kagemiya@ふたば - シャルロット・コルデー
【元ネタ】史実
【CLASS】アサシン
【真名】シャルロット・コルデー
【性別】女
【属性】秩序・善
【特徴】反英霊
【ステータス】筋力:E 耐久:E 敏捷:E 魔力:E 幸運:A- 宝具:E

【クラス別スキル】
◆気配遮断:E
 自身の気配を消す能力。Eランクであれば、無いよりはマシな程度。
 「殺意隠匿」スキルからの派生であり、厳密にはアサシンは気配遮断スキルを保有していない。

【固有スキル】
◆殺意隠匿:D
 殺意を察知させない能力。
 アサシンは話術や精神制御などの技能を持たずして、
 暗殺の決行までその殺意を誰一人として悟らせることがなかった。

◆暗殺の天使:C+
 純真無垢。精神面への干渉を無効化する精神構造。
 天使とも称されたその在り方は時として人を強烈に魅了し得るが、
 同時に嫌悪すらも抱かせてしまう。

◆単独行動:D
 マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。
 ランクDならば、マスターを失っても半日間は現界可能。

【宝具】
◆『我が大敵に捧ぐ(ランジュ・ド・ラサシネイト)』
ランク:E 種別:対人宝具 レンジ:− 最大捕捉:1人
アサシンの皮肉に満ちた生涯の再現。
アサシンが標的とした対象を暗殺可能になるように自動的に運命が捻じ曲がる宝具。
捻じ曲がった運命は対象を不利にするような偶然、あるいは必然を引き起こす。LUCK値で対抗可能。
暗殺判定が成功した場合、そのために捻じ曲がった運命の揺り戻しがアサシンとアサシンが味方するか、アサシンに味方するモノに与えられる。


彼女は彼女の自身の意志で刃を持った。国を良くしようと立ち上がった。
たとえ彼女の選択が過ちで溢れていたとしても、彼女の行動がことごとく裏目になったとしても、それを選んだのは彼女だったはずだ。決して運命なんていうモノではなかったはずだ。

――しかし幸福のままに死に、あの憧れたギリシア・ローマの英雄と同じように英霊となった後も、彼女は間違い続けた。いや、間違うことしかできなかった。思えば当然の結末だ。
あらゆる願いを裏目に変えた彼女がどうして彼女自身の願いを裏目にしないというのだろうか。サーヴァントは変わらない。過ちだらけの暗殺者は死後も過つだけ。
彼女は自らの意志も無く、運命のままに過ちを重ねる。何のために、誰がために、それすら理想が覆い隠した。それでもなお彼女は幸福であった。それが彼女だった。それがシャルロット・コルデーだった。

彼女は生涯気づかなかった。そして死んでも気づかない。己が間違いを。
彼女は生涯間違え続けた。そして死んでも間違い続ける。幸福のユメの中で。

【聖杯への願い】
世界が平和になりますように。

【解説】
「暗殺の天使」シャルロット・コルデー。
ジャコバン派の大指導者「人民の友」マラーを単独で暗殺した女性。
フランス革命の最中、秩序を失い、混乱に陥りながら殺し合う人々を憂いた彼女は
あの大敵『マラー』さえ居なくなれば平和になると考え、暗殺を決行した。
しかし、その結果は皮肉にも彼女の意図とは何もかもが裏目になった。
まず彼女に関わった多くの人々がギロチンにかけられることとなった。平和などは来ず、革命はより激化し、殺し合いはより苛烈になった。そしてその後に待ち受ける革命の反動もより強大となってしまった。
彼女の行為は間違いであったと言わざるをえない。しかし、その意志だけは間違いでなかったはずだ。誰が平和を願い、自ら立ち上がった彼女の思いを疑うことができるだろうか。
幸いにして、彼女は彼女が引き起こした不幸のことなど知ることもなく、平和を信じたまま、幸福に死んだ。それだけが彼女の救いだろう。生前の彼女にとっての。

死後、反英霊として座に在る彼女からすれば絶望であった。彼女の生涯は数え切れないほどの過ちに満ち、しかもそれに気づくことができなかったのだ。たとえ死んだとしても。
サーヴァントは決して成長しない。彼女はこれからも己の間違いに気づくことはなく、間違いを犯し続ける。そのため、上記の「彼女からすれば絶望であった」という文は間違いであるとも言えるだろう。
なぜなら、彼女は変わらず幸福であり続けるからだ。よって、それだけが彼女の救いであるのかもしれない。死後の彼女にとっても。

彼女はもの静かでやさしく、穏やかで、慎み深く、人前で語るということを決してしない女性であった。同時に、深い知性とありあまる行動力、強固すぎる意思を持った女性でもあった。
彼女は人一倍真摯に生きようとしていた。独立心が強く、間違いを良しとせず、感情を隠すことができないほどに頑固であった。そんな彼女がなぜ暗殺に走ったかというと、大雑把に分けて二つの原因がある。一つは時代。もう一つは理想主義だ。

あの時代において、女性の地位は限りなく低かった。彼女自身、「どんなに長く生きたところで、まったくなんの役にも立たない無益な女」と嘆いているように女性にはいかなる活躍の場も与えられていなかった。
彼女はそんな反フェミニズムに不満を覚えていた。そして同時に、それを肯定しようとする良識も持ち合わせていた。フランス革命において、数名の女性活動家たちが自由と平等を求めるがゆえに立ち上がったが、彼女はそのように女性がでしゃばるべきではないと考えたのだ。
しかし、彼女はジロンド派の一件で確認したような男たちの無力が許せなかった。どうしようもなく苛立った。男性の上に立つ言動をしてはならないのならば、彼女の力の捌け口は一つしか残されていなかった。
世の男性に「この上もなくか弱い手が何をなしうるか」を示すこと、つまり、暗殺のような個人テロしかなかった。
このような矛盾は彼女の人生においては多く存在した。上記のようなフェミニズムと反フェミニズム、反貴族と貴族、共和派と王党派……。そのたびに彼女は前者を支持しつつ、後者を尊重した。
彼女は自身の性格からか必ず最後には、常識を、秩序を指針としたのである。しかし、このスタンスは彼女自身の融通の利かなさも相まって、結果的に多くの過ちの元となってしまった。

彼女は夢想家であり、理想主義者であった。それも度を越したと言っても過言ではないほどの。彼女は一切の世俗的な事情にとらわれず、ただ純粋に理想を追い求め、自らの全存在を捧げた。
例えば、彼女の容貌は数多くの男性を魅了したが、彼女はただの一度も男性に心を動かされたことがなかった。事実、彼女は友人への手紙でこう語っている。「私への手紙の宛名に、あなたが何々夫人と書くことは決してないでしょう。私はけっして、この大切な自由と独立を棄てはしないでしょう」
また彼女の苛烈さはその死をも恐れぬ振る舞いからも見て取れる。彼女は生への執着といったものを全くと言ってよいほど持たず、ただ生が担いうる有用さだけを評価していた。端的にいえば、彼女は見返りさえあれば、いつだって死んでも構わなかったのである。
それは暗殺後、彼女が断頭台に散るまで間、一切の弱みを見せずに柔らかな微笑を浮かべていたことからも窺える。
(余談だが彼女の処刑を担当したのは、FGOでお馴染みシャルル=アンリ・サンソンくんである。処刑の際の彼女について語ってもいるので、気になる人は調べるといいかもしれない。)
こうした考えを持つようになった原因は上記でも語った時代による女性への抑圧が根本にあるだろう。そしてそれは彼女が修道院で読み耽り夢想した勇気あるギリシアの英雄のような大いなる存在への憧れに結びつき、自分の全てを捧げるに相応しい何かへの憧憬を作り上げたのである。
この憧憬は本来、修道院の中で満たしうるものであった。神は彼女にとって生涯を捧げるに足る存在だったからだ。しかし、修道院がなくなり、彼女は革命の中で自らが持て余すエネルギー、情熱を受け止める相手を見つけねばならなかった。ゆえに、彼女は平和をもたらすための真に単独での暗殺という行為に踏み切ったのである。
その行為が彼女が持っていた有名になりたい、栄光にたどり着きたいという気持ちによるものであると、獄中で肖像画を頼むような自意識過剰ともいえる女性であったことから推察できるだろう。そして、上記の通り、それは決して自己顕示欲などというものではなかったのである。
ここで本質的に彼女が孤独であったことに言及しておく。彼女には友人や家族がいたが、相談相手になれる人間など誰もいなかった。なぜなら、彼女は自らと同等のエネルギーを持った人間にしか気持ちを打ち明けるつもりもなかったが、
そんな人間など自分の周囲には一人もいないと考えていたのだから。結局、彼女は生涯誰にも心を開こうとしなかった。その孤独さが暗殺への一因になったのは否定できないだろう。

ここまでで彼女が大変な理想主義であることは分ったと思うが、それによる弊害もあった。現実への無関心、端的に言えば、彼女は少々ぼんやり者であり、正確な状況把握が苦手だった。
そしてそれから来る無知が彼女の過ちの大きな要因であり、彼女を天使と言わしめた純真無垢さ、底知れぬほど純粋で無垢で素直な彼女を作り上げた。彼女は政治的現実とつながりを持たず、完全に無色透明な女性であった。
その浮世離れした在り方は人外のそれに等しかったのだろう。例えば、彼女が標的に選んだマラーはそもそも病床にあり、余命がなどいくばくもなかったのである。暗殺する意義などどこにもなかったのだ。
またマラーを暗殺したことにより、社会はさらに混乱し、また多くの友人、知人も危険に晒された。そして、彼女はその一切に関して無知を貫いたのだ。彼女の行動はいつも善意から始まったが、その無知ゆえに結果的には、いつも周囲の人々に悲劇的な不幸をもたらした。そして、彼女はいつもそのことを知らないのだ。


サーヴァントとしての彼女の性能は言うなれば、いつ起動するか分からない自爆装置。
敵一人殺すのに味方を潰滅させる味方殺しである。召喚してしまったら、敵に回した方がまだ勝機が見える地雷であるといえるだろう。
低すぎるステータスに合わせて、戦闘用スキルもないため、戦闘能力はほとんど無い。
できるのは暗殺だけであるが、気配遮断スキルも低いため、宝具に頼るしか戦う方法はないだろう。
マスターの命令には従い、マスターを上に立ててくれるが、スキル「殺意隠匿」により、感情や意思が読みづらく、
また自ら意見なども言うような性格ではないため、一見平気そうでも爆弾を抱えていることがある。
単独行動もあるため、独断専行も可能なので、警戒が必要。ただ彼女は誠実で血が流れることを良しとしないため、
よほどのことがない限り、嘘もつかず、無益な殺生もしない。表面的には安全なサーヴァントではある。
スキル「暗殺の天使」は、精神汚染、魅了、無辜の怪物などの複合スキルである。
彼女の信奉者が自らギロチンへ向かったように、彼女に魅了された者は生存に関わる判定に−補正、
それに加えて彼女の味方でありたいという衝動を覚えるようになる。
また彼女は時として周囲の正確な状況を把握できず、自らの行為の結果を認識できず、
自らが思い描いた理想を真実とするように思考が改変される。因果関係の逆転、彼女はついに天使であらねばならなくなった。
宝具はデメリットを考えなければ強力。よほど幸運が高くなければ標的とした対象に対して死神に憑かれたかのように不幸が襲いかかり、
最終的にアサシンのこの上なくか弱い手に握られた短剣が標的の急所にまるでそうあるべきであるかのようにぴったりと致命に突き刺さるだろう。あのマラーのように。
反面デメリットはかなり重い。そもそも戦闘力などないようなアサシンが一角の英雄を暗殺しうるような運命などどれだけ捻じ曲がればありえるのか。
そしてその反動はどれほど強大なものとなるのか。基本的には暗殺した後、遠からずアサシンは必ず死ぬ。マスターも十中八九死ぬ。同盟相手も大方死ぬ。
敵も苦しむ。聖杯戦争はより凄惨になる。多くの人が戦いに巻き込まれる。辺りが血で満ちる。聖杯は歪む。杯は邪なる者へ。そうして、彼女の願いは反転する。
世界はまた平和から遠ざかり、争いはさらに勢いを増すだろう。最悪はこのぐらい。実際には捻じ曲がった程度に合わせて、こうなるように運命が動くだけだ。
まあ幸運がなくても運命が打破できるならなんとかなるだろう。
さらにこの宝具が厄介なのは、アサシンの思考と連動して真名解放なしに発動される自動発動型宝具であることである。
ただ頭の中でアサシンが標的を選ぶだけで宝具が発動するのである。上記の通り、アサシンの思考を知ることは難しく、
また精神汚染スキルを持つアサシンとは意思疎通が困難なので、いつの間にか宝具が発動していて、
いつの間にか勝手にアサシンが暗殺していて、いつの間にか死ぬなんていうことが起こりうる。
一応アサシンの標的の基準としては、もっともアサシンの願いを叶えうる人間、またはアサシンに似た人物が選ばれる傾向がある。
これはアサシンが暗殺したマラーこそ彼女と同等に強く、熱烈に平和を願い、自らの全てを捧げた理想主義者であり、
また彼女が行った暗殺もまたマラーが主張していた「これ以上、血が流れないように、一部の人間を生贄にする」という行為そのものであったことから。

よほど上手く立ちまわらなければ、勝ち抜くことはおろか無残に屍を晒すことになる。
正直、召喚してしまったら、速やかに自害させるのをオススメする。
それがもっとも確実に被害を最小限に抑える方法であるし、アサシンにとっての幸福だろう。


容姿参考 身長、165cm。髪と眉毛、栗色。目、灰色。額ひろく、鼻は長い。口、普通。顎は丸く、割れている。顔、卵型。
引用、参考多数「マラーを殺した女 暗殺の天使シャルロット・コルデ」安達正勝。
文章とかであるとかだとか改行とかいろいろめちゃくちゃでごめん でもつかれた