ImgCell-Automaton。 ここはimgにおけるいわゆる「僕鯖wiki」です。 オランダ&ネバダの座と並行して数多の泥鯖を、そして泥鱒をも記録し続けます。

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''喫茶エーネンアルベで休息する我ちゃん(爆発オチ5分前)''


さて、様々な聖杯戦争・大戦を渡り歩き、ひと段落付いたわけだが……ここで1つ休憩と行こうか。
喫茶エーネンアルベ。殺伐とした戦争の後に訪れるには、ちょうどいい雰囲気であろう?
コーヒーの香りが鼻孔をくすぐる。こういった場所で一服するのも、時には必要なのだが──────。

どうやら、運命はまだ我らに休息を許してはくれないらしい。

「やぁ君、なかなか可愛いね。ボクと一緒にお茶しない?」
「いやーやっぱギリシャの英雄ってのは違うね。嫁さんと彼女いる前で人口説くとか」
「嫁じゃないんだけど。豚にするわよ? そういうデリカシーの無い所嫌われるわよ? そこの宇宙飛行士もそう思うわよね」
「だから俺は宇宙飛行士じゃないんだって! そりゃロケットに乗ってここまで来たけどアレも知らない何かなんだって!」

喧々轟々もかくやと言わんばかりの会話劇が、連鎖して繰り広げられる。
サーヴァント、魔術師、通りすがりに至るまで、様々なメンツが我の周囲で会話してはレスポンスを楽しんでいた。
その中には先までの聖杯戦争の中で見た顔も混ざっていた。なんで2度もこいつの顔を見なくちゃならんのだ。肝が冷えるわ。
だが同時に、見た覚えのない英霊らもいるな。ちょうどいい。休息とは言ったが撤回だ。招待状をいくらかここで配るとしよう。
何。会話劇に自然に混ざる形で行えばいい。そんな思考に頬を緩ませながら、我は此処に集った数多の英霊や魔術師たちに対して招待状を配布した。

「あぁ? 招待状? 別にそう言うのには慣れてるが……変なもんじゃねぇよな?」
「安心しろパレンケの王。危険は一切ない。むしろその逆。安堵の極致と言える新世界が貴様を待っている。そこの嫁も一緒に来るが良い」
「ッ! とうとう妻と正式に認められました! 嬉しさで破裂しそうです! ああ、もう、私……アアーン!!」
「いや知らねぇよ!? コイツ気付いたらなんかいてビビってるだけの不審者だからね!?」

「へぇ? 私を招待とか何を企んでいるの? 新世界だか何だか知らないけど、内側からぶち壊しちゃうとか考えなかった?」
「大層な自信だな鷹の魔女。ま、お前ほどの存在なれば当然そう思うだろうな。だがお前には出来んよ。作られし新世界は、何者にも壊せぬ理想郷だ。1人を除いてな」
「それはそれは。そこまで言われたらちょっと招待されたくなっちゃうじゃない。壊せないと言われたものを壊すほど、興奮するものはないもの」
「如何様にもするが良い。新世界はいつでもその戸口を開いている。いつでも戸を叩くが良い」

「俺なんかも貰って良いの? 俺普通に、こう、一般的に言う不良よ?」
「そう格式高い物じゃないから不安に思うな。この招待状も、装飾こそ整ってはいるが誰でも訪ねる事が出来るものだ」
「ところでさぁ、俺気づいたら女の子になってたって感覚がおぼろげにあるんだけどなんか知らん?」
「知らん。新世界に来ればなんか分かるんじゃないか? 知らんけど」

「まぁ、いつも招待してばかりだから、されるのは新鮮だわ。ありがたく頂戴します」
「おう。かまどの女神であるお前が来れば新世界に相応しい安寧が訪れるであろうよ。是非来てくれよ」
「あ、あの、何か怒らせちゃいました? なんで頬を膨らませているんです…?」
「その無駄にでかい胸に手を当てて考えろ!」

すまん。一時私情を挟んだこともあったが、ある程度配る事は出来た。
そろそろ離れるぞ。え? なんでそんなに急いでいるかだと? もうすぐ爆発が起こるからだ。
……何を言っているか分からぬか。我だって分かっていないよ。だが何か予感があるのだ。
こういう大勢が集まって収拾がつかない場は最終的に爆発オチが起こるという予感がな。
だから走るぞ。早く次の世界に移──────。

『よぉツァーリボンバー。聖杯戦争以来だね』
『久しぶり。こういう場所でゆっくりするのは初めてだから、なんか緊張しちゃうね』

ほら爆発オチ要員っぽいサーヴァントが来店してきたぞ!
急げ! 早く!! 我らが巻き込まれる前に店を脱出するんだ!!





────さて、次の場所に移ってきたわけだが、まずは次に招待状を配る連中の説明から移ろうか。
今までは聖杯"戦争"を回っていたが、此度は違う。次から回るのはその聖杯戦争に参加する、魔術師たちだ。

この泥濘の世界、血の繋がりや組織と言う横の繋がりは非常に有用なものとして扱われる。
故、混沌としている世界の中であってもそういった組織は数多く存在している。もっとも、そういった組織や血筋の中でも混沌が生まれるのは人間の性、と言えるがな。
泥濘が如き世界の中で、泥濘とした関係が紡がれ広がり築かれるというわけだ。敢えて言うのならば"泥濘の組織"……少し言いづらいが、まぁそういう横のつながりを此度は回っていく。

まず初めに配るのは、その泥濘の組織の中でも"御三家"と我が勝手に呼んでいる連中らだ。
何故そう呼ぶかというと、こ奴らがこの世界に与えた影響の大きさを鑑みて、だ。オリジンストーン家系、弦糸五十四家、紋章院。
これら2つの家系と1つの組織はその広い人脈を以てこの世界の様々な場所に影響を残した。故、こ奴らに招待状を渡す事には非常に大きな意味がある。
まぁ、かの晴明と会った際の二の舞にならないよう、姿は相変わらず隠して配る予定ではある。何故なら組織の中心に立つ連中はどいつもこいつも海千山千の怪物ばかりだからな。
特に紋章院のトップは相手したくない。弦糸の当主もふざけてこそいるが対面したくないな。オリジンストーンのはどうでもいいが、背後にいるルシファーは勘弁願いたい。
他にも鬼の末裔に騎士道精神の成れ果て、今尚生きる竜種の最高位やらと相手したくない連中が目白押しだ。なので慎重に行かせてもらおう。


という訳でさぁ、行くぞ。
御三家と呼ばれる連中を始め、大勢の組織達にこの招待状を余すことなく配りに行くのだ。





「なんか届いてる……。最強のもとへご招待?
 うっわやべぇ! いこう! 行こうぜディーティーム!!」
「ちょっと。お兄様。そういうのからは卒業したと聞いていますが?」
「悪いけど、男の子にとっちゃ最強はいつだって憧れなんだよ」

へらへらと笑いながら、オリジンストーンの放蕩息子は妹に向かいそう告げた。
オリジンストーン。それはこの泥濘の世界に於いて著名な魔術の家系だ。二面性を誰であれ少なからず持つ家系で、多くの分家が存在するのが特徴だな。
その正体は堕天使の傀儡に他ならない。人類による地上の支配を転覆するべく、"人理の大敵"と呼ばれるエクストラクラスを支配せんと紡がれた血脈。それが彼らの正体だ。
目の前にいるアビエル・オリジンストーンとその妹、ディーティーム・オリジンストーンはそんなオリジンストーンの当代に位置する魔術師だ。
最も、兄は家を飛び出し放蕩。妹は聖杯戦争を機に兄についていきこちらも逃走と、なかなかどうしてファンキーな道をたどっているようだが。

「ま、怖いんなら俺だけで行きますよ?
 ディーティームはいつまでたってもガキなんだからお留守番でもなんでも…」
「おい糞兄貴、俺の腕力、最近強化魔術のおかげで良い感じになってるんだがガキのままか試してみるか?」
「落ち着けって、ちょっとした冗談だよ。それは置いといて、新世界ってどう作るんだろーね。いわゆる特異点て奴?」
「特異点だとしたら、なおさら僕としてはパスかなー。考えなしに行こうとするお兄ちゃんはともかくとして」
「ボルドー? 俺の事思慮が浅い兄貴だって遠回しに言ってる?」
「うん」

どの人格とも仲のいい兄貴だ。しかし、新世界の仕組みに目を向けるその着眼点はやはり侮れない。
妹の方は難色を示しているようだが、時間の問題だろう。なぜならオリジンストーンの血筋ならば招かれる運命にあるのだから。
……その真意はまだ奴らは知らないだろう。だが、オリジンストーンの血を引く限り、ザックライアスの破片を宿す限り、奴らは須らく新世界に招かれる運命にあるのだ。



「手紙だと?」
「そうそう。私のもとに届いていたのさ。桐壺派にとっても無視できない内容だと思ってね。
 みると宛名には桐壺家当主の名前もしっかりと書いてある。だからこうして届けに来たのさ」
「さがれ女狐めが。空蝉派筆頭の貴様を招き入れる訳にはいかん。門を跨いだ時点で殺されないだけありがたいと思え」
「つれないねぇ。まぁ、この招待状1枚で大変なことを起こせるのが私達魔術師だから、そう警戒するのも無理はないか」

老人と女が、古めかしい屋敷の門の近くで押し問答をしていた。
老人の名は夕顔茂森。表に顔を出さない桐壺家当主に代わり計画の推進を行っている、いわゆる執事のような立場の男だ。
この桐壺という家が、此度に我らが招待状を渡す存在、弦糸五十四家のキーパーソンとなる。

彼らはその名の通り、五十四の分家が束ねられた魔術家系である。
その目的は、初代にして決起人たる弦糸新太郎が見た世界の終末を回避することにある。
始まりは純粋な願いだった。終末を覆したいという祈りにも似た願いにより集まった54の家は、弦糸の名のもとに1つとなった。
最も、その回避のための過程と方法により、54の家は2つの派閥に分裂した。桐壺派と空蝉派。その分裂は現在もなお続いているようだな。
今まさに夕顔の眼前に立つ女こそ、空蝉派筆頭たる空蝉家の当主、空蝉瞳である。胡散臭い雰囲気で、全てを見透かすような視線が特徴の女だ。
観察力に関しては晴明などの怪物に匹敵するだろうよ。ああいう輩には近づきたくないものよな。

などと思っていると、少し距離の空いた本堂の障子がスパァン!と音を立て勢いよく開いた。

「そのへんにしてやれ夕顔」
「む……聞いていたのか桐壺。最も、顔を出すのは褒められたものではないな。
 空蝉派の人間と、今は切迫した状態だとお前が一番わかっているだろうよ」
「だからこそ、だよ。いらぬ諍いを起こすべきじゃない。彼女はただ、純粋に手紙を届けに来ただけだ。
 その招待状からは危機を感じない。すでに調べさせてもらった。俺が保証しよう!!」
 
「この一糸纏わぬ身に誓い! その招待状の安全を宣言しよう!」

障子の向こう側にいたのは、文字通り素っ裸のイケメンがポージングをしながらこちらを指差している姿だった。

「そうではない。その姿で、空蝉派とは言えど客人の前に現れることが褒められる事ではないと言っているのだ」
「何? そうか? 空蝉もお前も、俺のこの一糸まとわぬ姿を見慣れているから十分問題ないと考えた上での行動だったのだが」
「やぁ、相変わらずだね桐壺当主! 手紙持ってきたよ!」

全裸の男を前にしてもなお、空蝉は慌てずに手紙を投げて渡した。
コイツが弦糸の中心にして、その発端でもある桐壺新太郎。御覧の通りの露出狂だ。
そのふざけた外見と言動とは打って変わって実力はまさしく本物だ。下手すればあの安倍晴明に匹敵しかねん。
ふざけていたとしても、これほど大規模な魔術家系を統率できるだけの実力はある、ということだな。

「──────ほう、新世界への招待状と来たか。いたずらにしては随分大きく出たものだ。
 この書き方だと、随分と大勢に出していると見える。もしや全ての家系に招待を出しているのか?」
「だろう? 新世界を目指している君たち桐壺派にとっては、無視できない内容だろうって思ってね。
 ま、私たちとしてはそんなもん阻止したいんだが、桐壺派を阻止したところに新世界とやらが飛び込んできても迷惑だから止めたくてね」
「ふん。大方、我々とこの招待主をぶつけ合わせ漁夫の利を狙おうという腹だろう」
「さぁどうだろう、ご想像にお任せするよ」

空蝉は不敵に笑いながら返した。うむ。やはり新世界という名を出したのが正解だったか。
こいつらは滅びを新世界を創る事で回避しようという桐壺派と、それに相反する空蝉派で分かれているのだ。
元は同じ志で集ったというのに、やり方1つで違えるとは。まさしく、彼らもまた泥濘の象徴と言える組織であろうよ。
今回はその亀裂のおかげで招待状を配る事が出来たので、一概に泥濘であり続けることを否定する気はないがな。

さて、ここはもう問題はないだろう。
あのストリーキングが新世界に来て問題がないかという疑問には目をつむりつつ、次へ向かうとしようか。



「お父様、報告書が上がっているのですが……」
「魔術師らの研究成果の演算はお前のタスクのはずだが、クロニク」
「も、申し訳ございません。ですが、どうしても報告しなくてはならない一節が目に入りましたので……。
 曰く、"新世界の扉の創造手法"と……」
「……ほう」

1人の男が───と言ってもそれは端末にすぎぬが───1つの報告書を手に取り、目を通した。
最もそれは、報告書の体を取った我謹製の招待状なのだが。うまく紛れ込ませたのが功を奏したようだな。

男の名はグロース・アンディライリー。紋章院の頂点。かつて宙より飛来し、そして1つの意志に染め上げられ前進を続けるだけの人でなしだ。
その前進の果てに、コイツは1つの到達点を考えている。第六呪詛・「 」。ニルズァボスク。新たなる根源を作り出さんと言うのがこいつの願いだ。
故に、新世界などという言葉が我慢できるはずもない、という想定は当たっていたようだな。
ある程度目を通したところ、グロースは数度頷いて言葉を紡いだ。

「誘っているな」
「と、言いますと……」
「何らかのブラフ、いや、露骨なまでの手招きを感じる。
 同時に、こちらがそれを断れない、あるいは断るはずがないと考えている。そういった思想が読み取れる」
「そのような不埒な輩が、紋章院に忍び込んでいるとは露とも……」
「いや、そもそも紋章院の人間が執筆したものではないなこれは。
 外部からの侵入者が、何らかの形で紛れ込ませたものだ」

さすがは"人でなし"。考察が早い。最悪の場合、送り主である我の正体にまでたどり着きかねん洞察力だ。
だが、だからこそ奴にはこの程度の招待で十分と言える。奴ほどの演算能力があれば、この新世界への誘いがブラフで無いと気づくはずだ。
そしてさらに分かるだろう。新世界には病はなく、恐怖はなく、不幸もない。──────例えば、若くしてその命を散らす雪仔など、存在するはずがないということも。
奴がそれを知ってどう行動するかまでは読めない。だが、自分の目的に近しい物があると分かれば動きはすると睨んでいる。

何故なら奴が望む結果と、招待される新世界とは限りなく近く、そして何よりも遠いのだからな。





それから我らは、無数に存在する泥濘の組織達に招待状を配り続けた。
紋章院に行った"報告書に偽装する"という手法に功を見た我は、それに近しい形で招待状を忍び込ませ続けた。
この泥濘の世界、星の数ほどの組織があり、その数だけ組織の特色がある。その特色に紛れ込ませる形で、招待状を渡し続けたという訳だ。

「"リゲル"キース、少し気がかりな報告が各イニシエイト・ナイトらから挙がっています。
 なんでも、アクシア聖団全支部に対し、宣戦布告ともとれるような怪文書が届いていると」
「放っておくがいい。我らは救世の使命を背負うもの。出所のしれぬような文書に心を惑わされるべきではない」
「それが──────聖杯探索を背負う騎士に、最大の聖杯のありかを示す、と」
「……なるほど。そう言われるならば、吟味するに足るか」

聖堂教会の分派、アクシア聖団らには聖杯のありかと称させてもらった。
騎士道精神の成れ果てが、全支部に対し聖杯探索を命じたのがプラスに働いたな。奴には感謝せねば。

「あ、キリさーんお久ーっす。あのー、新規のデミサバで気になる事あってー」
「なんだいジュリィ。またヤクキメ過ぎたせいで幻覚でも見えたかい? 良い病院紹介するよ」
「ちげーっすって! ほら、あの、素体に……なんでしたっけ、アンナ・シュプレンゲル? って幻霊使った奴。
 あれの心拍その他の数値が暗号文みたいになっててー。解読したら、ほれ」
「ほぉーん何々ぃ? ……シ・ン・セ・カ・イ、ねぇ?」

デミ・サーヴァントを作り出し続ける"権天使の集い"。俗称。デムデム団には、暗号を通じて送らせてもらった。
ちょうど我に関係ある幻霊を使ってくれたようだしな。情報が伝えやすくて助かったわ。あいつらは頭もキレるし、すぐ解読するだろう。

「しゃちょー、礼装保管庫にまた知らないものが増えてました」
「放っといて良いよー。いつものことだし。誰かが捨ててるのかな?」
「仮にそうだとしたらセキュリティ上に問題アリっすけどね。ただ、どうも俺らFFF社宛ての手紙っぽいっすわ」
「手紙の形した礼装ってことー? あ、本当だ。あたしの分割思考がなんかやばいってガンガン言ってる」

FFF社には地下実験場の一角にある礼装保管庫に放り込んでおいた。あそこにおいておけばと思ったが、案外あっさり見つかったな。
あそこはゴミみたいなもんから世界すら終わらせかねない礼装まで渾然一体だからな。紛れ込ませるのにここまで最適な場所はない。
もっとも、あそこの社長は自由人だからなー。招待しても来てくれるかどうか……。

「やぁアルメア。タレコミが入ったよ。能無し共のしりぬぐいに付き合っちゃくれないか?」
「あのさぁ。見て分からないか? 今めちゃくちゃ忙しいんだよ。サボるためにこの仕事を私はだな」
「能無し連中が、全員そろって暴れる可能性がある──────と言ったら?」
「キミ1人で行ってもらえるか?」

「にゃにゃにゃー。団長さーん、まさかまさかの公演依頼だにゃー」
「ほう! これは珍しい。ふむ……日本か! 招かれたからには盛大な宴を敢行しなくては、ですね!」
「楽しくなりそうじゃん。あんなテンション高い団長はじめて……いや、いつもあんな感じだったな」

悪魔を使う五の濠と、悪魔を宿す能無し曲馬団共にはそれぞれ依頼とタレコミを送った。
真性悪魔を扱うような連中を新世界に招いていいものかと不安には思うが……ま、どうにかなるだろうよ。
新世界では闘争の類は出来ないし、最悪記憶をいじれば済む話か。

「新世界、だと?」
「そだよー。ノンボーンや僕やカール、O-13全員にそんな招待状が」
「ふざけているな。俺達を差し置いて新世界を作り出すなぞ、戯言もここまでくると憐れ極まりない」

そう告げると、新世界を作り出さんと掲げる13の魔人が1人は招待状を勢いよく引き裂いた。
ったく、新世界という言葉を出せば反応すると思っていたが、余りにも血の気が多すぎるぞ。ま、想定通りではあるんだが。

まだまだ、ここでは書ききれないほどの組織に招待を送ってやった。
アサシン教団には依頼という形で複数の招待をしたし、イングウェイの奴めにもリストにいる魔術師を何人か派遣するよう願った。
ロータス・オムニサービスや矢衾警備保障には、それぞれ警備と戦争代理人として依頼を出した。ロータスは分からんが、きっと矢衾は飛びつくだろうさ。
ファルス・カルデアにはカルデアが動こうとしていると伝えたし、ウィルマース財団では日本のある都市で怪異と神性が大発生と書いておいた。
無論全て嘘ではない。カルデアの連中も招待したのは事実だし、怪異や神性が大発生しているのも事実だぞ? ただちょっと言い方を変えただけさ。

っと、こんなところか。
魔術師ばかりの面々を巡らせて悪かったな。今まで聖杯戦争という超抜級の儀式を見てきた中で、魔術師ばかりではつまらなかったろう。
まぁ、中には英霊に匹敵する、あるいは超越する連中もいるにはいるが……。それでも知らんメンツを何度も見せられるというのは暇に思うかもしれんな。

そこでだ! 次は英霊どもの跳梁跋扈をいやというほど見せつけてやろう!!
先ほどまでは魔術師たち、聖杯戦争で言うならマスターに当たる存在だな。彼らのテリトリーや関係性に焦点を当て招待状を配ったわけだ。
今度はサーヴァントたちが集う──────人理を侵す"特異点"で、サーヴァントたちに招待状を配り歩こうではないか。

恐れることはない。これを乗り越えれば貴様はもっと強くなれる。
まずはそうだな──────泥濘の新宿、から行こうとしようか。


[[Next→>Invitation_4『人理を穿つ孔、集う英霊たち』]]


◆  ◇  ◆



■Tips.[[泥なりチャ>なりチャ企画一覧]]
いわゆるなりきりチャット。泥をTRPG以外でも気軽に動かしたいというニーズに答え企画された。
ここでのみ生まれた人間関係や俗称、カップリングや子供(?)などもあり盛況だったが、なりチャの舞台となったサイトがことごとく閉鎖、停止、有料化していき廃れていった。
現在は有史の「」ゲミヤが作成したなりチャ専用の掲示板があるので、時にはそこで突発なりチャをしてみるのもまた一興かもしれない。
昔には週一以上のペースで行われていたが、そのほとんどが爆発オチで終わるという伝統があった。

■Tips.[[オリジンストーン家>オリジンストーン/ストーン一族]]
TRPGなどの動きを経て、初めて本格的に盛り上がった泥組織の類(正確には泥家系だが)。
二面性を持つという共通点がある魔術師の家系で、多数の分家を持つという特徴から多くのマスターが練られた。
その正体は、堕天使ルシファーが人類進行の為にエクストラクラス・アークエネミーを支配するために傀儡として生まれた家系である。
この堕天使ルシファーもまた、大多数の泥を相手取って死亡したという経歴があり、ちょくちょく泥の節目に現れてはボコられ討伐されている。

■Tips.[[弦糸五十四家]]
オリジンストーン家と同時期に出現し、これまた大勢のマスターが練られた泥家系。
源氏物語に由来する54の姓を持つ家系が、2つの派閥に分かれて争っているというものであり、個性豊かな面々が集った。
その目的は、祖である桐壺/弦糸新太郎が垣間見た未来の滅びを回避する事。だがその目的のためのやり方をどうするかで真っ二つに分かれているというのが真実である。
泥黎明期より活躍していた柏木星司もこの家系の一員である。

■Tips.[[グロース紋章院]]
オリジンストーン、弦糸と同時期に練られた泥組織。これら3つを合わせ昔は『泥御三家』と呼ばれていた。
魔術的共産主義を謳い、全人類の神秘完全共有を目指している……が、トップであるグロースとしての目的はまた別にある模様。
グロースの娘であるザイシャが初期から活躍していた事もあり、無数に張り巡らされた重厚な設定からこちらも多くの所属員が練られた。
上述のオリジンストーン(正確には、その発端たるルシファー)や、弦糸とも関わりを持っている。

■Tips.[[アクシア聖団]]
聖堂教会の流れをくむ武闘派集団。騎士としての「救済の使命」を掲げる騎士たちの集まる組織。
聖団からの指示として「聖杯探索」が命じられており、聖杯を本部へと持ち帰る耐えに聖杯戦争に多く参加することが多い。
構成員が段階性になっており、騎士という形から泥が練りやすかったこともありブレイク、多くの騎士が練られた。
正統派な騎士から変わった騎士、Y○utubeで見たことがあるような騎士まで多種多様に投げられた。

■Tips.[[デムデム団>ようこそデムデム団へ!]]
公式ではマシュ・キリエライト1人しか成功例がいないデミ・サーヴァントを泥でも練りやすくしようという目論見から生まれた組織。
そこら辺の魔術師とかをとっ捕まえて英霊と混ぜ合わせたりしている。だいたいやっていることはショッカーである。赤いマフラーをたなびかせるライダーもいる。
実は結構歴史がある組織であり、その背後には強大な影が存在している。

■Tips.[[FFF社>FFF社礼装保管庫]]
表向きは製薬企業に偽装している魔術師の集まり。
地下実験場であるエンディミオンの一角は8層に分かれる礼装保管庫になっており、ここには古今東西あらゆる礼装が放り捨てられている。
使い道の分からないガラクタからマニア垂涎の初版本は当たり前、着払いで送られてきた堕天使殺しやウロボロスの破片やら完訳版ギルガメシュ叙事詩など色々ある。
とりあえず思いついたアイディアや泥にするほどでもない一発ネタなどを投げる場として重宝され次々に%%ゴミ%%礼装が放り投げられていった。

■Tips.[[五の濠]]/[[能無し曲馬団]]
悪魔を使って聖杯を回収することを目的とする機関。
5席しか募集枠が無く、また(募集当時は)他泥組織と関わってはいけないという珍しい募集要項で一瞬で枠が埋まった。
その後所属する魔術師の1人『道化』の設定から派生して悪魔憑き達のサーカス団が作り出され、こちらも個性豊かな悪魔憑き達が集まった。
現在は他組織との関わり合いなどは禁止されておらず、悪魔憑きになっていないIFの彼らもちょくちょく書かれたりなどしている。

■Tips.[[新世界秩序同盟O-13]]
新世界を作り出そうとする13人の魔人の集団。ルシファー死亡により崩壊したメイソンの遺産を継ぐ形で出てきた泥組織。
財界の著名人や科学者%%あと料理人%%など、様々な分野の人間たちがそれぞれの新世界への理想を掲げ集ったのが特徴。
基本的には暗躍するのみで活躍はなかったが、異聞帯を作り出すなどのルートも存在する(現在企画凍結中)

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