The Japan Association for Transnational Studies

第1報告

中国企業の人事労務管理に関する研究 ―人事考課を中心に─

 報告者:遅 暁潔氏(桜美林大学大学院 博士後期課程)
 司会者:岩井 清治氏(桜美林大学大学院教授)

報告要旨

 1990年代から、中国の企業において人事考課が導入されつつあるが、多くの企業では、人事考課を行う際に、まず社員に自己評価をさせる。

それから、直接の上司からその社員に対して評価を行って、日頃の勤務態度、同僚との協力や規律性などについて採点を行う。普通はこれが最終の考課の結果となる。
しかし、この方法ではいくつかの面で明らかな不足点が出てくると考えられる。

そこで、今回は企業Aと企業Bにおける人事考課の事例を取り上げ、その特徴と問題点について分析を行った。人事考課を実施する目的は仕事を改善するためであって、従業員個人の目標と会社全体の目標とを整合させ、管理の過程のそれぞれのプロセスに明確な目標と駆動力を持たせ、そして会社の現在の発展状況を反映させた上で会社の短期、長期の目標を勘案して業績を評価するのが最も望ましい。

 人事考課を公正に行うためには、考課の基準を明確にし、その基準を守りながら、事実に基づいて考課を行うことが不可欠である。さらに人事考課の目的を明確にして、その具体的な目的にあった仕組みにする必要がある。
 最後に、人事考課や業績評価の結果をいかに処遇や昇進に活用するかがこれからの課題である。
(遅 暁潔記)


関連ページ:2009年度研究会第1回-2

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