ImgCell-Automaton。 ここはimgにおけるいわゆる「僕鯖wiki」です。 オランダ&ネバダの座と並行して数多の泥鯖を、そして泥鱒をも記録し続けます。

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&align(left){''「ふっっざけんなァッ!! なんであたしがこんな目に遭うんだよォッ!!!」''}

&align(right){''「死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。……誰でもいいから、私を助けてよ」''}

*基本情報
【氏名】メア・アンビット(Mere Ambit)
【性別】女性
【年齢】21歳
【出身】シンガポール
【身長・体重】161cm・52kg
【肌色】やや色白 【髪色】黒 【瞳色】黒
【スリーサイズ】並・わずかに大・わずかに大
【外見・容姿】シンプルな無地のデザインで衣類を揃えたパンツルックの女性。その目線は刺々しく、しかし脆い。
【令呪の位置】鎖骨の間

【属性】中立・中庸
【魔術系統】-
【魔術属性】-
【魔術特性】-
【魔術回路】質:D 量:C 編成:共鳴回路
【起源】?

【所属】バーチャルストリーマー事務所「アセンダント・スター」東南アジア・オセアニア支部
【階位・称号・二つ名】バーチャルストリーマー“神原キャサリン”

【契約サーヴァント】[[マニ]](シンガポール聖杯戦争/[[Fate/AlteR Karma]])

[+]Bing Image Creatorで出力
[[&ref(https://image01.seesaawiki.jp/k/a/kagemiya/GLMxhMfbOm-s.jpg)>https://image01.seesaawiki.jp/k/a/kagemiya/GLMxhMfbOm.jpg]]
[END]

*魔術・特殊技能・特性など
**知識
 一応は大学進学を念頭に学習しており、しかも世界有数の教育の質を誇るシンガポールにおける最高級の教育をしっかり受けてきただけあり、学業成績は優秀だった。
 学校で学習する範囲、もしくはそこからせいぜい一歩踏み込んだ程度ではあるが、そこで学んだ知識は完全には忘れていない。優れた記憶力を持つ証拠ともいえるだろう。

**インターネットスキル
 ストリーマーとして活動するのに必要となる、もしくはなり得るスキルについての習熟を示す。電子機器や関連ソフトウェアの扱い、ネットトラブル対処に関する知識の保有など。
 その業務上必要に駆られて身につけたものではあるが、継続は力と言ったもので、配信等に直接関わる部分についてはそれなりに扱えるようになっている。
 勿論その種のエンジニアなどには遠く及ばず、著名なインフルエンサーほどには場馴れしているわけでもないが、時代における標準を超える程度ではある。

**憑依型演技
 いつまでも芽が出ないストリーマー業をメアが続けられている所以。何度も何度も読み込んだ設定を元に、「神原キャサリンというキャラクターに取り憑かれる」ようにして演技する。
 暗黙の了解として、その消費の文脈に「中の人」の存在を織り込む昨今のバーチャルストリーマー業界の常識に照らして、このような活動方針は少数派であり、所謂色物の部類に入る。
 なお、設定から補えない空白については、設定から想定される最適解を「思い出す」ことで埋めており、彼女のファンには、この特徴から来る「中の人」臭の薄さ自体を魅力と見做している者もいる。
 ストリーマーとしての自意識を本来の自分の上からペルソナとして被ることで、彼女は自分の鬱屈を押し殺し、日々を過ごしていた。
 このような演技が彼女の中で確立されたのは、恐らく、幼年来の将来への期待に答えるために学校で被ってきたペルソナの影響であろうと考えられる。

 聖杯戦争においては、自己の生き残りのために、意図的に神原キャサリンのペルソナを被って敵対者と相対することが殆どとなるだろう。
 その仮面の下でどれほど心を裂かれ泣き叫んでいようと、生存に資すると思う限り、その憑依は恐らく解けることがない。

***神原キャサリン
 「荒っぽい性格をした女子高生。実は裏で退魔師をしており、悪霊を物理でとっちめているが、本人は悪霊が怖い。
  仕事探しを兼ねてストリーマー業を始め、名を売ろうと考えている」……という設定を持つ、ストリーマーとしてのアバター。
 聖杯戦争中はこの性格を再現したペルソナを被ることで、万が一の接敵時にも最低限舐められないようにしよう、とメアは考えている。
 なお、演技に活かすために、サブカルチャーの文脈によるものではあるがオカルト系知識を調べており、そのうちのいくらかは魔術世界の常識とも合致している。

**魔術回路の共鳴
 密かに内包していた魔術的な&ruby(ギフト){特異素質}。他者と精神的「共鳴」を起こすことで、互いの持つそれを賦活する。
 共鳴というのはこの場合共感と表現しても差し支えなく、互いの精神状態を同調させる、または最低でもその近似値を取ることと換言できる。
 発動に際しては魔術的な&ruby(パス){径路}を一時的に結ぶ必要があり、基本的には互いの魔術回路を肉体的接触によって接続することでそれが成される。
 一方、サーヴァントのような霊基からなる実体との間であっても、魔力を扱う存在であればこの能力は行使可能である。
 発動すると一時的に魔術回路またはそれに相当する霊基の構成要素が活性化し、出力が向上。魔力の生産量自体も接触中に限り増す。
 彼女が[[自身のサーヴァント>マニ]]と触れ合ったときに偶然発見されたものであり、魔術に熟達しているわけでもないキャスターによる解析では、詳細な原理は分からなかった。

*礼装・装備など
**ウェアラブルデバイス
 スマートウォッチをはじめとする各種電子機器端末。親の金にあかして購入した市販の最先端モデルである。
 中でも配信業用に購入したものについては、数世代前のハイエンドデスクトップPCにも匹敵する性能を誇っている。
 その描画能力及び処理能力によって、喩え出先であろうとも、配信アプリでメアを撮影することで、たちまち「神原キャサリン」を現実に登場させることができる。


*外見・容姿の詳細など
 おおよそセミロング程度で揃えられた黒髪、何の変哲もない黒の瞳。全世界的に数値の増加傾向がある中でもそれほど高いわけではない身長と体重。
 スリーサイズなどの身体的特徴についても平均と比べての大小はなく、強いて言えば運動不足の影響で腹囲及び腰回りがやや大きい。
 父系に由来する英語圏の名を持つが、母系はシンガポールに定着した華僑であるということもあり、その外貌はほぼアジア人の一般的な女性と言って良い。
 普段その表情は固着気味であり、良くも悪くも表情筋があまり動かない。配信中でさえフェイシャル・キャプチャーが不要な場合は無表情ということもしばしば。
 それは恐らく、今まさに自分が親の脛を齧りながらその親に敵意を向け、お遊びのような仕事をしている現状への様々な感情が表層に出ているのであろう。
 服装に関しては派手に着飾ることを好まないタイプであり、量販店で買い求めた無地の衣類を着ていることが多い。
 総じて色気も素っ気もない雰囲気が漂っており、そして本人もそれを特別何とも思っていないことが見て取れる容貌をしていると言えよう。

*人物像
イメージカラー:黒と白?
特技:アドリブでの設定想像
好きなもの:胡麻団子、虹
苦手なもの:匂いのきついハーブ、バロット
天敵:両親
願い:生き延びたい。今はそれ以外考えられない。

【一人称】私((英語のニュアンス上比較的丁寧な喋り方をするため)) 【二人称】貴方 【三人称】あの人など

[+]台詞例
「……神原キャサリンだ。あんた、このワケわかんねえ戦いの参加者か」
「何なんだよ、マジでワケわかんねえよ。あたしは別にこんな戦いをしたかったわけじゃねえんだよ」
「た、戦えってのか。……ああ、わかったよ。キャスター、あんたに任せる」
「死にたくねえ……こんなところで死にたくねえ……!」
「死にたくねえから……あたし達は、何でもしてやる……!!」

「あ、う、あ。バレた、私の仮面がバレた……!」
「……うん、そう。私の本当の名前は、メア・アンビット。神原キャサリンは、偽名です」
「ねえ、何でかな。私、そんなに悪いことしたかな」
「褒められた生き方じゃなかったかもしれないけど、けなされるような生き方だったかもしれないけど。何も悪いことはしてないよ」
「なのに、なんで殺されそうになってるんだろう。生きてただけの私が、どうして」
「キャスター。貴方なら答えてくれる? 助けてくれる? それとも、他の誰かが、助けてくれるかな?」
「……ねえ。誰か、私を助けてよ」

[END]

**来歴
 凡庸とまでは言わずとも、2040〜2050年代のシンガポールという環境において、彼女のような生活を送ってきた若者はさして珍しくはない。
 今もなおその国際経済における重要性から発展を続けるこの国では、教育に掛けられる金の格差がそのまま社会的格差となり、貧富の差を再生産している。
 そんな社会情勢にあってさえ、両親から大量の金を掛けられながら育ち、十分以上の教育を受けて&ruby(POST-SECONDARY){高等教育}へのアクセスを用意される。
 富裕層の子どもたちにとって、それはある意味で当たり前の景色であり、一方で、その生活をただ単に享受することへの嫌悪感を持つものが現れるのも、当然のことであった。

 メア・アンビットに生じた反抗心は、彼女の&ruby(SECONDARY){中等教育}期、まさしく反抗期の訪れと時を同じくして根付いたものである。
 それまでは親のいうことに従い、上等の教育を受けて良い成績を残すことに血道を上げていたが、その生活に嫌気が指したのである。
 とにかく何かにつけては意見に反発する。何であれその発言は聞かない。自分自身がその親に養育されているという事実など何処吹く風と、ただ噛みつく。
 その後背に、掛けた金額を愛情の大きさと信じている気配のあった両親に対する、実感できる愛情への渇望があったこともまた、ありふれた話ではあっただろう。
 非常に単純な構図であり、何となれば万国共通とさえ言える。そして、そうして反抗する子ども達の全員が、それを発展的に解消できるわけではないのも。
 結局、彼女の反抗期は、わずか数年のうちに収まった。彼女がいくら自分に出来る範囲で周囲を困らせても、全てを金がすり潰し、そこに彼女が望んでいた愛情は顕れなかったからだ。
 真正面から向き合ってもらったという実感の欠如と愛情の非認識は、彼女の人格形成に大きな影響を与えたが、それでも、「よくない」ことへ傾倒はできなかった。
 そもそも、彼女は結局、倫理観の規制を乗り越えた犯罪や非行に走ることはなかった。それまで受けてきた教育は、彼女に横紙破りへの忌避感をしっかり植え付けてもいたのだ。

 斯くして、少女は青年期を迎える。敷かれたレールに従うしかないと諦めて、わずかな余暇にふらふらとインターネットを彷徨う日々。
 そこで見つけたのが、一般的ではないとはいえ既に一廉の産業として確立されていた「バーチャル・ストリーマー」の募集であった。
 自分という存在を隠し、求められる偶像を演じる。そして数多の称賛を浴び、人々の耳目を集める。鮮烈な印象が、メアの中に焼き付いた。
 自分にはルールを破れないなら、せめて敷かれたレールから目一杯外れてやる。そんな思いに背を押されて、彼女は独断で大学への進学を蹴り、この募集に応募した。
 こんなことを両親のような人間は望まないに違いない。自分たちの家系に期待される社会的栄達、経済的優位を捨てるようなことをすれば、自分を見てくれるのではないかと期待して。
 そして、……そして、何も変わらなかった。ここまですれば何か反応してくれるだろうと期待した人々からは、相変わらず&ruby(金){有形の愛情}だけが送りつけられた。
 自分は、そもそも何も期待されていなかったのか。自分は一人娘だというのに、その自分がこうまで意に反するであろう生活を送っても、何一つ言わないのか。
 いよいよ、彼女の諦念は凝り固まった。普通高校の卒業後、幸いにも合格した募集を受けて「独り立ち」を両親に要求。案の定用意された家を使って、紛い物の独立は果たされた。

 それからは、惰性である。さしたるビジョンもなく、強い思いもなく飛び込んだストリーマーという職種は、現代ではレッド・オーシャンであった。
 採用された企業からは、定期的に採用される新人として一応のお膳立てをもらったが、それ以後は何も自分では成し得なかった。
 企業全体としてのイベントに参加するようなことはあっても、個別では成果もなく、企業の看板に寄りかかって辛うじて活動続行が認められるだけの稼ぎを得るのが精一杯。
 もとより自覚的ではあった見通しの甘さがそのままストレートに反映され、彼女は結局、使いたいとも思えなかった両親からの送金に頼る生活に移行した。
 これ以上、何かを変えることなどできるものか。所詮自分はこの程度の人間だ。これから賞味期限が切れるまで使われて、そこからは……どうなるか。
 いつかストリーマーを辞めざるを得なくなる確率が高いにも関わらず、その後のことを何も考えず、ただその日暮らしを続ける。そうして、彼女は21歳を迎えたのだった。

 故に、聖杯戦争への参加という事態は、彼女にとって全くの予想外である。
 知り得すらしなかった神秘の世界への手招きは、彼女を強引に非日常に引きずり込んだ。
 突如として現れた[[不可解な女性>マニ]]による説明も、どこか他人事のようで。それを夢か現かと思うままに、闘争と策謀に巻き込まれていく。


**性格
 総じて「世間」というものを甘く見、そして甘く見ている自分がいるという事実をどこかで認識しつつもそれから目を逸らす心の弱い女性。
 それは、彼女自身がその甘さを持ったままで生活できる環境で生きてきたということであり、現実と理想(あるいは都合の良い妄想)の折り合いをつける経験の乏しさに由来する。
 彼女は敷かれたレールの上を走ってきた。だから自分での選択を知らなかった。初めての選択であるストリーマーへの転身も衝動的なものであって、その選択の責任を生活苦という形で経験もしていない。
 親の庇護があって初めて生きていられるような、そんな情けのない存在である、という自己認識自体はありつつも、それをはっきりと認めることがいつまでもできない。
 根本にあるのは、反抗期を通した親の権威に対する自己の確立失敗。何より、愛されるという感覚の欠如…幼年期以来の愛着形成の欠如に伴う拭えない不安感が、彼女という人格を支える土台を貧弱なものにしている。
 だからこそ、彼女は諦めている。そうしたメタ認知に向き合うことができない自分というものを諦め、自分の価値を承認してくれる存在が現れることを諦め、その弱さを脱却することを諦めている。
 しかし、そうした諦め自体をも客体視する視座自体はあり、その諦めを捨てたいという想い自体は抱えてもいる。
 心の弱さを持ち、それを否定したい気持ちもあり、かといって実際にそれを変えることができなかった、そんな少なからずありふれた人格こそが、彼女である。

 ただ、如上のような人格の根本がある一方で、彼女自体の気性という面で考えるとき、彼女の弱さは、フロイトの言う超自我の発達に寄与してもいる。
 彼女は自分の弱さについての認識を持つ。そして、そんな弱い自身を保護するために、周囲からの攻撃を避けることを意識する。
 それは前記の憑依型演技に見られるような、心理的負担軽減のためのペルソナを被る技術を高めるほか、社会の協同規範としての倫理・法に対する遵守意識ともなっている。
 弱いがゆえに強いられれば悪逆を為してしまう可能性を否定できないが、一方で、強いられなければ善き行いを志向しもする。
 そういう意味でも、彼女は、少なくとも聖杯戦争に巻き込まれるまでは、悪い人ではなかったのである。
 ……同時に、悪い人ではないので、勝利のために手を尽くす「悪い人」が少なからずいる聖杯戦争においては、その性質が足を引っ張ることもあるだろう。
 具体的には、他者から少しでも優しい言葉をかけられたらすんなり信じてしまったり、裏切りや策略の可能性を端っから考えていなかったり。
 流石に一度実体験すれば話は別だが、認識の甘さはこんなところでも彼女の命を縮めかねない罠として機能する可能性があるだろう。
 そもそも、彼女が生き残れるという未来予想図を立てている事自体が、状況を正確に認識して向き合っていないことの証明にもなるが。

***行動規範・行動方針
 生存。それ以外にはない。そしてそのためならば、文字通りあらゆることをするつもりがある。
 つもりがある、であって、覚悟がある、ではない。このため、例えば生き残りたければ身体を売れ、という命令があったとして、それを最初から素直に受け入れるということは恐らくないだろう。
 聖杯戦争中の彼女を支配しているのはあくまでも死の恐怖であり、従って、生き残るために必要であると判断され、なおかつ彼女の常識や倫理等を超えるほどの恐怖を与えれば、それに従うことになる。

***参戦理由
 自発的意思によるものではなく、従って生存それ自体が参戦理由となる。

***サーヴァントへの態度
 サーヴァントとの関係性構築においては、相手がある種の化け物であるという事実をいつ認識するかによって変わってくる。
 最初からそうした側面を思い切り叩きつけられた場合は恐怖を覚えながらも自身の保護を求め、そのためならば靴でも舐める。
 逆に、それが後に遅れてくると、サーヴァントの性格にもよるが、一個人としての認識を持った上で、恐怖心と信頼感などの狭間で揺れることになるだろう。

**役どころ・コンセプトなど
 物語上の役回りとしては、原則として非魔術世界出身者として翻弄される立場にあり、時に(物語上の)悪役にいいように操られる被害者枠といったところ。
 当人には当初ほか参加者に対する殺意も敵意もないが、非現実に巻き込まれて精神的に摩耗しており、取り入って嘘を信じ込ませること自体は容易。
 一番最初に信頼した相手をただ盲信するほどではないが、何でも指示を聞いてくれる手駒として使役されることもあるだろう。
 ただ、こうした振る舞いは全て命の保証がないからであって、彼女を適切に保護するという保証を与え、それを信じさせれば、躊躇いつつも裏切る可能性は大いにある。

*因縁欄
:[[マニ]]:サーヴァント?|
 自分があなたの&ruby(サーヴァント){召使}です、と言いながら突然現れた謎の女。
 マニ教という宗教の存在自体は知っていたが、目の前にいるその人物が伝承とは異なる性別を持つその宗祖本人(のようなもの)であるということについては、最初、全く懐疑的な目を向けていた。
 しかし、彼女から行われる聖杯戦争の説明と、おそらくは第一宝具を使用して行われたであろう他の陣営との接触は、まずメアの認識に亀裂を入れる。
 そして、そこで垣間見ることになったであろう非現実的な闘いの光景を受けて、メアの常識は完全に壊れ、そして戦争に巻き込まれているという言葉に感じる真実味は増していくことになる。
 ただし、マニというサーヴァントの能力から、自身に従うそれも&ruby(かいぶつ){英霊}である、という認識はあまり生じず、どちらかというと、地獄に垂らされた蜘蛛の糸であり、自身を守ってくれると主張するヒーローのようなものという認識が最初に来るだろう。
 ここにメアの甘い認識も相まって、「マニというヒーローに縋ってさえいれば自分は何事もなく助かる」と思いつつ、彼女の言うことは比較的すんなり飲み込み、それに従う。
 が、マニに戦闘能力がほとんどないという事実について、それを早期に認識すればするほど、彼女から感じる安心感というものも逓減していく。
 仮に彼女が第一宝具でほぼ無制限の分身を使えるとしても、それによって自身が守られないと判断すれば、メアの心は再び激しく揺れ始める。
 「突然目の前に現れて、勝手に自分に従うと宣ってきたわけのわからない宗教の布教者」という第一印象と、「それでも縋れば自分を守り切ってくれるかもしれない」という確信の崩壊は、メアの心に漬け込む弱みとして十分に働くことだろう。
 一方で、自身を救世主と以って任じるマニの、弱者としてのメアを守護しようとする英雄性を身をもって感じる期間が長引くほど、または実際に守られているという実感を得られる場面が多いほど、彼女に向ける信頼は信仰に近い形で強固になっていく。
 十分にその信頼が固まった上でマニの戦闘能力を知った場合は、「それでも自分を守ろうとしてくれている」という事実に感化され、場合によっては本気でマニ教を受容して敬虔な信者となり、その教えを守ろうとすることさえ考えられるだろう。
 何れの場合にしても、メアにとってのマニは「等身大の人格を持つ相手」ではなく「自分とは全く異なる上位存在」なのであって、一般的な意味での対等なコミュニケーションを取る関係性とは程遠い。
 マニという一人格と向き合う機会は、メア自身がそうした色眼鏡を外せなければ……例えば、どうあれメアという存在が聖杯戦争という舞台において無価値となり、完全に打ち捨てられて生命の危機から離れるような場面にならなければ、ついぞ訪れることはないだろう。
:[[]]あとで:|

*コメント
 メンタルへろへろウーマン。













[+]それでも彼女は、何者にもなることはない。
**起源:境界
 「 」より生じる一事象としての本質。此方と彼方のあわいに立つもの。メア・アンビットという存在は、「それ自体によって存在することができない」。
 おおよそ普通の人間であれば、自己というものは成長の過程で他者との関わりを経て確立されていく。しかし、彼女は、そうした人間らしい成長を遂げることが出来なかった。
 それは、単純に彼女の置かれた環境がそれを困難にしていた、というだけではなく、彼女自身の起源である「境界」に影響されたものである。
 境界とは、二つ以上の異なる事物の狭間にのみ生じるもの。「わたし」と「あなた」を障えるそれは、通常、人間の人格を形作る輪郭とはなり得ても、それ自体が人格となることはない。
 だが、メア・アンビットは「それ」を本質とする存在である。「わたし」という人格と「あなた」という人格の狭間にあって、本来ならばコミュニケーションを円滑とするためのペルソナそれ自体が、彼女にとっては「自分」なのである。
 人間として備えているのであろう本来の人格を自分自身として感じられず、勿論他者のことは他者に過ぎない。ただ、生命としての情動を適切にフィルタリングする仮面としてのみ、彼女は自己を定義し得る。
 故に、彼女は己を変えることが出来なかった。自分の問題点はこうである、という認識はできていても、その問題点を抱えている人格は自分自身ではないために、変えたくても変えられなかった。
 故に、彼女は神原キャサリンを憑依させることができる。それはメア・アンビットが被る仮面、つまり彼女にとっての本質たるペルソナであるから、「自分自身のことのように」神原キャサリンを演じられる。
 その性質は、時代によっては、巫覡として最良の素質であると認められ得るものだったであろう。自己意識と外部に実存する神性の狭間で、求められる神の意識を演じることで「降霊」を果たすことができるのだから。
 しかし、魔術世界に縁のない現代を生きる彼女にとって、その特性は不要のものであり。社会の構成単位としての人間が孤立化し、個我の発露こそを是とする社会にあっては、一種の枷でしかなかったのである。

***起源覚醒
 万が一メアに起源覚醒が起こった場合、彼女は「自分」を完全に「わたし」から切り離し、無限に変転するペルソナに常住することになる。
 場面に応じて最適化されるエミュレートされた人格。しかも、そうして構成されたペルソナが特定の他者を模倣する場合、精神性の再現によって類感原理を起動させ、時として実体である肉体にも相応しい変化を及ぼしうるだろう。
 優れた魔術師を模倣することでその魔術回路をも模倣する、人間ならざる存在を模倣することで肉体的にもそれに近似していく、など、様々なパターンが考えられる。
 無論、いくら起源覚醒が人格を抹消するほどの強力な変化を齎すとは言っても、肉体面への影響が直ちに完璧に反映されるわけではない。が、模倣を介して無際限に「わたし」を変質していく可能性こそが、起源覚醒による最大の変化と言えるだろう。

**共鳴回路
 他者の魔術回路を賦活する&ruby(ギフト){特異素質}の正体。自身の肉体の管制権限をペルソナである自己意識に移譲した上で、接触対象の魔術回路と自身のそれを接続。
「自分の肉体に搭載された魔術回路を、客体化されたペルソナによる管制により、接触相手の外付け魔力炉として最適化する」ことで、一時的に魔力量を増大させる。
 自身の身体を道具として客観視することで、通常の生命活動を必要最低限のレベルにまで抑制し、魔力生産に特化させているわけで、「自分の人格を自分として感じられない」彼女だからこその無茶である。
[END]

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