆に率先垂範し速急に手続きを履行するやう切望する次第です
朝鮮新聞1940年5月21日「里民挙って創氏 光陽郡紗谷里部落民」
【光州】全南光陽郡光陽面紗谷里本亭部落民等は同部落振興組合長鄭容球氏の数回に亘る熱烈なる創氏制度の精神に関する説明を聞き部落民九十余戸全部が創氏届出をなすことゝ決定、近くその手続きを取ることゝなった。
京城府「京城彙報 第222号」1940年5月25日発行
全志願兵挙って創氏
…陸軍特別志願者訓練所生三百名は…今回の朝鮮民事令改正に心から歓喜し、既に三分の二二百余名は内地風の創氏改名を行ひ、心形ともに皇国臣民たるの決意に新に勇み起ってゐる。残る百名余は何れも改名手続き中である。（39頁）
京城日報1940年5月29日「儒林七百名が創氏」
【晋州】既報の通り晋陽郡及び晋州府の儒道会結成式は廿四、五両日それぞれ第一小学校講堂で挙行式後神社参拝文廟参拝をなし、明倫堂で金村検事から「氏の創設」に関する講演があったが、講演終了後参列の儒林一同は（両日を合せ七百名）直ちに創氏すべき旨申合せを行った
朝鮮新聞1940年5月31日「儒城温泉会社従業員創氏」
【大田】大田儒城温泉株式会社では金井社長自ら這般創氏をなし廿九日は同社全従業員五十余に対し皇国臣民たるの意思表示は先づ創氏より始まるとのスローガンの下に創氏に対し一場の訓示を与へたので全従業員は一斉に創氏することに決定して手続きを届出すことにした
朝鮮公論社「朝鮮公論 6月号」1940年6月1日発行
修了式を前に 志願兵全部が創氏 帝国軍人になる二重の喜び
昨年十二月十五日入所した陸軍兵志願者訓練所十四年度後期入所生徒三百名の修了式は廿九日午前十時から京城郊外孔徳里の同訓練所で大野政務総監隣席のもとに行はれる、この喜びの志願兵一同が謀ってこの日を前に全部帝国軍人となるにふさはしい氏名に創氏したことは二重の喜びとして第四回修了式は各方面から祝福されてゐる（35頁）
京城日報1940年6月2日「愛国の創氏部隊◇……油脂砿業従業員」
愛国日の創氏部隊―京城冷泉町一二朝鮮油脂工業所では時局に際して全員断髪、貯金、国防献金と銃後のハリキリ御奉公ぶりを示してゐるが、今回の創氏制度には従業員「全員創氏」の旗の下に歩調を合せて創氏改名に乗出し（以下略）
京城日報1940年6月8日「一部落創氏 六十余戸揃って届出」
【咸興】内鮮一体の具現創氏制度が醸し出す世紀の感激……咸州郡雲南面湖上里朱氏部落では六十余戸が一挙に創氏改名し六日打揃って届出をなした、なほ咸北府社会係主任朱源氏も一族と共に「武山源」と創氏改名し六日正式手続きをとった
京城日報1940年6月9日「神前で創氏を決議 精動連盟員九百五十名」
平安北道朔州郡精動連盟では八日午前十時から朔州神社大前で西本道連盟総裁以下隣席のもとに精動郡連盟大会を挙行、出席連盟員九百五十名は満場一致全員神前に創氏を決議したと感激的情景を川島総裁宛報告があり朝鮮連盟ではいたく感激してゐる
京城日報1940年6月19日「創氏に合掌 仏教徒十数万」
全鮮十数万の信徒を有する府内壽松町四四朝鮮仏教総本山建設事務所では十八日午後二時から同事務所において総本山側を代表して率先創氏した廣田鍾郁氏（旧名李鍾郁）氏を筆頭に、張龍瑞氏及び安養菴側の代表李泰俊氏、禅理益究院側應村渝渝成氏、楡岾寺布教代表吉田秋雄氏、梵魚寺布教代表大原徳林氏等六氏出席の下に、創氏勧奨会議を開き一般教徒への創氏に関する宣伝と実行方法を決定した後同四時散会したが、その結果、一般信者は来る八月十日までの期間内に全部創氏することにし、これが便宜を図り
壽松町中央布教所昌信町一三三、安養菴安国町四〇、禅理益究院鳳翼町、梵魚寺布教所忠信町、乾鳳寺布教所司諫町楡岾寺布教所
の六箇所に創氏相談所を設け無料で手続きその他の斡旋を行ふ外に、朝鮮仏教婦人団体が中心となり皇軍慰問奉仕団を組織し適宜慰問その他をすることにした
朝鮮新聞1940年6月27日「創氏 長津面職員が」
【長津】長津面においで〔ママ〕は創氏制度実施後一視同仁の聖恩に感激し、直ちに打揃って創氏すべく打合せたるも、各々その家族又は宗中との協議等があり遂に今日まで延ばされて来たが、最近各々その決定を見たので、文会計員初め給仕に至るまで職員十三人が左の通り夫々創氏設定した
京城日報1940年6月28日「面職員一斉創氏」
【江界】江界郡城干面長金明松氏以下面職員全員並に面協議員金仕龍氏は廿日左の通り氏改名した（以下略）
京城府「京城彙報 第224号」1940年7月25日発行
京城府東部出張所職員一斉創氏（以下略）
官吏や指導層に率先垂範させる
京城日報1940年3月21日「道民に示す範 率先創氏へ 忠北道議一同の快挙」
京城日報1940年3月29日「�狒六甅瓩愎眸蓮ゝ�城府の職員が率先」
京城日報1940年4月5日「名士続々創氏 永登浦にも感激の春」
朝鮮新聞1940年4月6日「先づ郡守が創氏 全郡民に及ばん 金浦郡民に漲る熱意」
京城日報1940年4月7日「曰く『李家允世』」
京城日報1940年4月10日「『清原英治』韓氏も創氏」
朝鮮新聞1940年4月13日「民衆指導のため郡属が率先創氏 開城韓道文氏の一家」
京城日報1940年4月20日「知事さんをお手本に揃って創氏 黄海道全職員十日以内に届出」
朝鮮新聞1940年4月21日「煙草耕作者に創氏を示範」
京城日報1940年4月27日「十六洞の区長揃って創氏」
朝鮮新聞1940年5月1日「面職員が挙って創氏 平康郡一円に示範」
朝鮮新聞1940年5月1日「平康県内面長金原に創氏」※記事URLは上に同じ
朝鮮新聞1940年5月1日「全忠州群守松田圭生と創氏」
京城日報1940年5月2日「さて、どう実践する？総督訓示の四項目 会議帰りの知事に聴く覚悟」
京城日報1940年5月5日「丗万の信徒右へ！ならへ 天道教の長老が創氏」
京城日報1940年5月7日「龍仁の創氏熱 郡守も率先示範」
京城日報1940年5月12日「創氏は先づ教職員から 平北で慫慂」
朝鮮新聞1940年5月15日「創氏 松禾郡庁員が」
京城日報1940年5月16日「幹部に倣って全員近く一斉に創氏 全鮮に範を示す忠北道庁職員」
京城日報1940年5月22日「坡州郡民の創氏 既に二千戸を突破」
京城日報1940年5月24日「馬司成創氏改名」
京城日報1940年5月25日「忠南の創氏 三万七千戸」~^
朝鮮新聞1940年5月27日「全郡守が創氏へ 平南の創氏熱旺盛」
朝鮮新聞1940年5月30日「氏制度問答（三）」
京城日報1940年6月5日「何をか逡ふぞ 迷ふな陰陽五行の説 創氏徹底に区長らを総動員」
朝鮮新聞1940年6月7日「公州郡庁員全部が創氏」
朝鮮新聞1940年6月12日「鉄原支庁管内創氏一割強 全鮮の平均点突破」
1940年6月18日「先づ官吏から 道の八氏創氏」
京城日報1940年7月12日「面民全部創氏へ 江華郡松海面の感激」
京城日報1940年7月17日「儒道会長が檄 創氏を促す」
京城日報1940年7月21日「創氏をした道議」
朝鮮新聞1940年8月15日「創氏・配給・小工業 金川忠南知事語る」
【清州】十八日の忠北道会懇談会席上世紀の創氏問題につき論議され半島人議員から名変更手続の簡易化或は手数料五十銭の撤廃等を要望されたが、半島人各議員は道民代表として率先創氏し一般民衆に範を示すべき旨を申合せたことは非常な好感をもって迎へられてゐる
京城日報1940年3月29日「�狒六甅瓩愎眸蓮ゝ�城府の職員が率先」
形式まで内鮮一体といふ総督府の親心から半島人にも内地人同様の氏の創設が許されたが、京城府時局総動員課では庁内半島人職員に範を垂れるため十三名の半島人課員等が率先して氏を創設することになり、稲垣課長を中心に呼び易い氏の考案最中である
京城日報1940年4月5日「名士続々創氏 永登浦にも感激の春」
【永登浦】世紀の感激―半島人創氏制度は全鮮津浦々まで力強くひゞきわたり、我れ先にと創氏を争ってゐるが、なかには一度定めた以上は末代まで伝へるものであるからその創氏選名に慎重を期してゐるものも相当多く、最近はそれ等の人がどしどし名乗りを…揚坪町総代の防護団分団長朴寅徳氏は団員に範を垂れて「正木寅雄」とそれぞれ創氏改名した
朝鮮新聞1940年4月6日「先づ郡守が創氏 全郡民に及ばん 金浦郡民に漲る熱意」
（前略）殊に金浦郡においては権甲重郡守が早速権藤の氏を名乗りあげ範を垂れると共に、この意義ある機会に創氏制度の趣旨を一般郡民に徹底させもって郡民一丸になって、これが全的実現に邁進せんとし大活動中であるが…少なくとも六月末までには郡民全体、一人も残らす〔ママ〕自発的手続を完了せしめる予定である
京城日報1940年4月7日「曰く『李家允世』」
【開城】十一万郡民に率先して開豊郡守李允世氏は去る一日の愛国日を卜して「李家（リノイヘ）允世」と創氏した「いよいよ御決定になりましで〔ママ〕おめでたう」と敬意を表せば
実はもっと早く……と考へてゐたのですが、いざとなるとさすがに後世にのこる氏の選択だけにあれこれと迷ひもあり、また他面郡民に対してもといろいろ考へさせられましたが、（以下略）
京城日報1940年4月10日「『清原英治』韓氏も創氏」
【開城】吏家開豊郡守の創氏に引続き同郡農政事務主任韓道文氏は「清原英治」と創氏改名、家族一同揃って一斉に内地名に改め範を管下四百余の農村振興会に示した
朝鮮新聞1940年4月13日「民衆指導のため郡属が率先創氏 開城韓道文氏の一家」
【開城】半島同胞の待望の「創氏」は朝鮮民事令の改正実施によって輝く皇紀二千六百年を迎へ内鮮一体となり新東亜検察の一役を為すの勇躍歓喜心に燃ゆる最中開豊郡々属●道文氏が去る四月六日に創氏�狎狂境瓩般松茲螳豌箸修蹐辰篤眞録夕阿寮�名に改名したのであるが…氏がこの度率先して創氏したのは同郡々守李家允世氏の創氏に相次いで郡内四百余の各振興会（※農村振興委員会）に対し世紀の喜びを共にすべく創●指導の先駆者たらんと決意し喜びの第一歩を踏み出したとのことである
京城日報1940年4月20日「知事さんをお手本に揃って創氏 黄海道全職員十日以内に届出」
【海州】創氏制度実施以来黄海道でも創氏するもの続出し知事は金村、産業部長は古海とそれぞれ正式に創氏届出でたが官界首脳者の創氏改名によって俄然道内に好影響を与へ地方の有力者階級も目下創氏を研究中のもの相当多数に上ってゐる模様である、道当局としては内鮮一体具現化の一つとして制定されたこの制度を十二分に利用したいといふので、先づ職を官界に奉ずるものは率先して創氏し一般民衆を指導すべしとなし十七日午後会議室に半島人側全職員を集め古海産業部長から右の趣旨を説明し種々懇談的に協議した結果、全庁員挙って創氏改名を申し合はせ一週間乃至十日間の期間をおきそれぞれお適当の氏を創定、正式に届出でるやう決定した、道庁全員の創氏により更に郡及び邑面等にも多大の反響を与へるに至るべく、かくて黄海道の創氏改名は急速に道内一般に進捗を見るに至るであらうと期待されてゐる
朝鮮新聞1940年4月21日「煙草耕作者に創氏を示範」
【忠州】花田専売忠州出張所長は一般煙草耕作者に創氏の実を挙げしむべく管下忠州陰城、両耕作組合の輔導主事をして率先創氏を為しもって範を示す様それぞれ通牒を発したが、これに先立ち忠州耕組輔導主事金殷相氏は金本源一と創氏改名してゐる
京城日報1940年4月27日「十六洞の区長揃って創氏」
【新義州】義州郡古館面十六洞の各区長は朝鮮民事令改正に伴ふ氏設定に対する認識を深め去る四月十八日古館面事務所で開会された区長会議に出席、氏設定は先づ村民の指導のにある〔ママ〕区長我等からと満場一致の議纏まり直ちに十六区長全員は一斉に創氏改名し左の如くそれぞれ正式手続を踏んだ
朝鮮新聞1940年5月1日「面職員が挙って創氏 平康郡一円に示範」
【平康】平康郡木田面職員は面民一般に範を示すべく面長を始め全職員挙って左の如く創氏したが、この記録的英断は郡内各官公署に対して多大の衝動を与へ各面ともこれに倣らうもの続出の有様である（以下略）
朝鮮新聞1940年5月1日「平康県内面長金原に創氏」※記事URLは上に同じ
【平康】平康郡県内面長金常弼氏は今般面民に範を示すべく「金原常雄」に創氏改名した
朝鮮新聞1940年5月1日「全忠州群守松田圭生と創氏」
【忠州】雄道の参与官候補の一人として誉れ高き忠州郡守全錫泳氏は皇紀二千六百年の天長の佳辰を卜し、百万道民に率先範を示すべく松田圭生と創氏改名した
京城日報1940年5月2日「さて、どう実践する？総督訓示の四項目 会議帰りの知事に聴く覚悟」
（前略）大野咸北知事
…氏の創設については道として先づ指導的地位に立つものがその手本を示すといふことは一番近道であるといふ考へから李参与官が松村基と創氏改名せられたやうな次第であってその後道庁半島人職員、各府郡警察学校職員その他公職者の中に創氏改名者が続々と出て来るやうに承知してゐる
京城日報1940年5月5日「丗万の信徒右へ！ならへ 天道教の長老が創氏」
天道教の長老…は川上広朝と創氏、四日正式に手続をなし全鮮卅万の信徒に範を示した、なほ鄭長老の創氏により卅万の信徒は続々と鄭氏に倣ふものとみられてゐる（以下略）
京城日報1940年5月7日「龍仁の創氏熱 郡守も率先示範」
【龍仁】龍仁郡の創氏成績は着々好績を収めてをり四月末日までに既に創氏したもの四千六百七十件に達してゐるが、一日からは郡守任文桓氏が「豊川文夫」と創氏改名し一般郡民に示範した、なほ郡職員七十名も殆ど手続を終り十日には全員の創氏を見るはず、また税務署長金�拗聖瓩楼貽�「安東浩」と創氏改名し部下職員に示範したまた龍仁署四方主任高再敬氏も「高島光徳」と改名した
京城日報1940年5月12日「創氏は先づ教職員から 平北で慫慂」
【新義州】創氏制度実施以来すでに四ケ月余を閲してゐるが、その趣旨の徹底に反しその実施はさして進まないので、平北道では道内中、初等学校の教職員に対し�狒六瓩篭疑Π�より�甅爿畤Π�一人残らず創氏を目標として率先実行して児童、生徒並に一般家庭に範を示すやう十日通牒を発したが、右に関し富崎学務課長は語る
皇国臣民育成の柱にある教職員が未だ創氏してゐないのは甚だ遺憾と思ふ、戸主でない関係で手続きが出来ぬものあるやうだが、そんな問題などは大してわけない筈である、近く創氏相談所又は部を設置して児童、生徒にも更に趣旨徹底をはかるつもりだが、これに先んじて教職員は卒先励行してほしいものだ
朝鮮新聞1940年5月15日「創氏 松禾郡庁員が」
【松禾】松禾郡庁内内務課長韓煕恒氏は民事令改正趣旨に順応し卒先して左記の通り創氏を始めたので、郡庁職員も創氏を急いでゐるが、今迄発表した職員は左記の通りで遠からず半島人職員は全部揃って創氏を終り民間に範を示すはずである（以下略）
京城日報1940年5月16日「幹部に倣って全員近く一斉に創氏 全鮮に範を示す忠北道庁職員」
【大田】金川知事（李聖根）青橋産業部長（趙鏡夏）松原衛生課長（金商億）…と幹部が続けざまに創氏改名して範をたれた忠南道では昨今いよいよ届出件数累増の状況にあるが、今回またまた道庁職員が一斉に改名の申合せをして近く手続きを完了するといふので非常な注目を惹いてゐる、右について十四日地方課では次の如く語った
創氏制度の真精神が漸く一般の理解するところとなり昨今は届出件数累増の状況である（中略）官公吏は宜しく一般民衆に率先垂範し速急に手続きを履行するやう切望する次第です
京城日報1940年5月22日「坡州郡民の創氏 既に二千戸を突破」
【汶山】坡州郡では朴郡守が郡民に率先して「新居」と創氏した後官公吏は続々手続をとって十日までに殆ど全部に及んだ、廣灘面長権藤剛一氏は毎夜各部落を歩いて趣旨徹底に努めた結果既に五百戸を突破して同面総戸数の六割に達し臨津面周南洞の如きは全部落二十七戸が挙って届出をすます等すばらしい成績をあげてゐるが、新井郡守は七月末を期して郡民一人漏らさず創氏させる意気込みで各面から旬報を徴しつゝ激励してゐる、主なる創氏者は左の通り（以下略）
京城日報1940年5月24日「馬司成創氏改名」
【開城】府満月町の開城文廟司成馬玄圭氏は今回一般の儒林に率先して木川と創氏、玄圭と改名した木川氏は開城の各公職を歴任し十四年末開城府文廟司成となったもの
京城日報1940年5月25日「忠南の創氏 三万七千戸」~^
【大田】金川知事が道民に魁けて創氏改名の範を垂れた忠南道では各地に非常な反響を呼び爾来道内至るところ創氏者が続出してゐる…このうちでも儒林名望家の創氏者が群を抜いて二、二四八戸に達してゐることは喜ばしい現象である
朝鮮新聞1940年5月27日「全郡守が創氏へ 平南の創氏熱旺盛」
【平壌】平南道の創氏は産業部長産業第二、保安両課長等道庁幹部が率先垂範し更に郡部においては群守、課長等の創氏相次ぎ道内挙って創氏へ驀進してゐるが各群守の改名は左の通り全郡実行された（以下略）
朝鮮新聞1940年5月30日「氏制度問答（三）」
甲 それは有り難いことですね全く一挙両得の奉仕事業ですね左様に承知致しましょう実は自分も大体は理解して居りましたがこの問題は当局者としては千言万語を尽して説明納得させることよりも官公職者有識階級、指導階級の所謂先覚者達が一日早く躬行すれば一般民衆は云ず語らずの中に全部実行することと思はれますね
乙 御尤であります何よりも先覚者の率先躬行でありますから貴下の創氏は一般に大した響きがあることゝ思ひます何卒「善は急げ」と申して居りますから早く御実行をお願ひします尚御不審の点がありましたら何時でも創氏相談所にお尋ねするやうに一般に承知を図って頂きましょう
京城日報1940年6月5日「何をか逡ふぞ 迷ふな陰陽五行の説 創氏徹底に区長らを総動員」
【永登浦】始興郡西二面では這般創氏相談所を設けると共に講演会座談会等を開催して、その趣旨の徹底を期すると同時に天長節の佳辰を卜して李面長が率先「岡田」と創氏し、一般面民に範を垂れたが、同面の総戸数二千十五戸の中創氏は僅かにその一割を占めるに過ぎない現状で、その実情を調査したところ、一般に創氏の趣旨は相当徹底してゐるが、その多くは陰陽説とか五行相生説とかの姓名鑑定論にこだはり過ぎて折角創った氏名も鑑定毎の異説に迷ってなかなか確定に至らず、かつは宗中会議等で徒らに遅延するものも相当多い実情で、同面では先づこれが誤れる観念の是正が最も喫緊事なりとし各区長、農村振興会長を通じ現代人として将また東亜の盟主大日本帝国民として今更これ等の風水説に迷ふが如き所為なきやう、又は宗中会議は創氏の意義観念に反するのでもって断然これを廃止するやう届出期間も後二ケ月余りに迫ってゐるので積極的に強調してゐるが、八月十日の期間までには相当の届出あるものと期待されてゐる
朝鮮新聞1940年6月7日「公州郡庁員全部が創氏」
【公州】公州郡では中野郡守の熱心な勧説により半島人庁員六十三名は五日〔ママ〕三十日をもって全部創氏改名を済ませ道内に範を示してゐる
朝鮮新聞1940年6月12日「鉄原支庁管内創氏一割強 全鮮の平均点突破」
【鉄原】創氏制定が発表されると共に鉄原支庁久保田判事に永澤監督書記はその徹底に努め直ちに支庁内と邑事務所に創氏設定相談所を設けられて一般の利便をはかり又永澤監督書記は各郡に至り創氏に就ての解説を行ひし結果五月末日現在では全鮮平均点を突破するに至りしも今や漸く全戸数の一割強を示されてゐる八月十日の期日迄には相当の成績を挙ぐるに至るであらう、今五月末日現在数を挙ぐれば左記の通りである
（中略）
このうち創氏の種類は七〇〇件にしてまた改名の届出は三、五三〇件におよんでゐる最も好成績なのは淮陽郡内金剛面の四三五件で次は鉄原郡東松面の三四一件である以上の数を挙げてゐるが未だに上層階級方面の群守面長、区長その他は容易に届出でなきをもってこの際において常に指導の任にある官公吏に率先して示範せられ期間内に実行せられんことを当局は希望してるゐ〔ママ〕
1940年6月18日「先づ官吏から 道の八氏創氏」
【全州】創氏制度の趣旨普及徹底を期するには先づ官公吏が率先実行して一般大衆推進の範を示さなければならないと道庁では林地方課長はじめ同課職員八名は打揃って左の通り創氏改名した（以下略）
京城日報1940年7月12日「面民全部創氏へ 江華郡松海面の感激」
京畿道江華郡松海面連盟愛国班では班長九十名が六月末日までに一斉創氏を完了して一般班員の創氏指導に努めてゐるが、七月一パイには面民全部創氏の意気を以て目下大活動を続けてゐる
京城日報1940年7月17日「儒道会長が檄 創氏を促す」
【仁川】半島人に創氏の道が拓かれたことは真に皇国臣民化の最終段階における外観共に脱殻せることで、この千載一遇の機会を逸すると後悔に堪へない時期が到来するものとして仁川府儒道会長は儒道会の役員をして先づ率先躬行、以て範を一般に示さすべくこの程書状を発送して創氏の最終期間たる八月十日迄に十二分の成績を収得するやう促した
京城日報1940年7月21日「創氏をした道議」
【春川】本道半島人群守十九名中率先範を民衆に示してさきに十六名の創氏並に改名を見たことは既報の通りであるが更にこの程平康郡守李泰鎔氏が松澤と創氏したので残る華川林龍俊、通川李玄載の二群守も近く実行するものと見られてゐる、一方道会議員の創氏状況を見ると官民合せて廿五名中十八日現在において左の九氏が創氏手続を済ませてゐるが、残る人々も夫々想ひを練ってゐるといふから期限内には当然実現するものとみられてゐる、以下創氏設定議員（以下略）
朝鮮新聞1940年8月15日「創氏・配給・小工業 金川忠南知事語る」
【大田】金川忠南道知事と道庁出入記者団との定例会見談は十三日午前十一時から知事応接室に於て行はれたが金川知事左の如く語る
◇
創氏は去る十日を以て締切期間であるが道庁内は職員二百五人中三人のみ未済で給仕及び小使に至るまで率先して全部創氏をなしたのであり、道内全般に亘る創氏は七月末までが舒川郡一万三元九百六戸全部が創氏をなしたので百パーセントの好成績を上げ（以下略）
親族会議をさせない
朝鮮新聞1940年2月13日「創氏打合会 大田府庁で開催」
朝鮮新聞1940年5月12日「創氏届出期限迫る 一層の理解を切望 野口大田府尹談」
京城日報1940年5月18日「もてる創氏 四月末で十五万戸突破」
朝鮮新聞1940年5月20日「氏制度問答（一）」
京城日報1940年6月5日「何をか逡ふぞ 迷ふな陰陽五行の説 創氏徹底に区長らを総動員」
朝鮮新聞1940年7月23日「期限は迫るので氏創定趣旨宣伝 金泉出張所において」
（前略）野口大田府尹談
…徒に親等の遠い親族迄も協議を求めんとして種々画策する向もあるやうであるが是等は「氏」制度に●する理解の足らない所に基因するものに外ならないやうに認めたのである即ち「氏」を設定致しても戸籍上に●姓及本貫は依然として相当欄に登載し在るものであるからである故に親族全部の統一を為すことは屋上屋を重ねるやうな結果となり「」氏〔ママ〕の趣旨より観て無意義こと〔ママ〕であると思はれるのである誤解なきを期せられたいのである
朝鮮新聞1940年5月12日「創氏届出期限迫る 一層の理解を切望 野口大田府尹談」
…往訪の記者に対し左の談話を発表した
自由届出期間である六ケ月間の丁度半期を経たのであるが当府の創氏状況より察して見ると未だ総戸数の一割足らずであることは聊か寒心に堪へない…
当府に於て、は上局の方針に則りまして創氏相談所開設を始めとし核種の講演会、座談会等を開催し或は印刷物等に依て相当趣旨の周知徹底を期して来ましたが届出件数の案外少数であることには驚愕せざるを得なかったのであるそれで其の実情を探査し後日の対策にせんが為書方面より調べて見た結果に依れば、殆ど全部が或る程度は認識…であることは喜ばしい情勢であるが中には兎角躊躇して居る傾向が亦多いやうである、今其の内情を考察するに茲に大きな障害原因が潜伏して居るやうである其れは何であるか、所謂
作氏名鑑定論、である即ち五行相生説とか陰陽説か何とかで切角構想した氏名でも鑑定毎に異説に迷ふ為一向に確定に至らないで胸中秘蔵に止めて居る向が大半のやうであるが願はくば現代の文明国人として殊に興亜建設の盟主として重責を分任する吾人として未だに是等の風水説に迷ふが如きことは誠に寒心に堪へない所である先覚の諸士は深く御反省の上是等の迷蒙者を…創氏届出をなすやう御啓導を願ひたいのである、次に早く進捗しない事由の一としては
宗中会議（※親族会議）の、決意を経て云々の問題であるが是亦氏の意義より解して反って屋上屋を重ねる形となり実益も伴はないことを当初から強調した次第であるが、依然続行の向が居るやうである…宗中決議は断然取止めて各自が独自の立場に於て家の称号としての氏の観念に立脚して創氏をおやりになられる方が最も望ましい所である…
今回一層府民各位の御理解を深めて創氏制度の運行を一層有意義ならしむる為に創氏制度に関する質疑応答要旨を別記の通公表致しましたから是非御高覧を願ひまして一日も早く且可成理想的内地人式「氏」を定めて届出づる様に誘導して頂きたい
京城日報1940年5月18日「もてる創氏 四月末で十五万戸突破」
…勿論全鮮約四百三十万の総戸数からみれば未だ多いとはいへないが、届出件数は漸次増加の一途を辿り、目下手続き中のものも多数あり、届出期限たる八月十日までには相当の数にのぼるものとみられてゐるが、右について宮本法務局長は語る
本制度は申すまでもなく将来半島民衆が悉く形容共に皇国臣民となり内鮮渾然一体となる日を到来せしむべき大理想のもとに半島民衆に対し内地人式氏を用ふる途を拓いたもので、本制度制定の趣旨は漸次社会各層に周知されたやうに思はれるが、一部には未だ認識不充分な人々もをるやうである、殊に本制度の趣旨を理解してゐながら兎角届出を躊躇してゐる向きもあるがその原因の二、三について所見を述べると
第一に、所謂姓名判断の妄説に迷はされて徒に右顧左眄し、空しく日を過してゐる人が少くない、いふまでもなく使命は自己の属する家及び自己を表徴し他家他人と区別するため用ふるものであるから書き易く読み易く且つ最も親しみ深いといふやうな自己の最良と信じた氏名を用ふればよい訳で姓名判断等に迷はされてはいけない、第二に宗中の協議を経て一門同一を設定せんと待機中の向が少くないが、しかしこれは氏が家の称号であるといふ真意を解せず氏の観念と姓の観念とを混淆してゐる為であると思ふ、だから相談が必要なら極く近親の人々が相談する位で済むのではないかと思ふ、そして吾自独自の見解で各家の氏を設定するのが最適当であると思ふ、最後に名の変更手続を先にせんとするために、氏設定届出の遅れる場合がある様であるが、名の変更は裁判所の許可を要するためその手続に多少手間取り、これを先にせんとして氏設定の未了の人がある様である、併しながら氏設定と名の変更とは何れを先にしても法律上は各自の任意であり殊に期限の漸く切迫戦としてゐる今日においては手続簡易且つ手数料を要しない氏設定届を先にする方が便宜と思ふ（以下略）
朝鮮新聞1940年5月20日「氏制度問答（一）」
【大田】創氏制度の趣旨およびその手続きにつき一般の認識を深めるため大田府庁では今回左の如き問答体の解説を発表した
甲 氏の設定は慎重にやるべきものであるから宗会（門中会議）を開いて協定した方が良いやうな感じがしますね
乙 それは未だ氏の観念がはっきり御理解にならない感じです先刻申しました如く「家の称号」であるから同一親せきが協定してやることは何等意味を有しませんなほ姓及本貫も戸籍に残存するからその上に氏も統一することは所謂屋上屋を重ねるもので全く無意味である、各戸毎に独自の称号を付けた方が宜しいのです手近い例を挙げて申しますと大田市内に「太田商会」なる商店が幾つもあった場合は社会運用上お互不便の場合が多く反て有害無益となるやうなものと同様であるから各別に氏を称号するのが最も理想的であります
京城日報1940年6月5日「何をか逡ふぞ 迷ふな陰陽五行の説 創氏徹底に区長らを総動員」
【永登浦】始興郡西二面では這般創氏相談所を設けると共に講演会座談会等を開催して、その趣旨の徹底を期すると同時に天長節の佳辰を卜して李面長が率先「岡田」と創氏し、一般面民に範を垂れたが、同面の総戸数二千十五戸の中創氏は僅かにその一割を占めるに過ぎない現状で、その実情を調査したところ、一般に創氏の趣旨は相当徹底してゐるが、その多くは陰陽説とか五行相生説とかの姓名鑑定論にこだはり過ぎて折角創った氏名も鑑定毎の異説に迷ってなかなか確定に至らず、かつは宗中会議等で徒らに遅延するものも相当多い実情で、同面では先づこれが誤れる観念の是正が最も喫緊事なりとし各区長、農村振興会長を通じ現代人として将また東亜の盟主大日本帝国民として今更これ等の風水説に迷ふが如き所為なきやう、又は宗中会議は創氏の意義観念に反するのでもって断然これを廃止するやう届出期間も後二ケ月余りに迫ってゐるので積極的に強調してゐるが、八月十日の期間までには相当の届出あるものと期待されてゐる
朝鮮新聞1940年7月23日「期限は迫るので氏創定趣旨宣伝 金泉出張所において」
（金泉）大邱地方法院金泉出張所に於ては来る八月十日まで氏設定期限切迫に際し先の注意を一般に宣伝した「期限は刻々迫る八月十日限り今熟慮断行の●認識を誤て悔を子孫に胎さぬやう」
氏設定に就いて御注意
一、創氏届出は八月十日迄です其後創氏届は出来ません、名の変更には期限がありません
二、八月十日迄に氏の届を為さぬ者は従来の戸主の姓が其儘氏為る結果戸主の姓が金なれば金が氏となり、妻尹貞姫は戸主の氏に従ひ金貞姫となり子婦朴南祚は紛雑する虞があります、此の結果は内地式氏を設定した、かつたことを却して〔ママ〕後悔することになるだろうと思はれます
三、氏と姓とを混同する向があるやうですが、氏は家の称号であり、姓は男系の血統を表すもので両者の性質は全然異って居ります
四、氏を設定すると従来の姓が無くなると云ふ誤解があるようですが、氏設定後に於ても姓及び本貫は其儘戸籍に存置されますから心配ありません
五、門中又は家中は同一の氏を設定しなければならぬと考へて居る人もありますが大なる誤解であります、氏は家の称号であるが、故に各家異る氏を設定するのが当然であります
六、氏選に就て熟慮中の様ですが考へ過ぎると却って迷ふ虞がありますから速に簡明なものに決定するのが最も理想的であります
戸別訪問
朝鮮時報1940年7月7日「創氏改名の促進 其の場で創氏の手続 府庁員各戸歴訪」
朝鮮新聞1940年7月12日「創氏改名指導に 五百名の庁員出動 永井府尹も第一線に」
朝鮮新聞1940年7月16日「創氏改名 一日に三百余件 仁川府で各戸を指導」
朝鮮新聞1940年7月28日「残る創氏七万人 仁川府昼夜兼行で努力」
朝鮮新聞1940年7月31日「仁川で創氏改名に 各町連盟を動員 府尹さんが陣頭へ」
京城日報1940年8月24日「町内の創氏指導から詐欺犯逮捕に手柄 三警防団員に各方面賞賛の嵐」
内鮮一体具現の実行として画期的企てなりと●迎を受けた、半島の創氏改名は其の期間八月十日も余すところ一ケ月に迫りたる今日予期に反し其●蹟挙らず各方面に於て多少焦慮されつゝある模様であるが晋州府内にあっても多分に洩れず、戸数九千九百五十余戸中七月三日現在氏設定を届出では僅かに一千三百九十八戸に過ぎず甚だ遺憾されてゐるが、愈々今回裁判所側とも打合せの上府庁員をし●各戸を訪問せしめ創氏の希望者に対しては其場に於て手続せしめ創氏改名の上に至便を与へ奨励することとなった、元より創氏改名は一家の重大事であり姓命判断等迷信的の動きもあり熟慮中の者多数を占めてゐるので一般をして断行せしめる手段としては適当な措置と見られてゐる
朝鮮新聞1940年7月12日「創氏改名指導に 五百名の庁員出動 永井府尹も第一線に」
【仁川】仁川の永井府尹は内鮮一体の強化に備へる輝かしき新制度の実施に当り氏名の外家紋まで付与する様温かい親心で万全の手配を進め凡ゆる方法で指導に努めてゐるが、それでも十日現在の在住半島人十一万人中その手続きを終った者は僅二割に過ぎないので永井府尹が陣頭に起ち亀居戸籍主任のほか全庁員を動員して府内を十数区に分け夫々係員を各戸に臨ましめ更に指導方法を強化し遅く共八月十日の最終日までに全部の完了を見る様''昼夜兼行で大活動をなすことになった。
朝鮮新聞1940年7月16日「創氏改名 一日に三百余件 仁川府で各戸を指導」
【仁川】十一万の半島人を擁する仁川府では永井府尹が陣頭に起ち各戸に指導員を訪問せしめて創氏改名の激励を続けてゐるがこれがため十五日は三百余件の申告がありこの調子で進めば八月十日の期間に完了を見るであらうと言はれてゐる
朝鮮新聞1940年7月28日「残る創氏七万人 仁川府昼夜兼行で努力」
【仁川】十七万を擁する仁川府内在住の半島人は約十万で二十七日現在創氏改名者は約三万人で残る七万人も八月十日の期間内にその手続きを完了する様永井府尹は全庁員を各戸訪問せしめ昼夜兼行で激励に力めてゐる
朝鮮新聞1940年7月31日「仁川で創氏改名に 各町連盟を動員 府尹さんが陣頭へ」
【仁川】仁川府における半島人十万人中創氏改名をした者は三十日現在約三万五千人に達したが残る六万五千人も八月十日の期日内に完了せしむべく永井府尹は自ら陣頭に起ち各町連盟を●●して各戸に●かしめ昼夜兼行激励に当ってゐるが剰す処僅一旬に過ぎないので差し当り創氏のみをなさしめ改名の方は第二弾の工作として突進し内鮮一体強化の輝かしきこの新制度の恩恵に漏れなく浴せしむることになった
京城日報1940年8月24日「町内の創氏指導から詐欺犯逮捕に手柄 三警防団員に各方面賞賛の嵐」
【仁川】府内桃山町盧田龍雲、木戸仁源、山本宗男の三氏は警防団員拝命以来一意専心寝食を忘れて町民のため活動してきてゐたが、今回の創氏改名事務に当っては文盲の町民を指導し無料代書、戸別訪問をして相談に応じ遂に優秀な成績をあげしめるに至った以下略）
警察や裁判所も協力
京城日報1940年1月18日「創氏に平壌府の親心」
京城日報1940年4月14日「御利用下さい 揚州署にも創氏相談係」
朝鮮新聞1940年4月15日「創氏座談会」
京城日報1940年5月4日「遊女たちに創氏を説く」
朝鮮新聞1940年5月5日「創氏座談会 清州署主催で」
朝鮮新聞1940年5月8日「特別志願兵と創氏 忠州署長から慫慂」
朝鮮新聞1940年5月8日「各面毎に創氏と経済道徳の座談会 清州署主催で十一日から」
京城日報1940年5月15日「創氏座談会」
朝鮮新聞1940年5月25日「創氏座談会奏功 一日二百件の届出 清州法院転手古舞の忙しさ」
朝鮮新聞1940年6月8日「仁川の創氏一万人 主務官庁更に激励に大童」
京城日報1940年6月8日「元山府が創氏講演会」
京城日報1940年6月18日「大邱の創氏座談会」
京城日報1940年6月30日「弓興面民の創氏」
朝鮮新聞1940年7月11日「忠州郡も成績甲 月末迄全部完了か 既に八割強を突破」
朝鮮新聞1940年7月27日「江華署に於て創氏講演会」
朝鮮新聞1941年10月1日「全島民が創氏 名付親・両警官に感謝」
【平壌】半島人の内地式�狒六甅瓩力�報つたはるや多年の希望かなふ喜びに全半島人を感激せしめてゐるが平壌府では二月十一日の紀元の佳節を卜して施行するこの画期的民事令改正のよき日から八月十日まで六ケ月間を届出期間とする同令に順応し趣旨の徹底を図るため講演会、ラヂオ放送�犹甅畧瀋蠢蠱冥蠕瀉屬覆匹僚�計画を樹立まづ二月五日までに公会堂、白善行記念館、箕林、船橋各小学校で講演会を開催、法院判事をはじめ佐藤府尹、民間側から李基燦氏が講師となることになってゐる、ラヂオ放送は朴府戸籍係長が平壌放送局から放送し�犹甅畧瀋蠢蠱冥蠅亙疹蹇∩ザ供�大同の三警察署及び府庁、法院に臨時設置することとなってゐる
京城日報1940年4月14日「御利用下さい 揚州署にも創氏相談係」
【議政府】揚州警察署玄関に目新しく「氏創設相談」の看板が掲げられた、内鮮一体に基く氏創設を普及徹底させるため当局では大いに一般の利用を望んでゐる
朝鮮新聞1940年4月15日「創氏座談会」
【海州】海州警実〔ママ〕署では十三日午後二時から同署会議室に一般有志を招き創氏設定に関する座談会を開催した、
京城日報1940年5月4日「遊女たちに創氏を説く」
【鎮南浦】警察署では府内接客業者に創氏の趣旨を徹底させるため三日午前十時三十分から演武場に妓生及び遊郭、飲食店組合員二百余名を招集し大西判事講師となり創氏講演会を開催した
朝鮮新聞1940年5月5日「創氏座談会 清州署主催で」
【清州】朝鮮戸籍令改正によって内地人式の氏を創定すべき意志を有しながらもその趣旨の徹底を欠ぎ〔ママ〕て実行せずにをる者多数あるに鑑み清州署ではこれが趣旨の周知徹底をはかるため警察署取締範囲内の各種業者に会同を求めて座談会を開くべく目下久住呂高等主任の手元で考案中である
朝鮮新聞1940年5月8日「特別志願兵と創氏 忠州署長から慫慂」
【忠州】内山忠州警察署長は既報の如くこの度特別志願兵推薦者として郡内一千七百二十名の志願者の内、三十七名が道知事より推薦され、本月末愈々軍の詮衡試験に応ずる事となったがこれに先立ち…左の一文を送り創氏実行を慫慂した。
拝啓今回光輝ある本道特別志願兵道推薦者として郡内一、七ニ〇名の志願者の内より三七名の一名として合格せられ茲に詮衡者として満腔の祝意を表するものであります…創氏改名にも率先実行の範を示され以て真に内鮮一体の促進に寄与せらるる様祈念して俟まない次第であります就ては参考に資し度現在迄に創氏完了せる者は別紙に記入せられ折返し御通報相成度尚ほ手続未了の方は来る二十日より実施せられる教養に参集のとき迄に全員創氏改名の上内外共に真の皇国臣民となってご出席致さるる様此処に祝意を表すると共に重ねて貴意を得る次第て〔ママ〕御座候
朝鮮新聞1940年5月8日「各面毎に創氏と経済道徳の座談会 清州署主催で十一日から」
【清州】清州署管内の各面には殆ど全面に創氏実行会があってこれが趣旨普及の徹底と実行を期してゐるが清州署では更にこれが誤解を生ぜず而も好結果を収めしむべく五月十一日から同十八日迄の間に管内各面毎に創氏座談会を開催することになったがこれには主として実行会役員、官公署、学校、会社、諸団体等一般を指導する階級を中心に行ふものである、なほこの機会を利用して経済道徳進行座談会を合せて開き日頃諸物資供給不円滑の対策としてお互に経済道徳を尊重し物資の偏在を防止して需給関係を円滑ならしむるに努めることになった
京城日報1940年5月15日「創氏座談会」
【忠州】忠州署では創氏に対する民衆の認識を徹底せしむべく十二日午後一時尚武館に同署直轄下の邑内各種営業者を集め創氏指導の座談会を開催した
朝鮮新聞1940年5月25日「創氏座談会奏功 一日二百件の届出 清州法院転手古舞の忙しさ」
【清州】清州法院支庁管内の創氏状況は概して良好な方である処へこの程清州署では各駐在所毎に創氏趣旨普及座談会を開催する処あったが、これが一層奏功したものか最近は一日平均百五十件以上二百件を算し或る面では面事務所より手続きの労を取って一束として多数を持込んだりするのでこれが処理に大多忙を極め同法院では達筆家の臨時雇員を六名も新規採用しこの創氏の洪水に備へることになった、因みに本五月末日迄には創氏件数一万件を優に突破して余りあるものとされてゐる
朝鮮新聞1940年6月8日「仁川の創氏一万人 主務官庁更に激励に大童」
【仁川】十六万の人口を擁する大仁川の半島人士は約十二万で過去四ケ月間に行はれた創氏改名は僅に一万人足らずなので永井府尹は各機関や団体を通じ夫々激励をなし二瀬署長は管下各派出所、駐在所をしてその実施状況を調査せしめてゐるが来る八月十日の期間内に完了せしむるには更に一段の激励が必要だと言はれてゐる
京城日報1940年6月8日「元山府が創氏講演会」
【元山】府内の創氏熱は漸次昂まってゐるが、未だ創氏を届出た戸数は全戸数七千三百余の一割にも達しないため府当局ではこのほど半島人府議と協議の結果、来る十二日から五日間にわたって各所で講演会を開催、大々的に創氏の拡大運動を展げることになった、この講演会には宮内法院支庁判事、大沼府尹をはじめ府当局と創氏を終った府議がそれぞれ講師として起つもので好結果を期待されてゐる
京城日報1940年6月18日「大邱の創氏座談会」
【大邱】地方法院と府共同主催の創氏座談会は十五日午後一時半から地方法院会議室で開かれたが、出席者は法院側から鏡地方法院長森出覆審法院長、福田検事正、安田地方部長、三宅判事、河野監督書記、六彌太戸籍主任、府側から杉山府尹、吉村内務課長、李戸籍主任等をはじめ徐丙朝、徐炳柱、朴重陽、星山一郎、西原大邱駅長、金在煥、林尚助氏ら府内有力者多数の参席があったが、当日の座談は中堅人物を中心として長時間にわたって創氏に対する忌憚なき談話を交し半島民衆に大きなショックを与へるものと見られてゐる
京城日報1940年6月30日「弓興面民の創氏」
【信川】弓興面では駐在所の協力を得て創氏改名の督励に大童であるが、二十七日現在総戸数千六百二十七戸中創氏改名者は実に七百六十五名に達し、部内第一位の好績である
朝鮮新聞1940年7月11日「忠州郡も成績甲 月末迄全部完了か 既に八割強を突破」
【忠州】光輝ある紀元二千六百年に際し、半島民に創氏の恩典が布かれて四ケ月を経た今日、幾多の美談佳話は織出され、日増に倍する創氏届出の熱血譜は法院の窓口を通じて見て、既報統計の如く忠北忠州が断然朝鮮第一位の成績を挙げてゐるが、今もなほ野田忠州支庁判事は管下各官署と相呼応して要創氏者に対し、高らかに一斉進軍の号令を掛けつゝあり、就中忠州郡当局にては裁判所、警察その他各官公署と歩調を合せ、かねて精動連盟が主体となり、細胞的に座談会を開催し、もって創氏の趣旨徹底を期する一方、一切手続きに必要なる用紙類を全郡民相当数だけ印刷して、これを管下各邑面に配布し、係職員をして無料代書せしめるなど血眼的努力を傾倒の結果、六月末現在、創氏手続きを完了せる者すでに八割二分強に達し、遅くとも今月二十日頃迄には全部完了せしむべく、大ひに張り切ってゐるが、忠州郡庁職員の創氏改名簿を一瞥すれば左の如くである（以下略）
朝鮮新聞1940年7月27日「江華署に於て創氏講演会」
【江華】仁川検事分局高橋千代作検事は創氏制度周知徹底を期するため去る二十二日来江翌二十三日午後一時より警察署演武場において同署員を始め各駐在所職員郡面担任者等四十余名参集の下に山下署長の開会の辞並に講師高橋検事の紹介がありて創氏制度に関する講演会があって午後三時盛会裡に閉会した。
朝鮮新聞1941年10月1日「全島民が創氏 名付親・両警官に感謝」
創氏制度一度び発布せられるや半島各地において続々創氏名実共に大日本皇国臣民として銃後皇民として滅私奉公の気を更に新しくする所あったがわが椒島においても全島民残らず創氏改名半島の魁をなしたが同島民の創氏に当り慈父の如く創氏に改名に字引となっこ〔ママ〕つくした同島警察官駐在所主席熊樋八十吉金谷亮一両氏の苦労は一方ならぬものあり四百五十余戸の全島民の名は〔ママ〕親として同島民から慈父の如く慕はれてゐる両氏のあるにもわすれてならない一事である
学校で生徒に指導
朝鮮新聞1940年7月13日「仁川各学校で創氏の指導」
京城日報1940年8月19日「創氏の喜びを語る 説き続けた甲斐あって」
【仁川】仁川公立中学校の半島出身生は現在六十六名で内三分の一は創氏改名を終ったが残る三分の二がまだ完了してゐないので梶原校長は内鮮一体の強化に備へる輝かしきこの新制度の恩恵に浴する積極的指導をなし遅く共本月中に完了せしむることになり、これと同時に仁商昌栄、松林、大和、鶴翼、昭和、大正、その他各公私立学校でも夫々指導に万全を期することになった。
京城日報1940年8月19日「創氏の喜びを語る 説き続けた甲斐あって」
創氏改名の制度が発表されましてから主人は修身の時間に必ず五分間は創氏改名の重大意義を説きつゞけ、その結果殆ど全部の職員生徒が創氏改名の喜びを経験しましたことはただ無性に嬉しいことでございます、朝鮮は今迄同じ姓氏が多く、例へば李、金といったやうな姓ばかりで困ることが多かったのですが、折角のこの機会に上品でしかもなるべくは皆同じ姓名にならぬやう、私達学校関係の者は、いろいろ気苦労もありました、とにかく創氏改名が目出たく済んだ機会に、私たちは気持ちを新にして皇国女性として再出発したいと存じます【梨花高女校長辛島純氏（辛鳳祚）婦人熙子さん】
手続の簡素化や代書・代行、金銭負担軽減
京城日報1940年4月5日「創氏改名に福音 手数料ずっと安くなる」
朝鮮新聞1940年4月21日「創氏の後援会 堤川郡庁が乗出す」
朝鮮新聞1940年5月30日「氏制度問答（三）」
京城日報1940年6月6日「創氏の手続簡略」
京城日報1940年6月13日「創氏者の不動産登記簡便化」
京城日報1940年6月19日「創氏に合掌 仏教徒十数万」
京城日報1940年7月4日「感激の創氏行進譜 府の準備全し」
朝鮮新聞1940年7月11日「忠州郡も成績甲 月末迄全部完了か 既に八割強を突破」
朝鮮時報1940年7月13日「創氏相談料は無料で応ずる これが代書会の犠牲」
朝鮮新聞1940年7月16日「創氏は差当り姓だけでよい」
京城日報1940年7月19日「創氏届には代書料無料 江陵書士組合の奉仕」
朝鮮新聞1940年7月21日「名の変更は後で 永登浦当局の希望」
朝鮮新聞1940年7月28日「創氏改名の代書料代弁 大田支社長篤志」
朝鮮新聞1940年8月4日「創氏への最後奉仕 思連創氏推進隊 湖南で市日に活躍」
京城日報1940年8月4日「幼稚園で創氏の奉仕」
京城日報1940年8月4日「挙る創氏の大行進 届出既に四千戸突破」
朝鮮新聞「創氏の無料手続き」
京城日報1940年8月24日「町内の創氏指導から詐欺犯逮捕に手柄 三警防団員に各方面賞賛の嵐」
氏を設定すると同時に「名」を変更せんとするときの変更手数料はその家族の員数の如何を問はず四月五日から一律に一戸について五十銭といふことに決定、従来一人五十銭だったのに比べずっと軽減をみた訳である。（以下略）
朝鮮新聞1940年4月21日「創氏の後援会 堤川郡庁が乗出す」
【堤川】堤川郡では氏制度趣旨の徹底を図り民心の指導是正に努むべく去る十八日午後一時より堤川郡庁内にて地方官民有志多数出席清原群守司会の下に郡に氏制度後援会を組織し各面に本会の実行会を置き本制度の運営に協力し細民にして創氏をなさんとする者に対してはこれに要する経費の補給その他創氏手続きにつき便宜を図る事等打合せをなし午後四時散会した因みに役員に選任されるもの左の如し
会長 清原範観 副会長 申東休 同 西尾泰治（以下省略）
朝鮮新聞1940年5月30日「氏制度問答（三）」
甲 成程そうですかそれでは余り御無理なお願ひかも知りませんが何か所定の用紙でも無償配布して頂きたいものでね
乙 は、そうですか用紙は先般大田府内は全部配布したはずですが未だ届きませんでしたねこの用紙をお用ひ下さいなほ府内のお方にはその町総代が府庁に来て頂くやう周知させて下さい本道では巡回相談もやって趣旨の理解と手続きの簡易化を図っておりますから難有いことだと思ひます
甲 この用紙ならば自分は書けますが無学のお方には書けませんでしょうね
乙 そうです創氏改名の趣旨に賛同しても自分で書けないお方にして而も代書料に困るお方には気の毒に思ひまして大田府内では、各町々会精動連盟において無料で奉仕的に代書して上げることに申合がありましたからその方に懇請して頂くやうに承知して下さい
京城日報1940年6月6日「創氏の手続簡略」
創氏の手続を一層簡易なものにして誰にでもたやすく創氏の届出が出来るやうにしようと全鮮に魁け京城地方法院では京城府内に限りこれまで創氏許可申請書には必ず戸籍謄本か抄本を添付しなければならなかったものを省略、四日からは申請書の余白に府尹かもしくは邑面長がたゞ戸籍と対照済なる旨を記載すればよいことにした、煩雑さと戸籍謄、抄本の下付料金を省かうといふ法院当局の親心で府民にとっては大福音である
なほ来る十五日からは京城地方法院の協力を仰いで金議員が毎夜府内の各小学校に出動、創氏促進の講演会を開催する一方、会場には創氏届出の用紙まで備へつけて、希望者には課員が代筆、その場で受付けを行ふこととなった
京城日報1940年6月13日「創氏者の不動産登記簡便化」
創氏者の不動産登記手続きの取扱ひ方が簡便になった、不動産所有者が創氏改名した場合その所有不動産の登記に関して疑義を持つ向きがあるが、創氏改名の旨の名義人表示変更登記をしないでも所有権に何等の影響を与へないとは勿論で、今回法務局長通牒によって不動産所有者が不動産を売却したり、抵当権を設定したりする場合でも、右名義人表示変更登記を省略して直に所有権移転登記又は抵当権設定登記を申請することが出来ることになった、即ち創氏改名した後でも現在の登記名義（旧姓名）をもって登記申請すればその儘受理されるのは勿論、若し売渡し証書その他登記原因を証する書面、委任状等に新氏名の記載がある場合でも戸籍謄抄本、証明書、又は印鑑の対照等より同一人であることが証明出来ればそのまま受理すべきであるといふのであるから、不動産所有者にとっては至極取扱ひが便利になった訳である
京城日報1940年6月19日「創氏に合掌 仏教徒十数万」
全鮮十数万の信徒を有する府内壽松町四四朝鮮仏教総本山建設事務所では十八日午後二時から同事務所において総本山側を代表して率先創氏した廣田鍾郁氏（旧名李鍾郁）氏を筆頭に、張龍瑞氏及び安養菴側の代表李泰俊氏、禅理益究院側應村渝渝成氏、楡岾寺布教代表吉田秋雄氏、梵魚寺布教代表大原徳林氏等六氏出席の下に、創氏勧奨会議を開き一般教徒への創氏に関する宣伝と実行方法を決定した後同四時散会したが、その結果、一般信者は来る八月十日までの期間内に全部創氏することにし、これが便宜を図り
壽松町中央布教所昌信町一三三、安養菴安国町四〇、禅理益究院鳳翼町、梵魚寺布教所忠信町、乾鳳寺布教所司諫町楡岾寺布教所
の六箇所に創氏相談所を設け無料で手続きその他の斡旋を行ふ外に、朝鮮仏教婦人団体が中心となり皇軍慰問奉仕団を組織し適宜慰問その他をすることにした
京城日報1940年7月4日「感激の創氏行進譜 府の準備全し」
新生の感激をもる創氏の手続を出来るだけ簡易にして�狒管槎荏六甅瓩亮造魑鵑欧茲Δ筏�城府では三日から全府の各町会に�狒六畫蠱冥雖瓩魍�設、創氏の代筆と受付をも行ふことゝなった、創氏事務所の町会進出は京城地方法院でも大賛成、十万五千枚の創氏届出用紙と模範名簿名集録千部を急製して各町会への配布を依頼して来たので府では三日、すぐさま配布したが、八月十日の創氏締切を目睫に控へて京城府ではいよいよこれから怒涛の創氏進軍と出る訳だ
朝鮮新聞1940年7月11日「忠州郡も成績甲 月末迄全部完了か 既に八割強を突破」
【忠州】光輝ある紀元二千六百年に際し、半島民に創氏の恩典が布かれて四ケ月を経た今日、幾多の美談佳話は織出され、日増に倍する創氏届出の熱血譜は法院の窓口を通じて見て、既報統計の如く忠北忠州が断然朝鮮第一位の成績を挙げてゐるが、今もなほ野田忠州支庁判事は管下各官署と相呼応して要創氏者に対し、高らかに一斉進軍の号令を掛けつゝあり、就中忠州郡当局にては裁判所、警察その他各官公署と歩調を合せ、かねて精動連盟が主体となり、細胞的に座談会を開催し、もって創氏の趣旨徹底を期する一方、一切手続きに必要なる用紙類を全郡民相当数だけ印刷して、これを管下各邑面に配布し、係職員をして無料代書せしめるなど血眼的努力を傾倒の結果、六月末現在、創氏手続きを完了せる者すでに八割二分強に達し、遅くとも今月二十日頃迄には全部完了せしむべく、大ひに張り切ってゐるが、忠州郡庁職員の創氏改名簿を一瞥すれば左の如くである（以下略）
朝鮮時報1940年7月13日「創氏相談料は無料で応ずる これが代書会の犠牲」
（元山）朝鮮人間に義深く理解されつゝある創氏に対して元山の司法書士会では国策に順応するこの施設をよりよ●理解普及せしめ且つ気安く創氏の手続●をなさしむる目的で創氏に関する書記料は無料とし尚名前の書記料を特に半額として一般の希望に応ず可くこの程法院元山支庁の諒解の上●施しつゝあるが頗る好人気でこの書士会の厚意を感謝して創氏をなすものが日と共に激増しつゝある現状となった
朝鮮新聞1940年7月16日「創氏は差当り姓だけでよい」
創氏改正の快挙は激増の一途で明朗を極めてゐるが、愈々来る八月十日で届出期限も終りを告げることになってゐる。一部にはまだ趣旨が飲みこめず名の変更を同時に届出でせねばならぬと考へてゐるらしいので、京城地方法院戸籍係ではそのため折角希望した創氏改正が間に合はなかったなどといふ悔を残す人もあるやもしれずと考へ。改名手続は後日に譲り、期限に後れぬやうにと希望してゐる、なほ届出については府、邑、面事務所、創氏相談所等で用紙の無料代書等可及的便宜を図ることゝなってをり、郵便ハガキによる届出も差支へないとしてゐる
京城日報1940年7月19日「創氏届には代書料無料 江陵書士組合の奉仕」
【江陵】司法書士組合では創氏制が実施されることになって以来郡民の届出を促進すべく創氏届出者には色々便宜を与へて来たが、迫って来る期限に之が一層強化を図るべく氏の設定届には無料、名の変更手続きは半額の書記料を取ず〔ママ〕ことに決定、氏の設定相談にも応るる〔ママ〕ことになってゐる、この書士組合での画期的奉仕には一般は大いに感激してゐる、組合長行山寧周（権寧周）氏は語る
氏の設定届が既に創氏をしたものも遅れてゐるのは代書料にも多少関係するものと考へられ思ひ切って無料にしました、名の変更手続は手数が多くかゝるのであり、又必ずしも名まで変更する訳ではない限り実費半額を
朝鮮新聞1940年7月21日「名の変更は後で 永登浦当局の希望」
【永登浦】創氏手続期限も後二十日余りに控へ当局においては期限内に手続きを完了せしめようと躍起になってゐるが、数日前京城府永登浦出張所では京城地方法院日高戸籍主任の出張を求め尹戸籍主任、千原係員同道の上管下各学校、工場会社を巡歴創氏制度の主旨徹底と期限内手続きを勧める一方、各町会には氏設定要旨を備置せしめ希望者には無料代書に応ずるようにしてある、なほ創氏手続きは八月十日迄であるが、名だけの変更は何時でも構はないから、可成名の変更は期限後、混雑しない時を選んで届てもらひたいと
朝鮮新聞1940年7月28日「創氏改名の代書料代弁 大田支社長篤志」
【大田】本誌大田支社長松岡東吉氏は去る十五日から大田府内在住半島人貧困者中創氏改名困難な者に対し無料代書と共に手続き料金代弁の社会奉仕を実施したが毎日十二、三件づゝの申込殺到にて府民一般から感謝されてゐる
朝鮮新聞1940年8月4日「創氏への最後奉仕 思連創氏推進隊 湖南で市日に活躍」
【光州】我が半島施政史上画期的意義を有する創氏制度の設定期限も愈々時日の問題となり、来る八月十日をもってその最終日に至るやるになってゐるのであるがこゝに時局対応全鮮思想報国連盟光州支部では去る七月二十六日付松本孝義副支部長の名の下に湖南一帯の全組織管区に呼び掛けたる創決行推進隊〔ママ〕組織活動の件といふ通牒が発せられてゐたが同支部各地分会では愈々我々の創氏への最後奉公期だとばかり、各分会所在地（光州、木浦、全州、群山、裡里、順天、麗水、光陽、長興、康津、海南、霊岩、霊光、羅州、長城、珍島、莞島等）管下の民間市日を利用し市場へ仮設創氏相談所を設けて一般市場集合民衆の相談に応じては無料代書を行ひ多大の効果を挙げてゐる、なほ光州では去る七月二十九日社町市場で決行したる所相談に集まる人三百名近く無料代書を願ひ来るもの百四十五名ありて一々親切なる解答と鄭重な届書の代書を行ひたるに民衆は全く感激して創氏決行に応じたといひ更に去二日にも大童になって活動する所あった。
京城日報1940年8月4日「幼稚園で創氏の奉仕」
【永登浦】西本願寺幼稚園では半島人の氏創設期限切迫に鑑み一般創氏者の創氏改名選定相談に応ずる外その届出手続きをも引受け、あらゆる便宜をはかり、当局の方針に順応してその助成に資する筈である
京城日報1940年8月4日「挙る創氏の大行進 届出既に四千戸突破」
…なほ（京城）府戸籍課では物凄い創氏熱に気をよくして大京城全府民に遅くも本年末までには一人残らず創氏させようと京城地方法院の協力をもとめ来る十五日から全課員が街頭に進出、夜間各小学校などで、創氏促進の講演会を開催するとともに、講演会場に創氏用紙を備へ、希望者には戸籍課員がその場で代筆、受付けを行ふこととなった
朝鮮新聞「創氏の無料手続き」
【大邱】半島画期的制度の創氏届出期限も愈々十日に切迫した為大邱司法書士会では再度の創氏手続き無料奉仕を申合せ来る八月九日の二日間に亘り最後の奉仕をなす事となったので一般の多数利用を希望してゐる
京城日報1940年8月24日「町内の創氏指導から詐欺犯逮捕に手柄 三警防団員に各方面賞賛の嵐」
【仁川】府内桃山町盧田龍雲、木戸仁源、山本宗男の三氏は警防団員拝命以来一意専心寝食を忘れて町民のため活動してきてゐたが、今回の創氏改名事務に当っては文盲の町民を指導し無料代書、戸別訪問をして相談に応じ遂に優秀な成績をあげしめるに至った以下略）
氏名考案の支援、代行
朝鮮新聞1940年4月16日「氏創設相談 専売連盟乗出す」
京城日報1940年5月15日「創氏相談所強化」
朝鮮新聞1941年10月1日「全島民が創氏 名付親・両警官に感謝」
精動専売連盟では連盟員の創氏につき極力ことが趣旨の徹底に努めて来た結果全州地方専売局太田出張所長(以下判読困難）氏者を出したが実際創氏に当り名称の選定に迷ってゐる向も少くないので連盟では氏の選定につき本貫、出生地、祖父の名等を申出ればその方面の権威者に依頼して適切な氏の選定●斡旋する事となった
京城日報1940年5月15日「創氏相談所強化」
【新襄州】内地式創氏選定に悩む道民就中農村地方民の要望に応へて平北道では道内各所に本格的な創氏相談所又は部を設置することゝなった、即ち従来邑面又は駐在所の創氏相談部は単に創氏改名選定したのちの法的手続き方法についてのみ相談に応じた嫌ひがあり如何なる氏と名を選定すべきかの方法に迷ってゐる農民たちにとっては何等の役にもたゝなかったのでこんどは内地人式の実際及びその例等選名学を基調とせる書物類を備へた創氏相談部を道下十九ケ郡二十四警察署並にその派出所、中初等学校内に設置するものであるが、こゝでは創氏改名の案出から決定までの一切の相談に応じ、その実施の促進をはかるのである
朝鮮新聞1941年10月1日「全島民が創氏 名付親・両警官に感謝」
創氏制度一度び発布せられるや半島各地において続々創氏名実共に大日本皇国臣民として銃後皇民として滅私奉公の気を更に新しくする所あったがわが椒島においても全島民残らず創氏改名半島の魁をなしたが同島民の創氏に当り慈父の如く創氏に改名に字引となっこ〔ママ〕つくした同島警察官駐在所主席熊樋八十吉金谷亮一両氏の苦労は一方ならぬものあり四百五十余戸の全島民の名は〔ママ〕親として同島民から慈父の如く慕はれてゐる両氏のあるにもわすれてならない一事である
創氏改名しない理由の調査
朝鮮新聞1940年8月4日「清州法院管内 創氏五割」
朝鮮新聞8月25日「莞島郡 創氏成績」
朝鮮新聞1940年8月28日「慶北創氏徹底 大邱府内は九割五分」
朝鮮新聞1940年9月15日「釜山創氏未定者 六つ程の理由がある」
【清州】清州法院支庁管内の要創氏戸籍は六九、九七二戸あるが、締切も十日後に迫った七月末現在届出は三ニ、六五一戸で約五割に相当してゐる、なほ当支庁では各面をして創氏不能者の調査を行ふ一方八月十日の期日を忘れぬやうビラ等を貼出して激励に努めてゐるが、この頃では毎日約一千件位の書類が山と積って次々に整理てゐされる〔ママ〕多忙さである
朝鮮新聞8月25日「莞島郡 創氏成績」
【莞島】莞島郡における八月十日創氏届出戸数が締切期限迄の状況は全郡総戸数一万ニ千五百七十五戸の八割五分四厘に達し未届出者は全郡行先不明、戸籍未載等により手続き不可能のものであるが、各面別左の如し（以下略）
朝鮮新聞1940年8月28日「慶北創氏徹底 大邱府内は九割五分」
【大邱】慶北道内の創氏は八月十日多大の感激をもって締切りを見たが実績は廿六日地方課から発表した。これによると慶北の朝鮮人総戸数は四八三、五四〇戸で届出数は三七九、〇三八戸歩合は七割八分四厘である、しかし現実には前記総戸数のうち十万四千五百二戸は行先不明のもの大部分と絶家のものあるので、創氏は在籍者だけで九割以上となってゐる、右の各府郡のうち盈徳、青松、義城、慶山、栄州の五郡は創氏完了を見てゐる各歩合次の如し（以下略）
朝鮮新聞1940年9月15日「釜山創氏未定者 六つ程の理由がある」
【釜山】釜山府における創氏未定戸数は十一日現在の調査による五千八百五十戸にしてこれが未創氏戸の原因内容は次の通り
一、不立戸数 八八五
二、法定代理人なき 九三未成年者
三、戸主未定 一、八五
四、女戸主 七、九七
五、林とか南とか内地人氏に類似 九六
六、後家又複本籍と認めらるゝ睡眠戸籍 一八九六
合計 五八五四戸
改名は後回しで創氏だけでも
氏だけでなく名も変える場合は先に名の変更を願出る手順だったが、当局は途中から「名の変更は後でよいから創氏を先に届出よ」と強調するようになった
朝鮮新聞1940年2月13日「創氏打合会 大田府庁で開催」
朝鮮新聞1940年2月13日「創氏届出で法院も繁忙」
京城日報1940年5月18日「もてる創氏 四月末で十五万戸突破」
朝鮮新聞1940年5月30日「氏制度問答（三）」
朝鮮新聞1940年7月16日「創氏は差当り姓だけでよい」
京城府「京城彙報 第224号」1940年7月25日発行
朝鮮新聞1940年2月13日「創氏打合会 大田府庁で開催」
…野口大田府尹談
「氏」の創設に伴ひ其の「名」をも変更するを好適と認むる向は当相談所に就き相談せられても差支はないのであり而して此の場合は「氏」の設定届出より先に「名」の変更方を所轄裁判所に願出て其の許可ありたるときに始めて「氏」設定の正式届出をなすことに取扱ふことになりましたから其の順位を誤らないやうにお願ひ致したいのである
朝鮮新聞1940年2月13日「創氏届出で法院も繁忙」
…朝鮮民事令により吾が半島人に画期的喜びをもたらした氏制度設定「創氏の名乗り」は既報の如く十一日より京城府で受付けを行ひ祭日にも拘らず幾多の届出人があったが姓名共に変更するには所轄地方法院の認可を要し全鮮各地方法院戸籍係で十二日一斉これが受付けを解しした、京城地方法院でも郵送により六十三件の届出が午前中にあり（以下略）
京城日報1940年5月18日「もてる創氏 四月末で十五万戸突破」
…勿論全鮮約四百三十万の総戸数からみれば未だ多いとはいへないが、届出件数は漸次増加の一途を辿り、目下手続き中のものも多数あり、届出期限たる八月十日までには相当の数にのぼるものとみられてゐるが、右について宮本法務局長は語る
本制度は申すまでもなく将来半島民衆が悉く形容共に皇国臣民となり内鮮渾然一体となる日を到来せしむべき大理想のもとに半島民衆に対し内地人式氏を用ふる途を拓いたもので、本制度制定の趣旨は漸次社会各層に周知されたやうに思はれるが、一部には未だ認識不充分な人々もをるやうである、殊に本制度の趣旨を理解してゐながら兎角届出を躊躇してゐる向きもあるがその原因の二、三について所見を述べると
第一に、所謂姓名判断の妄説に迷はされて徒に右顧左眄し、空しく日を過してゐる人が少くない、いふまでもなく使命は自己の属する家及び自己を表徴し他家他人と区別するため用ふるものであるから書き易く読み易く且つ最も親しみ深いといふやうな自己の最良と信じた氏名を用ふればよい訳で姓名判断等に迷はされてはいけない、第二に宗中の協議を経て一門同一を設定せんと待機中の向が少くないが、しかしこれは氏が家の称号であるといふ真意を解せず氏の観念と姓の観念とを混淆してゐる為であると思ふ、だから相談が必要なら極く近親の人々が相談する位で済むのではないかと思ふ、そして吾自独自の見解で各家の氏を設定するのが最適当であると思ふ、最後に名の変更手続を先にせんとするために、氏設定届出の遅れる場合がある様であるが、名の変更は裁判所の許可を要するためその手続に多少手間取り、これを先にせんとして氏設定の未了の人がある様である、併しながら氏設定と名の変更とは何れを先にしても法律上は各自の任意であり殊に期限の漸く切迫戦としてゐる今日においては手続簡易且つ手数料を要しない氏設定届を先にする方が便宜と思ふ（以下略）
朝鮮新聞1940年5月30日「氏制度問答（三）」
甲 創氏と改名とは何れを先に手続きすべきものですか
乙 改名許可を得て創氏届をやる方が便宜ですが氏届出期間が切迫して来ますから一先氏設定届を先にして後日改名許可を頂くやうにしても差支はないと思ひます。
甲 今頃改名願ひ提出すれば凡そ幾日後に許可が下るでせうか又創氏も改名も一緒にじ〔ママ〕なくては具合が悪いのですか
乙 改名許可は裁判所の都合次第ですから言明は出来ませんが何んでも毎日数百件の申請書が殺到して来るので少くも十日以上を要するやうですネそれですから可成早く申請して置いた方か〔ママ〕良いです又創氏だけして改名は全く自由ですが若い人は将来の為に可成改名した方が宜しいと思ひます
朝鮮新聞1940年7月16日「創氏は差当り姓だけでよい」
創氏改正の快挙は激増の一途で明朗を極めてゐるが、愈々来る八月十日で届出期限も終りを告げることになってゐる。一部にはまだ趣旨が飲みこめず名の変更を同時に届出でせねばならぬと考へてゐるらしいので、京城地方法院戸籍係ではそのため折角希望した創氏改正が間に合はなかったなどといふ悔を残す人もあるやもしれずと考へ。改名手続は後日に譲り、期限に後れぬやうにと希望してゐる、なほ届出については府、邑、面事務所、創氏相談所等で用紙の無料代書等可及的便宜を図ることゝなってをり、郵便ハガキによる届出も差支へないとしてゐる
京城府「京城彙報 第224号」1940年7月25日発行
町会常会申合事項
本七月府内町会の班に於て開催する常会の申合事項として当府よりは、左記記載の主旨により申合を為し、実施協力方を要望した。…
創氏届出推進
創氏制度実施以来既に四ケ月を経其の間に於ける当府の創氏届出の成績を観るに五月末に於て五分三厘ですから他に比し良好でないのは甚だ遺憾であります。
抑々本制度は半島人の真摯熱烈なる要望に対し、内鮮一体の具現を企図した画期的の制度でありまして、一日も早く創氏届出は望ましい所でありますが、若し現在の儘経過する時は所期の目的達成することは難しいと考へられます。仍し此の際届出の促進を図る為め従来の届出状況に鑑み創氏改名を同時に行ふことなく期間の制限なき名の変更は後日に譲っても差支ありませんから、八月十日迄の期間の制限ある氏の設定を先づ届出で全戸洩れなく予期の目的達成に邁進致したいものです（34頁）
締切が近い、締切は延長しない、締切後は許可しない（から早く届出よ）と強調
朝鮮新聞1940年2月13日「創氏打合会 大田府庁で開催」
朝鮮新聞1940年5月17日「創氏十五万戸 八月十日締切り 延期は絶対にない」
朝鮮新聞1940年5月20日「氏制度問答（一）」
(前略）野口大田府尹談
…右期間中に「氏」の〔ママ〕出なき向は八月十一日よりは従来の姓を以て「氏」と看做すことになって居るのであるが後日之を変更せんとするも特別不得已事由なき限り「氏」の変更は許可しない所轄裁判所の方針のやうでもあるから此の際が最も適期であることを強調する所以である
朝鮮新聞1940年5月17日「創氏十五万戸 八月十日締切り 延期は絶対にない」
（判読不能）は左の如き談話を発表し速かに躊躇する処なく届をなして画期的制度の趣旨に副ふ様注意を喚起し届出期限は八月十日以上は絶対に延期しない旨を言明する処があった
法務当局談
…最後に氏設定届出期間の六箇月は最早半以上を経過して居るから苟も前述の氏制度の根本精神及趣旨を理解した人々は成るべく速に届出を為し期限の八月十日を徒過しない様御留意を希望する尚此の届出期限（八月十日）は延期などされることは絶対にないことを今から予め断言して置く次第である
朝鮮新聞1940年5月20日「氏制度問答（一）」
【大田】創氏制度の趣旨およびその手続きにつき一般の認識を深めるため大田府庁では今回左の如き問答体の解説を発表した
甲 八月十日迄に氏の設定届出をやらないと従来の姓が氏になるといふ話を聞きましたが本当ですか
乙 それは本当です自由届出期間は後僅三ケ月もありませんから可成早く理想の氏設定をなす方が宜しいです
甲 それでは別に理想的の氏が定まらないときは氏の設定届出をなさなくても宜しいですね
乙 その問題です八月十日迄に自由選定の氏を届出しないときは従来の姓が氏となりますがそれでは先程氏の趣旨説明の所で申しました如く内鮮一体の具現と社会の必要性より鑑みるときは何んだから物足らない感じがするのであります故に将来を達観してもこの際理想的氏を設定する方が望ましいことである、なほ従来の「李」姓が後日「李」の氏になった場合はその同一戸籍内の家族中女の姓をもってゐる方も全部戸主の氏に従ふ関係上「崔貞淑」といふ女は直ちに「李貞淑」と称号することになりますと法律上は当然ではあるが気分としては一寸異様な感じがするのであるから寧ろ新しく内地人式の氏を理想的に設定して戸主も家族も同一の称号とした方が宜しいと思ひます
（中略）
甲 八月十一日以後になっても氏を設定（変更の意味）せんとすることは出来ますか
乙 原則としては出来ないのである正当の事由があれば裁判所の許可を受けて変更しなければならない故にこの八月十日以内の届出期間に率先して届出した方が大変便利である
甲 今の正当な自由とは如何なる場合を意味するものですか
乙 それは裁判所の方針ですからハッキリお答へは出来ませんが真に不得已事情でなければなかなか正当の事由として公認されないだらうと思ひます故に今のうちに合理的に好適の氏を設定した方が宜しいから率先して創氏しなさいといふのである
締切後も創氏を認める
貴族院請願委員会1940年3月12日
朝鮮新聞1940年9月21日「期限後の手続 宮本法務局長語る」
朝鮮新聞1940年9月29日「締切後にも殺到の創氏届 仁川法院処理に大童」
京城日報1941年8月10日「全戸数の九割 創氏締切満一周年の成果」
○立花種忠子爵
「…六箇月間とか期限があるやうですが、六箇月を過ぎた後は、将来全然御許にならないのですか、研究はしないから分りませぬが一応伺ひます」
○大野緑一郎政府委員（朝鮮総督府政務総監）
「勿論許す積りでございます、六箇月を過ぎますと実は許可になる訳でございます、従って益々色々妙な名前などに付ては指導が出来る訳でございます」
朝鮮新聞1940年9月21日「期限後の手続 宮本法務局長語る」
氏届出は去る八月十日をもって締切ったがその後内地人式氏を称したい半島人が続出してゐるので本籍地を管轄する裁判所に氏変更許可申請をなし得る方途手続きを宮本法務局長談の形式で左の如く説明した
法務局長談
氏届出件数は当局民事課の調査に依れば、別表の如く寔に驚異的数字を示し、然も海外居住者にして在外大使館、領事館に届出を了したるも未だ届書が本籍地に送付されずして戸籍登載の遅れ居る者又南柳、桂、呉、林（総戸数一八四二二〇）の如く姓を直に内地人式氏い呼び得らるる為強ひて届出を為さざりし者等を加ふれば、現在実質上内地人式氏と為り居る者は更に厖大なる数字となるであらう…尚種々なる理由にて期間中に届出を為し得ず姓の名称を其の儘氏と為した者の中に内地人式氏を称へ度い希望を有する者が続出して居るが、今度は其本籍地を管轄する裁判所に氏変更許可申請を為し、其の許可を得て内地人式氏と為る途が拓かれて居る。裁判所は姓の名称其の儘の氏を内地人式に変更せんとする場合なれば之を正当の事由あるものとして直に之が許可を与へるであらうと思ふ。又名の変更に付ても之と同様現在の朝鮮人式名を内地人式名に変更し或は朝鮮人式名なるや内地人式名なるや疑はしき名を明確なる内地人式名に変更せんとする場合なれば之を正当の事由ありと認められるであらうし、更に進んで姓の名称を其の儘氏となし居る者が氏は変更せず名〔ママ〕地人式名に変更せんとして申請したる場合も亦同じくこれを正当の事由ありと認めるに吝でないであらう。このことは既に数年前から半島の人々に内地人式命名を認めて居る事実から推究すれば当然のことと思はれる。要は皇国臣民として真に内地人式氏名を称へたき希望ある人々に遍く其の門戸を開くことが内鮮一体の深化徹底を其の最大の目標とする此の氏制度の真精神であることを銘記され度い
朝鮮新聞1940年9月29日「締切後にも殺到の創氏届 仁川法院処理に大童」
【仁川】仁川法院支庁には今なほ創氏改名の出願所が殺到し須藤監督書記は期間内に出願し得なかった長期に亘る旅行不在やその他の理由を検討し出来得る限り内鮮一体の強化に備へる輝かしきこの新制度の恩典に浴びせしむる様意見を付し有澤上席判事の許可を仰ぎ各出願者を感激せしめてゐるが同法院では季節外れの出願でも全部許可方針で進む模様である
京城日報1941年8月10日「全戸数の九割 創氏締切満一周年の成果」
…（前年八月）十日の締切後も「氏変更願」の提出を許し各裁判所において氏変更許可申請を受理したが去る六月末までに三万四千八百七十二戸が創氏の喜を受け六月末現在創氏総戸数は三百廿六万三千八百三戸、全戸数の約九割弱になってゐるこのうちには朝鮮古来の田、林、柳、南、桂など十数氏が戸籍簿に振仮名を付せないところから従来のまゝで内地人式にこれを訓読してゐる者も相当数あるので創氏実数は殆ど全半島人に及んでゐるといふことが出来るわけだ
姓名判断などやるなと説得
朝鮮新聞1940年5月20日「氏制度問答（一）」
朝鮮新聞1940年5月23日「氏制度問答（二）」
朝鮮新聞1940年6月28日「全北道創氏状況」
【大田】創氏制度の趣旨およびその手続きにつき一般の認識を深めるため大田府庁では今回左の如き問答体の解説を発表した
甲 氏は慎重に選定する為には将来の家運を良くする為先づ字画とか陰陽とか五行説等による「作氏名法」によって鑑定を願ひたいですが如何でしやうか
乙 それはあっさりお止め下さい何等の実益がありません時代が変る毎に又鑑定毎に見解が違うやうでありましてそれを信じ始めたら切りがありませんから最初から断然御止め下さい字画とか五行とか陰陽とかは何んでも宜しい要はその人の意と努力次第だと確信してをります重ねて忠告して置きます
朝鮮新聞1940年5月23日「氏制度問答（二）」
甲 名の変更は如何にしますか
乙 名の変更も五行とか陰陽説等に拘泥する必要はありません、氏との調和が善く取れてあれば何んでも宜しいと思ひます、然し内地人式の氏名にする場合は内地人の習慣によりまして男は男らしく、女は女らしく名を作ることは必要だと思ひます、先般某新聞によりますと余りにも「作名法」を過信したと見えて男が女の名を、女が男の名の如く付けて裁判所に提出したので当局（以下判読不能）とがありましたからその点は留意の必要があるやうに思ひます、なほ創氏改名に関しては創氏相談役のお方に御相談した方が宜しいと思ひます
朝鮮新聞1940年6月28日「全北道創氏状況」
【全州】…全北道内における創氏は五月末現在で七千八百六十戸に過ぎず創氏の最低率に当局を三嘆せしめてゐる、これは五行論とか姓と氏との相違解釈不徹底の結果に生ずるところに根本原因があるやうだが、それらにこだはらず安易な心掛で至極簡便に創氏したらいゝと当局では注意を喚起してをり、（以下略）
地名等を元に創氏せよと誘導
貴族院請願委員会1940年3月12日
朝鮮新聞1940年5月20日「氏制度問答（一）」
○大野緑一郎政府委員（朝鮮総督府政務総監）
「成るべく其の出生の処と申しますか、例へば水原なら水原に生れた者は「ミズハラ」或は西原と云ふやうな処に生れた者は「ニシハラ」と云ふやうな実例が多いのであります、又左様に誘導致して居るのであります、従って大量に伝来の日本文字を濫用すると云ふやうなことは考へて居らないのであります、又実行致さない積りであります」
朝鮮新聞1940年5月20日「氏制度問答（一）」
【大田】創氏制度の趣旨およびその手続きにつき一般の認識を深めるため大田府庁では今回左の如き問答体の解説を発表した
甲 それでは何んなに選定した方が貴公の謂はれる理想的の氏になりますか
乙 大体本貫の地名か又は現在地か生地か或は祖先の縁故のある地名か何れかを採って読み易く書き易く、覚へやすく社会実用上好適のものが私の理想的氏名観であります
姓は変えないと強調
朝鮮新聞1940年5月20日「氏制度問答（一）」
朝鮮新聞1940年7月23日「期限は迫るので氏創定趣旨宣伝 金泉出張所において」
【大田】創氏制度の趣旨およびその手続きにつき一般の認識を深めるため大田府庁では今回左の如き問答体の解説を発表した
甲 氏を設定しても姓および本貫は戸籍簿に残存して置くといふことですがそれも本当ですか
乙 それは本当であります故に改姓ではないのであります絶対に誤解のないやうに一般によく理解させて下さい
朝鮮新聞1940年7月23日「期限は迫るので氏創定趣旨宣伝 金泉出張所において」
（金泉）大邱地方法院金泉出張所に於ては来る八月十日まで氏設定期限切迫に際し先の注意を一般に宣伝した「期限は刻々迫る八月十日限り今熟慮断行の●認識を誤て悔を子孫に胎さぬやう」
氏設定に就いて御注意
三、氏と姓とを混同する向があるやうですが、氏は家の称号であり、姓は男系の血統を表すもので両者の性質は全然異って居ります
四、氏を設定すると従来の姓が無くなると云ふ誤解があるようですが、氏設定後に於ても姓及び本貫は其儘戸籍に存置されますから心配ありません
「改姓」「姓を捨てる」等と表現した例
京城日報1939年11月8日「内鮮一体、心より形へ 半島人に{家の創立 姓の変更}を認む 二勅令案閣議で決定」
京城日報1939年11月10日「半島人に家の創立と姓変更の自由を付与 あす制令公布 一月一日実施」
京城日報1939年11月12日「朝鮮民事令中改正に関する制令解説（三）姓の変更の合理性 安田幹太」
京城日報1939年11月12日「さあ、二字姓へ！到る所で嬉しい評定」
国民新報1939年11月19日「主張 存廃の選択 氏制度実施三つの神精」
朝鮮新聞1939年11月26日「氏姓変更手続等仁川府当局指導に大童」
国民新報1940年3月3日「創氏を躊躇するな 文明��一翁近頃の大気炎」
貴族院請願委員会1940年3月12日
朝鮮新聞1940年3月12日「創氏早くも二千突破 忠北道内二月末現在」
朝鮮新聞1940年5月26日「南総督入京 苗代は大体九分通り終了 創氏制は時機尚早に非ず」
【東京支社電話】半島統治の最大眼目たる�狷眩�一体�瓩脇鄙軻鎮綰ぐ瞥荵闇�有余の間着々実際統治上に反映、特にこれが具体的結実としてさきに志願兵制度の創設並に教育制度の画期的改革が断行され、内鮮一体の大きな拍車となってゐるが、今回更に現下の半島に漲る愛国熱情の実勢に即応之を更に具現化し制度上に実現すべくかねて総督府で立案、法制局に回付されてゐた一、朝鮮民事令中改正の件、一、半島人の氏名に関する件の二制令案が七日の閣議で決定をみた、右制令案の骨子は新たに一、半島人に家の創立の自由、一、姓変更の自由を付与せんとする画期的な内容''を包含する模様で、近く公布を見ることにならうが、かくて南統治の根幹たる内鮮一体方策は心より形へ、一体実績の挙揚に即応し、漸を逐うてその体形を整へつゝあり、該制令公布に対し多大の成果が期待されてゐる、右について宮本法務局長は語る「民事令改正案は既に法制局に回付してあるが、制令案の内容については今は何もいへない、凡ては制令が公布されてからだ」
京城日報1939年11月10日「半島人に家の創立と姓変更の自由を付与 あす制令公布 一月一日実施」
南総督着任以来統治の根本指標として提唱し来った�狷眩�一体�瓩話紂垢噺充太�治の上に表現されつゝあるが今回更に半島人に家の創立と姓変更の自由を付与する画期的制令の公布をみるに至り…
京城日報1939年11月12日「朝鮮民事令中改正に関する制令解説（三）姓の変更の合理性 安田幹太」
…改正令によって朝鮮人の各家は新たに氏家の称号たる氏を定め、各人は従前の姓に代へてこの氏を称すべきものとせられた。併し乍ら朝鮮の保守的人士の間には旧来の姓を直ちに捨てゝ新しき別個の氏を称することを好まざる感情の強き者の多かるべきことが想像せらるゝ。改正令はこれ等の人士の感情を考慮してこれ等の人々が進んで新なる氏の制定手続をなさゞる時は、旧来の姓の称を以てそのまゝ氏の称とし、これ等の人々は従前と同様の姓をそのまゝ称することを得るものとする。而してこれ等の人々と異なり現在の姓の称号を不便とし新に氏の別称を設けむと欲する者ある時は之を一定の期間内に届出でせしめて爾後従前の姓を代へて此新しき氏を称する事を得せしめむとするのが改正令の趣旨である。
京城日報1939年11月12日「さあ、二字姓へ！到る所で嬉しい評定」
国民新報1939年11月19日「主張 存廃の選択 氏制度実施三つの神精」
朝鮮人に対する氏制度実施により、姓は廃されることゝなった。朝鮮人は昭和十五年一月一日より向後六ケ月以内に、新しく氏とすべき文字を戸籍吏に届け出でなければならぬ。若しこの期間内に届出でなきものは、従前の姓を以て氏と認められることゝなって居る。
朝鮮新聞1939年11月26日「氏姓変更手続等仁川府当局指導に大童」
【仁川】八万の半島人士を擁する仁川の永井府尹は来る一月一日から実施される氏姓、一家創立、縁組等の改正手続き、その指導に大童となってゐるが道会議員の金允福氏は金海の両班出身である関係上「金海」の姓を付けることになり同時に家紋をも定めることになったが歓喜に充ちた此の気分を遺憾なく完遂さす様凡ゆる指導に万全を期することにしてゐる云々
国民新報1940年3月3日「創氏を躊躇するな 文明��一翁近頃の大気炎」
氏の創設に対し、一般半島人は何を躊躇逡巡してゐるか、何故一日も早く氏を創設し、名実共に皇国臣民になりきらないか、わが輩は半島人がこれに対し、愚図ついてゐるのを見て、まどろしくてたまらない、凡そこんなあり難い善政がまたとあらうか、何を置いても一斉に氏の名乗りを挙ぐべきである。…決して現在の姓名に執着する必要はない。潔くかなぐりすてゝ新しく日本式の氏名を名乗るべきだ。こんな下らぬ執着にこだはってゐる中に、氏創設の時機は遠慮会釈無く過ぎてしまう。…現在の姓名に執着して、氏の創設に躊躇逡巡してゐる人達よ、試みに満洲にゆけ、北支にゆけ、而して現在使用してゐる満州国人なり、中国人と交換せよ、然らば思ひ半ばに過ぐるところのものがあらう。…
貴族院請願委員会1940年3月12日
○大野緑一郎政府委員（朝鮮総督府政務総監）
「寧ろ全く新しき名前に新しき姓を創設する、詰り此の度の趣旨がさうでございますので」
「丁度今日の実情では、北海道のアイヌ人に付きましても、亦北海道土人に付きましても、樺太に於きましても、何れも内地流の姓を名乗ることを許して居るのであります、又帰化人に付きましても左様なことになって居ります、従って朝鮮人にだけ之を許さないと云ふことは極めて狭いことになりまするので、一方から申しますると、一視同仁の御精神にも反することになると考へて居ります」
「追々と制度が能く解るに連れまして、さう云ふ姓を改める者も出来ることと考へて居りまするが」
「それから（請願には）何か朝鮮人が、自分の姓以外の姓を名乗らせることが非常に斯う厭がって居るやうに書いてありまするが、さう云ふ者もあります、従ってさう云ふ人は改姓を致しませぬが」
「二千三百万の人が直ぐ改姓する訳でもない、兎に角何百万人ありまするか、さう沢山の人が今直ぐに姓を改めると云ふことはないと思ひますが、併し日本風の氏を作ると云ふ途が開かれたのだと、…云ふことに付ての政治的の影響と云ふものは、非常に私は大きいと思ひます」
「例へば改姓をする人は改姓をしてしまふ、改姓しない人は、朴姓なら朴姓の中に例へば金夫人も居るし何夫人も居りますから、それを戸籍簿の方をすっかり直してしまはなければならぬ、其の関係で左様な期間を置きまして、後は是は無暗に名前を変へると云ふことは、是は一一勝手に届出ると云ふ訳には行きませぬので、是は許可をする、斯う云ふやうな制度に致してございます」
朝鮮新聞1940年3月12日「創氏早くも二千突破 忠北道内二月末現在」
【清州】朝鮮に氏創設制度実施されんとするや忠北道内では我れ先にと内地式姓名に改姓するもの続出し二月末日現在すでに二千名をはるかに突破したが然し道民百万名に比すれば誠に寥々たるの感なしとせざるも之はやはりいざ改姓となると一寸ためらったり惜しがったりする傾向らしく何れ受付締切の八月前に迫るとドット押寄せるものと予想されてゐる、（以下略）
朝鮮新聞1940年5月26日「南総督入京 苗代は大体九分通り終了 創氏制は時機尚早に非ず」
【東京電話】南朝鮮総督は朝鮮の統治状況奏上並に中央政府と事務打合せのため廿五日午前七時卅分東京駅着朝鮮における米穀事情その他に関し大要左の如く語った
…朝鮮の改姓問題は時期尚早の話も一部にはあったが、五月一日の現在で既に二十一万戸百七十万人の改姓を見た程で内鮮一体の実を示すものとして非常に心強く思ってゐる
その他
朝鮮新聞1939年11月26日「氏姓変更手続等仁川府当局指導に大童」
京城日報1940年1月19日「創氏制度協議会を開催」
京城日報1940年1月31日「創氏と異姓養子 中央法学界に反響 懸念解消・みな大賛成」
朝鮮新聞1940年2月2日「筆致も力強く�狡�鮮創氏相談所�疊湘膺揺槎韻稜�望に応へて咸興府庁に掲げらる」
朝鮮新聞1940年2月3日「創氏相談所元山府戸籍係に」
京城日報1940年2月4日「創氏打合会開く」
朝鮮新聞社1940年2月8日「創氏に関し連合協議会」
朝鮮新聞1940年2月13日「創氏手続の徹底仁川府で連日座談会」
京城日報1940年2月15日「城津にも創氏相談委員会」
朝鮮新聞1940年2月16日「創氏徹底にパンフレット」
朝鮮新聞1940年2月20日「創氏相談所 清州邑に設置」
京城日報1940年2月21日「創氏の趣旨を徹底 外地や大陸へ―法務局で準備―」
京城日報1940年3月1日「創氏の真意徹底に繰り出す解説部隊 近く鮮満支へ派遣」
朝鮮新聞1940年3月5日「創氏の相談」
京城日報1940年3月15日「創氏取扱事務統一」
京城日報1940年3月26日「創氏講演と座談会」
朝鮮新聞1940年3月26日「創氏講演会」
京城日報1940年4月8日「創氏相談所」
朝鮮新聞1940年4月12日「創氏懇談会 平南道で近く開催」
京城日報1940年4月14日「更に徹底！創氏制度普及講演会」
京城日報1940年4月17日「創氏講演会 江華でも十八日」
京城日報1940年4月20日「創氏講演会盛況」
京城日報1940年4月21日「創氏講演部隊帰る 総督に報告」
京城日報1940年4月21日「江華の創氏講演会」
朝鮮新聞1940年5月1日「全鮮弁護士会に魁け大田に講演部設置 志願兵や創氏相談に応ずる」
朝鮮新聞1940年5月4日「創氏で協議会開催」
京城日報1940年5月9日「創氏座談会」
朝鮮新聞1940年5月9日「産米増殖と創氏奨励の行脚 安東富川郡守の活躍」
朝鮮新聞1940年5月12日「創氏届出期限迫る 一層の理解を切望 野口大田府尹談」
朝鮮新聞1940年5月16日「牙山郡は過半創氏 趣旨徹底の忠南道」
朝鮮新聞1940年5月21日「南原創氏打合会」
京城日報1940年5月22日「坡州郡民の創氏 既に二千戸を突破」
朝鮮新聞1940年5月25日「十方里の大仁川に 大工業都市を建設 会議終へて永井府尹の活躍」
朝鮮新聞1940年5月25日「具現の徹底 忠南府尹郡守会議に於る 金川知事の訓示（二）」
朝鮮新聞1940年5月25日「創氏、増米計画等 銃後生産拡充へ 安東郡守第一線に」
京城日報1940年5月28日「創氏を呼びかく」
京城日報1940年6月8日「元山府が創氏講演会」
京城日報1940年6月22日「有志へ嘱託」
朝鮮新聞1940年6月27日「創氏座談会」
朝鮮新聞1940年7月2日「青山氏の創氏行脚」
京城日報1940年7月10日「創氏・燎原の火 京城では約一割が名乗り」
朝鮮新聞1940年7月11日「全郡残らず創氏完了 全鮮に魁けた金浦郡」
朝鮮新聞1940年7月18日「広州も全郡創氏か 既に一万三百余戸」
朝鮮新聞1940年7月18日「忠南連山面は全面が創氏」
朝鮮新聞1940年7月18日「大邱の創氏 依然激増の一途へ」
京城日報1940年7月20日「期限内に是非創氏せよ」
朝鮮新聞1940年7月21日「創氏記念塔 皇紀二千六百年建立 金浦神明神祠の境内に建つ」
京城日報1940年7月23日「創氏つづく」
朝鮮新聞1940年7月23日「期限は迫るので氏創定趣旨宣伝 金泉出張所において」
京城府「京城彙報 第224号」1940年7月25日発行
朝鮮新聞1940年7月27日「済州島創氏 好成績裡に進捗」
朝鮮新聞1940年7月28日「町総代宅へ府庁員出張 創氏相談と届出受理」
京城日報1940年7月31日「すでに七割五分 開豊郡民の創氏進軍」
朝鮮新聞1940年8月1日創氏期日迫り 届出て完了す
朝鮮新聞1940年8月4日「創氏改名十万人へ 仁川府の激励隊出動」
朝鮮新聞1940年8月4日「釜山創氏届出俄然激増」
京城日報1940年8月6日「創氏趣旨を普及」
朝鮮新聞1940年8月8日「創氏締切迫る あと僅か三日！逡巡し悔を胎すな 大田地方法院石岡戸籍主任談」
京城日報1940年8月10日「創氏最後のゴールへ 今夜は十二時迄受付」
京城日報1940年8月11日「伊川の予想九割五分」
京城日報1940年8月11日「創氏相談に大童」
朝鮮時報1940年8月11日「創氏殆んど徹底 所期の目的を達成 七月卅一日現在の調査」
朝鮮時報1940年8月20日「創氏設定の徹底 蔚山は七割強となる」
朝鮮新聞1940年8月22日「創氏の実績と半島人官吏」
朝鮮新聞1940年9月28日「芸名は内地名に 創氏を徹底」
【仁川】八万の半島人士を擁する仁川の永井府尹は来る一月一日から実施される氏姓、一家創立、縁組等の改正手続き、その指導に大童となってゐるが道会議員の金允福氏は金海の両班出身である関係上「金海」の姓を付けることになり同時に家紋をも定めることになったが歓喜に充ちた此の気分を遺憾なく完遂さす様凡ゆる指導に万全を期することにしてゐる云々
又道会議員金允福氏は左の如く語った
明年一月一日から半島人に氏姓一家創立、縁組等の新制度が実施されることになったのは誠に歓喜の極みで私は慶尚南道の（以下判読不能）紋をも定め度いと思ってゐる云々
京城日報1940年1月19日「創氏制度協議会を開催」
半島人の創氏制度は愈々二月十一日紀元の佳節を卜して実施されるが、これに先だち総督府法務局では本月廿日から二月十日まで全鮮各地方法院及びその支庁に各管下府邑面の戸籍係を招集、総督府から関係官が出席して右関係法令の趣旨徹底を期すべく協議会を開催
京城日報1940年1月31日「創氏と異姓養子 中央法学界に反響 懸念解消・みな大賛成」
内鮮一体完成に巨大な楔を打込んだ朝鮮民事令一部改正による�狒六甅瓩鉢牋枩�養子�瓩枠湘臚鸚藥杏緩�同胞に多大の反響をまき起すと共に中央法律学界にも異常な関心をそゝり東大の法学協会では廿五日午後五時半から学士会館で同問題の研究会を開いた、講師として宮本本府法務局長と共に上京出席した安田幹太改正委員は廿九日午後四時京城に帰ったが、会の状況について聞いてみると
当日は清水、二上両枢密顧問、穂積陳重博士をはじめ教授、助教授、弁護士、判検事等五十名出席し宮本局長が改正の要旨を二時間、安田氏がその政治的社会的影響を五十分間に亘って述べ意見の交換に入った
中央学界の人達にはこの改正が行きすぎではないかとの懸念もあったが、両氏の説明で改正の進歩的意義を充分認識、内鮮一体の基礎を築くものとして大賛成の意を表した
半島の宣伝が不足 安田氏語る
中央の人たちはこの問題を非常に重大視してをり会以外の場所でも盛んに質問を受けた、中央の人たちは朝鮮に対する知識が欠けてゐるので余り意見は出なかったが、行きすぎた改正ではないかといふ懸念を持ってゐる人は可成りあった、結局内鮮一体上実にいいことだといふ意見に皆一致したが、強制的にならぬやうにとい要望してゐた、つくづく感じたことは、兎に角朝鮮の事情が中央にさっぱり知られてゐないことで、もっと朝鮮を宣伝すべきだと思った
朝鮮新聞1940年2月2日「筆致も力強く�狡�鮮創氏相談所�疊湘膺揺槎韻稜�望に応へて咸興府庁に掲げらる」
【咸興】客年十一月十日より朝鮮民事令一部改正と共に咸興府で一般府民創氏設定の万全を期するため種々と前後〔ママ〕策を練って先般は同地方法院と協力して管内戸籍事務担任属を府会議室において招集し戸籍事務打合会も催したが来る二月十一日紀元節の佳辰に実施する一般府民便宜を計り氏設定に関する法規の周知および指導奨励並にこれに関する相談に応ずるため一月卅日午後四時府庁正門に咸興府朝鮮創氏相談所の新しき看板を掲げたがこの創氏相談所設置はこの際各方面から多大の歓迎を受け感謝されてゐる（以下略）
朝鮮新聞1940年2月3日「創氏相談所元山府戸籍係に」
【元山】…当元山府においても戸籍係に創氏相談所を設け内地式に名前を変へたり〔ママ〕人の為に手続き方法や氏の選定或は名前の変更等についての相談に応じてゐるが利用者は非常に多く大繁昌を来たしてゐる
京城日報1940年2月4日「創氏打合会開く」
京城府では府民の創氏に万全を期するため京城地方法院と協力管内の各出張所戸籍事務担当者を府民館に招集し一月卅、卅一日の両日に亘って打合会を開催し、民事令改正について総督府岩島民治課長の講演があり実務の打合せをなしたが来る十一日の紀元の佳節から施行する同令の周知を図るため近く印刷物を管内各団体や各戸に配布する一方ラヂオ放送もすることになった
朝鮮新聞社1940年2月8日「創氏に関し連合協議会」
朝鮮新聞1940年2月13日「創氏手続の徹底仁川府で連日座談会」
京城日報1940年2月15日「城津にも創氏相談委員会」
【城津】創氏！創氏への世紀の嵐は都市村落を問はず吹き捲り近く創氏の大軍が押寄せる予想のもとに邑戸籍係では受付準備万端を整へ去る紀元節より受付を開始したところ書類の不備やらで文字通りの転手古舞で様式を貼り出すなど大騒ぎを演じてゐるが、邑ではさらに創氏制度の指導を旨として相談相手となるべく吉嶺邑長三山副邑長その他若干名を以て創氏相談委員会を設けることになり一両日の内に誕生を見る段取りとなってゐる、創氏に対する大略の参考資料を書面なり口頭なりで申出れば委員会では適当なる氏を選んで呉る筈でどしどし利用されたいと…
朝鮮新聞1940年2月16日「創氏徹底にパンフレット」
皇紀二千六百年紀元の佳節を卜して制定せられた半島人氏設定については連日京城府戸籍課に届出が殺到してゐるが未だこの設定に関し充分な知識を持たない為め折角赤誠溢れる届出も不備となり円滑を欠く場合も多くあるので戸籍課では、氏の観念、氏と姓の相違、氏の定め方等を詳細に記した印刷物を各戸に配布して歴史的創制を意義あらしめることとなった
朝鮮新聞1940年2月20日「創氏相談所 清州邑に設置」
【清州】清州邑では一般創氏者の便利を図るべく邑事務所内に創氏相談所を設けることになったが一方事務処理上の参考のため戸籍係吏員が近日中に京城府庁の戸籍事務の視察に行くことになってゐるなほこの創氏相談が開かれば一般の手間も大変はぶけることが出来るので利用者殺到するものと想像されてゐる
京城日報1940年2月21日「創氏の趣旨を徹底 外地や大陸へ―法務局で準備―」
総督府では創氏制度の趣旨徹底を図るため目下講演会、座談会を各地で催す等種々対策を講じてゐるが、近く外地、満州、北支、中支方面の半島同胞にもこれが趣旨を徹底せしめることになり、近く中枢院参議、法務局事務官をこれらの地方に派遣、氏制度創設の真の意図を伝へることになり目下法務局で準備中である
京城日報1940年3月1日「創氏の真意徹底に繰り出す解説部隊 近く鮮満支へ派遣」
氏制度創設の意義と制度内容の一般的普及のため総督府法務局では近く鮮内各道を初め満州、北支、中支に氏制度解説部隊を一斉に派遣し、半島同胞をしてこの画期的制度実施に協力せしむることになった（以下略）
朝鮮新聞1940年3月5日「創氏の相談」
【開城】開城府においては一日より毎週土曜日正午より午後三時まで開城府創氏相談所を開設し内務課社会係において事務を取扱ふことになった。
京城日報1940年3月15日「創氏取扱事務統一」
最近創氏改名は益々盛んになり、府、邑、面では事務取扱に万全を期してゐるが、総督府内務局ではその取扱ひ中全鮮的に統一する要あるものにつき一三日各道知事に通牒を発した
その内容は道会、府会、邑会の議員や面協議会員、学校評議会員中創氏改名した名に就てはその旨を告示すること、地方選挙の投票中旧姓名を記載し又は旧姓名や本貫を併記したものは有効投票と認めることである
京城日報1940年3月26日「創氏講演と座談会」
形の上からも内鮮一体……といふ総督府の親心で半島人にも内地人同様の氏の創設が許され、全鮮各府邑面の戸籍課は届出や相談で物凄い繁昌ぶりを見せてゐるが、京城府では七十七万府民に一層これが趣旨の周知徹底をはかるため、呉明煥戸籍課長自ら講師となり左の如く講演と座談会を開くことになった
▲ニ十五日午後七時半北部隣保館▲ニ十六日同東和隣保館▲ニ十七日同東部出張所▲ニ十八日同永登浦出張所▲ニ十九日同西部隣保館▲三十日午後一時龍山出張所
朝鮮新聞1940年3月26日「創氏講演会」
【元山】二千六百年の記念を一層意義深からしめ、内鮮一体の実は徹底されつゝあるが、更にそれに拍車をかける創氏制度につき趣旨を普及するため精動元山連盟主催の下に二十三日午後七時から龍洞小学校講堂において講演会が開かれたが講師は本府嘱託道連盟理事劉泰民、中枢院参議金尚会両氏の熱弁が振はれ、おはって裁判所側より手続に関する座談会あり盛会裡に散会した
京城日報1940年4月8日「創氏相談所」
【大田】大徳郡では群民全部が氏を設定し、内鮮一体の具現に邁進さすべく、各面毎に創氏相談所を設置し、連盟委員長が所長役を努めこれが相談に応ずることになった
朝鮮新聞1940年4月12日「創氏懇談会 平南道で近く開催」
【平壌】平南道庁に半島人職員の創氏は徳山産業第二課長（旧名洪憲柏氏）をはじめすでに四十名を越えてをり、その他の職員も夫々創氏を急いでゐるが道当局では創氏に対する指導の万全を期するため近く半島人職員の創氏懇談会を開催することゝなった、なほ各府郡に対しても夫々同様に創氏懇談会を開催、創氏の趣旨徹底につとめるやうに通牒を発することになってゐる
京城日報1940年4月14日「更に徹底！創氏制度普及講演会」
半島同胞の創氏熱は日を逐うて熾烈をきはめてゐるが、一部には今尚創氏制度の趣旨を弁へない向きもあるので、精動京城連盟では管下百三十九ケ町連盟と連絡をとり十五日から左の日程によって「創氏制度趣旨普及講演会」を開くことになった（以下略）
京城日報1940年4月17日「創氏講演会 江華でも十八日」
【江華】朝鮮民事令改正に伴ひ全鮮に創氏熱の沸ってゐるとき江華郡では京畿道道会議員平沼元爀氏を招聘して十八日午後二次から城内小学校講堂で創氏講演会を開催するが一般多数の参席方を希望してゐる
京城日報1940年4月20日「創氏講演会盛況」
�犒舛両紊�らも内鮮一体�瓩箸い嫂匿瓦�ら半島人にも内地人同様の氏設定が許されたが、未だに氏制度の趣旨や方法が一般に徹底してゐない……と精動京城連盟では地域別に�狒六瓩旅岷蕾餃瓩魍�いて当局の本当の気持ちを知らせることになった、十九日午後五時からは半島人の一番集ってゐる鍾路方面の人達を寿松尋常小学校講堂に集め特に中枢院参議、弁護士梧村升雨氏（旧名李升雨氏）を派遣、約二時間に亘り丁寧なる朝鮮語で氏の由来、氏を設定する必要、手続等を平易に説明したのち質疑に移ったが、結局�犹簔�も早く氏を設定しませう�瓩箸い佞海箸飽娶�一致多大の効果ををさめ同七時二十分過ぎ散会した
京城日報1940年4月21日「創氏講演部隊帰る 総督に報告」
在満支半島人に創氏制度の趣旨徹底のため、さき頃総督府外事部嘱目として派遣され講演行脚中の中枢院参議梧村升雨氏外二氏はこのほど帰城、南総督は十九日午前十時より総督府第二会議室で一行の経過報告を聴取した
京城日報1940年4月21日「江華の創氏講演会」
【江華】郡精動連盟では創氏設定普及の徹底をはかるため十八日午後二時から城内小学校で郡内各官公署員を初め郡内各面部落連盟理事長等三百余名を集め創氏講演会を開催
朝鮮新聞1940年5月1日「全鮮弁護士会に魁け大田に講演部設置 志願兵や創氏相談に応ずる」
【大田】大田弁護士会でか会長以下各幹部の陣容全く整ったので民意の言論を擁護するは勿論時局柄皇国臣民の本意を徹底させ日本帝国民たるには先づ創氏よりのスローガンの下に愛護本来の職分を発揮すべく二十七日午後五時から大和会館において常議員会を開催付議事項として全鮮弁護士会より魁けて講演部を設置して時局講習会開●の件創氏相談に応ずる件、出征軍人、軍属の訴訟事件無料鑑定の件、志願兵趣旨徹底の件等に関し協議をなし終って同三十分から在田新聞記者団を招致して前記諸件に関し懇談を共にし隔意なき意見を交換後林会長より創氏に対する法的説明あって一般民衆に対し趣旨徹底を強調してもらいたいを発表終って和気藹々内に晩餐を共にして散会した
朝鮮新聞1940年5月4日「創氏で協議会開催」
【木浦】法院木浦支庁では創氏制度の周知徹底及び事務円滑を図るため管内木浦、務安、珍島、霊光、咸平の府尹、面長、戸籍係主任約百名を招集来る十三日から三日間木浦公会堂において協議会を開催する事となった
京城日報1940年5月9日「創氏座談会」
【仁川】富川郡では安東郡守面行政次席金有善氏隣席の下に六日午後一時半から吾丁面で、七日午前十時から蘇莱面で創氏座談会を開催したが聴講者吾面ニ百二十名、蘇莱面百八十名、即座届出者は吾丁面が二百名、蘇莱面が百六十二名といふ大成功を収めた
朝鮮新聞1940年5月9日「産米増殖と創氏奨励の行脚 安東富川郡守の活躍」
【富平】富川郡の安東郡守は産米増殖奨励と創氏改名座談会開催行脚に汗ダクダクとなってゐるが
◇…六日は吾丁面に出張して産米増殖、農村振興に付激励し同夜面事務所で創氏改名座談会を開いたが出席者ニ百二十名で即日創氏改名手続をした者は二百名の多きに達した更に
◇…七日は蘇莱面に於て産米増殖と創氏改名座談会を開いたが出席者百八十名中即日創氏改名をした者は百六十名に達した
朝鮮新聞1940年5月12日「創氏届出期限迫る 一層の理解を切望 野口大田府尹談」
…往訪の記者に対し左の談話を発表した
自由届出期間である六ケ月間の丁度半期を経たのであるが当府の創氏状況より察して見ると未だ総戸数の一割足らずであることは聊か寒心に堪へない…
当府に於て、は上局の方針に則りまして創氏相談所開設を始めとし核種の講演会、座談会等を開催し或は印刷物等に依て相当趣旨の周知徹底を期して来ましたが届出件数の案外少数であることには驚愕せざるを得なかったのであるそれで其の実情を探査し後日の対策にせんが為書方面より調べて見た結果に依れば、殆ど全部が或る程度は認識…であることは喜ばしい情勢であるが中には兎角躊躇して居る傾向が亦多いやうである、今其の内情を考察するに茲に大きな障害原因が潜伏して居るやうである其れは何であるか、所謂
作氏名鑑定論、である即ち五行相生説とか陰陽説か何とかで切角構想した氏名でも鑑定毎に異説に迷ふ為一向に確定に至らないで胸中秘蔵に止めて居る向が大半のやうであるが願はくば現代の文明国人として殊に興亜建設の盟主として重責を分任する吾人として未だに是等の風水説に迷ふが如きことは誠に寒心に堪へない所である先覚の諸士は深く御反省の上是等の迷蒙者を…創氏届出をなすやう御啓導を願ひたいのである、次に早く進捗しない事由の一としては
宗中会議の、決意を経て云々の問題であるが是亦氏の意義より解して反って屋上屋を重ねる形となり実益も伴はないことを当初から強調した次第であるが、依然続行の向が居るやうである…宗中決議は断然取止めて各自が独自の立場に於て家の称号としての氏の観念に立脚して創氏をおやりになられる方が最も望ましい所である…
今回一層府民各位の御理解を深めて創氏制度の運行を一層有意義ならしむる為に創氏制度に関する質疑応答要旨を別記の通公表致しましたから是非御高覧を願ひまして一日も早く且可成理想的内地人式「氏」を定めて届出づる様に誘導して頂きたい
朝鮮新聞1940年5月16日「牙山郡は過半創氏 趣旨徹底の忠南道」
【大田】創氏は意思表示を現す人事の最も重要視するものなるがゆえに忠南道においても金川知事以下道庁各幹部は創氏に関して重大関心をもって趣旨徹底に東奔西走の有様であるがこの努力の甲斐あって四月末日迄に八千三百十一件で（中略）殊に牙山郡では這般赴任した金密俊治群守の尽力により同郡民にこれが徹底した為め同郡内総戸数の七割一万一千五百七十二人の多数に上った
朝鮮新聞1940年5月21日「南原創氏打合会」
【南原】全州地方法院南原支庁では十五日南原郡管下各邑面長を招集し半島人の氏創設並に改名事務取扱に関する打合会を開催し宮田監督書記から指示事項の説明に次で質疑応答が行はれ午後四時ごろ閉会した
京城日報1940年5月22日「坡州郡民の創氏 既に二千戸を突破」
【汶山】坡州郡では朴郡守が郡民に率先して「新居」と創氏した後官公吏は続々手続をとって十日までに殆ど全部に及んだ、廣灘面長権藤剛一氏は毎夜各部落を歩いて趣旨徹底に努めた結果既に五百戸を突破して同面総戸数の六割に達し臨津面周南洞の如きは全部落二十七戸が挙って届出をすます等すばらしい成績をあげてゐるが、新井郡守は七月末を期して郡民一人漏らさず創氏させる意気込みで各面から旬報を徴しつゝ激励してゐる、主なる創氏者は左の通り（以下略）
朝鮮新聞1940年5月25日「十方里の大仁川に 大工業都市を建設 会議終へて永井府尹の活躍」
【仁川】京畿道の府尹郡守会議のため出城中の永井仁川府尹はニ十三日帰任したが
（イ）…
（ロ）…
（ハ）内鮮一体の強化に備へる輝かしき創氏改名の新制度を一層徹底せしめ来る八月十日の期日内に全部手続を完了する様各町連盟、区長、農振会長、其他各団体を通じ激励するなど
永井府尹が第一線に起ち目覚しい活躍をすることになった
朝鮮新聞1940年5月25日「具現の徹底 忠南府尹郡守会議に於る 金川知事の訓示（二）」
二、内鮮一体具現の諸施策の徹底
…先般紀元の佳節をとして施行せられたる氏制度は半島統治史上実に画期的のものでありまして往古の史実に鑑み大和大愛の肇国精神を奉ずる国家本然の所産でありますと共に内鮮一体の大道を進みつつある半島同胞に更に新なる門戸を開かれたるに外ならぬのであります。各位は宜しく本制度の大精神を究め管下民衆の各層に其の趣旨の徹底を尚一層強調し万遺憾なきを期せられたいのであります。
朝鮮新聞1940年5月25日「創氏、増米計画等 銃後生産拡充へ 安東郡守第一線に」
【仁川】京機道の郡府尹会議に出席のため出城中の安東富川郡守は二十三日夜帰任したが
（イ）…
（ロ）内鮮一体の強化に備へて輝かしい創氏改名の新制度を一層周知せしめ八月十日の期間内に全部の手続を完了せしむる様
二十九、三十の両日に亘り面長会議を開き更に各面では夫々区長や農振会長を招集して各戸に徹底せしめ安東郡守が第一線に起ち従来閑却されてゐた向島から順次激励行脚を敢行することになった
京城日報1940年5月28日「創氏を呼びかく」
【晋州】内鮮一体は氏の創設からと締切りが近づくについれ創氏の手続きが府に届出られてゐるが、府精動連盟では府内の各連盟及び愛国班に呼びかけ更にその徹底化につとめると共に、市内の要所々々に写真のやうな立看板を出し通行人に呼びかけてゐる
京城日報1940年6月8日「元山府が創氏講演会」
【元山】府内の創氏熱は漸次昂まってゐるが、未だ創氏を届出た戸数は全戸数七千三百余の一割にも達しないため府当局ではこのほど半島人府議と協議の結果、来る十二日から五日間にわたって各所で講演会を開催、大々的に創氏の拡大運動を展げることになった、この講演会には宮内法院支庁判事、大沼府尹をはじめ府当局と創氏を終った府議がそれぞれ講師として起つもので好結果を期待されてゐる
京城日報1940年6月22日「有志へ嘱託」
【全州】全州府では後五十日に切迫した創氏期限中に充分創氏の普及と徹底を期すべく府庁内に相談所を置く外各町内の有志に嘱託して相談所を設立し一層創氏者の利便を図ることとなった
朝鮮新聞1940年6月27日「創氏座談会」
【南原】ニ十三日午前十一時から南原邑二階において創氏座談会が開催されたが、講師は全州地方法院長で参席者多く盛会であった
朝鮮新聞1940年7月2日「青山氏の創氏行脚」
【井邑】全北における五月中旬迄の創氏は約八千戸に過ぎず我井邑はこれまで全北道の内一番大きい郡でありすべてにおいて第一をかざる郡であるも創氏制設定は遺憾ながら最下位といふ所これでは八月十日迄郡民の創氏がどのへん迄行くか注目されてゐたが今回井邑実業家青山義上（旧名朴錦孝）氏が創氏普及に乗り出し郡内各地に出かけ「創氏趣旨徹底」を講演行脚をなし非常な好評を博して大成果をおさめ当局は勿論郡民は非常に感激してゐる
京城日報1940年7月10日「創氏・燎原の火 京城では約一割が名乗り」
創氏の進撃は文字通り怒涛の勢で…なほ府戸籍課では締切の八月十日までには予定の三万戸どころか出来れば全戸数の六割六万戸ぐらゐに一斉創氏させようと去る一日から全府各町会に創氏相談所を出動させ各町を単位に創氏改名の相談とか、届出書類の代筆、創氏届の受付等を行はせて素晴らしい成績をあげてゐる
朝鮮新聞1940年7月11日「全郡残らず創氏完了 全鮮に魁けた金浦郡」
【永登浦】締切りを後一月に控へ全鮮に魁け金浦郡の創氏状況は九割七分三厘迄進捗したといふことは既報の通りであるが、以後同郡においては完了未済面点丹、陽西両面に付き創氏設定趣旨徹底に尽力した結果七月五日付をもって前記二ケ面も完了して、此処に同郡実在戸数八、六七七戸が一人残らず創氏を完了した。かくの如く郡民が打って一丸となり一人残らずしかも期限を一ケ月も先んじて芽出度創氏を完了したことは正に全鮮一の感激篇ともいふべくこの蔭には権藤郡守以下関係職員の指導よろしきを得たことを見逃すことが出来ないのである
朝鮮新聞1940年7月18日「広州も全郡創氏か 既に一万三百余戸」
【広州】広州郡の創氏設定は江原郡守及池座所長の創氏趣旨宣伝を徹底したる結果同郡の総戸数一万六千ニ百八十戸の内六月二十日現在東城地方法院に正式届出したものだけが一万三百一戸に達したので創氏設定の成績は広州郡が道内第一位の好成績を上げたのでその未設定の内約五割は同郡内に居住してゐないものと見られ今月末日以内には全部完了するものと見られてゐる。
朝鮮新聞1940年7月18日「忠南連山面は全面が創氏」
【大田】忠南道論山郡は古来両班の土地として知られてゐたので陋習を固執してゐた処創氏の届出期限も後四週間に差迫った今日郡当局並に面係員達は趣旨徹底の為東奔西奔努力した甲斐あって連山面は既に全面が創氏完了した
朝鮮新聞1940年7月18日「大邱の創氏 依然激増の一途へ」
【大邱】創氏改名の受付期間も愈々余す処二十余日と迫ったので関係当局では創氏設定の激励に努めてゐるが、大邱府における創氏届出ではこゝ二三日前俄然激増し同府戸籍係の窓には早朝から押かけ多忙を極めてゐる一日の申告受付は数百件近くに達してゐる
京城日報1940年7月20日「期限内に是非創氏せよ」
【春川】郡では創氏期日の切迫に伴ひ郡民洩れなく期限内完了を目ざして元郡守、金内務課長、金属の幹部は夫々手分けして十六日より廿日迄に管下十ケ面に対し座談行脚をなし大いに督励を加へることゝなり、先づ十六日元郡守は史内史北面に向け行脚に出かけた
朝鮮新聞1940年7月21日「創氏記念塔 皇紀二千六百年建立 金浦神明神祠の境内に建つ」
…権藤郡守は次の如く語る。
「全鮮に魁け去る七月五日我郡が創氏を完了したことは私として全く感謝感激に堪へざる處にしてこれは偏に郡民諸君の時局に目醒め、真に皇国臣民としての覚悟がしからしめたもので、又管下各面職員、精動幹部、農振委員等指導階級の熱心なるご指導に依るものだと思ひます。…
京城日報1940年7月23日「創氏つづく」
【江陵】郡では創氏制が実施されることになって以来先づ指導の第一線に立ってゐる邑面職員の創氏を奨励して来たが十八日現在各面長はそれぞれ正式の手続を終へてゐる、面長別創氏は左の通り（氏名略）
◇
【横城】郡公根面では面長金振�撕抻瓩鮟蕕畤Π�総動員の上各部落に亘り座談会を開催すると共に宣伝ビラ等を配布して趣旨宣伝に万全を期してゐるが、その結果郡内においても優秀なる面として現住戸数一千七百五十戸の中七月十日現在戸籍整理を完了した件数一千余件を遥に突破し、郡内第一位の成績を挙揚してゐる、目下当面においては創氏締切期限八月十を待日〔ママ〕つ要なく今月末日迄現住戸数の全部を創氏せしむべく活動中であるが、なほ面職員は左の如く一斉に創氏して示範してゐる
（氏名略）
朝鮮新聞1940年7月23日「期限は迫るので氏創定趣旨宣伝 金泉出張所において」
（金泉）大邱地方法院金泉出張所に於ては来る八月十日まで氏設定期限切迫に際し先の注意を一般に宣伝した「期限は刻々迫る八月十日限り今熟慮断行の●認識を誤て悔を子孫に胎さぬやう」
氏設定に就いて御注意
一、創氏届出は八月十日迄です其後創氏届は出来ません、名の変更には期限がありません
二、八月十日迄に氏の届を為さぬ者は従来の戸主の姓が其儘氏為る結果戸主の姓が金なれば金が氏となり、妻尹貞姫は戸主の氏に従ひ金貞姫となり子婦朴南祚は紛雑する虞があります、此の結果は内地式氏を設定した、かつたことを却して〔ママ〕後悔することになるだろうと思はれます
三、氏と姓とを混同する向があるやうですが、氏は家の称号であり、姓は男系の血統を表すもので両者の性質は全然異って居ります
四、氏を設定すると従来の姓が無くなると云ふ誤解があるようですが、氏設定後に於ても姓及び本貫は其儘戸籍に存置されますから心配ありません
五、門中又は家中は同一の氏を設定しなければならぬと考へて居る人もありますが大なる誤解であります、氏は家の称号であるが、故に各家異る氏を設定するのが当然であります
六、氏選に就て熟慮中の様ですが考へ過ぎると却って迷ふ虞がありますから速に簡明なものに決定するのが最も理想的であります
京城府「京城彙報 第224号」1940年7月25日発行
町会常会申合事項
本七月府内町会の班に於て開催する常会の申合事項として当府よりは、左記記載の主旨により申合を為し、実施協力方を要望した。…
創氏届出推進
創氏制度実施以来既に四ケ月を経其の間に於ける当府の創氏届出の成績を観るに五月末に於て五分三厘ですから他に比し良好でないのは甚だ遺憾であります。
抑々本制度は半島人の真摯熱烈なる要望に対し、内鮮一体の具現を企図した画期的の制度でありまして、一日も早く創氏届出は望ましい所でありますが、若し現在の儘経過する時は所期の目的達成することは難しいと考へられます。仍し此の際届出の促進を図る為め従来の届出状況に鑑み創氏改名を同時に行ふことなく期間の制限なき名の変更は後日に譲っても差支ありませんから、八月十日迄の期間の制限ある氏の設定を先づ届出で全戸洩れなく予期の目的達成に邁進致したいものです（34頁）
朝鮮新聞1940年7月27日「済州島創氏 好成績裡に進捗」
【済州島】済州島といへば…との伝説より見るも内地との密接なる関係はいふまでもなく近来は冬眠の出稼労働商買は大概が内地を主としてゐる関係上内地人同様の創氏を期待する一方平常内地に渡航しゐる四千人以上の者は痛切にこれを感じ中には勝手に氏名を内地人式に変更使用の向もあったなほ創氏設定の制度発令と同時同古川島司はこの発令の趣旨を徹底せしめ実績を挙げることに努めた結果現在島民八割に達する創氏設定届出あり内地渡航者および支那方面に行ってゐる者が残ってゐる状態なりといふが、当警察署職員の創氏は左の通りである（以下略）
朝鮮新聞1940年7月28日「町総代宅へ府庁員出張 創氏相談と届出受理」
【光州】光州府における七月二十五日現在の創氏戸数は千五百戸で人員約八千に上るがこれが届出期限たる八月十日も切迫してゐるので光州府では創氏手続き不案内の為め左顧右眄してゐる府民の為め来る七月三十一日府庁員が府内各町総代宅に出張って創氏相談に応ずると共に届出手続きの案内およびこれが受理をも行ふこととなったから府民は大いに利用せられたいとのことである
京城日報1940年7月31日「すでに七割五分 開豊郡民の創氏進軍」
【開城】開豊郡では創氏制度の徹底的にあらゆる機関を通じて郡下大衆に呼びかけてゐるが、（以下略）
朝鮮新聞1940年8月1日創氏期日迫り 届出て完了す
【大邱】大邱地方法院戸籍係りにおいては炎暑を衝いて創氏制度の趣旨宣伝誤った認識を是正する等その対策に就て六彌田主任以下全員懸命の努力を傾注してゐるがその甲斐あって前に漆谷郡石積面、清道郡角北面の二ケ面は在住者について創氏を完了したが今回又々左の通り二ケ面在住者について創氏完了した
朝鮮新聞1940年8月4日「創氏改名十万人へ 仁川府の激励隊出動」
【仁川】創氏改名の期日も剰す処僅一週間になった、仁川府の三日現在は約四万人で永井府尹は残る六万人全部の完了を目指し三日から更に激励隊を増員し昼夜兼行で大活躍を開始してゐる
朝鮮新聞1940年8月4日「釜山創氏届出俄然激増」
愈々創氏届出で期日も余す処七日間に押迫ったので釜山府では各係員を督励創氏設定の奨励に拍車をかけてゐるが今迄思案がちであった連中も期日の切迫に名前は後回しにして考案せる創氏を届出で来るものが多くなり（以下略）
京城日報1940年8月6日「創氏趣旨を普及」
【原州】邑では創氏設定を実施して以来邑在籍戸数二千二百四戸の中七月末現在一千五十戸の創氏設定届を見たが期日切迫の来る十日を残し僅に四割程度に過ぎないので邑職員はその督励に大童となってゐる
朝鮮新聞1940年8月8日「創氏締切迫る あと僅か三日！逡巡し悔を胎すな 大田地方法院石岡戸籍主任談」
（大田）創氏手続期間も余す旬日に切迫したので此際半島人は逡巡して悔を千歳に残さず速急に創氏を実施すべきであるのに鑑み大田地方法院戸籍主任石岡照氏三日往訪の記者に語る
半島における画期的な施設と言はれる創氏届出期間も来る十日まで余す処僅数日となった、この間当院関係者は勿論道、府、郡、面各当局の熱烈なる御努力と民衆各位の理解ある認識とによって、創氏成績につき多大の効果を挙げ得たことは実に感激の至りである、然るに今日においても創氏については相当解しながらも徒らに狐疑逡巡し、又は近視眼的に右顧左聘〔ママ〕して創氏届出を為さず、或は創氏希望ありながら名の変更の字画等に拘泥してこの千載一遇の機会を逸せんとする人のあるのは半島のため又その人本人のために甚だ遺憾に堪えない、自己一身の煩雑を忌ははず子孫百年の大計を考へたならば速かにこの恩典を活用すべきである、今からでも決して遅くはない気のついた人は早く府邑面に届出をして貰ひたい、それでないと八月十一日からは氏は届出のみによって効力を生ずることなく、氏の変更許可申請に依らねばならないのみならず正当の理由なくしては氏の変更は許可せられぬ事になってゐる、あと三日！何うか創氏希望者はこの期間を最も有効適切に利用して欲しい
京城日報1940年8月10日「創氏最後のゴールへ 今夜は十二時迄受付」
けふ十日愈よ創氏届出受付は歴史的な締切を行ふ、創氏設定実施以来茲に半歳、半島同胞の歓喜と感謝とは半島統治卅年の結実、創氏に殺到し、新らしき�犹甅瓩魍領�した晴々しい顔が半島の街に、村に、山に、海に、満ち溢れてゐる、二千三百万同胞の五割突破を目ざす最後のけふ、各府、邑、面戸籍係は職員を臨時増員して夜十二時迄受理する手配を行ひ、一人でも多くと万全を期してゐる、一方十日付の消印のある郵書の届出は受理することになってをり、この方にも整理員を増して民衆の喜びに最善の便宜を払ってゐる
京城日報1940年8月11日「伊川の予想九割五分」
【伊川】文廟直員兼地方改良事務嘱託李桂英氏は今回創氏制度の趣旨普及のため各部落座談会を催しこれが、創氏の徹底を期してゐるが、特に伊川面の創氏届出者は千件を突破し届出最終日の十日迄には全人口の九割五分に達する見込みである
京城日報1940年8月11日「創氏相談に大童」
【原州】殖産支店では創氏設定届出期日切迫した今日なほ姓名の研究にのみ迷ふものが多いので一般のため創氏設定無料相談に応じ手続に便宜を与へてゐるが、学生の改名のみでも日に平均卅人に達し安原支店長はその奉仕に忙殺された
朝鮮時報1940年8月11日「創氏殆んど徹底 所期の目的を達成 七月卅一日現在の調査」
八月十日をもって画期的な創氏手続期間は締切りとなる創氏宣伝と勧奨とは文字通り総動員体制をもって徹底せしめたので殆ど手続を完了しないものはないと云ってよからうとの見解が有力に行はれてゐる程創氏制度は徹底した釜山地方法院管内においても七月末現在において二万三千三百十五戸五割二分四厘で創氏手続きをとってゐるが、その後十日間において素晴らしい●字を示し目●計●取纏め中であるが転居者其他戸籍のみあっ●●際に居ない者を除けば悉くが創氏したと●てよからうとされてゐる。尚七月卅一日現在における数字は左の通り（以下略）
朝鮮時報1940年8月20日「創氏設定の徹底 蔚山は七割強となる」
（蔚山）創氏設定届出開始以来蔚山邑に於て趣旨の普及徹底に大童となり極力馬力を掛け去る十日を以て届け出期間も●了となり蔚山邑のは本籍者ニ千二百十一戸居住者百十一戸の全戸数に対し約七割三分強といふ好成績を収めた
朝鮮新聞1940年8月22日「創氏の実績と半島人官吏」
…約半歳の短期間に総戸数の七割に近い半島民衆が創氏したことは事実として表現された驚異的数字である。この事実を凝視して乗り遅れた三割は当然追ひ駆て便乗すべき筋合である。吾々が這般の創氏において最も通切に感ずるのは官界における一部の消極的態度である…民間に範を垂るゝ確固たる信念を把握してゐるならば今回の創氏の如きは官禄を食む者は率先し自発的に実行し理想的に言へば官界にある者は独りをも余すところなく創氏せしめねばならぬのである…依然として消極的態度を持する者に対し誘導して尚効果なきに於ては強圧粛正のメスを揮ひ国家全体の動向に帰一せしむることが時局下喫緊の要事である、創氏実績の発表に際し官界の上位にある半島人が創氏するもの少なき事態に鑑み敢て所感を記し併せて官吏が国家全体の動向に順応する心構えの切要を認め吏道の刷新を切望する次第である。
朝鮮新聞1940年9月28日「芸名は内地名に 創氏を徹底」
キャスト中に創氏を記入せざる事前脚本は受付けざる意向であった総督府検閲室では今度はそれを一歩進めて芸名も可及的内地名に変へ映画製作業者にも創氏制度を徹底する意向であると
６．その他
創氏改名後は新しい名前を使う
京城日報1941年3月26日「卒業式に聞く姓名がみんな内地名前 創氏の感激はこゝにも 朝鮮の新生活を語る 津田節子 金鳳姫両女史」
鎌田澤一郎「朝鮮新話」1950年、創元社
こちら側に緑旗連盟婦人部長の津田節子女史、あちら側に梨花高女の金鳳姫先生、まん中に八幡ＤＫ第二放送部長が卓を囲んで、何となく落付がないやうな神妙な顔―三つの顔、これはこの廿九日ＤＫから放送される「婦人の時間」に対談、全国中継�狡�鮮の家庭新生活を語る�瓩料蠱眠颪任△�
【八幡】朝鮮の家庭生活の変化といふものから目星しい特徴を色々拾ひ
【広田】一番大きな変化といへばやはり表札の文字がどんどん変ってゆく、このことが目に見えず家庭の内面生活にも大きく響いてゐるのではないでせうか
【八幡】さうさう、創氏の影響といふものは決して名前そのものゝ形式だけの変化ではありませんなこれは朝鮮の家庭生活の向上変化に、いろいろの実質的の意味を持ってゐます、例へば私の家族なんかも、娘の英子（イヨンチヤ）とか春子（チユンチヤ）といふのを、今では英子、春子と、純日本呼びに普段用ひてをりますが、かういふ風な呼び方をすることによって、自然家庭の雰囲気にも、何がしかの変化があり、惹いては内地式生活へのしきたりにもだんだん接近してくるといふことがいへます
【津田】昨日も宮村さんとこの女学校（誠信女学校）の卒業式に参列しましたが、生徒の名前が大分変ってをりまして、卒業生内山千鶴子、香川武子、朴沢とし子、右鶴代朝山京子、といった工合に読みあげてゐるのを聴いて、昨年の卒業式とは非常に変った感激を味ひました、これがみな朝鮮の娘さんばかりですもの、尤もまだ創氏の出来てない人もをりましたがかういった変り方は内地の人達に想像出来るでせうか（以下略）
鎌田澤一郎「朝鮮新話」1950年、創元社
南（※南次郎朝鮮総督）統治の中心をなすものは、鮮満一如と内鮮一体であり、朝鮮人の皇国臣民化であった。鮮満一如といふのがすでに頗る侵略的表現であり、事実当時の関東軍第四課と連絡して、各種の問題で朝鮮の軍国化を図って行ったのである。※鎌田は朝鮮総督府嘱託
内鮮一体のスローガン実施に当って、もっとも大きい失敗は、世に有名なる創氏と国語常用の問題だ。即ち朝鮮人に日本の姓を与へ、加藤清正とか石川五右衛門とか名乗らせることだ。名は体を現はすことになるが故に、日本名を名乗らせて、その中味をも、完全な日本人にしようといふことであった。
もっともそのころは、日華事変から太平洋戦争へ引つづく重大時期で、国家意識は昂揚され、軍国主義が高調される段階であって、朝鮮人の中にも、創氏改名を希望する者も相当あった。そのころ著者が外遊中に於ても、欧州やアメリカで滞在する朝鮮人、中国人の多くは、大抵日本名を名乗り、日本人と称してゐた。ホテルレヂスターなどで、意外な日本名が記録されてゐることを発見することなどしばしばであったのだ。
さうした傾向もあったのだから、もし心からそれを希望してくる大勢ならば、委員会でも設けて許可制でもとればよかったのだ。
然るに南はそれを全鮮に強制した。各地にいろいろの悲喜劇が発生した。裁判所などで終日被告控室で待ちつづけ遂に呼出しがない。しかるに判決は欠席裁判で有罪となって居る。段々聞けば裁判所は創氏の日本名で呼ぶのだが、本来その名は自分が改名したものでなくて、面長や駐在所の巡査などが勝手に改めて、夫々登録されたものであるから、本人は全く知らなかったり、又うっかり忘れて了ふところから起きる喜劇であった。
創氏改名する利益、しない不利益
朝鮮新聞1941年4月12日「半島学生北支進出…創氏改名が第一条件…」
朝鮮新聞1940年9月30日「晋州郡内の創氏八割強 公職者中二名が旧姓」
北支華北交通公司と華北電々公司の両社から半島人の新卒業生を斡旋して欲しいと過般総督府倉島学務課長に申込があったので同課長は在職専門学校以上の学校の今春の卒業生について厳選中であったが城大一名、京城高商二名、普成専門一名、計四名を推薦したところこの程両社の快諾を得た
採用条件は創氏改名を第一条件とし採用後は内地人と全く同様な待遇を受けることになってをり交通（城大・高商、普成各一名）電々（高商一名）にそれぞれ赴任することになったがこれは半島青年北支採用のトップを切るものであり半島人学徒に開けた光明である
朝鮮新聞1940年9月30日「晋州郡内の創氏八割強 公職者中二名が旧姓」
【晋州】晋陽郡内では半島人創氏の画期的制度に決然創氏せるものが林、柳の如きそのまゝ氏に替へ得るものを除いて八割強におよび十六面長はもち論、面協議員の如き公職にあるものは悉く創氏したにも拘らず晋州府府会議員並に商工会議所議員中に創氏しないものが各二名であるが何れも同一人であるので結局二名の公職者が依然旧姓名を名乗ってゐる訳である
創氏改名の３パターン「氏のみ」「名のみ」「氏・名両方とも」
朝鮮総督府官報第3985号 1940年5月7日
◉官吏創氏並改名
昭和十五年三月二十八日朝鮮総督府郡守全在禹は邦本と創氏し同ニ十五日豊歳と改名、四月二日朝鮮総督府郡守金暎起は金松秀明と創氏並に改名、二月二十五日朝鮮総督府判事白漢成は水原と創氏し四月一日鶴人と改名、同五日朝鮮総督府郡守金井喜は金井と創氏し三月三十日喜一と改名したり
◉官吏改名
昭和十五年四月五日朝鮮総督府道理事官林文碩は文茂と改名したり
◉官吏創氏
昭和十五年四月十七日朝鮮総督府京畿道参与官兼朝鮮総督府道事務官李昌根は平松、同一日朝鮮総督府郡守朴彝淳は新居と孰も創氏したり
京城日報1940年7月5日「金慶南参与官『金林』と創氏」
【釜山】慶南参与官産業部長金泰錫氏は本貫慶州金氏の発祥に因んで金林（キンバヤシ）と創氏、名は泰錫をヤスカネと訓むことに決定、一門三百余戸もこれに倣って手続き中である
氏の作り方
京城日報1941年8月12日「内地人風が三割五分 統計から覗く創氏考現学 氏設定満一年」
去る十日は半島統治史上画期的反響を呼んで成果を揚げた氏設定の届出締切後満一周年の記念すべき日であったが、半島同胞の居住するところ遠く海外まで歓喜の波を沸き立たせた氏設定はどういう風に創設されたが〔ママ〕本庁龍山出張所の興味ある統計にその外貌を覗いてみる
『管内現住総戸数は七、七七〇戸であるが創氏戸数が七、五四一件にで〔ママ〕全体の〇、九六二の歩合を示してゐる』
そこで最も興味のある氏の名称創設は次のやうになってゐる
『姓を取り入れたるものが二割、本貫を取り入れたるものが一割、祖先の称呼を取入れたるもの五分、姓その儘の氏を設定したものが五分、本貫以外の縁故ああ〔ママ〕地名に関係したものが三分、内地人の氏に倣ったものが三割五分、崇拝せる人物の称呼に関係したものが二分其他が二割となってゐるが』
内地人の氏に倣ったものが全体の三割五分を示すなど興味深く、氏設定の方法としては
『門中の決議に依ったものが一割、近親間の協議によって決定したものが五分、府尹、面長、学校教師その他有力者に決定してもった〔ママ〕ものが一割五分、自己独自の考案でやったものが三割、姓名判断に依ったものが一割五分其の他の残りが二割五分になってゐるが』
将来における貴重な文献として後世に残す本制度の成果は幾多の意義と興味を投げ掛けてゐる
氏名の読み方（発音）
創氏改名した後は朝鮮語の発音ではなく「国語」つまり日本語の発音で名前を発音するものとされていた。
国民新報1940年3月10日「一週一常識 千百人に一人 京城の『創氏改名』届出 京城府庁元学均」
京城日報1940年8月11日「創氏改名を鮮名で呼称 長箭の風景」
京城日報社「朝鮮年鑑 昭和20年版」1944年10月20日発行
国民新報1940年3月10日「一週一常識 千百人に一人 京城の『創氏改名』届出 京城府庁元学均」
…届出て〔ママ〕られた創氏改名をみると、やはり、在来の姓名に多分に未練があり、大抵は本貫を其のまま国語読みにするか、或は現在の姓に他の字を付け加へて読まして居るものが多い。
京城日報1940年8月11日「創氏改名を鮮名で呼称 長箭の風景」
【長箭】…晴の創氏設定者は既に改氏名による名刺を印刷所持し門標を掲出してゐるが中には全然国語を解せず新たな名を依然朝鮮語で呼称してゐる者もある
京城日報社「朝鮮年鑑 昭和20年版」1944年10月20日発行
決戦美術展覧会に較べれば、六月の恒例朝鮮美術展覧会は、その本来の性格を異にしてゐるとはいへ更に物足りぬものであった。…未だ心の構えに於て、技法の錬磨に於て甘やかされゐる点が多かったようである…なほ戦争の現況と睨み合せて今一段も二段もの急速な精進を希望したい。此の決戦下に於て少い大切な絵画用資材を使っての成果は、もっともっと大衆の胸を打つものでなければならない。誰かゝ評に、ローマ字で而も創氏前の漢字の朝鮮読みの署名をしてあるのがあると言ってその画家の心構へを非難してゐたが、一人のことに限らず頂門の一針として傾聴してをくべきであらう。（224-225頁）
創氏奉告祭、名刺交換会
朝鮮新聞1940年「郡民挙って創氏」
京城日報1940年7月31日「全郡創氏に沸く 金浦の盛大な報告祭」
京城日報1940年8月4日「郡民挙って創氏」
京城日報1940年8月14日「学務局職員創氏」
京城日報1940年8月18日「仁川職業校 創氏奉告祭」
京城日報1940年8月22日「薫る創氏の成果 喜びの名刺交換会 明治節の佳辰に開催」
京城日報1940年8月25日「感激の創氏完了奉告祭」
創氏手続き期間はあと二週間を余してゐるが、京畿道金浦郡八千六百七十七戸は、二十四日全部創氏手続きを完了したので、精動金浦連盟では、二十九日午前十時から、金浦神明神祠大前で創氏完了奉告祭を挙行するはずであるが、道からも精動幹部が出席することになった
京城日報1940年7月31日「全郡創氏に沸く 金浦の盛大な報告祭」
既報、全鮮の創氏熱に拍車をかけた京畿道金浦郡の創氏は八千六百七十七戸が一人残らず皇国臣民としての歓喜を挙げてゐるが、二十九日この創氏報告式及び記念式は精動金浦連盟主催で京畿道知事代理神谷内務部長、金子京城地方法院長列席、各面長、警察官、青年団学校生徒、警防団など数百名三州して金浦神祠で盛大に挙行された、京城神社神官及び郡内二校長神事を奉仕して厳かな報告祭を終り次いで記念式に移り郡民の総意で総督、総監法務局長に謝電を発したところ、忠南に出張中の総督から
『全郡民創氏完了の趣、慶賀の意を表す、官民一致内鮮一体の実を挙ぐるため御奮励を望む』
との激励の返電を受け、また法務局長からも祝電を受けて郡民一同感激を新にした（以下略）
京城日報1940年8月4日「郡民挙って創氏」
【海州】遂安郡では景山郡守が真剣に創氏の趣旨徹底につとめ遂に酬ひられて七月卅一日六万級千二百三十八人の全郡民が創氏を完了同日遂安神社で奉告祭を行った、その通知に接した金村知事は郡の首脳者が理解し郡民を指導した熱心に対しうれし涙を浮べて感激
京城日報1940年8月14日「学務局職員創氏」
総督府学務局全職員百九十名のうち半島人五十八名は李家社会教育課長を筆頭に全員創氏して全き皇民生活を実践してゐるが十五日午後四時廿分から第一会議室で鹽原局長以下出席して意義深き喜びの創氏報告式を挙行する、まづ創氏者各自の自己紹介があって局長の訓示、内地人側代表の祝辞あって番茶を啜りながら全き皇民生活の輝やくスタートを祝福する
京城日報1940年8月18日「仁川職業校 創氏奉告祭」
【仁川】公立職業学校の半島人生徒百余名は今回の創氏制度にあたり全生徒●て創氏を行ひ百パーセントの好成績を収めたが、十七日午前十一時半仁川神社において創氏奉告祭を行ひ心身ともに皇国臣民となった喜びを告げた
京城日報1940年8月22日「薫る創氏の成果 喜びの名刺交換会 明治節の佳辰に開催」
創氏制度の輝く成果を記念し平林麟四郎（旧名申錫鱗）氏の主宰する京城和泉町同民会本部では来る十一月三日明治節の佳辰を卜して創氏記念名刺交換会を開催内鮮相互の交歓に便することになった、会費は一円を添へ九月末日までに創氏名、旧姓名、職業、住所その他を記して同民会本部宛申込むことになってをり内地人有志の参加をも希望してゐ〔ママ〕
京城日報1940年8月25日「感激の創氏完了奉告祭」
【汶山】坡州郡では既報の通り郡民一万六百廿一戸が八月十日迄に漏れなく創氏届出を済ましたので廿日午前十時半から汶山神社で神谷京畿道内内務部長、金子京城地方法院長、山澤検事正、上坂開城支庁判事、郡内各官公署長、郡内有志及び学校児童千余名参列の下に荘厳な奉告祭を挙行した、新井群守の挨拶、鈴川道知事告辞（代読）法院長及び検事正の祝辞に次いで愛国班員総代の涙ぐましい感激に満ちた謝辞を述べれば、老儒生十余名が各々創氏制度制定に対する奉賛文を奉呈して参列者一同を痛く感激させた、なほ愛国班一同の発議で南総督あて左の感謝の電報を発送した（以下略）
教科書の登場人物も創氏改名
京城日報1940年8月4日「『福童君』『玉順さん」が『太郎君』『花子さん』初等教科書仲良く改名」
紀元二千六百年半島の歓喜、創氏設定に倣って総督府編纂の初等教科書中にある�猜‘厳��甅犇冥腓気鶚瓩燭舛�揃って創氏改名することになりました―半島統治上画期的なものとして二月十一日発令以来、突風的な歓迎をうけてゐる創氏は、八月十日を以て締切るが、総督府学務局編輯課で編纂目下印刷中の来年度使用初等学校国語読本中の人名は現在なほ�猜‘賢瓩筬犇冥膈瓩凌楊召鮖藩僂靴討陲襦△海譴蕕睇�然的に現情に即応して�猜‘賢瓩廊狢析梱瓩豊犇冥膈瓩廊牴峪勠瓩冒六甓�名しなければをかしいのだ、当局でもかねて研究を重ねてゐたが、揃って創氏改名することに決まり、今まで印刷済みの時は別として今後印刷の分から新名選定のうへ�狢析嵯��甅牴峪劼気鶚瓩鯏貍鬚気擦襪海箸砲覆辰拭△海譴婆�年度使用読本は已むなく�犁賁将瓩鉢狄渓将瓩販昭鑪爐�刊行されるが、今後印刷の教科書は全部創氏改名させることになってゐる
名札・印鑑の特需と郵便配達の苦労
朝鮮新聞1940年3月1日「郵便配達夫 創氏で戸惑 馬山の異風景」
京城日報1940年4月10日「印章屋さん大当りの巻 創氏のお蔭……とホクホク」
京城日報1940年8月14日「創氏の電撃 名札屋さん有卦に入る」
京城日報1940年8月25日「創氏の喜びの蔭に郵便集配手の苦心」
朝鮮新聞1940年9月3日「之では困る 創氏と郵便配達夫 新標札が無いので一と苦労 標札二つ掲出の事」
京城日報1941年2月27日「門標も書き替へよ 創氏はしたが旧態然 郵便屋さん泣かせの開城の街」
【馬山】氏設定で戸惑ひする配達夫、皇紀二千六百年の建国佳節に朝鮮民事令の一部が改正され、馬山府でも創氏設定が次々と申告されてゐるが、その殆どが旧姓を取除き新らしき創氏の標札を門標に掲げてゐるので郵便配達夫が面喰ってゐる有様、馬山郵便局では当分間新旧両姓の門標掲出を要望してゐる
京城日報1940年4月10日「印章屋さん大当りの巻 創氏のお蔭……とホクホク」
【開城】今回の創氏制度の実施以来、殊に届出期間もおひおひ切迫するにつれ、印章屋さんと代書屋さんは大あたり……
「これまでどんな法令が布かれても私共の商売は何のお蔭もかうむらなかったが、今度といふ今度は創氏制度のお蔭毎日少くとも数箇の註文がありますよ特に支那、満州方面から帰ってる人は殆ど挙げて創氏されたやうです、何といってもあちらへ行くと姓名が物をいふと見えましてね……」
と、はんこ屋さんはほくほくです
京城日報1940年8月14日「創氏の電撃 名札屋さん有卦に入る」
八月十日で一応届出が締め切られた創氏は京城だけで六割を占め、六万六千六百廿一戸に及んでゐる―この創氏部隊の化粧役は�猝昌ゲ阿気鶚瓩鉢牋�鑑屋さん�瓩澄�届出ると直ぐ門標、名刺、印鑑へと創氏におとらぬ殺到ぶり、府内の業者たちは注文の猛襲撃にタじ〔ママ〕タじの態である、府庁前の名札屋さん東一ペイント社で聞いてみると�爛┘悒叩∨萋�三十枚以上の注文がありますよ、お値段はこの際非常に勉強してをりますんでネ、瀬戸、大理石などありますが、木札の六十銭から大理石の四円位までです、毎度ありがたうゴザイマス�瓩藩�卦に入った形である
京城日報1940年8月25日「創氏の喜びの蔭に郵便集配手の苦心」
【広州】郡内の創氏は届出八割七分といふ好成績を挙げたが、この反面、管内の各郵便所では引受郵便物全部が新氏名となってゐるため未だなれない氏名の郵便物配達に非常に苦心してゐる
朝鮮新聞1940年9月3日「之では困る 創氏と郵便配達夫 新標札が無いので一と苦労 標札二つ掲出の事」
【永登浦】創氏とその後に来るものこれも躍進半島の過渡期における悩みである最近永登浦郵便所管内では頻々として書信が延着したりチャンと本人が居るのに付箋を付けて廻したり返戻されたりする事件があって住民は非常に迷惑してゐるが、これにつき同郵便所に問ひ合すとこの原因は創氏をして、知人間には挨拶状等は出しておきながら、未だ標札を掲げてゐないため間違ひを起したもので、このため郵便配達たちも非常にまごつくといふ話しである創氏した人は当分間旧姓名と創氏名の標札を掛けて置く事と郵便所へ創氏届出を出して置けば先づそういふ間違ひはないといふから一般はこの点注意してもらひたいと
京城日報1941年2月27日「門標も書き替へよ 創氏はしたが旧態然 郵便屋さん泣かせの開城の街」
【開城】郵便屋さんにもこの嘆きあり…さきに創氏制度が実施され一段と内鮮一体に明朗性を加へ、府内でも創氏したものは約九割強にも達する好成績を示したが、以来すでに半年を経過した今日、どの街を歩いてもそれらしい門札を懸けてあるものは極めて稀で、依然として金某、朴某の旧名そのまゝに古色蒼然たる門札がかけ放しになってゐるものが多く一方郵便物などには殆ど創氏した新しい宛名ばかりなので郵便や電報配達には非常な迷惑をかけてゐる、勿論これらは旧名への執着の念と不注意とによるものであらうが、一旦創氏した以上は、それが正式の氏名となったのであるから表札も同時に書き替えへて名実ともに改むべきであり、かゝる一寸した不注意から往訪者を迷はせるばかりか、忙しい郵便や電報配達などの公務にも支障を生ぜしめることは許されざることで、これ等は公徳心からしても将又法規の上からしても直ちに励行すべきものであると警察当局でも一日も早く正しく励行せしむべく目下調査中である
朝鮮半島以外での創氏改名
京城日報1940年8月8日「六千百余名 北京では半分以上創氏」
朝鮮新聞1941年5月6日「創氏報恩記念塔 山西省太原に建立」
【北京特信】大陸に飛躍する半島同胞を歓喜させた創氏制度の実施は北支でも非常な感動を与へ、総督府北京出張所では氏設定届出で大多忙を極めてゐる、北京は大陸の拠点ともなってゐるため特に多く、一万二千余名の在留同胞の中七月九日迄に届出を完了許可せられたものは六千百四十二名に上ってをり、其後届出締切日の切迫につれて激増してゐる、届出は代書人取扱ひ多く、山西省方面からの依頼届出が目立ってゐる
朝鮮新聞1941年5月6日「創氏報恩記念塔 山西省太原に建立」
